2018/09/11 のログ
ご案内:「転移荒野」にパンデミック(アースドリルサイカニア)さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」にイレイスさんが現れました。
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 転移荒野に出現した超大型パンデミック、ワイバーン型に編成された、
風紀公安その他までを寄せ集めた討伐部隊。
それらの多くは飛行目標に絶大な攻撃力を持つ精鋭部隊だった。
にもかかわらず、それは未だにワイバーンの討伐の成果を上げないでいた。
その理由を作った一端こそが、コイツ―――。
「ウゥウゥ…ウゴゴゴゴ…」
地中と地上を行き交う、ある異世界の古い古い昔の時代―――、
陸棲生物の王者として名を馳せたと知られる…アースドリル・サイカニア。
二足歩行で、5mの巨躯。馬鹿みたいな重さは見るからに伝わろう。
そしてなにより、両手両足の指先はドリルそのものであり、
更に背中にはドリルの針の山。全身は鋼鉄の様な光沢の皮膚。
それが血の様に深紅一色に染まっている。
一目でパンデミックに感染していると分かるくらい、赤く…そして、
腹部には大穴が空いている。恐らく、これで一度死んだのだろう。
オデコの天辺には角の代わりか3本のドリルが生えており、
その真ん中のドリルが最も凶悪に見える。
対空部隊に狙ったかの様に出現したこの陸上兵器、アースドリルサイカニア、
ことドリル恐竜は、あまりにも彼等と相性が悪かった。
そして、更に悪い事に、このアースドリルサイカニアは、
徐々に討伐部隊の前線基地を目指すように歩き出しているのだ―――!
■イレイス >
近場で電波を傍受(違法)していた時。
風紀公安の精鋭部隊のとんでもない状態を聞いた。
怪獣が出ただぁ? 全く、ワニの次は怪獣とは。
アーマード・ヒーローの仕事でもない。
でも、できるのにやらなかったら後悔する。
舌打ちをしながら荒野にバイクを走らせる。
走りながら腰に変身アイテムを叩きつけると、腰を一回りしてベルトになる。
無駄? こういうのを様式美っつーんだよ。
「変身!」
全身を緑の装甲で鎧(よろ)う。
外装甲の各所を赤いエネルギーラインが走り、アーマード・ヒーロー『イレイス』の完成だ。
《Joint on!》
電子音声が変身終了を知らせてくれる。
エネルギーが充填されることでカラーリングの変わったバイクを走らせる。
間に合え。
そして遠目からでもはっきり見えるのは、ドリル? の化け物? のゾンビ?
よくわからないデカブツだ。
バイクを滑るように停車させながら、イレイスバレットを撃つ。
次元圧縮された銃弾だが。ワニに効かなかったからこいつにも無駄だろう。
意識をこっちに向けることができれば上々。
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 怪獣。
一言で言えばそうだろう。
ゲームやアニメで出てくる様な、ビルを蹴倒し、巨大な人間と殴り合う、二足歩行の怪獣。
そんな空想上のシロモノがスクリーンから出てきて身体を手に入れた。
「―――ガッ?」
そんな怪獣、アースドリルサイカニアの身体をイレイスの弾丸が叩き込まれる。
硬い装甲に弾かれる音を高鳴らせ、弾丸を弾くが…
「ガゥゥ…!」
そこに生命体がいると知らせるには充分だった。
何故ならパンデミックの行動理念は…
より多くの命を殺し
より多くの仲間を増やす
この二つで出来ているのだから。
そこに殺せる命があるのであれば、殺しにいかない理由がない。
そこに仲間になる候補がいれば、仲間にしに行かない理由がない。
例えその身体が鎧に包まれようと、
中に命を持つ人間がいる事を認めれば、
バイクに乗る彼に向かう。
ズシンッ!ズシンッ!と足音を重苦しく響かせ、荒野の砂を巻き上げながら。
「グバァァァッ!!」
アースドリルサイカニアは6本指の右手をバイクに乗り向かってくる彼に目掛け、
続けざまに指先に映えるドリルを高速回転させて銃弾のお返しを六連射で発射した!
そのドリルは大きく…まして、
バイクに乗り対向するなら、不気味な大きくなっていくように見えるか。
■イレイス >
次元圧縮された銃弾は無駄弾に終わる。
そりゃそうだ。サイズが違いすぎる。
「あ、あらぁー……?」
嫌な汗が出た。
前回も巨大ワニ相手に死に掛けたのと同じパターンだ。
「まぁ……待とうぜ、人間話し合いが大事だと思うなァ」
話を聞いているわけもなく、重低音と共にこちらへ向かってくる怪獣。
や、やべえ。
相手から放たれるは巨大なドリル。
「そんなんアリか!?」
バイクを急発車させて逃げる。
自分がいた場所が、抉れた。文字通りに。
どういうことだよ、威力が違いすぎんだろ。
「くっそー!!」
バイクを走って逃げる前方には、前線基地がある。
あれに乗り込まれたら多くの死者が出る。
覚悟を決める必要が、あった。
「チッ……」
バイクを異世界に格納しながら跳躍、敵の前に立つ。
イレイスバレットを格納して、大剣イレイスブレイドを引き抜く。
こいつは多分、多分……効く。効くと信じさせて。お願いだ。
「来いよ化け物!! 来い来い来い!!」
「死んだデクノボーよ、てめーより穴の開いた鍋のほうが役に立つぜ!!」
「てめーの頭をぶん殴れるからなぁ!!」
挑発に値する言葉を喚き散らしながら敵と基地の間に立つ。
もっとも鍋であの怪獣の頭を殴れたら何なんだ、という意味で無意味な言葉かも知れない。
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 耳の鼓膜が破れそうな破壊音が立て続けに響き渡った。
六発のドリルは当たらないで、地面に突き刺さって掘り込んで穴を開けていく。
その為の道具だから、そうなるのは必然か。
だが、殺意は充分に伝わろう。巻き込まれたら、死ぬ。
そして死んだらこいつの仲間入り。
「がるるる……」
遠いからだろうか、お互いに有効打が出せない。
次元圧縮された弾丸はアースドリルサイカニアの装甲で弾かれ、
ドリルは如何に威力が高くとも、その軌道を見切るのは恐らく容易い。
パンデミックに落ちた者の多くは、
まともな思考を失い、自我を失い、言葉を理解できない。
この怪獣もまた、それは同じだ。
「ガルルルル……!!」
しかし、前線基地への移動を阻む生命体。
殺す理由は言葉がなくとも、既に充分すぎていた。
彼の大剣の用意を見て意図したのか、アースドリルサイカニアは、
カチャカチャと金属音を鳴らして…
飛んでいった右手の指先のドリルを装弾―――にゅっと生える様に指先に新たに生み出した。
「ギュルルルルッ…!」
次は足の指のドリルが6本、放たれる。
ドリルは地面を滑るように掘りながら―――地形を削りながら進み、足元を狙う!
■イレイス >
相手の指から放たれたドリルは恐ろしい速度で地面を抉りながら進んでくる。
当たれば脚部破損ってところか……最悪、一生車椅子コースかもな。
もちろんそうなればパンデミックの仲間入りなので意味のない仮定だ。
大きく跳躍する。
自分がいた場所が粉砕される恐怖。
無駄なスリルと、正義を契っている高揚感。
「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」
叫びながら相手の、人間で言えば右手の部分にイレイスブレイドを薙ぎ払った。
横一文字の剣閃。
使うことになるんだったら、こいつもオリハルコンで強化しとくんだったと後悔が過ぎる。
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 「ギュイッ?!」
予想外の運動速度。
飛び、跳ねる、斬り裂く。無駄のない動きに、イレイスブレイドが―――
「ギュアオオオオッッ!!!」
しかし、そのまま一撃を入れる事は許さぬと言いたげに、アースドリルサイカニアは、
それ自身がドリルであるかの様にグルンッ!と風を巻き起こし回転、そして―――
ガァンッ!とイレイスブレイドめがけ、
ドリル状に螺旋を作る尻尾を叩き付けて、
自らを真っ二つにせんと横薙ぎするその勢いを殺そうとする!
しかし、巨大ワニをも切り裂くイレイスブレイド!
それは強化されていない今でさえ十二分の威力を発揮して、
どうあっても、怪獣の尻尾はこのつばぜり合いで叩き落とされる。
■イレイス >
「!!」
鍔迫り合いの段階にあって、相手の攻撃力の程を知る。
凄まじい。回転する暴力は、特殊合金製のイレイスブレイドを削り取っていく。
「うっ……おおおおおおおおおおおおぉぉ!!」
そのまま尻尾を斬り飛ばすも、螺旋の力に全身の装甲を削り取られてしまった。
恐ろしい強さだ。ある意味で光学兵器を使うワニよりぶっとんでる。
「うわぁ!?」
全身から火花を散らしながら敵の前に着地する。
イレイスブレイドはあちこち刃毀れしている。
一瞬、撤退を考えた。
後方にいる人が何人死のうが知ったことじゃないと。
『おい、何があった!?』
その時、後方から警戒しながら前進してきた基地の人間に声をかけられる。
火器を持った、風紀。
相手にとっては自分も異能犯罪者を私刑にかける罪人。
それでも。
「来んな!!」
拒絶の言葉を吐き、異能で異世界から腕時計型ガジェットを取り出す。
「こいつは俺がやる……変身!!」
外装甲の上から腕時計型ガジェットを装着し、ボタンを押す。
全身の装甲が塗装される前のオリハルコン合金、その灰銀に入れ替わっていく。
《Disaster on!!》
重厚に組み上げられたオリハルコン装甲。
特殊人口筋肉によりパンプアップされたシルエット。
ノーマルイレイスより凶悪な面構え。
これが。これこそが。
「ディザスターイレイス……プロトタイプだ!!」
相手に向かって殆ど加速に近い疾駆をしながら、右拳を叩き付けた。
それは圧倒的破壊の力を秘めた剛打!
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 火花が散り、全身が揺れる。
…たった一人の小さな人間が、この怪獣のドリルにその揺れを耐えきった。
ドリルはしかし、イレイスブレイドを完全に破損させるには至らない。
回る尻尾は、千切り取られ…
鎧とイレイスブレイドも散っていく…
鉄粉と煙のにおいが立ち込める。
「ガァァァァァッッッ!!!!?」
「グオオオオオッ!!!」
言葉でも怒らず、攻撃の挑発でも怒らなかった。
だが、アースドリルサイカニアは、尻尾を切られて…怒った。
この種族に於いての尻尾のドリルは、種族としての誇りの一つだ。自分は強い者だと知らしめるための。
例えるなら…そう、侍のマゲのようなもの。
パンデミックと化しながら、生命体としてあった時に残った、
潜在的な意識は、パンデミックの狂気を越えて、純粋に目の前のイレイスを殺戮したいと憤った!
それはもう、他所から来た風紀委員になど目もくれなかった。
「ギュイイイギュウイイギィイイイイイッッッ!!!」
両手に生やしたドリルは針地獄を思わせよう。
その両手の指を回転させ、ディザスターイレイスの拳を迎え撃つ!
「ガアァァァァァァアアァァア!!!!」
だが、その抵抗は意味を成さず…
オリハルコンの強化装甲の拳はドリルの12本指の回転を制し、叩き折った!
更に、勢いを殺しきれないアースドリルサイカニアは、仰向けにひっくり返っていく―――!
■イレイス >
「ヘヘッ、そうだ!! 怒れ!! てめーの相手は、俺だ!!」
相手の指のドリルを叩き折って殴りつける。
それだけだ、それだけで威力にして十分。
だがセンサーにレッドアラートが鳴り響く。
さすがにテストなしで実戦は無理があったか、あちこちの人口筋肉に一撃でガタが来たようだ。
「う……ごけええええええええええぇ!!!」
吼えながら跳躍する。
ひっくり返った怪獣に向け、上空から蹴りを放つ。
マフラー部分が燃え上がり、推進力を生み出す。
イレイスの必殺キック、パニッシュメントXだ。
「うおらあああああああああああぁ!!!」
叫びながら仰向けになった相手にオリハルコン合金の脚部による蹴りを放つ。
当たれば衝撃で地面にX字の亀裂が入る。
しかし、試運転なしの一発勝負。どうなるかはわからない。
■パンデミック(アースドリルサイカニア) > 「ガァァァァァッッッ!!!」
「グルルルルルルルルルッッ!!!」
「ギュィイイイイイオアァァァァァアアァァァァァァッッッッ――――!!!」
アースドリルサイカニアは、本気の怒りを感じていた。
そう、今なら本能的に、自分の敵はコイツだと認識しているに違いなかろう。
地面が震えて心臓が潰えそうな程の歪な死者の絶叫。
その後、仰向けに倒れかかった身体に全力で無理をする!
横型のスピンを始める!
アースドリルサイカニアは、自分自身をドリルにし始めたのだ―――!
圧倒的広範囲、怪獣全ての体重を以ってする巨大威力。
荒野の砂の大嵐を巻き起こしながらの、大回転で、イレイスのキックへと爆進するッ!
オリハルコンの理不尽な硬度を押しのけんと、巨大ドリルが突き刺さる!
飛び散る火花の量は尋常ではなく、どんどん摩擦熱が溜まっていく!
熱で溶けるのは恐らく、パンデミックのドリルが先…!だが、それでもその身を賭してオリハルコンを削らんと回転をやめない!
一進一退の押し合い―――!
しかし、それは時間にすれば僅か3秒もない間の事―――!
「ギャオンッ!!!?」
ドリルは、押し負けた。
アースドリルサイカニアの誇りのもう一つは、頭の天辺の角。
それを、捻じ伏せられて、Xの字の損傷を、腹部の穴から広げて作られた。
パンデミックの破壊体の下、パニッシュメントXにより、転移荒野の地面は、
アースドリルサイカニアを貫き見事にクロスの亀裂を描いた。
そこには4つに分けられ武器と誇りを失った、
古い時代の陸地の王者の赤い亡骸が残った―――。
■イレイス >
怪獣は、スピンを始めた。
そりゃ強いさ。あの重量で、あのパワーで、あのサイズで、あのフォルムで!!
回転を始めれば死を覚悟もする!!
キックと巨大ドリルとの拮抗、自分の足がまだあるか確認する暇もない攻防ッ!!
だが、だが!!
「正義の味方を舐めんじゃねぇー!!!」
押し切る、そして穿つッ!!
巨大パンデミックを倒し、蹴りは相手を物言わぬ屍に変えた。
「よし……!!」
着地と同時に振り返り、風紀委員に一方的に告げる。
「こいつの後始末は任せたぜ」
そう外部スピーカーの歪んだ声で言い放ちながら、立ち去っていく。
その時。
右足の人口筋肉が勝手に収縮して転んだ。
「いて! くそっ……」
腕時計型ガジェット、ディザスターウォッチを外しながら。
「かっこつかねぇなぁ……」
通常のイレイスに戻り、バイクを取り出すと転移荒野を横切るように走っていった。
ご案内:「転移荒野」からパンデミック(アースドリルサイカニア)さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からイレイスさんが去りました。