2015/06/20 のログ
ご案内:「転移荒野」に鳴鳴さんが現れました。
■鳴鳴 > 転移荒野。月夜。
異界との境界がひどく曖昧になった場所。
そこで一人の童女が笑い転げていた。
嗤い転げていた。
この島を。この世界を。この宇宙を。
この自分を。
「あは、あはは、あははははははははは!!」
面白くて仕方がないというように、いつも座っている巨石の上で嗤っていた。
「なあんだ」
全てを嘲笑する。
混沌たる自分でさえも。
「――もう、いたんじゃないか、ここに
帰ってきていたんじゃないか、ここに」
狂笑が響き渡る。誰もいない荒野に。
「夢もおよばぬ秩序ある宇宙の外でいわんかたなくざやめく、
あの衝撃的な最後の危険こそ、なべて無限の中核で冒涜の言辞を吐きちらして沸きかえる、
最下の混沌の最後の無定形の暗影にほかならぬ――すなわち時を超越した想像もおよばぬ無明の房室で、
下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打、呪われたフルートのかぼそき単調な音色の只中、餓えて齧りつづけるは、
あえてその名を口にした者とておらぬ、果しなきものが!」
その言葉が正しいものなのかどうか、わからない。
この童女が適当な言葉を狂ったままに叫んでいるだけかもしれない。
■鳴鳴 > 「素晴らしい! 自分を嘲る事こそが、何よりも僕の享楽だ!」
立ち上がり、月を見上げて言う。
赤い目が輝く。褐色の肌が照り映える。
「見てくれ、僕はこのザマだ。この胸の印を。
星のもとに自由を約束された身であるのに! このザマだ!
それなのに、君達はもう帰って来たっていうのか?
それとも最初からここにいたのか?
ハハ、アハハハハ!」
目を抑えて嗤う。
嗤いすぎて涙のような黒い何かが溢れ出していた。
「……いいさ。
それでいい。
それなら、またこの世界は楽しくなるはず。
また愉快になるはずなんだ。
僕じゃない僕が、僕である僕が!
アハ、アハハハハ!!」
げらげらと笑い転げていく。
目からは光が溢れ、顔の半分は黒い何かに溶け落ちていた。
混沌が溢れ出していく。
■鳴鳴 > 「我らが主! 盲目白痴のもの!
その欠片でさえ、この世界におわすのであれば!
ああ、ああ、僕は嘲笑おう。
主を、僕を、全てを。
あの時に、門など消えていなかったというのなら!
アハ、アハアハアハ……」
嗤いころげていくうちに、童女の体はますます崩れていく。
最早人の容を保っていられなくなっていた。
そしてそれは、何かの形を成していく。
貌の無い何か。千の姿を持つ何か。魂魄にして使者た何か。
燃える五芒星に苦しめられながらも、嗤いながら姿を変えていく。
巨大な姿に。
初めは、闇をさまよい燃える三つの眼をもつもの。
次に、顔の無い三重冠を戴くスフィンクス。
そして、三つの脚を備えたもの、月に吼えるもの。
それは月に吼えていた。
歓喜と嘲笑に満ち溢れた鳴き声で。
長く。
長く――
ご案内:「転移荒野」から鳴鳴さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にアルディスさんが現れました。
■アルディス > 【荒れ果てた無人の荒野、その大地の上にぼろぼろのマントに包まれた何者かが倒れている】
■アルディス > う………
【呻き、薄く目を開けた青年。】
【己が掌を目の前で広げて、また握り、自分の身体が健在であることを確かめる。】
ここは……僕は……生きているのか…?
■アルディス > 【大魔王ゼラムヴァールとの最終決戦。決着の瞬間、奴は次元そのものを崩壊させ、僕を道連れにしようとした。】
【残してきた仲間たち、彼らはどうなったのだろうか。】
【純真無垢なる神殿の巫女、歴戦の傭兵隊長、変わり者の大魔法使い、そして高貴なる竜の王女。】
【彼らだけでも、無事に帰りつけていることを祈る。】
そして……どこなんだろうな、ここは…。
【果て無き荒野。元いた世界のどこかか、それとも全く知らない別の世界か。】
【ともあれ、生き残っただけでも幸いである。】
■アルディス > 残っているのは……これだけか…。
【傍らに落ちていた剣を拾い上げ、刃に雲間から差し込む光を映す。】
【伝説の鎧も盾も、次元の崩壊の際に何処かへと喪失した。】
【ただ、この聖剣エクスキャリオンだけでも手元に残ったのは不幸中の幸いだろう。】
それと…他の道具は……
【腰の道具袋を探り、中身を確かめる。】
エリクシールが76個…ラストエリクシールが34個か…。
【勇者は回復アイテムを温存するタイプだった。】
【この他のアイテムはどこかへ行ってしまったらしい。】
■アルディス > …よし、これだけあればどうにかなるだろう
【身体は動く、剣はある、ならば立ち上がるとしよう。】
【前向きさが売り、彼はそういう人間だ。】
【そう決めて、足を踏み出そうとしたところで――】
【轟く咆哮。】