2017/07/31 のログ
ご案内:「転移荒野」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > 陽が陰りつつある時刻。転移荒野の片隅の荒れ地。
その一角は、物々しい様相を呈していた。
魔術防御術式により張られた(ただし、特定の魔術系パラメータだけは透過するように仕組まれた)結界。
その周辺を回遊する、2mを超える大きさの「魚」二尾。
………それらの中央に位置する機械と、その上に乗せられたカメラ。
「………これで、良しと」
昨年の夏に行ったのと、同様の実地試験。
その準備を終えて、クローデットは満足げに息を吐いた。
■クローデット > 素性が断定されることがなければ、今度の春にはこの島を去る。
この実験とその報告は、クローデットがこの島で過ごした、「表」の方の集大成となるだろう。
無論、技術も理論も進歩していくものではあるが…実用目的ならば、「大衆化」とでも言うべき方向性にも、意義はあるはずだ。
(………わたしの技術を、理論を………「人々」はどう使うのでしょう?
あるいは、「封印」を試みるでしょうか?)
この学園を卒業して、どうするかは決めていない。
…分かっているのは、かつてこの手を血で汚し…そして、今はそれに躊躇いを覚える自分に、安息の場はないだろうということ。
■クローデット > 後悔しても、全てが遅い。
その念を隠して、クローデットは「ガーディアン」たる魚達を、優しい微笑みで寄せた。
「…『わたし以外の近づくものを皆斬りなさい』。
わたしの研究を…どうか、よろしくお願い致します」
魔術的な印を複数刻む。彼らの生命活動の危機をクローデットに知らせるものと…オーソドックスな防御術式。
食事はだいぶ普通に摂れるようになってきたが、まだ調子は万全とは言えない。
多少の遅れをカバーするための…そして、彼らの命を守りやすくするための配慮だった。
…そのような配慮を加えるようになり、かつてのような「排除」には躊躇するようになっても、自らの探究の障害になりうるものに与える容赦はないらしい。
■クローデット > 今まで信じていた「世界」が崩れて、見えた世界は戸惑いに満ちていた。
変わらなかったのは、知識を得、考えを深める楽しみ。自らの手で、何かを作り上げる充実感。
「世界」が崩れてなお変わらぬ楽しみを、いつまで味わっていられるかは分からない。
きっと、戸惑いの中で新たな道を探す猶予などないだろう。
(…それでも、出来るだけのことをしなければ…)
一つは、手元の研究を一定の形にすること。
もう一つは…。
(………改めて、彼ともお話をしなければなりませんわね)
再度機械の周辺の回遊を始めた魚達を見やってから…クローデットは、転移荒野を後にした。
ご案内:「転移荒野」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にクローデットさんが現れました。
ご案内:「転移荒野」からクローデットさんが去りました。