2018/09/13 のログ
ご案内:「転移荒野」にニコラスさんが現れました。
■ニコラス >
(今現在この島を襲っている怪異――パンデミックは落第街だけの話ではない。
むしろ本来はこちら側で起こった事件が落第街になだれ込んだと言う形だと聞いた。
――のだが。)
なんにも見つかんねぇな……。
(見渡す限り一面の荒野。
考えてみれば当然といえば当然だろう。
パンデミックとなりうる生き物が落第街ほどいるわけでもないし、大量発生したってこの見晴らしだ。
更に周囲の被害を気にしなくていいのであれば、あちらよりも処理は楽なのだろう。
先日発生した親玉らしき個体もどこぞのヒーローが見事撃破したらしいし。)
■ニコラス >
(足を止めて地面の様子を探る。
と言っても広い荒野だ、獣道なんてあってないようなものだし、特に何か劇的な発見があるわけでもない。
それでも、見えてくるものはある。
ぼんやりとだが、ここ数日の人や動物の往来が激しいらしいということが。)
それが異常かどうかは、わかんねーけどさ。
(思わず独り言。
自分のフィールドはどちらかと言えば森だ。
荒野のことはあまりわからないし、この多い往来が何を意味しているのかも、それが普段通りなのかどうかすら。)
ご案内:「転移荒野」に竹村浩二さんが現れました。
■竹村浩二 >
バイクで転移荒野を走りながら、ふと人影を見つけて近づいていく。
彼の近くに砂埃を立てないように気をつけながらバイクから降りる。
「よぉ、青年! ここは危ないぜぇ、フィールドワークかい?」
軽佻浮薄な様子で手をひらひら振って声をかける。
防塵マスクを外してくああと欠伸をした。
「赤いゾンビ騒ぎの飛竜とか怪獣が出るらしい。あんまり長居するとバクーッといかれるぜぇ」
■ニコラス >
(地面にはいつくばってわさわさやっていれば、背後から爆音。
顔を上げればバイクに乗った男性がいた。)
あー、まぁそんなとこっす。
(砂塵対策で口元まで上げていたマントを下げ、立ち上がって返答。)
一応警戒はしてるし、見晴らしもいいし。
大丈夫だと。
(あたりを見回しても犬一匹すらいない。
魔獣の一頭ぐらい見つかってもよさそうだが、やはり警戒して縄張りに引きこもっているのだろうか。)
■竹村浩二 >
見れば引き締まった体に長身の方でらっしゃる。
心配は無用かな、と思いながらも顎をぽりぽりと掻く。
「そうかい? っていうか、学校で見たことあるな君……」
「俺は常世学園の用務員の竹村浩二だ」
弓?を指差して笑う。
「まさか一狩りいこうぜ!ってノリできたわけじゃないよな?」
軽い調子でバイクに腰掛けて肩を竦めた。
「最近も風紀の基地にドリル怪獣が来たって噂だ、5メートルくらいの」
「あんた、強いのかい?」
■ニコラス >
あ、あー、ニコラス・アルヴィン、二年、っす。
(いまだに敬語というやつが慣れない。
向こうではそんな文化はなかったし、上級生でも年下とかいるからあまりこだわる人もいなかったけれど、学校側の人となると話は別だろう。)
危ないやつ見付けたら狩っとこうとは思った――ですけど。
とりあえずの目標は慣れること、かな――です。
(怪しい敬語。
一応風紀からの仕事を受けることもあるのだし、その時にわかりませんじゃ話にならないから。)
い――やぁ、どうだろ。
ここのレベルじゃ中の下ってとこじゃねーかな。
(困ったように後頭部を掻きながら。
あの異名は恥ずかしくて口にできるわけがない。)
■竹村浩二 >
「ニコラス・アルヴィン君ね、オーケーオーケー、よろしくよろしく」
軽い調子で手をパンと合わせて、ポケットから煙草を取り出す。
ライターをカチ、カチ。あいにくと風が強くて火がつかない。
「慣れることか……かー、若者だねぇ、才気溌剌ってカンジの」
煙草をくわえたままテキトーに喋る。
なんとなくだが、彼は外にいること自体に慣れてる気がした。
「中の下でも大したもんだよ、俺なんか下の下の下くらいだ」
「転移荒野バイク横断部の部活動でもなけりゃこんなところ来ねーし」
適当なウソを並べておどけた。
内心では彼が危険に首を突っ込もうとしているなら、何とか帰すつもりだったが。
なんか大丈夫そうだな。立ち方がそれっぽい。
■ニコラス >
(ライターの火が付かないのを見て、指先に魔力を込める。
空中にルーンのような文字を書き、指を鳴らせば火が付いた。
それを彼の前へ。)
あ、はは。
まぁ、癖みたいなもんだけど。
(そんなに才能にあふれているとも思えない。
だからこそこうしてフィールドワークにいそしんでいるのだ。
乾いた笑いを浮かべる。)
え。
いやそんなこと、ないよな――ですよね?
コージ――あー、さん、結構動けそうに見えるけど。
(何か理由があったわけじゃない。
ただ、彼の姿勢やらなんやらを見て、何となくそう思っただけ。
不思議そうに顔をかしげて。)
■竹村浩二 >
指先についた火をもらって煙草を吸う。
肺腑に紫煙を送り込んで鼻から吹いた。
「センキュー、あ、敬語はいいぜ?」
「ウダツの上がらない用務員相手に気を使うこともねーだろ、何より慣れてなさそーだし」
動けそう、と聞くと目を細めて。
相手の人を見る眼がなかなかのものであることを内心で褒めた。
「マージでー? そう見えちゃう? 中年太りに備えてジムに通ってんだよねぇー」
「でも俺もひょっとしたら鍛えてるうちにタツジンになっちゃったかぁ?」
カラカラと笑って煙草を吸う。
携帯灰皿に灰を落とし、上機嫌に語った。
「最近、変な噂多いねぇ。闇の演劇集団フェニーチェの騒ぎが収束したと思ったらゾンビに辻斬りに違反部活での発砲騒ぎ」
「お兄さんはもっと学生には平和に暮らしてほしいよ」
■ニコラス >
あ、助かる。
ケイゴ、ってやつ?
なかなか慣れなくて。
(あっさりとあきらめた。
これから先のことはこれから先の自分に任せることにしよう。
うだつが上がらない、と言う風にはあまり見えなかったけど。)
ジム、うん、いや……あ、ボクシングとか、そっちのジム?
――辻斬り?
(ただ身体を鍛えているような重心の置き方ではない気がする。
かといってセオリーに則ったようなものでもない。
自分と同じように我流が一番近いだろうか。
そうして最後の言葉に反応。
演劇集団とかいうのは聞いたことはないが、自分が来る前ならばわからない。
だがゾンビと並んで語られたそれは聞いたことがない。
若干目付きを鋭くして聞き返す。
発砲騒ぎはいつものことだ。)
■竹村浩二 >
「でしょうー。外国の方にゃ、ちょっと厳しいんだよジャッパニィーズはさぁ」
ニギニギと両手を握る動きで笑う。
「丁寧語だの謙譲語だの言われても日本人の俺でも頭パンクするっての」
顎に指を当てて煙草を吸いながら喋る。
「なんでも女の子が刀と喋りながら襲い掛かってくるらしい」
「そんでまだ捕まってないってさー、怖いねぇ」
「あとは光学レーザーを撃つワニのゾンビが出たとか」
「異能犯罪者を私刑にする正義気取りの特撮ヒーローが出るとか」
「黒い仮面の人斬りに白木拵えの鞘の刀持った無貌の暗殺者」
「何かと物騒だから夜になる前にニコラス君も帰りなよー、マジでー」
紫煙を深く吐き出す。我ながらよく喋る。
■ニコラス >
いやぁ、外国っつーか、もっと外っつーか。
(アイアム異邦人。
外国よりも宇宙よりももっと遠いところから来ました。)
それぞれの意味してるとこはわかるんだけど、それをいざ使おうとすると出て来ないんだよな。
慣れ、なんだろうけど。
(完璧に理解しているわけではないけれど。
それでもいざしゃべろうとすると使い慣れたしゃべり方になってしまう。)
女の子が、刀と喋る?
ヒーローはヒーローだからいいんじゃねーの?
――あ、なんかワニの方は退治されたって聞いたけど。
(妖刀の類だろうか。
ヒーローというのもこの島らしいと言えばらしい。
そしてレーザーワニの方は退治されたという話を聞いたことがあった。)
■竹村浩二 >
もっと外。その言葉が意味するものは。
「ありゃ、異邦人の方でしたぁ? そりゃ大変遠いところからいらっしゃいました」
「言語は慣れだよ慣れ、とはいっても俺も今でも態度が悪いって怒られる立場だけどねー」
両手を広げて会話続行。
「意思を持った妖刀の類じゃねーの? それと喋りながら人を斬る少女ってカンジ?」
「ワニは退治されてたんだ、へー。そりゃ初めて知ったよ」
ヒーローの話になると、表情を僅かに歪めて。
「人を最も残酷にするのは悪じゃなくて正義だ」
遥か遠くを見ながら、言う。
「正義のためなら悪をぶん殴っていいっていうのは、なんか違うよなぁ……」
は、と気付いて煙草を携帯灰皿に押し付けて消して。
「なんか変な話しちゃってゴメンねーニコラス君。そういや野良メイド見たことない?」
「いつでもメイド服着てるカワイ子ちゃんなんだけど。俺の家から逃げちゃって探してんだよねー」
と、二人で写っている笑顔の写真を見せる。
背景は海。楽しかった、春の海……
■ニコラス >
うん、気付いたらこっちにいた。
(比較的寒い十一月だったけれど、真冬じゃなくてよかった。)
ふーん、妖刀と接近戦だと、流石に分が悪そうだな……。
(顎に手を当てて考え込む。
遭遇した時にどう対処するかを考えている。
遭遇しないように、ということは考えない。)
?
正義とか悪とかは難しい問題だとは思うけど、友達が殴られそうになってたり、逆に友達が道を踏み外しそうになってるなら、殴ってでも止めるのは悪いことじゃないと思うけど。
(きょとん、と。
正義を語りながら暴力に頼ることは矛盾しているかもしれないけれど、それで友達を守れるのなら迷う必要がどこにあるのか、と。)
あ、いや……メイド?
いやぁ、メイドって結構どこにでも――は、いないけどさ。
けど、この人は見たことないなぁ。
(本来そうホイホイいていいものじゃないはずなのに、この島では結構割とホイホイ見る。
コスプレなのか本職なのかは知らないけれど。
芸術的な手際で肉を捌くメイドの肉屋、なんて都市伝説も聞いたことがある。
しかしそれはきっとこの人ではないだろう。)
■竹村浩二 >
「そうか……帰りたいかい?」
「実家に執着が薄い俺が言うのもなんだけどね」
「帰るんなら親の顔を忘れないうちがいいだろうさ」
オイオイと両手を前に突き出す動作。
真剣に辻斬りと戦うことをシミュレートしている様子。
「いやいや、普通は怖いねー会いたくないねーで済ますでしょ」
続く彼の言葉は真っ直ぐで。
自分が忘れてしまった、正しさの源流を持っているようで。
正直、直視ができなくて視線を外してしまった。
「あー……そうだな、その通りだ」
「友達、いるのかい? 大事にしときなよ、俺は自慢じゃないが一人もいない」
「昔は四人いたんだが……みーんな出世して縁遠くなっちまった」
話と真意をはぐらかしながら、写真を懐に仕舞う。
「そうか? 野良メイド……見つけたら教えてくれよな」
大きく伸びをして。
「寒いな……」
極端な寒がりの彼は九月にもこうのたまうので。
■ニコラス >
帰りたくないっつったら嘘んなるけど、何となく、帰れねーなってのわかってるし。
それにまぁ、最初から親もいねーしさ。
(孤児院育ちだ、親の顔など最初から知らない。
――忘れたくない人間の顔はあるけれど。)
こっちがそうでも、向こうがそうそは限らないから。
――友達は、俺がそうだと思ってるだけかもしんねーけど、少なくはない、とは思う。
(落第街に立ち入ることも少なくはない。
ならば想定するかしないかが生死を分けることになるから。)
ん、了解。
(確かに、寒い。
もうじき冬が来る。)
■竹村浩二 >
「……俺、さっきから失礼なこと言ってんな…」
ガリガリと頭を掻いて。
「悪い、親の顔なんて言ってさ……すまねー、ごめん、許してくれ」
頭を下げてバイクのイグニッションキーを回す。
「友達、大事にしてやんなよ。あんたいい人だから、怪我なんかしたら心配するぜ?」
バイクをターンして、元来た道を帰っていく。
怪人を轢いても大丈夫な剛性だから悪路・荒野・不整地ごとき走破性で何とかなる。
「んじゃおにーさんは帰るよ、またなニコラス君」
そう言って人差し指と中指を揃えて振り、荒野を走っていった。
ご案内:「転移荒野」から竹村浩二さんが去りました。
■ニコラス >
や、元からいないのと同じだと思ってるし。
別に。
(捨てられた、とも思っていない。
きっと親には親の事情があったのだろう。
この自分の人生を後悔していないので、親にも恨みなんてないし、彼が気にすることでもない。)
――うす。
(彼の言葉に頷きを返し、見送る。
別れのポーズが様になっていてカッコイイ。)
さーて。
俺も頑張りますか。
(口元のマントを引き上げて、再び荒野を歩く。)
ご案内:「転移荒野」からニコラスさんが去りました。