2015/08/19 のログ
ご案内:「転移荒野」にネリアさんが現れました。
■ネリア > ぴこぴこと、ウサミミが動く。
『──敵影なし。電波障害なし。防護壁の変動なし』
碧色の瞳の奥に、レーダーのような赤いラインが動いている。
『ザ、ザザ──本日の巡回を終了致します』
非常に小柄な少女の口から発せられるそれは、ノイズの混じった電子音声で。
冷たい表情のまま、いつもの日課である“巡回飛行”を終える。
といっても、飛ぶのは彼女自身ではなく。
──ふいに、一陣の風が吹き。
二等辺三角形に似た翼をもつ、幾何学図形のようなオレンジ色の戦闘機が、轟音を立てて上空に現れ、旋回し、地平線の彼方に消える。
それは“彼女”と同期する無人戦闘機。
■ネリア > とある研究者が研究、開発した。
いくら撃ち落とされようともいつの間にか復活し、追跡してくるそれは、空飛ぶ怪異とも噂され。
その名を、幽霊戦闘機、カーネリアンハーツ。
『ユニット名ネリア、これより帰還します』
人参型ロケットランチャーを携えて。
満天の星空を背に、ぽてぽてと歩む。
■ネリア > 開拓村の方角から、土煙を上げて近づいてくるジープ。
もはや旧式を通り越して博物館モノだが、何故かもちがいいので部品交換し改良しながらいまだに動かしている。
その姿を確認すると、短い手を懸命にふりふり、ぴょこぴょこと飛び跳ねて存在を主張した。
派手にドリフトを決めながらジープが停車すると、公安の腕章をしたムキムキ体格の委員が運転席のドアを開け、降りてくる。
『今日こそはきちんとシートベルトに──いえ、なんでもございません』
助手席に固定されたチャイルドシートを見て、ネリアの目のハイライトが暗くなる。
安全上は確かにこれで問題ないが、この扱いはいまだに納得がいかない。
■ネリア > 委員に笑顔で抱えられると、足をぱたぱたと動かし、若干のふくれっ面をした後、大人しく助手席に固定される。
『──いつものように、基地ヨンマルニーまでお願いします。あと、マナドリンクの補給を』
返事代わりに手渡されたシェイクに口をつけて、ストローで吸い上げる。ただし、中身はオイルなのだが。
ジープは爆音を上げてエンジンを動かすと、再び土煙を舞い上げながら、地平の彼方へ走っていく──
ご案内:「転移荒野」からネリアさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にダナエさんが現れました。
■ダナエ >
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス
転移荒野のどこかにある、だだっ広い草原。
色褪せたマントを風にはためかせ、
石灰やフジツボや白化した珊瑚に覆われた分厚い全身鎧が、亀の歩みで歩いてくる。
ガードされた顔の口の辺りからため息が漏れる。
「ふう……。ここか……」
天を仰ぐ。
が、当然ながら故郷とこの世界をつなぐ『門』らしきものは見つからない。
「………………」
しばらくそのまま見上げていたが、見えたのは流れる雲のと時折渡っていく鳥くらいのもの。
首が痛くなり、視線を戻して先へ進んでみる。
■ダナエ >
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
ゴッ……ゴス…… ゴッ
草むらから一匹のモンスター、玉ねぎスライムが飛び出した。
──ピヨヨン!
玉ねぎによく似た形の、蒼く小さなスライムだ。
「!」
突然のことにびくりと大盾に手を掛け足を止めるが、
玉ねぎスライムは重騎士の姿を見上げると慌てて草むらに戻って行った。
「……フン、臆病な。雑魚モンスターか」
安堵し、偉そうに鼻を鳴らす。
しかししばらく進むと、
■ダナエ >
──ピヨヨン! ピヨヨン! ピヨヨン!
ピヨヨン! ピヨヨン! ピヨヨン!
■ダナエ > 玉ねぎスライムの群れが草むらから飛び出し、ぐるりと包囲網を形成した。
「何っ!?」
──ダナエは大盾と大剣を装備した!
玉ねぎスライムABCDEFの攻撃!
玉ねぎスライムABCDEFは飛びかかった!
《ダメージ値→ [6d3-1→1+1+2+3+3+3+(-1)=12](ダナエ HP:140 MP:80 )
■ダナエ > 《玉ねぎスライムABCDEFのHP:6
──ダナエに12のダメージ!
2体は大盾で防いだものの、鎧の継ぎ目からスライムの溶解液が浸透。
皮膚がヒリヒリする。
「ほう……。
先ほどの一匹は私に恐れを成したのではなく、
獲物が来たと仲間に知らせに行ったのだな?」
雑魚モンスターと思われる相手に、獲物と思われたのは非常に面白くない。
鋭い目つきで大剣を構える。
──ダナエは大剣で軽くなぎ払った!
ダナエの全体攻撃!
《ダメージ値→ [6d15→2+3+5+5+11+11=37](ダナエ HP:128 MP:80 )
■ダナエ > 《玉ねぎスライムABCDEFのHP:4 3 1 1 0 0
──玉ねぎスライムそれぞれに、
2 3 5 5 11 11のダメージ!
玉ねぎスライムEをやっつけた!
玉ねぎスライムFをやっつけた!
まともになぎ払われた2体は飛び散り草原に消えた。
残った玉ねぎスライムの顔色が変わる。
「言葉は分かるか?
逃げるなら追わんが、どうする」
──玉ねぎスライムCは逃げ出した!
玉ねぎスライムDは逃げ出した!
玉ねぎスライムABの攻撃!
玉ねぎスライムABは飛びかかった!
《ダメージ値→ [2d3→1+2=3](ダナエ HP:128 MP:80 )
■ダナエ > 《玉ねぎスライムAのHP:4 BのHP:3
──ダナエは3のダメージ!
2匹の玉ねぎスライムは逃げずに、
元よりさらに真っ青な顔色になりながらも飛びかかって来た。
「……うむ。匹夫の勇」
──ダナエの攻撃!
ダナエは玉ねぎスライムの足元の大地に大剣を突き刺した!
大剣に草と土とスライムを乗せたまま引き上げる!
ダナエの放り投げ!
《成否判定・それぞれ奇数で放り投げ成功→ [2d6→2+4=6](ダナエ HP:125 MP:80 )
■ダナエ > 《玉ねぎスライムAのHP:4 BのHP:3
「……あっ」
大剣の上の玉ねぎスライム達は草原に飛び降りてしまった。
──ミス!
玉ねぎスライムは大剣の上から飛び降りた!
玉ねぎスライムの攻撃!
《ダメージ値→ [2d3→1+3=4](ダナエ HP:125 MP:80 )
■ダナエ > 《玉ねぎスライムAのHP:4 BのHP:3
──ダナエは4のダメージ!
玉ねぎスライムを遠くに放り投げようとしたのだが、失敗。
もっと雑なやり方に切り替える。
「ええい、面倒な……! 生き長らえろよ!」
──ダナエは大きく振りかぶり打ち払った!
ダナエの全体攻撃!
《ダメージ値→ [2d20→11+14=25](ダナエ HP:121 MP:80 )
■ダナエ > ──玉ねぎスライムたちをやっつけた!
大剣の面に当て、そのままフルスイング。
空の彼方に消えていった玉ねぎスライムABが生きるか死ぬかは、
神のみぞ知るといったところ。
大盾と大剣を背中に戻す。
「やれやれ…………ん?」
草むらに、何か光っている。
拾ってみると、それは1円玉2枚。
──ダナエは4の経験値と2円を手に入れた!(ダナエ HP:121 MP:80 )
■ダナエ > 「に、2円か………………」
この世界でモンスターを倒すことでのみ金銭を入手しようとすれば、
待っているのは相当ないばらの道だろう。
また空を見上げる。
そこには門はないが、それでも見上げている。
■ダナエ > しばらくそうしてどこかに門が開くのを待っていたが、
この日は門が開くことはなかった。
「…………」
ゆっくりとマントを翻し、来た道を引き返す。
《モンスター判定・6で起き上がる→ [4d6→3+6+6+6=21]
■ダナエ > ──ピヨヨン! ピヨヨン! ピヨヨン!
■ダナエ > 「!?」
──玉ねぎスライムたちは起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている!
振り返ると、倒したはずの玉ねぎスライムがキラキラした目でこちらを見上げていた。
しかも3匹、である。
「な、なんだその目は……!
おまえたちの住処はここだろう、ついて来るなよ!」
踵を返し、
──ゴッ、ゴス、 ゴッ、ゴス、
ゴッ、ゴス、 ゴッ、ゴス……
(本人的には)慌てて走り出す。
──ダナエは逃げ出した!
しかし回り込まれてしまった!
ご案内:「転移荒野」からダナエさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にリヒットさんが現れました。
■リヒット > ――何もない空間に小さな《門》が開くと同時に、おびただしい量の水が中空から吐き出されていきます。
それは、夏の陽光に燻された乾いた大地に触れ、幾ばくかはスポンジのように吸い取られ、幾ばくかは蒸気となって立ち込めていきます。
開門の時間は、ほんの3秒程度。
■リヒット > 空間に穿たれた《門》が閉まる間際。滝のように轟音をひびかせて噴出する清水の中に、肌色の影がよぎりました。
《門》が閉まりきると、転移荒野は元の静寂に包まれます。聞こえるのは、かすかに吹く生温い風同士が擦り合わさる、下手な口笛のような音のみ。
急速に乾きを取り戻していく地面に横たわるのは、全裸の小人。
水流に乗って地面に叩きつけられた後は、死んだ魚のようにぴくりともせずに横たわっていましたが、水が消え、夏の日差しがその白い肌を焼くのを感じると、ぴくりとその四肢が動きます。
「……ぷー」
手足にはかすかに擦り傷。地面に落ちた時に擦りむいたのでしょう。
それを気にする様子もなく、ゆっくりと起き上がる小人。照り返しの眩しさに目をしばたきつつも、周囲を見回します。
「……どこ?」
見たこともない風景です。
■リヒット > 性徴の感じ取れない無垢な白肌を、苛烈な8月の陽光に晒し、しばし小人は立ちすくみます。
水のようにうっすらと透き通る髪は、肩の下まで伸ばしっぱなし。一見すると女の子ですが、前に回ってみれば、付いているものがあります。
リヒットは、妖精の男の子なのです。
リヒットは、川で泳いでいたはずでした。人間の友達が川から帰った後も、そこに住んでいるリヒットは、しばらく一人で水底の生物たちと戯れていたのです。
――そこに口を開けた、「真っ黒」なアイツ。
メダカさんもカニさんも飲み込まれ、リヒットでさえもツルリと飲み込んだ「真っ黒」。その舌先や食道を轟音とともに潜り抜ける間に、リヒットは意識を失っていました。
気付いた時には、乾ききった荒野のどまんなか。
焼けた地面に熱されて、わずかに苔の匂いを孕んだ蒸気がもうもうと立ち込め、景色をゆらゆらと歪ませます。
そして砂は裸足のリヒットの足の裏までも焼こうとして……。
「あっちっち……」
飛び退く代わりに背伸びをするリヒット。すると、その爪先は地面からわずかに浮かび上がりました。
生温い風が、リヒットの軽く細い身体を押し、ふわふわと少しずつ東へと押しやっていきます。