2016/07/11 のログ
ご案内:「青垣山」にステーシーさんが現れました。
ステーシー > 青垣山には滝がある。
清冽なる流れの中で身を清めれば異能のステージが上がる、という噂がある。
あくまで噂で、実際に試した人などいないだろう。

だが、彼女は。
ステーシー・バントラインは。
修行のために滝の前の岩に立ち、瞑想していた。

ステーシー > 滝の流れは、情報の奔流だ。
戦いとは常に情報過多、その中から必要な情報を得るための修行。

自分の頬に触れる水の一滴や、時折滝壺に流れる魚の気に惑わされていては、境地にはたどり着けない。
目を瞑り、刀の柄頭に手を掛ける。

こうしてみると、世界は常に多くのことを語りかけてくれる。
取捨選択を試みる。まずは風だ。

ステーシー > 風はささやきかける。
大きな流れを。
それは滝のことではない。
世界の力が流れる方向だ。

目を瞑ったまま、刀をゆっくりと抜く。
そして目を見開き、流れる風に逆らわずに刃を振るう。二条、十字に。

風に十字型の裂け目が現れる。
そうか、風はこれを教えてくれたのか。

体が自然に動き、十字の中心を切っ先で突く。
直径1メートルほどの風の奔流が生まれ、地形に沿って逆巻くそれは滝を逆流させた。

刀がその技の名前を教えてくれる。それはきっと師匠の技の一つだ。

「バントライン一刀流、風巻」

散った水が周囲に虹を作った。

ステーシー > 刀をゆっくりと納める。
剛剣のみで水は斬れず。
柔剣のみで地は断てず。

再び流れ始めた滝を見る。
水が語りかける。
一滴一滴が情報を流し込んでくる。

見るべきものを見る。
斬るべきものを斬る。

その時、目の前に漆黒の髪に紅の瞳を持つ自分の姿が浮かんだ。
殺意に歪んだ自分。
人斬り、ステーシー・バントライン。

今、全てのしがらみを斬る。

ステーシー > 「百鬼両断剣ッ!!」

目の前の自分の幻影に向けて、抜刀居合いを放つ。
それは自分がこの世に存在するための力、プラーナを受けて複数の光状を滝に走らせる。

滝に、合計16条の刃の痕が走った。

災禍の瞳持つ自分の幻影を切り裂き、納刀。

時計を見る。
滝の前に来て一時間は経っていた。

「くしゅんっ!」

……結構濡れたなぁ。暑い時期とはいえ、ちょっとつらい。

ステーシー > フェルパーは体温調節機能に優れる種族。
それでも濡れたままというのはどうにも良くない。

ぶるぶると体を震わせて水気を飛ばす。
猫っぽい。猫だけど。

ステーシー >  
「………うん」

剣の窮み、未だ三合にして頂見えず。
しかし。

「タオルを忘れてくるとは……見えなかったなぁ…」

濡れ鼠。いや、濡れ猫。

ステーシー >  
「帰ろう……」

すごすごと滝を後にした。
後悔先に立たず。

ご案内:「青垣山」からステーシーさんが去りました。