2015/11/17 のログ
ご案内:「列車内」に日下部 理沙さんが現れました。
日下部 理沙 > 常世学園。外郭円周軌道上列車内。
新入生、日下部理沙は規則的な振動に身を任せたまま、ぼんやりと車窓の外を眺めていた。
蒼い空色の瞳は窓ガラス越しの学園を映し、そのガラスはそれを眺める理沙のボサっとした顔を映している。
当然ながら窓の外を見ている理沙にはそんなことはわからない。

日下部 理沙 > 常世祭が終わって数日。
驚くほど派手な学園祭であったが、日常が戻ってくるのも驚くほど速く、それはまるで潮の満ち引きのようであった。
縁から溢れんほどに詰め込まれた歓喜も翌日にはすっかり鳴りを潜め、翌々日ともなれば、学園はどこもかしこも平常運行。
それこそ、今理沙が乗っている鉄道が如く、あっさりと祝日ダイヤから平日ダイヤへと切り替わった。
先日まで何処にそんなにいたのだろうと思うほど人で溢れていた通りも、今ではすっかりいつも通りである。
残滓の欠片も残っていない。まるで、幻か何かのようだ。
真夏の夜の夢ならぬ、深秋の白昼夢とでもいったところか。
そういう所だけは、島外のお祭りとそれほど変わりがないのかもしれない。

日下部 理沙 > どこもかしこもいつも通りに戻った常世島ではあったが、理沙はそうでもなかった。
一応、特待生扱いである理沙は定期的にあちらこちらで検査やら査定やらを受ける必要があり、今はそれらの梯子で忙しいのである。
特待生だったら正にそれこそが「いつも通り」なのでは? と言われれば全くその通りなのだが、今回は事情が異なる。
どう事情が異なるのかといえば、単純にいつもより数が多いのである。
別にこれは理沙の怠慢というわけではなく、原因は単純に常世祭のせいである。
常世祭の開催期間中は他の業務に追われて検査を行えない機関も多かったため、それらの日程調整の関係で、いつもよりスケジュールが詰まっているのだ。