2016/12/11 のログ
ご案内:「常世大ホール【常世祭期間中】」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > 常世祭で多様な展示やイベントが催されている常世大ホールに、珍しい人影がある。
普段、彼女が自宅の外にいるとしたら、講義のある教室棟か、図書館や研究区での探究か、委員会棟や落第街での職務か…という具合だからだ。
時折、「実験」と称して転移荒野にもいるようだが…とにかく、クローデットは常世大ホールに普段姿を見せないことだけは確かだ。
何故ここにいるかといえば、無論常世祭絡みの展示…特に、魔術関連のそれを見るためである。
常世祭前半は本調子ではなく、中盤は仕事が忙しかった。
終盤、やっとまとまった時間がとれたので、常世大ホールの魔術系展示を制覇するくらいのつもりで訪れたのである。
今は、休憩スペースで息をつき、自動販売機で購入したミネラルウォーターを口にしているところであった。
自動販売機などを使うのはあまり趣味ではないのだが、水ならばさほどがっかりせずに済むだろう、と考えて。
■クローデット > (…今年の展示も、興味深いものがいくつかありますわね。
あたくしの「手札」に、どう加えられるかしら…?)
ピンクめいた唇をペットボトルの飲み口から離して、物思いにふけるように視線を落とす。
七色に変じる鱗粉を振り撒きながら飛ぶ美しい蝶。
触れる者の「魂」の色を映す水晶玉(クローデットはもちろん触れずに、触ってはきゃっきゃと喜ぶ観覧者達をさりげなく見ていただけだった)。
近くを通る者の魔力を吸って、その質に応じた色に変わる宝石。近づきこそしなかったもののクローデットの魔力容量故にか「捉え」られてしまい、宝石は白い半透明へとその色を変じ、しばらくその色が続いてしまったのだった。
(…まあ、凡人の「色」を捉える精度を確保してしまった作品ならば、仕方がありませんわね。
魔力の質を多少探られたところで、さほど痛くもありませんし)
クローデットは、自分の扱う術式は、倫理に触れない範囲のものはほとんど全部委員会に申告済みなのだ。今更慌てるようなことなどなかった。
…寧ろ、クローデットの扱う術式が多様過ぎて、精査を入れる委員会本部の方が大変だろうと思う。今でも、扱える術式が増えれば申告はしているし。
■クローデット > 委員会や「裏」の世界ではゴシック調のドレスの印象が強そうなクローデットだが、その魔力の質は「白」、聖なる属性に近しいものだ。
多くの者は、それを知れば「人は見た目によらない」などと思うのだろう。
もっとも、この島で日常を送るような者達にどれだけ負の印象を持たれようが、腹を探られることが無い限り、クローデットは気にも留めないのだが。
■クローデット > そうして、主に「展示の内容をどう自分の「もの」にするか」を考えながら、ペットボトルの水を飲みきってしまう。
「…さて、次は…」
パンフレットを見て、まだ見ていない魔術系展示とその会場の位置を確認すると歩き出す。
常世祭が終わればその後始末で書類仕事も厄介ごとも増えるだろう。
個人的に調べていた案件をまとめた報告書にも、取りかからなくてはならない。
でも、今はもう少しだけ。
自らの知識欲と探究心、美しいものを愛する心に、この身体と頭を委ねていたかった。
ご案内:「常世大ホール【常世祭期間中】」からクローデットさんが去りました。