2016/03/27 のログ
ご案内:「常世大ホール」におこんさんが現れました。
おこん > 『おこん先生!今すぐ生徒たちを解放してください! これ以上の
 抵抗はあなたの不利益になる可能性があります!』

(ホールの外からスピーカーで投降を呼びかける相手を豪快に無視。
 今のおこんは、身長180を超える美女だ。 すなわち、いつもの
 省エネ形態ではない。 横暴を己が魔力で押し通す存在なのである。
 卒業式が近づくにつれ、おこんの鬱屈は蓄積していく一方だった。
 やがてそれは強大な魔力に変換され、そして今日…大ホールで
 イベントをするという名目で卒業生の一部を集め、閉じ込めたのである。
 かわいい生徒を手放したくない一心が、凶行に駆り立てたのだ。)

ふん、馬鹿どもめが……ワシが可愛い可愛い可愛い可愛い生徒たちを
むざむざと卒業させることなどするものか。 のう、おぬしら…。
おぬしらはワシらとずーっと一緒に暮らすんじゃよな?
(うっとりと表情を緩ませながら、目の前の生徒たちに語りかける。
 生徒たちは皆一様に、そうだそうだと頷いてくれている。
 耳から吹き込まれる妖狐の甘言は、人の正常な判断力を低下させるのだ。)

おこん > 『突入ーッ!!!』

(その時であった。荒々しい掛け声と共に、完全武装の学内暴徒鎮圧委員が
 20名ほど飛び込んできたのである。 普段のおこんであればその場に転がり、
 お腹を見せてきゅんきゅん鳴き出すところであったが、今日はそうはいかない。
 何しろ、生徒を守るという思いがあるのだ。気迫が違う。)

なんじゃ、先生に逆らう気か? それはいかんのう……。
(ぐるりと囲まれても平然とした表情で答える。 9本の尻尾がゆらゆらと動いた。
 その刹那、20人が一気におこんに飛びかかってくるも、反応はおこんの方が
 早かった。)

どれ、悪い子たちじゃ…そんなに大きくなっても、”先生のいうことを聞く”という、
簡単なことも出来ぬとはのう。 そういう子らは…初等部から『やりなおし』じゃな。
(楽しそうにおこんが笑みを浮かべるのと同時に、20人を絡めとった9本の尻尾が
 淡く光に包まれる。 20人いた鎮圧委員の身長が、するすると縮んでいく。
 …しばらくの時間の後、そこにはだぼだぼの衣服を着た、
 おそらく初等部1年生くらいであろう子供が20人、呆然とした表情でへたりこんでいた。)

おこん > おお、随分と愛らしくなって…きちんとやり直して、先生のいうことを聞ける
立派な子になるんじゃぞ?
(呆然とした少年たちを優しく尻尾で撫でてやりながら、まるで母親のような、
 慈愛に満ちた表情で甘く語りかける。 彼等には頷くことしかできなかった。)

ふふふ…ワシにとって生徒は娘息子のようなもの…だれがそんな大事なものを、
手放すことができようか…♥
(愛らしい生徒たちを眺めながら、満足気な表情で呟く。
 今頃外では、突入した連中がおこん鎮圧に失敗したと
 騒いでいるだろうが、別に知ったことではない。)

さあ、来年からはどんな勉強を教えようかのう。
ワシへの呼び方を教えるのもよいな。 例えば…かか様とか。
ふふっ、くすぐったいのう…一度にこんなに子ができてしまったら、
きっと幸せで倒れてしまいかねんな。
(生徒たちを尻目に、向かうは大きな出入り口。 先ほど突入部隊が
 突っ込んできた場所である。 その前に立ち、声を上げた。)

お主らが送り込んできた連中は、皆もう一度生徒をやり直すとのことじゃ。
自分の意思なのじゃから、ワシがどうこう言えることではなかろうよ。
わかったじゃろう? 今このドーム内にいる生徒たちを卒業させないようにすれば、
ワシは今すぐにでも全員解放してやる。だが、そうでなければ……
(そこで言葉を切る。 恐喝の基本は、相手に自分の強さを
 考えさせ、怯えさせることだ。 そういう意味では先程の20人は
 ちょうどいいデモンストレーションだったといえるだろう。)

ご案内:「常世大ホール」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 「――そうでなければ、なんだ?」

突如として、拡声器越しに地獄の底から湧き出てきたかのような低音が響き渡る。
救いの手か、はたまた二人目の悪鬼か、ホールの入口に現れたのはヨキである。
常世島の正義の体現者を名乗る美術教師が、怒りのオーラを背負って仁王立ちしているのである。

ヨキの目元には、普段の赤い化粧の他にくっきりと色濃い隈が浮かんでいた。
卒業式、成績表、生徒の展示会準備その他もろもろ、年度末の過密スケジュールでろくに休んでいないのだった。
つまり、気が立っていた。

「おこんッ!いい加減にせんか、毎年毎年バカなことをしおってからに!
 ヨキこそ承知せんぞッ!」

拡声器など使わずともよく通る声のくせ、がなり散らしながらずかずかとホールへ入ってゆく。
非常にやかましいことこの上ない。

おこん > (卒業生たちを見ながら満足気にしていた所に、突如響く低い声。
 はっと視線をやったその先には、めっちゃ怒ってるヨッキがいた。
 普段のおこんならおしっこを漏らしかねない勢いでビビるところだが、
 そうはいかない。 頑張って相手の言葉に立ち向かう。)

嫌じゃー!!ワシはもう生徒たちと別れるのはいやなんじゃー!!
もうずっとずっと一緒にいるんじゃ、かか様はもう子らと離れとうない!
こやつらは時間をたっぷりかけて、身も心もワシの子にしてやるんじゃー!
(ヨッキの突っ込みの通り、毎年行われているイベント(?)である。
 来つ寝……人がそばにいなければ生きていられぬ妖であるおこんに
 とって、別れは強烈なストレスである。 卒業式シーズンになるたびに
 孕む強烈なストレスを、毎年こうして生徒を監禁する形に昇華しているのだ。)

それともなんじゃ?ヨッキもワシの生徒に…いや、子にしてやろうか?
抱っこしてやってもよい、あやしてやってもよい…お主が眠るまで、
優しく子守唄を歌ってやってもよいのじゃぞ?ん?
(ホールに遠慮無く入ってくるヨッキに、9本の尻尾を揺らしながら
 問いかける。 誘惑にかけては、今のおこんはある程度強さがあるはずだ。)

ヨキ > いろいろなものがでかい教師二人が相対する。
おこんの悲鳴に、君はまた、と叱り付けようとして、拡声器が強烈にハウリングする。
犬の耳に思わずダメージを受けて、スイッチを切る。

「こほん。……だからおこん、子離れのひとつも出来んで何がかか様か!
 来月には次の新入生が入ってくるのだぞ!
 君は不安の尽きない彼らの、新しいかか様になってやるべきではないのかねッ!」

腰に手を当て、地声で言い直す。どちらにしろ声はでかかった。
おこんの蠱惑的な脅しに、きりりとした甘いマスクがきっぱりと言い捨てる。

「今は断るッ!」

“今は”って言った。

「そんなことをしてみろ、ヨキは金輪際君とクチを利いてやらんからな!」

おこん > ぬぬぬぬ……!!
(ぐい、と身を乗り出すようにすると、形の良い大きな胸が
 ヨッキのたくましい胸板に当たってむにりと歪む。
 相手の言葉に怯む様子もなく、声を上げた。)
おう、そうともじゃ!!子離れなどできようはずもない!
これだけ愛おしいものたちから離れることなどどうしてできよう!
来月?新入生? それがどうした!そやつらも皆等しく愛しいわい!
そやつらも皆ワシの子のようなものじゃ!
(ほとばしりすぎた感じの熱弁を振るう。 その目は若干の狂気と、
 それを埋め尽くす程の慈愛に満ち溢れすぎていたのは言うまでもない。)

ふふん、そうじゃろ、ヨッキならきっと断ると……なにっ!?
(おこんは戦慄した。己の誘惑を耐え切る存在がいようとは。
 今は断るって言ったから若干耐え切れていないけれど、
 しかしてこの場でYESと言わないとは。 動揺したところに、
 さらに突き刺さるヨッキの言葉。 2,3歩後ずさると、
 そのままぽすんと小さな音を立てて、いつものおこんに戻った。
 同時に我に返る生徒たち…おこんの魔力が失われた証左である。)

……う”っ…うぇ…う”うぅぅー… あ”ぁ――――!!
ヨッキがぐぢぎいでぐれないって言っだぁぁぁ―――!!
(一方、元に戻ったおこんはギャン泣きであった。 拭うそばからあふれる涙は
 止まることがなく、泣いてるんだか嗚咽なんだか抗議してるんだかみたいな
 言葉は、まさにめっちゃ怒られた幼児そのものだ。)

ヨキ > でかいおっぱいが当たったくらいで動揺するほど初心ではないのがヨキである。
大きな口をにやりと不敵に歪め、高らかに笑う。

「ふッ。育った子から離れられぬとは、君の愛が未熟な証よ……!
 親から離れてこそ子は育つ!育った子を信頼せんで何が親か!
 それに、慰労会の『崑崙』で飲む酒は何より美味い!」

言っておくが、彼は産みの親の下で育ったことなどないし、最後の一言は教師の事情である。
自分の固辞に狼狽した姿を見せるおこんに、ドヤ顔で肩を竦めてみせる。

そしておこんと生徒らの変化が解け、正気を取り戻した様子を見るや――
誇らしげなVサインを天へ向かって突き上げた。勝利宣言である。

やがて泣きじゃくるおこんの前に片膝を突くと、小さな身体を肩で抱き上げる。

「よしよし。おこん、泣くな泣くな。
 あとで一緒に『お疲れさま会』をしよう」

その背中を優しく叩きながら、周囲の生徒に異状がないか確かめて見回した。

「ふう……危なかった」

自分もいろんなものが危なかったのである。

おこん > (ちっちゃな身体が簡単にヨッキに持ち上げられる。
 いつもそうしているとばかりに首に腕を回して抱きつきながら、
 何度も鼻をすすった。 今年も無事にイベントが終わったとばかりに、
 満足気にしている生徒や暴徒鎮圧委員たちをよそ目に、おこんは
 ぎゅっとヨッキに抱きつく。)

お疲れ様会、しづきも呼ぶんじゃぞ…あと、ヨッキもどっか行ったらダメじゃからな。
卒業とかしたら絶対許さんからな。 そしたら…もう、絶対止めるからな…。
あと崑崙のコース、飲み放題2時間じゃなくて3時間のやつにしといて…。
(あやすように背中を叩くヨッキに縋るようにしてお願いする。
 あとちょっとおねだりもする。 いろいろなピンチをヨッキが抱えていたとは
 つゆ知らず、ぐずぐずと鼻を鳴らしながらものすごい勢いでヨッキにじゃれつく。)

ヨキ > 大きなイヌ科が小さなイヌ科を抱っこしているからして、見るからに親子であった。
抱きつかれて頬擦りを返しながら、周りの顔触れにピースピース、そしてハイタッチ。
隣のおこんに、打って変わって優しい声で答える。

「ああ、勿論、勿論だとも。ヨキはどこへも行かんよ。
 蓋盛も一緒に呼んで、みんなで楽しくやろう。
 『崑崙』は飲み放題三時間付き、しかも桃源郷コースだ。それで文句はないであろう?」

それから、生徒たちへ振り返って声を張り上げる。

「お分かりのとおり、おこんめは少々気持ちが行き過ぎただけだ。
 君らを大事に思うがゆえである!
 ――諸君ら、卒業おめでとう!」

持っていた拡声器を、おこんへ差し出す。

「ほれ、おこん。君もちゃんと彼らに謝って、きちんと祝ってやりたまえ。
 晴れの場をドタバタで曇らせたままにしてはいかんぞ」

な、と笑い掛ける。

おこん > ヨッキがどこにも行かぬならよかった…。
うん、しづきも呼ぶし、コースに文句もない…
(ごにょごにょ答えながらも、ヨッキの身体に
 鼻先をグリグリすり寄せる。 別に鼻を拭ってるとかではない。
 寂しさを誤魔化すためにやっているだけだ。 香水の匂いと、
 少しだけ汗の匂いと、ヨッキの匂いがする。 しばらくぐりぐりやって
 ひとしきり落ち着いたあたりで、ヨッキの方を見る。
 目の前の拡声器とヨッキの顔を見比べてから、おそるおそると
 拡声器に口を近づけた。)

その、だってワシみんなと離れるのいやだったんじゃもん…
その、一緒にいたくて、それで…すまぬ…
お主らは卒業するんじゃけど、いつでも帰ってきて良いんじゃからな。
その…ワシ寂しいから、そうじゃなー…一年に一回は…いや、
三ヶ月に一回……ええと…一ヶ月に一回は顔を出すんじゃぞ。
ワシいっぱいおもてなししてやるからな。 それからえっとえっと、
病気とか怪我とか持ってる力に悩んだりとかしたらすぐワシのところに
連絡するんじゃぞ。ご飯食べたり、定期健康診断ちゃんと受けたりするんじゃぞ。
学食無いからっていつも肉ばっかり食べてたらダメなんじゃからな。
あとあと、ええとええと…ええと…ダメじゃ、もう言うこと思いつかん…
これ以上引き止められん…! そつぎょうおめでとう…。
(がんばってそれだけいうと、ヨッキの胸板にえいやと顔を押し付ける。
 ぷるぷると震えたり、時折しゃくりあげるような声をあげながら、
 9本の尻尾をしっかりとヨッキの腕に絡みつかせていた。)

ヨキ > 長い腕でおこんの身体を抱き、すりすりと擦ってあやす。
相手のしょんぼりとした顔を見ながら、ぽつぽつと語られる言葉をにこにこと聞いていた。

きっと晴れの場以外でもドタバタの絶えなかったであろう生徒たちに向けて手を振り、
顔を埋めるおこんの身体を抱き直す。

「……と、いう訳だ。ははは。よく言ったぞ、おこん!
 ヨキのところへも顔を出してくれて構わんのでな。
 いつでも待っておるぞ!」

顔を剥き合わせる生徒たちを後に踵を返し、さて、とホールの出口へ向かう。

「ふふ。さて、おこん。
 ヨキはこのところ、忙しくてロクに寝られておらなんだ。
 一件落着と相成ったところで、そろそろヨキの枕になってくれるかね」

腕に絡み付く尻尾を、揶揄うでもなくぬいぐるみのようにぽふぽふと叩く。

おこん > (優しくあやしてもらいながら生徒たちから離れる。
 なんとも言えない気持ちになるけれど口には出せずに、
 ただただヨッキにじゃれつくばかりだった。)

ヨッキ、おねむだったんじゃな。普段よりやせ細っておったものな…。
うむ、よいぞよいぞ。抱き枕でも普通の枕でもよい。 使い放題じゃぞー。
(ヨッキの言葉におとなしく頷いてみせる。 多分崑崙での飲み会の前に
 一寝入りしないといけないくらいなのだろう。 しづきの保健室でも借りるか、
 あるいはヨッキの美術準備室で寝るか…自分にも急速が必要だ。
 主に、泣き腫らした目を治すためとかに。)

ヨキ > 「なに、ひと眠りすればまた元通りのヨキである。
 何かと忙しい時期であったからな……。
 新年度はまた、しゃきっとして迎えねばならん」

言って、人気のなくなった通路まで来たところで再びおこんをぎゅっと抱き締める。
それこそまるで、子どもが母親に甘えるかのように。

手近なところで寝床を確保してしまおうと、のんびりとした足取りで建物を後にする。

そうして向かったのは、いつもの保健室だった。

辿り着くなり、ベッドに倒れ込んでそのまま寝てしまうのだろう。
目が覚めるまでは、押しても引いても動かない。
その調子で当日中に飲み会など出来ようはずもないのは、言うまでもなかった。

ご案内:「常世大ホール」からヨキさんが去りました。
おこん > そうじゃのう、いろいろと忙しかったでな。
ん……なんじゃヨッキ、おぬしも寂しかったのか…。
(ぎゅっと抱きしめてもらうと、自分もハグを返す。
 結局保健室でおねむすることになったのだけれど、
 あっという間に寝てしまったヨッキの腕の中にもぞもぞと潜って、
 自分も眠ることにした。 飲み会はまた今度だ。)

ご案内:「常世大ホール」からおこんさんが去りました。