2015/05/31 のログ
ご案内:「青垣山」にクラスカさんが現れました。
クラスカ > (夜の闇から人影が現れた。顔立ちからすると白髪と言うには早すぎる頭髪は、好き勝手に生い茂り視界を邪魔している)
(そんなことにも無頓着な少年は腰を下ろすと、大きな溜息をついた)
……ああ疲れた。相変わらず居住区から離れてるせいで、来るのも一苦労だよ。
クラスカ > (背負っていた布袋の口を開き水筒を取り出すと、蓋を緩めて中身を一気にコップに注ぐ)
(冷水を喉の中に流し込むと、疲労が気持ち回復したような気がしてくるから人間の真理は不思議だ)
(途切れた息を正すことも程々に、布袋に水筒を投げ込むと、腕を中に突っ込んで新たな道具を取り出してくる)
クラスカ > (現れたものは金属製の幅のある刃に柄が設置された武器―ではなく、主に土木作業に使われる用途の所謂ショベル)
確かこの周辺は、まだ調査の手が入っていないんだよね。広大な敷地内なんだから当然か。
(筋力がないのか、不慣れなのか、少年はややおぼつかない手取りで柄に手を添え、握った)
クラスカ > (最初に、刃の先で軽くコツコツと土の表面を叩く)
(ノックに対して帰ってくる返事が水を吸ったような鈍い音ばかりなのは、先日の降雨のためか)
(ぬかるみに足を取られながら、根気強く土壌へのアプローチを続けた)
(無為とも思える作業を続けながら、やがて、ショベルの穂先が大きく凹む箇所を発見する)
クラスカ > 今日はこの辺から、っと!
(構えたショベルを勢いよく振り下ろし、刃の先端を土にめり込ませる)
ぐぬぬぬぬぬぬ……
(体重をかけ、てこの原理で柄を突き刺し持ち上げると、刃の中に収まる程度の泥混じりの土が掻き出された)
(同様の作業を数度続けると、土が運び出された場所には新たに小さなクレーターが発生する)
クラスカ > よし。
(得物を別に持ち変える。ショベルを手放し、片手に収まるスコップでクレーターを更に掘り進もうと試みる)
(一見すると子供が土遊びをしているだけの行為も、本人としては意味を持つのだ)
(勢い良く手を動かしてはいるが、大して土は掘り返されない)
クラスカ > (カチリ。土を掘り進むスコップの刃先が何かを捉えた)
(少年は眼の色を変えると一層握る拳に力を入れ、正体を確かめようとする)
(探し物が見つかるかもしれない、無為だった時間を覆すようなそんな素晴らしい―)
クラスカ > (果たしてそれは)
(ただの拳大の硬石だった。普通の野山にはよくある、地中に埋没しているありふれた)
くのっ!
(怒りに任せて石を放り投げる。夜の青垣山ではすぐに背景に紛れて消失する)
クラスカ > (額に流れる汗を拭うと、手袋に残った泥が少年の顔に化粧を施す)
(そんなことはどこ吹く風で、何かに取りつかれたような瞳は輝きを増していた)
諦めないぞ……折角こんな、金脈にも等しい空間が開放されているんだ。
クラスカ > (青垣山は一般生徒にも立ち入りを制限されていない)
(祭祀の機構のほか、古代の遺跡など数多の発見がされ、最早単なる島の一区画、とは言い難い状態だ)
(山の深奥に巣食うモノは、ヒトを越えたそれ以上の存在であるという噂すらある)
(山間へはかなり人間の手が入ったという話であっても、もしかすると)
(まだ未発見の祭事器、例えば魔道具などが眠っているのではないか)
だからさあ……。
ご案内:「青垣山」に黒谷喜一郎さんが現れました。
クラスカ > (縛られることに飽きていた)
(だから常世島に来た。クラスカはいつだって探している)
(自分の運命を、流れを変えてしまえるような、そんな大きな何かを)
面白いよね、そういうのってさ。
……さ、続き続き。
黒谷喜一郎 > (バイクが走る音を、あなたは聞いたかもしれない。それから程なくして、今度は足音。)
……何か音ォしとったのはこの辺かいな。
(こんな時間に何やっとんやろ、と一人ごちながら、クラスカが居る辺りに近付いてくる男が一人。かん、かつん、とこんな夜に、山から妙な音が聞こえたのだ。当然、それは聞き間違いでも、ましてやバイクのエンジン音でもない。それが何となく気になって、山登りの最中というわけである。)
クラスカ > (びくり、背中に電流が走る。ついぞこの場所で誰かと邂逅することはなかったためだ)
(騒音が機械の駆動音であると理解できると多少安心はした。少なくとも相手は人間だ。人間でありますように)
(感情の整理をつけると、顔を出した男に向き直る。軽く咳払いをして)
ええと、こんばんは。あっ怪しいことはしてないです。死体を埋めるための穴なんて掘ってないですよ。
(スコップを置き、敵意がないことを示して慌てて早口でまくし立てる)
黒谷喜一郎 > ……もし危ないやつやったらどないしよ……まァそん時はとっとと逃げよ。
(安全確保が第一、と心に誓いつつ歩みを進める。そう掛からない内に、見えたのは少年の姿だ。)
お、こんばんはー?
(手をひらひら振る。あっ普通そうな人だ、良かった良かった。と思うのも束の間。)
はい? ……、……死体? えッ何それ怖ッ! 死体!? 何? お前何かやらかしたん!? 自分からペラペラ喋るんは言い訳じみてて余計怪しいで!?
(あなたの弁解は逆効果だったらしい。男はドン引きした。数歩後ずさる。)
クラスカ > ペラペラ喋るから敵意がないことを表現したんですよォー!人殺しならもっと……もっと……。
(もっと何だろう。人殺しの気持ちなんて分かんないや)
とっとにかく!僕は怪しい奴でも人殺しでもありません!ちゃんとした学園の生徒です!
ほら学生証だって(腰のポケットに手をやると財布がない。そうだ青垣山に来る時は所持していない)
(何か、何か警戒を解く方法は―。周囲を見渡して突破口を探し)
そのバイク、格好いいですね!?(目に付いた大型機械を褒めるところから始めてみた)
黒谷喜一郎 > ペラペラ喋りながら犯行に及ぶ殺人犯もおるかもしれへんやん! ほら、『蜥蜴は嗤う』のアノールやってそういうキャラやったやん!!
(よく分からない漫画の話を例に出しつつ、距離は取ったまま叫ぶ。)
学生の生徒ォ? ……ってェ自分から言い出しといて学生証無いんかい!!
(警戒したまま、しかし軽快にノリツッコミをしてしまうのは恐らく生まれの性だろう。と、そんなところで聞こえたのは、バイクもといスクーターへの賛辞である。目を丸くする。)
お、おおう、そうか? まァとっときの愛車やからな。
(ふっ、と得意気に笑った。そして、まじまじとあなたの顔を見て、)
……えー、自分ほんまに怪しいモンちゃうの? 大丈夫? あれや、学年と名前言うてみ?
(ちょっと警戒が解けたらしい。褒める作戦成功である。)
クラスカ > (どうにか警戒を緩めてくれたことに安堵し、肩の力を抜く)
(万が一、最悪に最悪を重ねた可能性まで考えた場合、ここで眼前の先輩と思われる人物を本当に土の中に埋めることも辞さなかった)
(そうならなくて本当によかった、神様感謝しますと眼が潤む)
高等部一年のクラスカ……です。魔術学を専攻しています。
(他にバイクを褒めるところはないか観察する。車体からシート、後輪まで。しかし自動二輪車については詳しくなかったので、深く突っ込むことは止めておいた)
あの、どうしてこんな時間に青垣山に?僕は自主的なフィールドワークなんですが。
(直ちにスコップとシャベルを並べる。これは調査のために使用したもので、人間を埋めるための凶器ではないですよとの裏付けを強めるため)
黒谷喜一郎 > (まさか眼前の少年が自分を埋めようと画策しかけていたことは露知らず。元々人が好い男は、徐々にその調子を取り戻して行った。)
1年の、クラスカ……、……自分、男子寮に居らへん?
(何か見たことある気ィするわ、と記憶を引っ張り出しつつ、指をさしつつ。)
俺も男子寮に住んでんねん。3年の黒谷喜一郎や。まァ一応、異能持ち。魔術はからきしやけどな。
(バイクを観察すれば、よく手入れされていることくらいは分かるだろうか。)
あァ、俺? さっきまでバイトしとってんけど、早上がりできたからちょっと散歩でもしよかな思うてバイク走らせとったら、なんか変な音が聞こえてん。フィールドワークて、こんな時間に偉い熱心やなァ。
(うん、敵意は無いらしい。スコップもシャベルも地に置かれているし。男は内心、安堵した。)