2017/09/02 のログ
ご案内:「転移荒野」に藤巳 陽菜さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」に暁 名無さんが現れました。
藤巳 陽菜 > 鬱蒼と茂った森、本土では見たことない植物や小動物の姿が見える。
…かと思えば切って張り付けたかのように続くのは植物のない赤土の荒野。
まるで寝ぼけながらマップチップを置いたみたいにとりとめのない地形。

─ここは転移荒野異世界から様々なものが転移してくる場所。

そんな場所を行く二つの人影があった。
いや、正確に言えば一人は人の形をしていない。
蛇の下半身を持つ女の姿、いわゆるラミアと呼ばれるものに近しい。

ただし、着ている服は至って普通の物で夏っぽい薄い空色のワンピースに麦わら帽子、大きめのリュックサック。
そして、童話の魔女が持つような杖を片手に握っていた。

「結構たくさん見つかりましたね魔術の材料!
 途中色々ありましたけど…。」

どうやら、何かを探しに出かけた帰り道のようだった。
…この材料を手に入れる途中に様々な本当に様々な出来事があったがそれを何とか二人で乗り越えてきたのだ。
いや、本当に大冒険だった。

「ところで先生?そろそろお腹空きませんか?空きましたよね?」

暁 名無 > 疑似ラミアの少女の付添として転移荒野にやって来た俺は、それはもう様々な困難に直面しどうにかそれを切り抜けてきた。
何しろ今回の転移荒野行きを提案した藤巳は服装からしてピクニック気分に片足を突っ込んでいる。
再三の説明にも関わらず、結局楽しいアウトドア気分は抜けきらなかったようだった。

そのお陰で直面したアクシデントも、基本的に俺がどうにかしてきた気がする。
うん、もう授業以外で生徒を此処に連れて来ないぞぅ。

「まあ本当に色々あったけどな……
 あ?腹?……ああ、うん。減ったと言えば減ったな。」

それよりも疲れた。
しかし生徒の手前、そんな事を口には出来ないのである。
いや、でも、これが男子生徒だったら即行担いで歩かせるくらいの弱音は吐くかもしれない。ていうか吐く。

藤巳 陽菜 > …確かに陽菜はピクニック気分だった。
だが、いつもより早い朝から起きてみたこともないような場所に出かけるのだ。
そのワクワク感から多少、小動物に目を奪われてはぐれそうになったり崖から落ちそうになったぐらいは仕方ない事だろう。

「じゃあ、そろそろ休憩にしませんか?私もお腹空きましたし…。
 そことか丁度いい感じに開けてますし、そこで休みましょう!」

陽菜も教師と同じように何回も危険な目にあったというのにどこ吹く風で
返事を聞く前にリュックから取り出したレジャーシートを広げ始める。
この教師が大抵解決してくれたというのもあるが起こる出来事突拍子もなさ過ぎて現実感を持てないというのが大きかった。

「今日は特に頑張ってつくってきましたからね凄く疲れましたよ。」

そんな風に楽し気に言いながらリュックサックの大部分を占めてた弁当箱を取り出す。
…幸い周囲に生き物の気配はないようだ。

暁 名無 > 「休憩か、異議なーし。
 思ってたより暑くは無いけど、あんまり歩き詰めも疲れるしな。」

藤巳の提案に賛成してから周囲の気配を窺う。
うん、近くに危険な生物は居なさそうだ。小一時間の休憩なら問題無いだろう。

「楽しんでるようで何よりだよ。
 ていうかそんなに作って来たのか……。」

やたら大荷物だと思ったらほとんどが弁当だった。
藤巳の食事量が増えてるというのは聞いていたが、改めて確認すると圧倒される。
蛇体の維持にも必要だからなのだろうが、余剰エネルギーで人間体の方も成長しそゲフゲフ。

藤巳 陽菜 > 「ええ、今日は涼しくて良かったです。」

…この身体での移動は意外と疲れない。
二足歩行だった時より少ない動きで動いているからだろうか構成する筋肉の問題かは知らないけども…。

「普段学校に持って行ってるのと量的には同じですよ?
 今回は先生のと弁当分けてないですけど。」

大きめの弁当箱が三段に普通のサイズの弁当箱が一つ。
普通サイズの方は教師も見覚えがあるいつもの弁当箱だ。

レジャーシートの真ん中に弁当を置いて広げる。
二つにはおにぎりが詰まっている。一つにはからあげとそして卵焼きが半分ずつ。
そして最後の一つはリンゴやオレンジ、果物がぎっしりと入っていたりんごは当然ウサギ型だ!
それにしても普段にもまして野菜の割合が少ない…。

「はい、どうぞ遠慮せず食べてくださいね!」

そう言って、おしぼりと割りばしそして、麦茶の入った紙コップを渡す。
その様子はどこからみても完璧にピクニックだった。

暁 名無 > 「そだねぇー……」

確かに気候は一貫して涼しかったが、こちらは冷や汗を大量に掻いた所為で背中が少し気色悪い。
まあそんな事はおくびにも出さずに何食わぬ顔でレジャーシートに腰を下ろす。

目の前に広げられた二人前とは到底思えない量の弁当を見てから、これが藤巳の普段の量だという事を知らされると軽く目眩がした。
それにしても本気でピクニック用の弁当を拵えて来ました感が凄まじい。
まあ、変に危ない目に遭ってトラウマ植え付けるよりは遥かにマシなんだけど……

「はぁ。
 よっし、じゃあ食おうか。藤巳としては殆どこっちがメインみたいなもんなんだろ?」

紙コップを受け取ってから、朝から思っていた事を訊いてみる。

藤巳 陽菜 > 「…そんな事ないですよ!
 弁当なんてこんなとこまで来なくても食べれますし…。
 それじゃあ、まるで…」

(まるで、暁先生と一緒にご飯食べたかったからにここまで来たみたいじゃない…)

そんな事はない。いや、どんな感じでご飯食べてるのかは気になっていたからない事は無いのかな?
でも、そんな事は言えない。いつもみたいに軽い調子でおちょくられるに決まってる。
そうなったらなんか…なんか恥ずかしい。

「…まるで、私が食いしん坊みたいじゃないですか。
 悔しい事に間違ってはないんですけど…。」

…そこから出てきたのはそんな言葉。
そんな言葉をいいながら身体は空腹に抗えずにおにぎりに手を伸ばす。
…これは昆布だ。他にもおかかとシーチキンと梅がある。

「間違ってはないんですけど!」

二つ目のおにぎりを手に持って泣きそうな顔で言う。

暁 名無 > 「まあ、それもそうだな。
 それにしても随分気合い入れて作って来てるじゃないか。
 だいぶ作れる料理の種類も増えて来たみたいだし、うんうん良い事じゃねえの。」

フルーツに手を伸ばしつつ俺は素直に感心した。
煮物で埋まっていた頃が懐かしい。あれからまだ2ヶ月くらいしか経ってないと思ったけど、子供の成長というのは著しいもんだ。

「ははっ、まあこれだけでも来た甲斐があったってもんだな。
 藤巳のレアな私服姿も見れた事だし。前にあんなこと言っといて、結構可愛い服持ってるんじゃねーか。
 似合ってる似合ってる。」

泣きそうな顔の藤巳を励ますというわけでもないが、そんな感想を伝えてみる。
制服が似合わないと言うわけではもちろん無いが、何と言うか、こう、新鮮さがある。

藤巳 陽菜 > 「今日はあまり種類ないですけど大分レパートリーも増えましたよ。
 洋風のも作れるようになってきましたし。
 まだ、創作料理はちょっとあれですけど…。」

そう洋風のレパートリーも増えた。
例えばフライとかフリッターとかピカタとかムニエルとか。
…そう色々だ。色々増えたのだ。

「…一昨日買ったんですよ。
 いや、あの…セールだったんですよ!
 まあ、似合ってるって言ってくれたんなら買えて良かったです。」

一昨日買ったとか言ったらまるで今日の為に買ってきたように聞こえてしまうかもしれない。
しかし、特にそんな事は無く夏物がセールで安くなっていたのを買っただけだときちんと説明する。

「唐揚げも食べてみてくださいよ。リンゴなんて誰が切っても味同じですよ。」

そう言いながら唐揚げの入った箱を寄せる。
少し、ニンニクとそして生姜の匂いもするかもしれない。

暁 名無 > 「まあ、こんだけ作れりゃ十分だとは思うけどな。
 じゃあ二学期の弁当は更に期待してて良いわけだ。」

どうせ材料費は出してるのだから少しくらい過度な期待を寄せても構わないだろう。
いや、でもそれで学業とかがおろそかにはならないで欲しいけども!

「まあ、そろそろ夏物は在庫処分の時期だろうしな。
 しっかしさっきから変に突っかかってくる物言いだな、少し浮かれすぎてるんじゃないか?」

いちいち言い訳のような説明が加わって来るのが面白い。
少しばかり藤巳のテンションが心配になるが、もういちいち気にしてても仕方ないのかもしれない。今日の件で思い知った。
一度舞い上がるとなかなか降りてこないタイプなのだろう、藤巳は。

「はいはい、今食うよ。
 どれどれ、……うん、美味い。」

少し冷めてしまっているのが勿体無い気もしたが、それでも十二分に美味い。
藤巳の努力が感じられるというか、そういう美味しさだ。

藤巳 陽菜 > 「いえ、私なんてまだまだです。
 ですから、期待は控えめでお願いします。」

あんまり、期待はしないで欲しい。
あくまで練習として食べて貰ってる訳だし。
多少の失敗も多めに見て欲しい…。

「浮かれてなんか…。
 いや、ちょっと浮かれてたかもしれません…。
 ごめんなさい。」

指摘されれば自分が普段と違う環境で舞い上がっていた事を自覚する。
非現実的な場所、まるでテーマパークのよう。
途中の危険もアトラクションみたいなもの危機感は無かった。
付いてきている教師としてはあまり良い思いはしないだろう。
そんな、反省の途中で不自然に揺れる茂み。

「!…先生。あの茂み動きました何かいませんか…?」

…辺りから微かに漂う獣臭。
どうやら、何かが潜んでいるのはあの茂みだけではなさそうだ。