2016/07/03 のログ
ご案内:「青垣山」に巓奉さんが現れました。
巓奉 > 人里から離れ獣やそれ以外のモノ達が跋扈する領域にぽつりと佇む一軒の萱葺き屋根の小屋。
そこで一人静かに暮らす少女が居る。
それは十八代目巓奉と名乗り、自らを刀匠と呼んでいた。

そんな刀匠は今日も今日とて縁側に座って茶をすすり日向ぼっこをしている。

巓奉 > 傍から見てただ暢気に茶をすする娘でしか映らないだろう。
されど縁側の奥、屋内へと視線を移せば壁に掛けられた幾振りの刀が飾られている。

さらにその奥、土間の様に一段低くなっているスペースには炉や金床が鎮座しておりそれらの機材が彼女の存在を成り立たせていた。

巓奉 > ずずっ──
彼女の茶をすする音だけがこの場を支配していた。
ふと、茶碗から口を離し

「ふう……今日もお茶が美味しい。」

しみじみと語るそれは年寄りのアレで。
そろそろ退屈してきたなと思いつつ退屈つぶしの行動を考え始める。
空は徐々に明け色に染まり始めていた。

巓奉 > 「……話し相手くらい捕まえれば良かったか。」

茶をすするのにも飽きたらしくすっと立ち上がり屋内に飾っていた刀一振りと手入れ用の道具を手に再び縁側へ戻った。
そしてそれら一式を広げ鞘から取り出し目釘を抜き──と慣れた手付きで手入れを始め出す。

あらわになった刀身は明けた空を鈍く映しており、ある種の美を感じさせるだろう。

巓奉 > 「こんなものだろう。……うん、荒々しい皆焼だというのに匂口が良く締まっている、美男だな。」

手入れを終え、刀身を傾け暁に晒せばその刀の本来の姿が浮かび上がる。
荒々しく刻まれた刃文をどっしりと支える凪の様に穏やかな地肌は言うなれば益荒男と呼ぶに相応しかった。

暫くそれを楽しんだ後、柄木を取り付け鞘に納めるとあくびをしつつ屋内へと姿を消した。
暁を背に寝るのも一興── そう呟きながら。

ご案内:「青垣山」から巓奉さんが去りました。