2015/09/02 のログ
ご案内:「転移荒野」に須藤流人さんが現れました。
須藤流人 > 「~♪」

鼻歌を歌いながら、荒野を一人ぶらつく。
別にこんな場所に店を開こうというわけではない。
――というより、店に置くための「なにか」を探していた。
ここ転送荒野は、異世界から様々な存在が転移してくる場所。
故に、このせかいでは見ることの出来ない珍しいものが落ちていることがままあるのだ。
以前は眼球のついたナイフや、見た目は固そうなのに触ると柔らかい石など、変なものを拾っては多少綺麗にして店に並べていた。

「さてさて、今日はなにか見つかるといいけど……」

須藤流人 > 辺りをきょろきょろと見回しながら、ゆっくりと荒野を進む。
護身になりそうな武器や、防具の類は持っていない。
いや、首に下げた瓶の中に仕舞ってある「店」を出せばいくらでもあるのだが。
それ以上に、彼は「戦わなくとも済む術」を持っていた。

「……うん?」

歩いているうちに、地面に何かが刺さっているのが見えた。
――剣だ。
刀身の両側に刃が付いている、クレイモアと言われる大型の西洋剣。

「ふうん……一見普通の剣だけど……」

見た目は一般的なクレイモアと殆ど変わらない。
もしかすると、荒野で何者かと戦った、この世界の誰かの落とし物かもしれない。

ご案内:「転移荒野」にミウさんが現れました。
ミウ > 地面に突き刺さるクレイモアの前に、一人の少女が突然、転移してくる。
白い翼を生やし、白いワンピースを着た少女ミウ。
ミウが翼を広げると、辺りに白い羽根が舞った。

ミウは、神であると同時に、この世界にうっかり迷い込んで元の世界に帰れなくなった異邦人でもある。
つまり、元の世界に帰る手掛かりを見つけるため、この荒野に訪れる事があった。
だが、荒野の何箇所か転移して回っても手掛かりは皆無。
そう簡単に、元の世界に帰れない事がよく分かる。

「これは、剣ね」
そんな時、目の前にある一本の剣に視線を移す。
そしてその場には、一人の男性がいた。
その男性に、ミウは優雅な微笑みを向ける。

須藤流人 > 柄を握り、軽く抜いてみようと試みた。

「……あれ、ぬ、抜けない……?」

流人は、確かに肉体労働のたぐいは得意でない。
しかしそれでも一般的な男性程度の力は持ち合わせているし、地面に刺さった剣が抜けない程ではないはずだった。

「……まるで選定の剣だな。これを抜くことが出来たものだけが、勇者だって?」

なんだかそう思うと意地でも抜きたくなってくる。それが男の子だよな、と心のなかで呟いて、渾身の力を込めて剣を抜き取らんとする!

「……ぜんっぜん抜けない……」

息を荒くして剣の横に座り込む。
――ぞわり。
違和感。いきなりその場に何かとんでもない存在が現れたような感覚。

「アト……? いや、違う……君は?」

見知った顔かと思ったが、それとは違う雰囲気の少女に、此方も笑みで迎える。

ミウ > 「あと……?」
男の言葉に、きょとんと首を傾げる。
「わたしはミウよ。
 あなたは?」
自己紹介を済ませ、相手にもそれを求める。

「この剣……そう簡単には抜けないようにできているのね。
 選ばれた者にしか手に出来ないとか、そういった類の物なのかしら?
 そんな物がこの荒野にあるぐらいだから、本来は異世界の英雄とか勇者が手にするべきはずのものだと想像してしまうわね」
なにやら、楽しげに語ってみせる。
さて、この剣を抜けるのは誰になるのだろうか。

須藤流人 > 「ああ、いや。君みたいな雰囲気の女の子を一人知ってるから、その子かと思ってね」

立ち上がって、土埃を軽く払った後恭しく頭を下げ、

「俺は須藤流人。リュートでいいよ、ミウちゃん」

と、柔和な笑みを湛えて答えた。

「そうそう、多分、力がどうのとかそういうのじゃないよね、これ。
どういう人が持つ剣なのか、どういう力が込められているのか……。
興味は尽きないけど、残念ながら俺は選ばれてないらしい」

肩を竦めて、再び剣のほうを見やる。
至ってシンプルなクレイモアだ。多少なりとも魔術に通じている彼が見ても、何かの魔が込められているようには見えない。

(持ち主が持って初めて能力が開放されるたぐいのアーティファクトかな?
なんにせよ是非欲しいところだけど……)

そこで、ちらりとミウを見た。

「そうだ、ミウちゃん。せっかくだから君、挑戦してみたら?
君、きっと何かすごい存在なんだろう? 雰囲気でわかるよ、羽生えてるし。
もしかしたら、抜けるんじゃない?」

ミウ > 「わたしみたいな雰囲気の女の子……?
 どんな子なのかしら」
世の中、似た人はいるだろう。
「リュート君ね。
 よろしく」
こちらも、柔和な笑みで返す。

「確かに、何かしら選ばれた人か、不思議な力を持った人間が抜けるものよね。
 どんな力があるかは、抜いてみないと分からないところがあるわね」
自分は選ばれなかったというリュート君。
抜けなかったという事は、単純に考えれば選定されなかった……という事になる。

そこでリュート君はミウに視線を向けた。
「わたしが挑戦するの?
 それはどうなんだろう……。
 わたしは神なのよね。
 この手の剣を抜くのは、英雄であって神ではないわよね」
どんな剣かは興味があるが、ミウ自身、この剣を欲しているわけではない。
手にするなら、英雄になり得る他の人だと思い、挑戦するのは少々抵抗があった。

須藤流人 > 「彼女は自分をドラゴンとか言ってたかな。
別の世界では相当ぶいぶい言わせてたみたいだけど……不思議な感じは似てるよ」

姿形は全然似てないんだけどね、と付け足した。

「もしかしたら炎が出るかもしれないし、次元を斬れるのかもしれない。
別に使う気はないけど、知りたくはあるよね」

ふう、と溜息を付きながらミウの話を聞いていると、神という単語が聞こえてきて。

「……ああ、そういえば創造神がいるとかいう話を聞いたことがあるけど、ミウちゃんがそうなのかな?
はは、ずいぶん可愛い神様もいたものだね。
アトも小さな女の子だったし、すごい存在ってのは可愛い女の子なもんなのかな?
とはいえ、そうか……確かに神ならこの剣を今更抜く意味はないよね」

残念、と言いながら思案する。
もしこの剣が勇者――それも、神の祝福を受けた者――のみが抜くことが出来るというのであれば。
今此処で自分が上に祝福されれば抜けるのではないか?

「ねえ、ミウちゃん。じゃあ僕を「勇者」にしてくれないかな。
神の祝福を受けたともあれば選ばれてる感はバッチリだろうし、一時的でいいから、さ」

ほとんどダメ元だ。

ミウ > 「ドラゴンなのね。
 確かに竜程の強力な存在であれば、異世界で覇者となり得るだけの実力を有しているかもしれないわ。
 一度、会ってみたいところね」
姿形は似てないという事だから、雰囲気の問題なのだろう。

「そうね、この剣がどのような効力があるのかとても気になるところだわ。
 実は呪われた装備品で、強力だけれど持ち主を痛みつけるもの……という可能性もゼロではないわ」
尚、呪われた武器の場合、装備したら最後、取り外す事ができない……なんて事もありえる。
そんな呪われた装備が伝説の剣のように刺さっているのも、困りものだけれど。

「いかにも、わたしが創造神ミウよ。
 お褒めの言葉、感謝するわ。
 そうね……。凄い存在というのは、性別に関わらずいるものだと思うわよ。
 そうなるわね。
 この剣は、神ではなく他の人が抜くべきだと思うわ」
品良く微笑みながら言う。

そんな時、リュート君からの提案があった。
自分を勇者にしてくれ、という事だが、ミウは少し考える仕草をする。
しばらくしてから、ミウは答えた。
「分かったわ。
 それでは、あなたの中に“勇者という概念”を創造するわね。
 これであなたは晴れて、一時的な勇者よ」
ミウがにこりと笑う。
「無事、あなたは勇者になったわ」
特にリュート君には変化が見られないだろう。
なぜなら、“勇者という概念”をリュート君の中に創造しただけに過ぎないからだ。
神の祝福は授けた。
さて、この剣を抜ける者は神の祝福を受けた勇者になるのだろうか……?

須藤流人 > 「それは難しいかもね。俺も自分の意志で会ったことはないし。
色んな世界を行き来してるみたいだから。すごい気まぐれでさ。
――で、その子に異世界の珍しい品々を卸してもらってるってわけ。こう見えて、雑貨屋をしてます」

こういうものです、と改めて名刺を渡す。
「雑貨屋『atria』 店主 須藤流人」
と書かれていた。

「そこだよね。呪われてる武器は本当に厄介でさ。
以前柄の部分に眼球がついてるナイフを拾ったんだけど本当これが凄まじくて。
意志とは関係なく人を斬りつけようとするんだよね。
運良くアトが来てくれて破壊してもらったけど……来てもらえなかったら今頃殺人犯だよあはは」

剣呑な話を笑いながら教える様は軟派そのものだ。
まあ、今回はミウちゃんもいるし大丈夫じゃないかな、と極めて人任せな一言も付け足した。

「いやあ、まさか実際にお目にかかれるとは。光栄です、神様。
でもそんなにすごいのに普通に出てくる辺り、やっぱりアトに似てるよ。
アトは趣味で女の子やってるって言ってたけど、ミウちゃんももしかして真の姿とかあるのかな?」

「……自分でお願いしといてあれだけど、まさか承諾を得れるとは思わなかった。
結構フランクだね、我らが創造神様は。
まあいいや、見て見ぬふりする神様よりはずっと好感が持てるし。」

そう言って、まぶたを閉じる。……特に何か感じたわけではないが。
勇者って、こんなものなのかな。と、内心がっかりした。

「……これで抜けたら、チートもいいとこだな……要するに、勇者の擬態じゃないか」

肩を竦めながら、感謝の言葉を述べつつ柄に手をかけ――

「――まさか、本当に抜けるとは……」

あっさりと。それは地面から引きぬかれた。

ミウ > 「色んな世界を見てきている竜なのね。
 確かにそれは、とても気紛れなだと想像できるわ」
そう言うミウも結構気紛れな神だ。
だからこそ、似ているのだろうとも考えてみる。

リュート君から名刺を受取った。
「あなたは雑貨屋の店主なのね。
 機会があれば、是非とも伺わせてもらうわね。
 どんな可愛らしいものが売っているのかしら」
楽しみ、といった様子で語ってみせる。

「柄の部分に眼球……。
 想像するだけで、なんとも不気味だわ。
 軽くホラーな感じがするわね。
 意志に関係なく人を斬りつける効力がホラーらしさを際立たせているわ。
 世には、危険なアイテムも存在するという事ね」
禁書庫なんかも、危険なアイテムの宝庫と言えるかもしれない。
ミウもいるから大丈夫、という一言には、『当然よ』といった態度で返した。

「わたしもあなたのような人と出会えて、とても嬉しいわ。
 竜というぐらいだから想像してはいたけれど、アトちゃんは仮初で人間の姿をしているのね。
 わたしは、別に変身しているなんて事はないわよ。
 この姿がそのまま、わたしの姿ね」
この姿が仮初だったり、誰かに憑いていたりしていない事を伝える。

「一時的に勇者にするぐらいだものね。
 それぐらいなら、聞き入れてあげるわよ」
一応、少しは考える仕草をしてしまったけれど。

「勇者になったあなたは、はたしてその剣を抜く事が出来るかしらね」
リュート君は、クレイモアの柄に手をかける。
能力的には、リュート君は何も変わっていない。
ただ勇者にはなった。
抜けるかどうか……。


抜けました。


「その剣に必要な資格は、勇者であるかどうかだったのね。
 それで、剣を抜いて、どんな感じなのかしら?」
興味津々に問うてみる。

須藤流人 > 「本当は会いたいときに会いたいんだけどね。色々聞きたいこととかお願いしたいこととかあるし。
ミウちゃんも自分では会えないのかな。まあ、神様ってそういうものだけどさ」
くすりと笑って。思わず頭の一つでも撫でたい衝動に駆られたが、グッと堪えた。
相手は神。礼儀を弁えなければ何をされるかわかったものではない。

「創造神でも可愛い小物に興味があるんだね。
今はアンティークボトルに力を入れててね。ガラスの瓶が好きなら気に入ってもらえると思うな」
少し意外そうに目を細めながらちゃっかりと宣伝。
神に気に入ってもらえたなら店の箔もつくというものだ。


「あれは本当に終わったな―感すごかったね。何処の世界から流れたものなんだか……。
でも、あれも俺が拾わなきゃ誰かが殺人鬼になってたかと思うと、ぞっとするよね。
この街には、こわーい風紀委員もいるし」
やれやれ、と言った風に肩を竦めた。
店を無許可で出店する須藤にとって、公安や風紀といった存在は目の上のたんこぶであった。

「光栄だね。神様にそんなこと言って貰える人、なかなかいないんじゃない?
そうそう、見た目は5歳位の女の子かな。黒い髪の毛を2つに括ってさ。
でもそっか、ミウちゃんはもともとそうなんだ。少女の姿なのは清純なのを示しているのかな」
まじまじとミウを眺めて、考察を始める。
考えることは嫌いではなかった。

「寛容な神様なことで……ううん、しかし抜いたはいいものの、抜いただけでは何も起きないな……」
両手でしっかりと握って、軽く空を凪いでみる。

雷鳴が轟いた。
空からではなく、剣から夥しい雷が空へと放たれ、一瞬で天空を貫いた。

「…………うわあ…………」

ドン引きである。

ミウ > 「会いたい時に会えないのは、悲しいわね。
 だけどアトちゃんは、時々ひょっこり姿を現してくれるのよね?」
アトちゃんの方は、リュート君と会いたい時に会いにきているのだろうか。
「わたしは別に、連絡先を交換するなりしてあなたの会いたい時に会ってもいいわよ」
結構フレンドリー、だが優雅な雰囲気でそう言ってみせる。
そして、携帯を取り出した。

「そうね、可愛い小物は好きよ。
 アンティークボトルとは、随分とクールな物に力を注いでいるのね。
 神の居城にも、あなたの売っているアンティークボトルを置いてみるのも悪くはないかもしれないわ」
ミウの気にいるものがあれば尚良し。

「随分と物騒な物が流れてきたわね……。
 自分ではなかったら、と想像してしまうのも分かるわ。
 わたしも禁書庫で、開けると凶悪な呪いにかけられてしまう魔術書を開いてしまったのよ。
 あの時は、魔術に詳しい魔王も傍にいた事もあってなんとかなったけれど、もしわたしではなくて他の人が開けていたらとは、想像もしたくないわね」
力無き人ならば、そのまま呪われていただろう。
呪われた装備などで風紀や公安のお世話になるのは、誰だって嫌な事だろうし、そもそも殺害行為自体があまり気分の良い事ではない。

「わたしは、会えて嬉しかったと思う人には正直に言う事があるかしらね。
 趣味とは言え、随分と幼い姿をするのね。
 竜の勇ましい姿とのギャップはあるかしらね。
 清純さ……を示しているかは、よく分からないわ」
そもそも、清純というのは自覚無きものである。
それ故に、ミウ自身ではその解答へと導きだす事はできない。

剣は抜けた。
しかし、しばらく何も起きない。
「抜いた瞬間に呪われるとかではなくてよかったわ。
 だけど、抜くだけでは剣の能力が発動するわけではないのね」
リュート君は剣で、空を凪ぐ。
すると、なんと……剣から雷が放出され、大空へと消えていった。
「これは……凄い代物ね」
思わず、そんな感想を漏らしてしまった。
「雷を敵に浴びせれば、丸焦げかしらね」
冗談めいた口調で、品良く微笑みながら言ってのける。
勇者の装備なだけに、中々に強力なものだった。
さすが勇者装備。

須藤流人 > 「そうだね。時々会いに来てくれるよ。今はまた異世界で冒険を始めたらしいから、そのみやげ話を期待してるトコ。
……神も携帯を持つ時代、か……」

苦笑をこぼし、メアド交換。最新型のスマホだ。

「神域にアンティークボトルを置くの……? いやまあ止めはしないけど、どんなトコになるのか想像もつかないな……」

ミウが嬉しそうに空き瓶を並べている姿を想像して再び苦笑い。
いや、かわいいんだけど、部屋が荘厳にすぎるよねえ、と独りごちた。

「全くだよ。ま、そういうわけもあって結構な頻度で此処には来るわけ。
……ああ、禁書庫。そうか、あそこにもアーティファクトはありそうだよね。
まあそれを売り物には絶対できないだろうけど……というか、神でも呪われるんだ?」

「なんだかこそばゆいな。そこまで大層な人間でもないよ。しがない雑貨屋さ。
少しばかり、運のある、ね。
俺も彼女の真の姿は見たことないけど、モロにドラゴンらしいからそうじゃないかな。
寂しがりやなんじゃないかな、多分。
……まあ、身近には感じられるしいいんじゃないかな。ミウちゃんはずっとそのままで」

「これはちょっと制御に困るな。少し降っただけであの雷撃。
こんなものをまかり間違って変な奴が拾えてしまったら大変だ。
ミウちゃん、しばらく勇者パワーは繋げといて。今日中にはこの剣、どうにかしようと思うからさ」

ミウ > 「どんな異世界を冒険しているのかしらね、アトちゃん。
 その世界の名産品とかを持って帰ってくるのかしら。
 この時代だものね。
 神でも携帯を持っていた方が便利じゃない?」
メアド交換を済ませる。
ちなみに、ミウのも地味に最新型スマホ。

「神域にもアンティークボトルが合う部屋があるわ。
 わたしの城は、結構広いのよ」
とは言え、どこに飾るかとか、全然決めていない。
置いとくのも悪くないかな、という安直な発想ではある。
だがそれを決めるのも、また楽しみではある。

「品物を揃えたりするには、この荒野は便利かもしれないわね。
 確かに、禁書庫にはとんでもないアーティファクトが眠っていたりしそうだわ。
 怪奇現象がよく起きる場所ですらあるものね。
 呪われる前に、なんとか対処してみせたわ。
 あの時の呪いは、邪悪な“何か”が体に憑依するものだったわね」
つまり、もし呪われていたら、眼球のナイフみたいに自分の意思とは関係なく行動してしまう事になる。

「なにも大層な人間だけに、わたしの興味がひかれるわけでもないのよ。
 それに、あなたは品物を見つけにこの危ない場所にまで足を運ぶぐらいの商人なのだから、わたしとしても随分と好奇心がわいてくるものよ」
転移荒野は危険な生物とかも結構転移してくる。
運がある、という言葉には笑顔で返した。
「寂しがり屋とは、かわいいところがある竜なのね。
 ドラゴンにも大きく分けて東洋と西洋があるわね。
 どちらなのかしら」
それはリュート君も見た事がないという事なので、想像するしか出来ない。
「わたしは、わたしのあるべきままでいるつもりよ」
そう優雅な笑顔で言ってみせる。

「確かに変な人が悪用でもしたら、よろしくないわね」
その変な人が勇者の資格を持っているかは、怪しいところだけれど。
「分かったわ。
 わたしが勇者の力をあなたから消滅させようとしない限りは、その力はあなたの中にあり続けるわ。
 その剣の制御をどうにかするまでの間、勇者の力をあなたに託す事にするわね」
そう言って、笑顔を向ける。

「それでは、わたしはそろそろ行くわね」
そう言って、リュート君に軽く手を振る。
その後、テレポートでその場から消えようとする。
 

須藤流人 > 「さあて、ね。まあ、羨ましいなとは思うよ。それだけ色々行ければ、一生飽きずに暮らせそうだしさ。
いや、神ならこう、思念を飛ばせばいいと思うけど……僕らからの連絡手段は嬉しいけどさ」

あ、機種は違うけど新しいやつだ、と感心した。
この神は新しいもの好きらしい。

「仮にも創造神の住まうところだから、狭いはずはないよね。
うん、じゃあお店を見かけたらいつでもおいで。歓迎するからさ」

女の子らしい所も十二分にあって、目の前の少女が本当に創造神なのかわからなくなってくる。
割と簡単に信じはしたが。

「うちの店のマジック・アイテムは殆どアトの持ってきた品か、此処で拾ったものなんだ。
だから仕入れ値はゼロ。すごく有り難いよ。……まあ、いうほどお金には苦労してないんだけどさ。
……神に呪いが憑依したら、なんだかとんでもないことになりそうだな……」

それこそ創造神が破壊神になるのだろうなあ、と想像したらぞっとする。

「別に、商魂たくましいというわけではないけどね。
変わってるものをみるのは俺も好きだからさ。店は、ついでみたいなものなんだ」

実際趣味ではじめた店なので、開店時間も開店日も完全に気分。
もっと言えば所在地ですら気分で決まる。

「推測、だけどね。多分西洋型じゃないかなあ……頭に生えている角は、あれは多分、東洋の形じゃないし。
東洋のって鹿っぽいけど、彼女のは羊っぽいんだ。カールしてるというか。
ドラゴンっていうか、悪魔っぽいよね」

「助かるよ。一応、処理できたらメールするからさ。
――うん、じゃ、また。楽しかったよ、ミウちゃん。またね」

すうと消えるミウを見送って、自らも荒野を後にした。


肝心の剣だが、二人のやりとりを見ていた親切な龍がなんとかしてくれたとか。

ご案内:「転移荒野」からミウさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」から須藤流人さんが去りました。