2015/07/18 のログ
ご案内:「転移荒野」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (見渡す限り重たく沈み込む夜に包まれた荒野を、一匹の魔獣がゆく。
その口元には丸太のような塊を咥え、口の端から昂ぶりを帯びた呼気を漏らしている。
魔獣は徐に足を止めると、何かを探すようにぐるりと辺りを見渡した)
「(………………、逃げたか。だが、長くは保つまい)」
(がふる、と忌々しげに荒い息を吐き、咥えていた塊を咀嚼しはじめる。
牙に破られるごと赤黒い断面を晒したそれは、人間の腕だ。
肥え太り、縮れた毛の生えた肉塊を地面に落とし、鋭い爪で押さえ込んで食い荒らす)
肉片は、嚥下されるごとに首の、そして胸の傷という傷から、ばたばたと零れて落ちる。
いったいどれほどの量が、胃まで届いているかは怪しかった)
■ヨキ > (腕の持ち主は、異能にも魔術にも関わらずして、不法に島へ入り込んだ男だ。
島外から持ち込んだ『何か』を、生徒に売ろうとした。それがいったい何であったのかは、ヨキの知るところではない。
男が不法に島へ立ち入ったこと、不法な何ものかを持ち込んだこと、それによって生徒へ魔手を伸ばそうとしたことは、ヨキにとって命を奪う理由とするには十分すぎた。
噛み切った腕に乱暴に齧りつく様には、獲物を食べている、というより、明確な害意がある。
骨までやわらかな若木のようにばきばきと噛み砕き、やがて首を上げた)
「(ここはヨキの島ぞ。ヨキの――学園の子らのあいだに、易々と交わろうなどと思うな)」
(不遜なまでの呪詛に煽られて、まばらな黒の毛並みが舞い立つ。
その眼差しから、口から、傷口の奥から、金色の焔が躍る)
■ヨキ > (牙に絡みついた肉片を、人間のように吐き捨てる。
腕だったものがその原型を失うと、いっぺんに興味をも失くしたように顔を逸らす。
骨を踏みつけ、再び荒野を歩き出す。
自分にとっての獲物を、あるいは学園にとって有益となる来訪者の姿を探しながら)
「(……………………)」
(汚れた口元をべろりと舌で嘗め回す。
肉付きの薄い腹を上下させながら、切れ切れの喘鳴を繰り返している。
金の瞳、黒くうねる毛、鋭い牙、赤く彩られた目元、張り詰めた筋肉に覆われた細い足――
それぞれの要素は人の姿のヨキと全く同じでありながら、その魔獣はヨキの在りようとひどく異なっていた。
その身は汚れ、所作は荒々しく、獣の臭いが鼻を突く)
■ヨキ > (――やがて眼前に姿を現す湖は、地面に開いた大穴のように深く、暗い。
前足が雨上がりのぬかるんだ泥を踏む。
その汀に足を止め、月が覗く雲を映し出す水面を見下ろす。
頭上の月より暗い金の光がふたつ、目元にぼうと浮かぶのが見えた)
「(……討たれても、文句は言えんな)」
(身を屈める。鼻面を水につけ、ばしゃばしゃと飛沫を立てて漱ぐ。
世辞にも清潔とは言えない、泥やちぎれた草の浮かんだ水を構わず飲み下す。
穴の開いたホースのように喉元から水が漏れ出し、体毛と隙間に見える皮膚を濡らした)
ご案内:「転移荒野」にトトさんが現れました。
■トト > ぱしゃん、ぱしゃ、と水音がヨキのそばから聞こえる
そちらのほうを向くと、ワンピース姿の人影が、濡れるのも気にせずに泳いでいる
「……… ふぅ、こんなものかな、一人の練習は隠れてするのが美徳らしいからね。」
と、濡れたまま湖から身を起こして陸に上がってくる… どうやら本気で練習していたらしい
■ヨキ > (水音に気付き、顔を上げる動きは素早かった。ぴりりとした警戒が、獣の体表を駆け巡る。
鼻を小さく鳴らし、その人物が立てる音や声に耳を澄ます。
――耳に届いた声は、この転移荒野という土地に似つかわしくなく、暢気だ、と思った)
「(………………、何者だ?)」
(特に呼びかけるでもなく、疑念を脳裏によぎらせる。
無言の代わり、獣の低い唸り声が、ううふ、と零れた。
相手の目と鼻の先では、ヨキ――傷だらけの黒く巨大な猟犬が、身を潜めるでもなく邪気と焔とを発し、じっとトトの姿を見ているのが分かる)
■トト > 「?……… こんばんは、見られちゃってたかな? ええと… そうだ、いい夜だね。」
その唸り声か、気配か、どちらかに気づいてヨキのほうを見つめ返す顔は中性的なものだが
水に濡れた服から見える肢体は、どちらかといえば女性のものだろうか、細いのは確かだ、腰や足首何かは細すぎるくらい
「はじめましてだね、あ、でも僕は大体の相手がそうだけど… あれ、怪我してるの?平気?」
ぺたぺたと濡れた体のまま、ヨキの姿が傷だらけなのを見ると、少し心配そうに呟いて近づいてくる
ごく自然に挨拶をして近づく、その動きに警戒や恐れは微塵も感じられなかった
■ヨキ > (向き合った相手の顔に、犬の瞼がぱちぱちと瞬きを繰り返す。
トトより少しばかり高い位置にある顔が、暗闇に浮かぶ顔を見分する。
怪我を心配されると、ふるりと伏せた首を振る)
「(………………、君)」
(発するのは、獣の荒い呼吸のみ。その脳裏で明確な人語を浮かべ、呼び掛けを試みる。
異能や魔術といった、超自然的な能力の持ち主ならば、多少なりとも感じ取れるやも知れない。
低く通るような、人間の男の声が)
「(――君、聴こえるかね。この、ヨキの声が?)」
(傍目には、犬が言葉を話そうとしている――そんな息遣いが、断続的に漏れ聞こえるだけにしか見えない)
「(平気だ。死にはしないし……痛くもない。それほどには)」
■トト > 「……… 。」
声掛けに対して、きょとん、とした顔で一度立ち止まる、少し考え込むように、指を唇に当ててから、口を開く
「ん……… 応急処置くらいなら、出来るけど、いらない?かな?
うん、聞こえるよ、僕はこういう能力は未だ持ってないはずだけど、君の力なのかな
… あ、そうだ、僕はトトだよ、ヨキはどうして此処にいたんだい?僕は泳ぎの練習中だったんだけど。」
まさにその、異能を介して声が伝わってきた様子で、ふんふん、と何度か頷きながら答えを返してくる
ヨキが教師なら、最近編入した一年生に、そんな名前の子がいたのを覚えているかもしれない、種族は、自称だがゴーレムだったか
そんなトトは肩に下げていたポシェットから缶のポカ○を取り出すと、ぷしゅり、と開けて飲み始めた
「……… あなたも、いる?お近づきの印、だよ。」
トト的には半ば習慣になっているドリンクプレゼントを試みる、手に持っているのは、こちらはペットボトルのスポーツドリンクだ
■ヨキ > 「(……ありがとう)」
(トトの心遣いに、ゆったりと首を振る。
その荒れた幽鬼のような姿に反して、伝える声は穏やかで、所作は落ち着いている。
トト君、と、相手の名を呼ぶ。時期を問わず増える学生の名は、それほど明確には記憶されていなかった)
「(トト君、か。君は……常世の、学生かね?
ヨキは……)」
(少し考えてから、隠すのも誠実でないと判断したか、意を決したように)
「(教師だ。……学園の。
今はこんななりをしているが、普段は人の姿を取っている。
あまり清潔な姿ではないのでな。
人目につく場所では、晒さぬようにしているのだ)」
(差し出されたペットボトルにきょとんとしてから、徐に顔を近付け、鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
暫しののち、牙に覆われた口でむんずと咥えて受け取る)
「(…………、頂こう)」
(二本の前肢のあいだに、ボトルをそっと下ろす。
表情のないはずの犬の顔が、ふっと笑ったように見えた)
■トト > 「うん、最近一年生に入ったんだ、学生だよ………ふむ、図書館で見た、【世を忍ぶ狩りの姿】と言う奴だね、知ってるよ。」
話を聞いて、その内容に納得したように頷いた
「教師、じゃあ先生だったんだね、じゃあ、夜の見回り、みたいなものなのかな?危ないところもあるらしいものね。」
他人事のようにそう言いつつも、飲み物を受け取ってもらえたのを見ると笑顔が浮かんで
「この飲み物、疲れた時にはいいらしいんだ、此処の水はいい感じに【混ざって】いるけど、飲んで体力がつくかは別だしね
ちょっと疲れているように見えたし、丁度いいかなって思ったのさ、受け取って貰えて嬉しいよ。」
ぱぁ、と顔をほころばせながら、ヨキにその飲み物を勧めた理由も説明してくる
■ヨキ > 「(そのようなものだ。島の人間たちに受け入れられてきているとはいえ、ヨキはここでは未だ『異邦人』だからな。
……無用な混乱の種は、増やしたくない)」
(見回りと訊いて、大きな頭がこくりと頷く)
「(ああ。島の中には、不届き者も多いからな。見回りは教師の大事な務めぞ。
……君も遅い時間に転移荒野などうろついていては、悪者に目をつけられてしまいかねん。
どうやらその表情を見るに……、肝は据わっているようだが。
君は、未開区が怖くはないのか?)」
(明るむトトの顔に、ふっと目を細める。
犬では人と同じには笑えず、くしゃりと歪めたような顔)
「(そうか、……気を使わせてしまったな。
ヨキの身体は、初めからこのようなものだ。
どれほど食っても肉は増えず、何とも燃費の悪い身体よ)」
■トト > 「異邦人、ああ、僕も登録では確か、そうなっていたような… 【ほかの世界】から来た存在の事だね。」
こてん、と首をかしげてその言葉を飲み込み
「この世界の悪者かぁ… 僕は未だ会ったことがないや、襲ってくる人たちの事かな?七生達が襲われるならちょっと怒っちゃいそうだけど
うん、僕は、元々此処から来たからね… ほら、遺跡群?って所だよ、あそこも面白い場所だよね。」
んー、と首をかしげながら考えている様子、友達が襲われるかも、と考えたのか、ちょっとだけ唇尖らせたり
「成る程、そういう身体なんだね… あ、それちょっとわかるよ、僕も【栄養】で体躯が変わる体質じゃないからさ…。」
うんうん、と頷いてぺたぺたと濡れている自分の体を触っている