2015/06/11 のログ
ご案内:「転移荒野」にウェインライトさんが現れました。
ウェインライト > 「さて……」

燃えるような金の髪/融かすような赤い瞳/蕩かせるような美貌。

門より来たりて、帰る術を失ったウェインライト最期の末裔。

視線を上げて見据えたのは、巨大な城。

「帰ってきてみれば、まさか僕の居城のある位置に、このようなものが"重なって"しまっているとは」

ただ生きるだけでも構造物を破壊していた彼の"狭間の居城"。
しかし、それは最早失われている。

ウェインライト > どうやら俗世間では金というものが必要らしい。
絶対なる支配者であったウェインライトにとって無縁の話であったが、
別段、破る気はおきない。

つまり、宿なし。

学園の正式な生徒ですらないウェインライト。
最も優美で最も華麗なホームレス。
ここに爆誕。

ウェインライト > 「おお……」

嘆きの声を漏らして手で顔を覆う。
これがいずこの者の城かは分からないが、これでは城は取り出せぬ。

「これでは眠ることもできない……」

不老不死であるウェインライトにとって、睡眠とは必ずしも必要なものではない。
ここ数日はそうして、ずっと学園の中を歩き回っていた。

しかし。眠らぬというのは優雅でない。
そろそろふかふかのベッドで眠りたいお年ごろであった。

その優美ではない生活に想いを馳せ、その勢いでつい手の力が強まった。

「あ」

メキリ。

二の句を告げず死を告げられたウェインライト。
享年ぴかぴかの一年生。

ご案内:「転移荒野」に片翼・茜さんが現れました。
ウェインライト > "狂い時計"は全年齢仕様。お子様にも安心してごらんいただけるモザイク機能つき。
とはいえ全年齢向けの死を見るものは、精々が転移荒野の獣だけだった。

仕方なし、といつの間にか門に背を預けるようにしてウェインライトは現れる。

いつの間にかそこに居て/最初からそこに居たかのように。
死体は意識の間隙に消失する。

片翼・茜 > 「カハァー。」マグライトで道を照らし、ブーツで砂利を踏むザッザッという音を立てながら、少女が現れる。
「ああ、本当に前のと違う城ができてんな……。」突如出現したという魔王城を実際に見るために来たのだ。アナログ人間なので実際に見るまであんまり信じたくないのだ。
「んで、以前ここに建ってた城の城主も居るな。」マグライトをウェインライトに向ける、顔に浴びせたら死にそうだから、その足元を照らす。「土地の所有権でも主張しに来たのか?」

ウェインライト > 「誰かと思えばミス片翼か。ああ、この城が現れたと知った時は驚いたよ」

片翼女史の推測は実に正しかった。
ウェインライトに刻まれた666の呪詛と"狂い時計"は今にも出オチの瞬間を狙っている。
おそらくマグライトの光を浴びせられれば、眩し死は免れない。

「いや。別に構わないさ。この僕にとってあの城はただの別荘のようなもの。
ただ、僕の城の代わりに建った城がどのようなものなのかを見にきただけさ」

そう言って門から背を離し、そちらに近づいていくだろう。

片翼・茜 > 「ぴったり同じ座標というのもおかしな話だ。それに混ざり合うでもなく、まるで一区画を上から置いたみたいに前の城が消えている。転移荒野にはまだまだ謎が多いな。」そしておそらくそれを解き明かす時は来ないだろう。

「城1つが別荘とは、貴族の暮らしはすごいものだな。別の場所に寝床があるのか?」マグライトを城に向けて見上げる。同じ規模の拠点をウェインライトが持っているとは聞いたことがないし、ロストサインのものもほとんどが壊滅したはずだが。

ここは荒野だ、ごろごろと石が転がっている。注意を喚起するべき茜は、城を見上げている。ウェインライトの歩む先には……もしかしたら転ぶのにちょうどいいサイズの石があるかもしれない。

ウェインライト > 「もともと、あの城は"狭間"にあるものだ。
こちらに来た時、そうなるように僕が作ったからね。
ここは位相が不安定だから、きっと転移の際に僕の"狭間"に滑り込んだのだろう」

城を振り返りながらウェインライトの瞳が妖しく輝く。
あらゆるものを見通すというその審美眼が、城が取り出せない理由を推測付ける。

――最も美しきウェインライトは、路傍の石にすら気を払う。
時々うっかり踏んでしまうが、今回はややも気をつけ、足をまたぐ。しかしその際身を捩り――

「あ」

マグライトの光が、城の調度に反射した。

振り返っていたウェインライト。石を避けるために身を捩った。マグライトの光が彼の頭上へと向けられた。

輝き/反射し/瞳に飛び込む

いともたやすく、ここにウェインライトを殺すだけの運命が出来上がる。

脆い身体はたやすくバランスを崩し――

メキリ。

二度目の死を味わった。

片翼・茜 > 「ふむ、よくはわからんが、君の城はこちらの世界に完全に出ていなかったから、一帯の上書きがされたってことか?」自分の目で見て、感じたものを信じる実存主義の人間にとって、門や異世界の理論は、あまり興味をひくものではなかったので、深い理解は出来ない。

「そうだ、君の学籍だが、やはり停止していたので復帰を要請して……。」視線を相手に戻せば、自分のあずかり知らぬ内に死んでいた。
「カハァー……。難儀だな君は。」同情と哀れみ

ウェインライト > 「その通り。雨は土に染みこむが、溝を掘れば染みこむ方向を制御できる。僕が不在の間に起こった悲しい事故さ」

肩をすくめて登場する。同情の瞳には自らを抱きしめて

「おっと! これは今の僕だ。
僕はこの身体を悲劇とは思わぬし、僕の生き方に影響する要素じゃない。
……つまり、難儀だという哀れみは心外だということさ!」

ただ、あるがままに。己の生き方を告げたまま両手を広げる。

彼の美に魅了されたのか、転移荒野に存在する異形の獣たちもまた彼を祝福する。

囲み/遠吠え/歌い。

――彼を甘噛みしていた。

#死因・ちょっとしたスキンシップ