2015/12/13 のログ
ステーシー > 『ウオオオオオオォォ!!!』

さらに10発の火の玉が直撃、さらに体の端々が焼けていく。
キサロガ本人が言っていたヒューマンドゥームの守護がなければこれで終わっていたかも知れない。

『まだだ……まだワシには神が…ズクデトルの加護がぁぁぁぁ!!!』

超加速。魔王の巨躯が最速にて迫る。
次の瞬間、ギルゲイオスとステーシーの一閃が重なる。
キサロガが上半身だけ倒れこみ、真っ二つになった祭具に手を伸ばす。

『何故……だ…ここまで深化していれば、壊れても不完全ながらズクデトルが復活する…はず……』

刀を振って血を振り払いながらステーシーが言う。

「私の刀、旋空には夢の神が宿っているわ…人の夢を潰す邪神を私の神が上回った、それだけよ」

上半身だけでしばらく這っていたキサロガが笑い出す。

『ヒヒヒ…ワ、ワシの神が……ついに復活したんだ…人間どもめ……』
『苦しめ……怯えろ………そして…滅………』

末期の妄想の中で復活した神の名を口にする狂った王。
顔をくしゃりと歪めたステーシーが、神刀をキサロガの頭に突きたてた。

「悪夢は地獄で見なさい」

ゆっくりと刀を引き抜くと、異世界から来た亜人たちとの戦いは終わった。

「……ギルゲイオス、ありがとう…助けられたわね」
「魔王に感謝する日が来るなんて、思いもしなかったけれど……この恩は決して忘れない」

ステーシーは視線を落とした。

「私も元の世界では亜人に分類されていたわ。だから、ほんの少しだけ彼の気持ちがわかる」
「……それでも、やっぱり彼は間違っていたわ…」

ギルゲイオス > っつ、っと!!!、
(一撃を決めた……のはいいのだが。
強引な加速に制御が追いつかず、やって来た時よりもさらに盛大に月煙を上げて地面を滑り。
剣を突き立ててれば、斬り裂いた跡を長くと残してやっと止まる)

ふむ、そうやらと、無事に終わったようであるな。
(次に視線を向けた時に、視線の中へと映ったのは、ステーシーが大将の頭にへと刀を突き、そして引き抜くところであった)

(人類を滅ぼそうとする亜人を止めたのが、亜人と魔族というのも、なんとも奇妙な光景でもあるが)

たまたま通りがかった所に、厄介な話が聞こえたのでな。
ま、我としても放置は出来ぬし、構わぬよ。
(一つとゆっくり息を吐けば、剣についた血糊を振るって落とし。
鞘に納めると、両手で砂に汚れた服を叩く)

しかし、その言いぐさだと、お主の世界でも魔王というのは『そういう』存在なのだな。
まぁ聞きなれておるが故、別に気にはせぬがな。
(小さく喉元に笑い声を含ませれば、肩を小さくと揺らし。
緩い足取りでステーシーの方へと近づいてゆく)

お主がお主の世界でどう扱われていたかは知らぬが、それぞれ事情があるのも確かであろうな。
それ故、余りどうこうと言える立場でもないのだが。
(顔を横に振り)

そういう事情を別としても、ヤツは憎しみに呑まれ過ぎた、それだけの話であるよ。

ステーシー > 「ええ、終わったわ……後の報告書は、考えたくないけれど」
薄く笑ってみせる。
プラーナも使い切り、体力も空。空元気。

「私一人じゃ絶対に勝てない相手だった…それでも、世界の危機を救ったなんて誰も信じないでしょうね」
肩を竦めて苦笑した。
そして戦いの犠牲になった佐原先輩の遺体に手を合わせる。

「ええ、私の世界の魔王は世界を滅ぼしかねない力を持った存在だったわ…」
「あなたも相当な力を持っているから、きっと本物の魔王なのでしょうね……あなたが世界を滅ぼそうとしないことを願うわ」
近づいてくる彼に、小さく頭を下げた。
ぴんと張り詰めていた猫耳が、ふにゃんと垂れた。

「憎悪に飲まれた結果がこれであるなら。感情というのは、恐ろしいわね……」
「それでも、私は……人が好(ぐぅぅぅぅぅぅぅ)」
腹の音が鳴った。金欠で昼食を抜いたのが祟った。
咄嗟に自分の腹を殴りつけ、悶絶した。
痛い。そりゃそうだ。殴ったんだもの。

腹を押さえて蹲る。涙が流れそうになった……死んだ佐原先輩のことを、思って。

ギルゲイオス > はっはっは、我は部外者なのでな。
その辺は全面的に任せる事にするので、まぁ頑張って欲しいのである。
(肩を竦める仕草をすれば、口の端が上がる)

そもそも我としては、騒ぎを聞きつけてやってきたら、世界滅ぼす云々なんて言っておったからな。
当事者本人にも、イマイチ分からぬ事も多いし――世界の危機なんてのは、往々にしてそんな物であろうさ。
(二つに断ち切った大将の死体を一目とした後に、何やら手を合わせる仕草のステーシーと。
その先に、亜人達とはまた違うらしき、死体が)

……ふむ。
(顎を撫でて思案の後に。
マネをするかのごとく、手を合わせた)

生憎と、世界を滅ぼす云々には興味がないな。
我としては、滅ぼして終わってしまうよりも、どう変わっていくのかを見ている方が楽しいのでな。
(笑い声を交えれば、ゆらゆらと手を振って)

あら可愛い。
(垂れた猫耳になんかそんな事を呟くのであった)

憎しみや怒りが大きな力になるのは、確かなのだがな。
ただ、それに呑まれてしまえばああなるのが落ちである。
とはいえ、感情なくしてはヒトがヒトたりえる事も出来ない。
中々と難しい所で――何故殴る!?
(腹の音らしき物が聞こえた直後、打撲音。
思いっきり目を開いて驚きの声を上げるのだが。
その直後と、またと様子が変われば喉元でうめき声を上げた)

腹が減るのは、生きている証拠ともいう。
折角生きて勝利したのだ、帰って美味い飯を食べようではないか。
そやつも、連れて帰ってやらねばならぬしな。
(見ず知らずの誰か、ではあるが。
果敢に戦った者なのだろう。
問いかける声と共に、片手を差し出す)

ステーシー > 「ええ……怪異対策室三課の報告書だから、ギルゲイオスはどんと構えていてくれれば」
不承不承ながらも言った、目の前の協力者に悪意はない。
ならば彼に助けられましたの一文くらい書いてもいいだろう。

「……本当に世界を終わらせる力を持った神かもわからないけれど」
「彼が縋った存在だもの。危険なのは、間違いないでしょうね……」
自分の真似をするかのように手を合わせたギルゲイオスに、微笑む。
「彼は、勇敢だったわ。異世界人の私にも優しかったし、模擬戦で彼に勝ったこともないしね」
「……勝ち逃げ、されちゃったなぁ………」

世界が変わることを望む魔王を前に、くすくすと笑って。
「それじゃ私と同じ意見じゃない。魔王なのに、魔王なのに」
少しからかうような口調。でも、安心感のほうが強かった。

「……可愛い?」
聞きなれない言葉だったので聞き返したのだった。

片手を差し出されれば、その手を握って。
蹲ったまま、涙を流して。
「うん……ご飯を食べよう…」
立ち上がるまで、少しだけ時間を。
「佐原先輩はもう、食べられないから……」
自分が奪った命。自分が奪われた命。
そのバランスはいつだって曖昧で、見失いそうになる。

それでも、生きている者には責任がある。
死んでいった者のことを忘れないという責任が。

亜人たちの悪しき夢が散った地で、私はいつまでも泣き続けた。

ギルゲイオス > 怪異対策室三課、そんな組織もあるのか。
……この島は怪異だらけ故、休む暇も無さそうであるが。
(名称から察する行動内容に、なんだか渋い顔をする魔王様。
日夜東へ西へな姿が脳裏をよぎった)

あのランタンか?武器の方もだが、随分と力のあるモノだったのは、確かであるな。
個人的に興味があると言えば有るのだが、余り深入りするべきではなさそうか。
(魔術研究者としては血の騒ぐ所で、少々と気になり視線を向けるのだが。
下手に手はださず、処理は彼女とその仲間に任せることとしよう)

何故に笑うっ! 何故に、笑うっ!
魔王なのにって、えぇいアレか、魔王差別であるか!?
魔王だって世界の変化を眺めてたっていいじゃない、魔族だもの。
(どこぞの名言っぽいモノを拝借したっぽいセリフになったが、他の世界の者達にとっては、全く安心できない単語がちらほらと。
魔王とか魔族とか)

いやー、そう言う耳とかある意味卑怯だなと思ってな。
元の世界に居た時は、余り考えなかったのだが。
ふむ……こちらの人間の感覚に我も毒され初めておあるのか。
撫でまわしたい。
(撫でまわしたかった魔王様)

うむ、腹が減ったら飯である。
月並みな言葉ではあるがな。
亡くなった者の分も、飯を食べて、生きねばならん。
生きて受け継いでゆかねば、ならぬからな。
(手を握ったままに、暫しと見下ろして。
自身は知らぬモノの死であるが、彼女にとっては大事な者の死なのであろう。
己が弔うには、遠い。
それでも、勇敢に戦って散った者として、存在を心に覚えておくとしよう)

――……まぁ、…今は暫くと、泣くが良い。
(暫しの間と口を閉じ、彼女の涙が枯れるまで、その場に佇んでいた)

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