2015/09/18 のログ
ご案内:「転移荒野」にダナエさんが現れました。
ダナエ >  
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
  ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス


転移荒野に現れた、異形の騎士。
今日は背中の大剣と大盾の上から、スポーティなデザインの
大きなリュックサックを無理やり背負っている。

店員曰く、これが一番丈夫で安いカバンらしいので仕方ない。
ちなみにリュックサックのロゴは、
某有名スポーツメーカーが訴えたら勝てそうなデザイン。

ダナエ > 晴れたる青空、ただよう雲よ。小鳥は歌えり、林に森に。
そんな感じの平和な空と景色を見上げて、

「ふうーーーー……」

長いため息を一つ。そして深呼吸。
今日の目的は、ここに秘密基地ならぬ簡易休憩所を作ること。
いつ開くかわからない『門』を探す以上、
今後も転移荒野に長く居ることになる。
その際にちょっとしたことでいちいち帰宅しなくて済むように、
転移荒野に小屋を作ってしまおうという移動困難者独特の発想。

そのために背中のリュックには、諸々の大工道具が入っている。
森の中へ入り、リュックサックを地面に下ろすとガチャリと音がした。
少し焦る。
大工道具は借り物であり、隣の大家さんの亡夫の愛用品なので、
大事に扱わなくてはならない。

ダナエ > 木を切り倒すための斧を探す。

「…………小さいな」

当然ながら、一般人の大工道具に大きな斧はなく、
小振りの手斧しかない。手斧があっただけましと言える。
手斧を片手に、
大人が両腕でひと抱えできるくらいの太さの木の前に立ち、
この木がどの方向に倒れやすいのかを確認。
それに合わせて立ち位置を調整し、可能な限り腰を屈め、
まずは低い位置に様子見しながら少しずつ切れ目を入れていく。
この装備でこの姿勢、腰への負担は大きい。

──……コヅッ、 ……コヅッ、 ……コヅッ、 ……

切れ目がいくらか入れば、腰を伸ばしながら木の反対側に移動。
裏側の切れ目よりも高い位置に、
今度は本腰を入れて力強く手斧を打ち込んでいく。

──コォン…… コォン…… コォン……

木に斧を打ち込む小気味のいい音が、伸びやかに木霊する。

ダナエ > しばらくして幹をググッと押すと、

──ギ……、ギギ、ギギギギ……

木が傾き始める。
一歩二歩と木から離れて後ろに下がっている間に、

──ドォォォンッ……!

木は倒れ、葉や小枝をまき散らして弾んで止まる。
ほぼ同時に、わめきながら周囲の鳥たちが飛び立つ。
それを満足そうに見届けてから、次の木を選ぶ。


何本か伐り倒した後。

「……少し休むか」

季節は秋、それでも中身は汗だく。腰も痛い。
手頃な木の根本に腰を下ろし、足を伸ばして座る。
ガントレットを外し、素手で額の汗を拭う。
空には鳥が旋回している。
のどかな光景に目の険が取れていく。

「自然の中での肉体労働は、癒されるな……」

年寄りのように呟く。

ダナエ > その後。
気づかずにトレントに手斧を打ち込んで襲われるという
アクシデントはあったものの、どうにか予定通りの本数の
木を切り倒し、今日はここまでと作業は終了。

見晴らしと安全性、そしてワクワク感を重視して
樹上に秘密基地ならぬ簡易休憩所を建てるか、
あるいは移動効率と建てやすさを重視して
地上に建てるか。
悩んで決めかねたまま、転移荒野を去ったとか──

ご案内:「転移荒野」からダナエさんが去りました。