2018/03/19 のログ
ご案内:「遺跡群」にモルガーナさんが現れました。
モルガーナ > 遺跡群の一角に紫の閃光が走る。
その場所には巨大な魔方陣が浮かんでいた。
それは時計の針が進むかのように円弧を描き、
完成と共に一際強く輝いた。

それが合図であったかのように魔方陣の下にある巨石群が
砂のように微塵に分解され
祭事場のような形へと再構成される。
魔術に詳しいものが見ればそれが術場……
封印等の際に祭壇などをその場に構成する物と
近似している術式である事に気が付いただろう。

構成された祭事場は供物台を中央に擁し
その十二方を龍の石像に囲まれている。
龍の石像はそれぞれ特徴的な拳ほどの宝石が嵌められており
真ん中の供物台へと光を投げかけていた。

と、それらに同時に罅が入る。
それらは砕け散ると共に宙を舞い、幾重もの円を
供物台へと重ねるように描く。

モルガーナ > 次の瞬間魔方陣の中心を貫き
流星の如く紅蓮の塊が祭壇へと落ちていく。
叩きつけられた業炎は周囲を舐め、
一瞬にしてその周辺は紅蓮の炎に包まれる。
宝石のはまっていた龍の像も例外ではなく
紅蓮の衝撃に粉微塵に砕け、その破片もまたその熱により溶けていく。

舞い上がる砂埃とそれを飲み込まんとした炎が収まった後、
供物台には一つの人影と、その腹部を貫くように
光り輝く一振りの剣が突き刺さっていた。
その人影はボロボロの戦装束を身に纏い、けれどそれらも先ほどの衝撃と
その身に纏う炎の影響で殆ど燃え尽きている。

モルガーナ > 供物の如く台に横たわっていたその人影の腕がピクリと動いた。
それはゆっくり瞳を開くと鈍重な動きで腕を持ち上げ、自身の腹部を貫く剣を掴むと

「が……ぁあぁぁぁっ!」

その細い体に似合わない咆哮のような声を響かせながら
ゆっくりと剣を台座から、己が体から引き抜いていく。
抵抗するがごとく、剣から雷が迸り、既に傷だらけの体を焼いていくも
それに構う事なく剣を引き抜き、投げ捨てた。
投げ捨てられた剣は光を失い、からんと軽い音と共に地面へと転がり滑っていく。
それを確認するように横眼で眺め、投げ捨てた手から再び力が抜ける。

「……いかん。流石にこれはしばらく動けん……。
 妾がこの様とは……やってくれたな。あの古蜥蜴共が。」

口の端から零れる鮮血と共に呟くような声が漏れた。
相変わらず上空には魔方陣が浮かび、供物台の上の贄を照らしている。
その向こうに見える星空に揺らぐ視線が一瞬焦点を結んだ。

モルガーナ >   
「此処は……何処じゃ
 妾は……何処に飛ばされた?」

朦朧とする意識の最中、それらを美しいと思う。
こんなにも星が近い場所がどこかあっただろうか。
いや、そもそも同じ世界かすら定かではない。

(いかん、このままでは追撃が来る)

それを見つめていれば、楽になるだろうか。
一瞬そんな事を考え手放しそうになった意識を奮い立たせる。
目の前の術式は封印対象を強制的にしばりつけた後、
復帰できないように追撃の一撃を叩き込むというもの。
既に魔方陣のそこかしこに先ほど引き抜いた剣と同じものが浮かび
その切っ先を此方に定めている。
このまま横たわっていれば、全身を無数の剣に串刺しにされる。
そうなれば

「……はは、流石に昼寝から起きるのに骨が折れそう、じゃの」

星々を騙るかの如く煌めく無数の切っ先の前に
乾いた笑いが口の端から漏れた。

モルガーナ > 発動まであと数秒。
少し前までであれば回避するに十分な時間。
けれど、今となっては短すぎる時間。

「……煩い、雑兵如きが」

ゆっくりと血に濡れた上体を起こすと瞳を閉じ、時を待つ。
今の体では自力で範囲外に逃げる事は不可能。
ゆっくりと息をし、呼吸を整える。
傍から見れば諦め、受け入れたように見えるかもしれない。

モルガーナ > ――最初の切っ先が空を切る。
それを合図とするかのように無数の剣がその切っ先を向けた対象へと飛翔した。
金色の光を放つそれが残光を伴って振る様はさながら金の雨。
その雨に打ち据えられる寸前、閉じられた瞳が開かれ、
背中の傷だらけの翼が大きく開く。
それと同時に、その口から無音の咆哮が放たれた。

モルガーナ > それを受け空間がぐにゃりと大きく歪む。
はるか上空の魔方陣の一部すら巻き込んで
見上げた空間がまるで破裂する風船の逆回しのように
コンマ数秒で小さな点まで圧縮され、眩い光球となる。

一瞬の静寂後、周囲に紅蓮の炎をまき散らした。
その勢いは圧縮を免れた他の剣をも弾き飛ばし、
周囲を再び赤い舌で舐めつくしていく。