2015/11/18 のログ
ご案内:「転移荒野」にダナエさんが現れました。
ダナエ >  
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
  ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス


転移荒野の一画にある湖を、
訓練といつもの『門』探しを兼ねて訪れた重騎士。

祖国は一年の三分の一を雪と氷に閉ざされる北国。
民にも氷の魔法の使い手が多いのだが、
この騎士にはまるで使えなかった。
だが同じように使えなかった水の魔法は呪いを
掛けられて以降使えるようになったため、
氷の魔法もいけるのではと挑戦しにきたところ。

「さて……。
 気温は低くなってきたとはいえ、まだ早いだろうか」

湖の岸辺に立ち、ゴコッと背中の大剣を引き抜く。

ダナエ > 大剣の切っ先を天に掲げ、意識を集中する。
近くの水鳥が飛び立ち、水面が揺れた。

「…………」

この世界の冬の神をまだ知らないので、
故郷の冬の女神、季節の四姉妹の長女に祈りを捧げる。
忍耐強く物静かだが、
ひとたび荒ぶるとどの妹よりも恐ろしい盲目の女神。

女神の力を借りてまずは水から変換せずに、
そのまま直接氷の魔法に挑戦してみる。


【ダイレクトに氷魔法の訓練→
 奇数・手応え十分 偶数・手応えはほぼない】
[1d6→6=6]
ダナエ > 天から雪が吹き荒ぶことも、
足下から氷の柱が突き出すこともなく。
何も起こらない。

「む……! 冬の女神よ………!!」

ムキになってさらに高く、
背伸びをしてまで大剣を天に掲げる。
しばらくたってからやっと雪がひとひら、
空から舞い落ちてきた。
雪のひとひらは騎士の鼻の頭に落ち、すぐに溶けた。

「…………。やはり直接は無理そうだな」

少し濡れた鼻先をガントレット指でさすると、
赤くなってしまった。

今度は大剣の切っ先を水面へ浸ける。
小さな波紋が同心円上に広がり、
水面に浮かんでいた枯れ葉が揺れる。

「………………」

水の魔法を低温化させてみる。


【水の魔法からの氷の魔法→
12自分が凍る 34水面が御神渡り状に凍る
56湖が全面凍る】
[1d6→2=2]
ダナエ > ──ピシ、ピシピシピシ……


大剣の切っ先から水面が、凍りついていく。

「おお!」

喜んだのも束の間、大剣の刃にも冷気は上り──

──ビシビシビシッ!

「ッ、何だと!?!?」

見る間に大剣の柄も凍りつき、手が放せなくなった。
ガントレットの上を容赦なく冷気は這い登る。
まずい、と咄嗟にガントレットを脱ごうとするも、
焦ったせいか手の甲が引っかかって脱げない。
「くっ!!」
その間にも冷気はガントレットを伝い、
肩、首、胸──

「うわあああッ!!!!」

兜、腹、足──

ダナエ > 転移荒野の、静かな静かな湖のほとり。
一体の氷像が完成した。
己の大剣から逃れるかのように腰を引いている
重騎士という、芸術作品にしてはあまりに惨めで
不格好な一品であったらしい。


幸い、凍りついたのは鎧だけだったのだが。
風と日の光で鎧の関節部分の氷が溶けるまで、
たっぷり数時間は動けなかったという──

ご案内:「転移荒野」からダナエさんが去りました。