2015/07/13 のログ
ご案内:「転移荒野」にソワカさんが現れました。
ソワカ > (方角を見失ったのではない、世界が私を見失ったのだ。
 信じて疑わない思いを胸に荒野を行く。ありとあらゆるものが転移してきてはゴミ屑のように打ち捨てられる場所。転移荒野の一角に教会があった。十字架をかたどったそれはキリスト教に類する建築物であることを主張している。
 男装姿が居た。
 建物がボロボロというのに姿を保っているグランドピアノに一心不乱に打ち込んでいる。)

「クレッシェンド! クレッシェンド!」

(酔った口調で鍵盤と格闘していた。髪の毛を振り乱し、世界にひとつも無いオリジナルを奏でている。
 一通り音楽を奏でると、指を離した)

「ここはどこなのか……?」

(困ったなあと笑う。迷子だった)

ソワカ > (ガシガシと頭を掻いて再びピアノに向き直る。
 激しい曲調から一変、もの悲しい調子に音が並んでいく。ゆったりと語られるそれは自己流を極めたような荒削りの曲である。曲が終わった。緩やかに天を仰ぐ。満月が見えた。
 人物は帽子を被りなおした。)

「音に惹かれてどなたがいらっしゃる予定が……くふふ。
 はぁーままなりませんわ。いつものことですけど」

(天才的な迷子にとって荒野は迷路みたいなものだ。
 方角がわからない。
 ピアノの音で誰かを呼ぶ作戦だったらしい)

ソワカ > (そうして女はピアノを引き続けた。
 疲れて眠り、目覚めても導き手はあらわれなかったという話だ)

ご案内:「転移荒野」からソワカさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > (日もくれ夜闇が空を覆い始めた頃合だろうか。
 広く広大なその土地にやや汚れた白い毛をなびかせて風上を見やる三つの瞳の獣がいる。
 風をさえぎる物もそうなく、その獣から発せられる水蒸気は糸を引いて風下に流れて行った)
「スンスン…スンスン。」
(鼻を鳴らしながら辺りの様子を確認しつつゆっくりと歩きだす)

グスタフ > (時たまに目に入る砂に瞬きしたり、首を振ったり。
 そして歩みを一度止めては再び辺りの臭いを確認する。
 この世界に来て数日、大体の様子は理解して来た。
 しかし辺りに多く漂う思念を発する生き物にいまだ出会えていない。
 眉間…にあたる部分にしわを寄せては、まだ計り知れぬ土地に不安を隠せずにいた)

グスタフ > 「ン~…ウゥ~…ウンン~…」
(唐突に弱弱しい鳴き声を上げると、地面に頭を下げながら、あたりをグルグルと回り始める。
 小さな植物を見つけては咥えて千切り、軽く租借すると『ペッ』とその場に吐き捨てる。
 やや大きな石などには前足をかけてガリガリと動かそうとする。
 そして石が動けばその下の虫などに顔を寄せるも、しかめっつらでその場を後にする)

グスタフ > (今度は2mほどの大きな岩山の側へと軽快な足取りで近寄る。
 "ふんふん!"と鼻息荒くしては、じっとその岩を見やってから、ペロリと舐めてみる)
「………………………ぐうぅ…………おいぢぐないでず……」
(先ほどのしかめっつらなど比較にならない程の苦痛に満ちた顔を浮かべると
 その場で『ペッペ』とツバをはいて、岩の上へと駆け上った。
 乾いていた岩の上は次第に色濃くなり、水滴のような物がつく)

グスタフ > (ここ数日、枝や雑草で飢えをしのいだ。空腹がたたって一周回って気持ち悪くなっている。
 岩の上で苦虫を噛んだようなままの顔をしながら、伏せをし草臥れた体を休ませる)
「…………。」
(岩の上から霧を垂れ流しながらも前足を組んで、そこにアゴを乗せる。
 ここに着たばかりの頃は真っ白だった毛も、土を絡ませて薄茶色になって来た。
 休むにしても雨をしのげる場所はない物かと、遠くまで視線をなげる)

グスタフ > (特に目に止まるような物がなかったのか、ふわっと岩から降りる。
 首を2,3度ひねると耳をピンと立てて、再び風上に向かって歩き出す。
 "ザッザッザッザッ"と地面を蹴っては軽快に
 でも走るではなくその荒野に雲のような霧を引きずっていく)

グスタフ > 「バフッ…バフバフ……!」
(長い舌を出しながら雑に鳴きつつ、大きくフワフワした白い尾を揺らして歩く。
 早い歩きだった足取りが、徐々に駆け出し、どこまで走れるかを確かめるようだ。
 早くなれば早くなるほど息を荒くし、その度に口から白い煙を吐く)

グスタフ > 「ハッハッハッ……オン!オォン!…バフ…オオーン!」
(特に理由もなく、『走るの…めっちゃ楽しいいぃ!』と言うノリで、大きな声で鳴き叫ぶ。
 時にはジャンプし、ひたすら真っ直ぐ曲がる事なく駆けて行く。
 だがそんな彼の心情とは関係なく
 尾先の方からじわじわとその姿は霧の中へと紛れて行った)

グスタフ > 「ハッハッ…ハッハッ…オン!ウォオーン!オ」
(己の姿が消え始めていた事に気がつく事もなく、その獣は白い霧に紛れ
 そしてその霧は、遮る物の少ない荒野の土地に吹く風にかき消される)

ご案内:「転移荒野」からグスタフさんが去りました。