2016/08/07 のログ
■クローデット > (魔術の理論的理解に長けているようには見えませんでしたけれど…
あの手の野蛮人の勘は、過小評価しては危険ですものね?)
術式は別のものを使えば多少ごまかしがきくとして、対抗するために魔力の放出を抑制するタイプの魔術防御術式を外してしまったのが懸念事項だ。
あれは魔力容量を「外からは」小さく見せることで、気配を偽る効果も兼ねていたのである。
(何か、別の偽装術式のヒントが、都合良く転がっていたりは…しないでしょうが)
そもそも、その手のヒントを探るならば図書館の…もっといえば禁書庫を漁るべきなのだ。
しかし、曲がりなりにも一生徒であるクローデットは許可証無しに禁書庫の資料を閲覧することが出来ない。「気配の偽装」に関する魔術資料を閲覧出来る、大義名分が必要になってしまうのだ。
教師も許可が必要なこと自体は変わらないが、研究名目でかなり横断して、長期間出入りが可能になる。
(…異能者(バケモノ)や異邦人(ヨソモノ)を毛嫌いし過ぎて、研究については少々効率の悪いことになってしまいましたわね…
もっとも、教えられるほどの専門はまだないのですけれど)
せめて、何か考え方のヒントが得られないかと、転移荒野の、魔物が潜んでいそうな森林付近を彷徨う。
ご案内:「転移荒野」にルギウスさんが現れました。
■ルギウス > 荒野という舞台に突如スポットが当たったように現れる人影。
自然が支配するそこに白い司祭服はとても浮いている。
待ち人でもいるように、飄々と佇む。
口元には細葉巻があり紫煙が漂っている。
「嗚呼……ようやくですねぇ」
男がそう口にすると、周囲から 何か が転送されてくる。
それは雑多な生命体が混ざった醜悪な何か。
男はそれを確認もせずに指示を飛ばす。
「食事の時間です、どうぞお食べなさい」
影から現れた黒い球体に口がついたモノが現れ、醜悪な何かを食い漁っていく。
「ああ、これは失礼。
食事はもっと優雅にしたいのですが、コレは少々『きかんぼう』でしてねぇ」
恭しく、クローデットに一礼をする。
■クローデット > 「………いえ、お気になさらず。
あたくしも、漠然と新たな着想のヒントを求めていただけですので」
森林に意識を向けていたが…流石に、これだけ「奇形」の気配が複数姿を現せば、分かる。
口元を羽根扇子で隠しながら、その場に現れた司祭服の人物に答える。
その声「だけ」は、淑やかな女性のそれであったが。
(…何と醜い、洗練されていないものかしら)
その瞳は、嫌悪感を伺わせながらも、怜悧な知性の光が強く鋭いだろう。
■ルギウス > 「慣れればコレも餌も可愛いものなんですけれどねぇ。
そんなにお嫌いにならなくても。
“……まさか、魔術は綺麗なものだとお思いで?”」
後半から言葉がフランス語に変わる。ネイティブ並みの発音であった。
「さて、着想のヒントと貴女は言いましたが 何に対する着想でしょう?
辺鄙なところで出会った変わり者同士、何かが得られるやもしれませんよ?」
もうずっとフランス語である。
■クローデット > 考えを読まれたことにはさほど驚きはなかった。
表情はそこまで丁寧に隠さなかったつもりだし、これだけ「奇形」の相手にその程度の手札があっても驚きはないから。
「…全てが綺麗だと申し上げるつもりはございませんけれど、一般に優れた魔術ほど論理は洗練されているものでしょう?」
そもそも、クローデットはこの島で「日本語」を喋っていたつもりなどない。
大体、この島の翻訳機構の恩恵に与っていた。
だから、特に表情や声の調子を変えることのないまま、「いつも通りに」淡々と返す。
「………"あなた方"の存在が既に興味深いものではございますし、あえて語るほどのことではありませんわね」
"この手の輩"にタネを割る気もなく。
ただ、気配の「奇形」に気付いていることを間接的に示す。
■ルギウス > 「人の理で扱う技術でなら、そうでしょうねぇ。
洗練された数式はある種の美を想起させます」
くつくつと笑う。
黒い球体はあらかた食事を終えたのか、再び影に沈んでいく。
「しかしながら、伝統魔術は理論だけではない何かがあります。
血生臭いモノが大変に多いですからねぇ。
マナに呼びかけ現象を起こすだけなはずなのに。
そうそう、伝統魔術と言えば……面白い魔術がありましてねぇ。
ブルハと呼ばれる魔女の業なのですが」
■クローデット > 「…随分と、「黒魔術」に偏ったお話をなさいますのね?」
特に表情を変えるでもなく、首だけを傾げてみせる。
「あたくし、得手とするのは属性魔術と白魔術、それに錬金術ですので…
そういった血腥い術式には、さほど詳しくありませんの。
…一応、聞くだけは聞いておきましょうか」
羽根扇子で口元を隠したまま、そう応じた。
■ルギウス > 「そも、魔術とは得体の知れない技術の総称でしたからねぇ。
それを最も色濃く反映しているのが『黒魔術』でしょう?
はっきりと属性がわかるわけでもなく。
科学の礎にもなった積み重ねの理論でもない。
あやふやで、不可思議で、理不尽で、得体が知れない」
大袈裟に身振り手振りを用いる。
ここが己の舞台であると誇示するように。
「かの魔女は……死ぬことがなかったそうです。
胸を一突きにされても、血が一滴も流れ落ちずにけたたましく笑ったとか。
……なんでも、心臓を取り出して別の場所に隠してしまったそうですよ」
司祭は語る。
命を司る心臓さえ無事ならば、体はいくら傷ついたとしても無事なのだと。
世界が、死を認識しなくなるのだと。
可能だとすれば、なんというペテンだろうか。
「ブラハは、トランプのハートのAに心臓を隠したそうですがねぇ。
さて、この秘儀が今もなお現存しているかどうかは……?」
楽しそうに男は笑う。
■クローデット > 「…最近の魔術師の「トレンド」ではありませんわね?」
大げさな身振り手振りで『黒魔術』を語る相手に対し、冷ややかな視線を向けて。
実際、魔術が「復活」した後は、この学園ほど充実していることは稀とはいえ、島の外でも魔術が学ばれており…当然、体系だったものが主流なのだ。
「………流石に、「ヒト」をやすやすと逸脱するような術は、あたくしの望むところではございませんわね。
「新たな着想」の種くらいには、なるかもしれませんが」
楽しそうな男と対照的に、クローデットの視線はどんどん温度を下げていく。
「異能者(バケモノ)」と違う、体系だった、学びを望む者を拒まない姿勢が、クローデットの矜持だからだ。
■ルギウス > 「魔術師のトレンドだなんてナンセンスですねぇ」
ちちち と指を振る。
「科学も魔術も、不死は一つの到達点でしょうに。
それらが一般化してしまえば……貴女の言う「ヒト」は少数派になるのでしょうねぇ。
魔術の中でも異端となるなら……どこまでも細分化して排除して排除して排除して。
貴女以外に誰も居ない世界を作るしかないですねぇ?」
くくくと笑う。
どこまでも楽しそうに。
「では、私はこの辺で……次は違う色の貴女に逢いたいものですねぇ」
舞台役者のような一礼をすれば、スポットライトが落ちるように。
男の姿は掻き消えた。
■クローデット > 「一つの到達点なのは否定致しませんけれど…
「不死」が、「ヒト」を幸せにするとは限らないのではありませんか?」
冷静な瞳で軽く肩を竦め…男の姿が消えた後の場所を見つめる。
…しかし、そうしていたのは少しの間。
「…まあ、参考程度には致しましょう。
同じような原理で、役に立ちそうな別の術系統が存在すれば良いのですが」
くるりとその身を翻したクローデットは、街の方…図書館に足を向ける。
その姿は、いつの間にか転移荒野から消えていた。
ご案内:「転移荒野」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からルギウスさんが去りました。