2018/02/22 のログ
ご案内:「演習施設」に筑波 察さんが現れました。
筑波 察 > 「よし、じゃあ始めようか。
 はじめは撃力の再現から」

訓練施設の上部に映し出されたモニターをみて、合図をする。
ここ最近ずっと引きこもっていろいろと試行錯誤してきたことを、試す時が来た。
ある意味では万能に挑戦する第一歩。

大きく深呼吸して能力を使い始めると、
目の前に用意されたコンクリート製の障壁が粉々に吹き飛んだ。

「やっぱりこういうのもできるんだね」

振動を操作する異能。
その力を、今この瞬間初めて万能的に使えたという実感を得た。

筑波 察 > 「じゃあ次、加速度運動の再現」

「じゃあ次、円運動」

「じゃあ次、次、、次、、、」

次に行ったのは運動の操作。
簡単な運動から初めて、次第にその複雑さを増していく。
普段持ち歩いている鉄球が、地面の上をころころと転がっていく様は何ともかわいらしいが、
自身にとってその光景は興奮に値するものだった。

「すごいな。分子の振動を弄るだけでこんなにもうまくいくのか」

誰かの声色をまねるということは今まで散々やってきた得意技。
しかしよくよく考えればそれだけで異能の可能性が広がるのだ。
今まで見落としていた。

あらゆる現象は振動の重ね合わせで再現できる。
そんな当たり前のことを見落とすとは、時間を無駄にして生きてきた>

筑波 察 > 「次、、、、っ」

しばらく運動の再現を続けていたが、ついに限界が来た。
限界というのは体力的な限界ではなく、能力的な限界。

複雑な運動を解析するだけの能力がないのだ。
つまるところ、おのれの限界がここである。
自由に動き回っていた鉄球はその場で路頭に迷うようにゆらゆらと動くだけで、
意味のある動作を行わない。

「ま、まぁ、これだけできれば上場、
 いい感じじゃないか…」

少し疲弊した感じで笑うと、そのままデータを記録して施設を後にした>

ご案内:「演習施設」から筑波 察さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > 「……ふぅ」

訓練場で汗を流す一人の男子生徒。
その手には太刀が握られており、剣士であることが容易にうかがえる。
そんな彼、霜月零は……。

「どーしたもんかね……」

悩んでいた。

霜月 零 > 今までの戦い、経験。そして、虞淵に言い放たれた言葉。
それらを総合して、零は自分の欠陥の一つに気付いていた。
――自分だけの戦型を持たないのである。

「借り物、真似事の剣だけじゃ、メッキはすぐ剥がれちまう……」

素振り。
その素振りから、手持ちの豊富な技まで基本はしっかりと仕上がっているのが霜月零と言う剣士だ。
だが、そこから、ついつい『根源接続・武典再生』と言う自身の能力に甘え、既存の技を適宜運用するだけの剣を強いと思い込んでしまっていた。
つまり、霜月零独自のスタイルがない。故に、剣理に明るい者には先を読まれるし、借り物でしかない技なのだからどこか底が浅く軽い。
どうにも勝ち切れないのは、そういった欠点が理由だと零は考えていた。

「つっても……自分の、スタイルなあ」

だが、分かったところで自分のスタイルなんて言うものはホイホイ身に付くものではない。
今まで借り物の剣に甘えてきた零ならば余計だろう。
その点で、欠点を自覚すると同時、行き詰まりも感じていた。

霜月 零 > 「そもそも、独自のスタンスをわざわざ持つ必要……から、どっか俺が疑問視しちまってるもんなぁ」

頭を掻きながらついついボヤく。
零の流派、霜月流は『多様な技術を統合し、それでもって多様な敵に対応する』事を本義とした流派。
分家の各流派は尖った物があるものの、霜月流は総じてみれば非常に万能な流派と言える。
それはつまり、何でもできるということだが……言ってしまえば、漠然と学んでいても何をしていいか分からなくなってしまうということでもある。
何でも出来るなら何でも出来るでいいのではないか、と言う疑念もやむなき者であると言えばそうだろう。

「――でも、今までの剣じゃダメ、っつーのもわかってんだよなぁ」

だが、それでも霜月零には変革が必要だった。
借り物ではない、自分の剣。それがないと駄目、と言うこともまた理解しているのである。

ご案内:「訓練施設」に筑波 察さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」にジョゼフ・マーキンさんが現れました。
筑波 察 > 「どうにもこうにも、僕自身の処理が追い付いていないんだからここが限界だよねぇ」

自身の能力を拡張するための訓練。
小休憩をはさんで再開しようと思っていたところに、一人の生徒の姿が目に入る。
見たところ、剣の素振りをしているようだった。
少しの間モニター越しに眺めていたが、何か興味を抱いたのか訓練場に足を進める。

「剣術の訓練、見た感じだいぶやりこんでるねぇ」

興味や疑問を抱いたら答えが出るまで手を出すのが性。
自己紹介そっちのけで声をかけた。
彼が何かに思い悩んでいるとも知らずに>

霜月 零 > 「ん?ああ……」

声をかけられ振り向くと同時、刀を鞘に納める。
その所作から、それなりに剣術を修めていることが伺えるだろう。

「まあ、実家がそういう家なんでな。
――俺は霜月零。アンタは?」

先に名乗らないことに関しては特に何も言わず、寧ろ自分から名乗って名前を問い掛ける。