2016/10/14 のログ
ご案内:「地区ごとの駅」に東瀬 夏希さんが現れました。
東瀬 夏希 > かつん、かつん。
足音を鳴らしながら駅に降り立つ小柄な少女。
その手には大きな荷物が握られており、新品の制服を見るに、時季外れの新入生……否、転入生であると見るべきであろう。
その少女は、少し歩いてから虚空に語り掛ける。

「司祭様、到着いたしました」

その場で誰かに聞こえる形で答える声はない。
だが、夏希の頭には念話で返事が返ってきていた。

『そうか、使徒夏希。道中無事で安心したぞ』

「司祭様、流石に道中程度でケガを負うほどたるんではおりません」

『何、儀礼的なものだよ。ともあれ、そこに使わせた理由は理解しているな、使徒夏希』

「はい。異端はびこる学園都市にて、その異端を討滅すること。それが私の使命です」

『よろしい』

物騒な内容を、しかしまるで当然かのように口にする少女。そして、周囲には聞こえないが、それを平然と肯定する『司祭』と呼ばれる男。
どっちも、マトモでないのは明らかだ。

東瀬 夏希 > 「では、早速異邦人街と呼ばれる個所に向かいます。そこには特段に異端が多いと聞いておりますので」

『やめなさい、使徒夏希。それは余りに性急だ』

「何故です、司祭様。異端を狩るのであれば早ければ早い方がいいはずでは」

『まずはしっかりと、その学園都市に馴染むのだ。そうせねば、いざという時の撤退路すら分かるまい』

「しかし司祭様、万が一など……」

『君を失うわけにはいかんのだ。使徒夏希、聞き分けなさい』

「…………はい」

物騒な会話を続ける少女。
……ちなみにこの念話、そこまで強固なロックがかかっているわけではない。
なので、専用の魔術をある程度以上の精度で使えれば、普通に盗聴が可能である。

東瀬 夏希 > 『それから……必要あるまで、インノケンティウスの使用は控えなさい』

「理由をお聞かせ願っても?Anti Heresy Holy Weapon Seriesを控えろというのはわかりますが、何故インノケンティウスだけが?」

『正確にはインノケンティウスの固有性能の一つ、異端迫害聖域(スンミス・デジデランテス)だ。アレは異端の力を強く制約する力場を発生する関係上、その学園の風紀に感づかれやすくなる』

「……司祭様。所詮は学園都市の風紀委員、学生ではありませんか」

『それを言うなら君も学生になるのだよ、使徒夏希。それに、その学園の学徒を侮ってはならない。君でも万が一がありうるレベルなのだ』

「ならば、隠密性を重視する意味でも、平時のAnti Heresy Holy Weapon Seriesの携行は控えるべきでしょうか」

『うむ、その通りだ』

「畏まりました。それでは、任務に当たります」

『頼んだぞ、使徒夏希よ。異端には鉄槌を』

「はい。異端には鉄槌を」

通話を切る少女。
そのまま少し周囲を見渡す。

「……見たところ、平和な学園だが」

それでも、ここには『異端』が大量にいるのだ。
この世の穢れ、人ならざる異端共が。

東瀬 夏希 > 「さて……異端狩りの始まりだ」

僅かに瞑目し、そして目を開き歩き出す。
……その瞳には、暗い光が宿っていた。
地獄の底から手を伸ばす亡者のような、薄暗い炎。
とある目的のために、その一生を捧げ尽くすと言う決意を秘めた瞳だった。

ご案内:「地区ごとの駅」から東瀬 夏希さんが去りました。