2016/07/14 のログ
ご案内:「転移荒野」に詩春さんが現れました。
詩春 > 「『我が祈りにより奇跡を起こせ。私が願うのは冷たき塊。』アイスショットッ!」

風と共に揺れる少女の黒い髪。
作り出した氷の飛礫が確かに岩を砕いた事を確認して、彼女は一息を付いた。

「…やはり、魔力の集まり方は少々遅いようですね。」

元は有名貴族に恥じぬ魔力量を誇っていたその少女。力量も相応にあった。
訳あってこの世界に転移してしまった彼女がまず最初にしたことは、現状確認と、実力の把握。

魔術自体は確かに使えるが、威力は幾許か落ちている。
さて、これからどうするかと考えながら、少女は荒れた地面に腰を下ろす。

ご案内:「転移荒野」から詩春さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」に詩春さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」にヒドラさんが現れました。
ヒドラ > 荒野の時空はいつも不安定で。
どういった原因でか、何が何処に紛れ込んでいるやら、誰にも想像できんものである。

「―――ギャルルルル…ッ!」

何処から来たのか、その出所は不明であるにせよ、所謂そっち側の住人であれば、一目でそれが「魔物」や「怪異」であると分かるだろう見た目をしていた、
いわば化け物の姿が、砕けた岩の向こうから現れる。もっとも最初からその辺に居たのかもしれないが。
人の大きさよりも幾倍か大きい、敢えて地球の生き物に例えるならヘビみたいな生き物が。
トグロを巻くでもなく、ただ一本の糸が垂れ下がる様に、真っ直ぐと立っていた。
獰猛な肉食獣の様な咆哮を、異邦人である彼女へと聞かせる様に。
同じく、宵闇でも鋭く光るやけに禍々しい灯の様な目で睨み付けて。
たった今一息ついて地面に座ったところを見ると、
猛獣独特の威圧感にて怯ませて、程なく飛びかからんとしていた。

詩春 > 「…。蛇、いや、龍ですか。」
藪を突けば蛇、この場合は岩を壊せばではあるけれど。
要らぬ所に喧嘩を売ったのを自覚した彼女。

「逃がしてはくれませんかねぇ。」
まるで誕生日会でご馳走を用意された子供のように輝く目。
それは確実に、自分の方に向いている事は灯を見るより明らかで。
このまま座って眺めていれば、どう考えても行き着く先がご馳走になる。

「………チュートリアルにしては、ちょっとレベルが高いですよ。」
呟けどゴブリンに変わるわけでもなく。
姿勢を正し戦闘態勢に。
そのまま深蒼に染まる袖の中から銀色に鈍く光る刃物を取り出せば。

「今ここで帰るなら、私も危害は加えません。どうしますか?」
ここで襲い掛かってくるようであれば話は終い。
牙を収めるのであればクナイを仕舞い。
言葉が通じるのかの実験も兼ねて、その異形に問いかける。

ヒドラ > 「………。」

残念ながらこれは竜である。
見たまんまではあろうが、バカみたいにゴツゴツした鱗と、その体躯とけたたましい咆哮がそれを語って。

「グルルルル…。」

更に重ねて残念ながら竜って言っても下位である。
テレパシーであったり、翻訳の魔法であったり、神話に出てくる偉い龍神みたいなことは出来ない。
つまるところ答えとしてははいでもいいえでも分からないでもどちらでもないでもなく無回答である。
しかし考えてみて欲しい、この竜にしたって元々ここに来るつもりはなかったのだ。
血に飢えながらどこかも分からん荒野で這いずり回って何日経ったか分からんが、
久しぶりに己の食い物である異邦人の肉が目の前にある。
突き付けられるのは己の鱗には貧弱な刃物。
どうせいつかは荒野の砂の一部になるとして、
これで引き下がる選択肢が果たしてあるだろうか。

あるわけないのである。

「―――!」

そのバカでかい猛獣宛らの身体に反して虫みたいなスピードで身を翻す。
銀に光る牙に溢れんばかりに熱気を纏えば、鞭を振るかのように身体をしならせて、
空腹やら疲労やらも忘れてそのままその身を喰らわんと荒野へその物々しい頭部を晒し、迫った。
火を纏った牙が描く半弧は遠くから見ればまるでできそこないの花火みたいである。
ただ、空腹やら疲労やらも忘れた所為で自分の弱点すら忘れてたんだろう。
頭部は魔物のヒドラの心臓部みたいなものである。

ご案内:「転移荒野」からヒドラさんが去りました。
詩春 > 少し考え込む…ようにうなったあとに、突進。
どうやら耳に言葉は届かなかったよう。
耳があるかどうかは分からずだけれど。

「はあああああ………。仕方ない、ですッ!」
砂埃を上げながら這いずり来る頭部。
振り回し、投げたクナイ。
それは、カキンといっそ心地よささえ覚えるような清清しい音を立てて地面に落ちた。

「………。直接頭に魔法をぶち込んでもいいのですけれど。」

チュートリアルにしてはレベルが高いのは確かだが、それでも倒せない敵ではないだろうと告げる自分の脳。
そうなれば、ここで実力を確認するのもよいだろう。

その突進、真正面から受け止める。
逃げればいいものではあるが、売られた喧嘩は買うぞと言わんばかりに対抗する姿。
クール系の見た目に反して存外頑固な子である。

「『我が祈りにより奇跡を起こせ。我が願うのは眩き壁。』アイスシールドッ!」
受け流したり回避する魔法でないのも、また然り。
当然破られた時のための脱出といて準備状態にはしておくけれど。
壁を前にして突撃してくるそれを、壁の向こうより氷のような目で見つめ続ける。

ご案内:「転移荒野」から詩春さんが去りました。