2015/06/20 のログ
ヴィクトリア > いま殺しても別に構わわねって言ったじゃんか、自分を。

翔、お前さー、そのままじゃそう言う仕方ないでニ人三人って殺すぜ?
そもそも制御なんかする気ねーんだからさ。

あん?
ボクがクズなのはクズだろーよ。
こーやって棚上げしてるコトも含めてクズなのは変わんねーだろーよ。クズなんだからさ。
クズがクズって分かってないよりマシだろーがよ。
それよりさァ。

……またそいつみたいにボクも殺すのか?

まー、ボクでなくても、やるね、もしくは殺しかけるなりするね。
どっかの誰か助けるためか何かはしらねねーよ。
でも、そのためならお前はやるね。
だって殺すこと自体はどーとも思ってねーんだから
【ま、この間ボクにあーまで言うんだ
そりゃー、えぐるだろ。】

> そのまま立ち去ればいい、とは思った
だが、脚は自然と止まっていた
「あのな
 お前にはもうかんけーねーっつったんだよ
 助けてくれてありがとうはいサヨナラでいいんだよ」
振り返って、猫耳を見る
いや、ガンを飛ばす

自分でも、驚く程苛立っていた
なぜこうも突っかかってくんのか
そして、なぜ自分はこうも言葉を聞いてしまうのかと

「うるせーんだよ
 俺が誰殺そうがお前のしったことじぇねーだろ」
自分でも何を言っているのか、よくわからない
ただ、感情のままに言葉を続けていた

ヴィクトリア > おう、やっとこっち向いたか
……まー別に拗ねるのはいーよ? ボクだって拗ねるんだからさ。

でもさ、何だその俺の手は必要ねーだろってのは。
んじゃ最初から差し出すなって話にしかナンねーだろーがよ

別にお前の感情がその程度だったとか、その程度の興味本位だったってならボクもずいぶん軽く見られたもんだなァ、え?
ま、だいたい理由は分かってるし、それがあの時お前の手を握れなかった理由でもあるんだけどな?

お前、自分の罪を都合よく転嫁するためにボクをダシにしよーとしやがったろ?

あの時のお前の感情は、助けたい半分、それ半分だ
ズタボロのボクに人生かぶせようとしやがったろ?
人生捏造してんじゃねーぞ?
ボクはクズだけどな、クズであることは認めてるんだよ。

【わかってんだよコイツ、ただ、ボクと違って逃げまくってるだけだからな
まーボクも大概あれナンだけども、転嫁まではしてねーからな】

んでさ……

殺したの、肉親? 恋人? 恩人?


……ボクは姉か妹か母親あたりに思うけどナ。
【おせっかいついでに古傷を切開ってか。笑えねぇ】

> 全く、コイツは
この馬鹿猫は
人が気づかなかったことにすら気づきやがる
どうしてこう、他人に対して敏感なんだ、こいつ
本当に、馬鹿だ

「わかってんなら利用すればよかったじゃねーか
 自分で言ってたろ?
 利用するだけ利用して使い捨てるってな
 なら使い捨てればよかったんだよ
 馬鹿かお前は。カモに罠があるって教えるクズがどこにいんだよ」

吐き捨てる
自分の感情ごと
騙されてやったという、自分の中の言わなかった感情ごと
もう、騙されることは出来ない

「恋人だよ
 残念だったな、肉親じゃなくて」
濁った、瞳
猫耳の中の、自分の瞳
この眼を見たくなくて、必死になったつーのにな
バカみてーだ
いや、実際、馬鹿なんだろうな

ヴィクトリア > まー、簡単に言うとさ
ぶっちゃけそれが失敗したから、ボクの前だといたたまれない気がするってやつだよ。
「それ」と向き合うことになるからな
でなきゃあんだけ壊れかけのボクの前で告白ぶちあげてくれたんだ。
……もう少し違う態度があるんじゃねーの?

はっきりゆーけど、お前さ、もうボクの人生えぐってくれるくらいには関わってんだからさ
ハンパに死に逃げとかされても困るッツってんだよ。

だいたいさァ「誰殺そうと知ったことかよ」って、
……それ、ついこの間は必死に助けよーとしてた陵辱された女の子にかける言葉としちゃー冴えないナンパだよナ?
それ恋人の墓の前で言ってみ、泣かれるから

まあ、そーだなァ
お前に必要なのはボクだけどボクじゃねーんだよ。
【チュッパチャップスを口の中で転がしつつ、翔の手を握る。
振り払わなければ引っ張ってく】

飯でも喰うぞ、バカ犬に作らせる。

> 「うっせーな
 アレは俺も恥ずかしかったんだからあんまほじくり返すんじゃねーよ」
あんまり後悔はしてねーけどな
ま、勢いで行ききれなかった俺の負けだな

「なんだそれ、なぞなぞかよ」
鼻で笑う
俺に必要なもん
一体、なんだろうな

「馬鹿か
 狂犬の作った飯なんか食えっかよ
 つか、その、なんだ
 邪魔しちゃわりーだろ」
手は振り払わないが、引っ張られるつもりもない
何考えてんだコイツ
お前はいいかもしれねーけどアイツの立場どうなるんだっつーの

ヴィクトリア > おまえさ、とりえずそこで罪かぶるってんなら
……そいつの墓の前でいやじゃない報告できるよーにしろよ

いえることぁそんだけだよ
てめーはボクに差し出したんだ、いまさらやっぱナシってわけにはいかねーんだよ。
ほら行くぞ?
【むりにでも引っ張っていこうとする】

邪魔?
邪魔も何も知ったことか、邪魔だっツーなら飯くえ下僕一号。
テメーの事情なんか知ったことじゃねーからボクに従え。
拒否権はなしな。

殺す。
存分に殺してやるから、うん。
目の前で傷えぐりだしてゲラゲラ笑いものにすっから。

んで、あの時はすいませんでしたいーかげんにそのネタやめてくださいよ反省してるんですからって
へらへら苦笑するまでがおまえの仕事だ。
できねってならしね、しんでわびろ
情けない面をバカ犬に晒しやがればーかばーか

【応じなければ引っ張りきれないので、蹴って押すくらいには強引だった】

> 「お前、お前な」
はぁ、と思わず深くため息を吐く
「どうしてそこまで俺に関わるんだっつの
 ほんと、いみわかんねー
 取らなかったんなら、それでいいじゃねぇか
 本当に、お前は」
そんな風に愚痴は吐く
吐く、が
流されようとしている自分も、またいる

「蹴んじゃねーよ、汚れんだろバカ猫」
脚を払って、少し前へと歩いて行き

「俺なんて拾ってどうすんだよ
 殺した女の事さえ覚えてない奴なんて拾ったってしかたねーよ」
それでも流されたくはなかった
それに、あんだけ偉そうな事いってぶん殴ったやつの前にこの顔を晒すつもりもなかった
安っぽいプライドだと、自分でも思う

「お前が俺との契約をなしにしたように
 俺にだってあの手を無かったことにする権利はあんだろ
 契約破棄代、払ってもらうぜ
 それで、もう忘れろっての」
俺は自分勝手だ
それをいやというほど自覚したし、させられた
今更
今更だ
てぇ握ってもしょうがねぇんだよ

手を払う
「お前には俺に守られる理由はあんのかもしんねーけどさ
 俺にはもう、お前を守る理由がない
 そこまで暴かれて、一緒にいれるかよ」
生きる理由が無いから殺すなら、何時かこいつだって殺すかもしんねーんだ
それだけは、嫌だ

ヴィクトリア > お前、ほんとバカなのな?
んなこたどーでもいーんだよ。

んじゃなんでココ来て自己満足な礼なんかしてるかってんだよ
何があったかしんねーけど、それが答えだろーよ。

お前は自分でそれやんなきゃ生きていけねーの自覚してんだよ

それもわかんねーでやってるからぐっちゃぐちゃだろーが
そんでそのたびごとに理由もわかんないままぐるぐるしてんだろーが

答え持ってる奴がえらそーにボクの虚無感に立ち入ってきたんだ
埋め合わせはしてもらうぞ下僕一号

連れてかれんのがやなら運べばか。
【後ろから抱きつく。
抱きつくというよりは首にぶら下がる。
端的に言って、締まる】

> 「うるせーな」
ぼつり、と言葉を落とす
ただ、俺がやりたいからやっているだけで
理由なんてねーんだよ
そんなこと、ずっと前から知ってるっつーの
ただ、どうすればいいかわからない
そんなやつを拾う物好きな奴が居るなんてな

「ったく、交渉だ何だってあれだけ人のこと煽っておいて自分の時は無視か
 猫耳様は自分勝手すぎんだろ」
ため息が、深く漏れる
交渉の基本は金、権力、力だ
そのどれも使わなけりゃ、踏み倒されても仕方がない
そしてあいにくと、俺がこいつに使えるものもなんもなかった

「ぉ、ま」
一瞬なにをされたかわからなかったが、まさかの全体重をかけた首絞めを敢行される
がし、と両腕を掴んでそのまま一気に前に引っ張り
「技返された意趣返しのつもりかお前
 倒れたらあぶねーだろーが」
そのまま背中にしがみつかせるようにさえ、両足を腕で支える
いわゆるおんぶの体制だ

長い、長いため息が漏れる
これから先、すんげー面倒になるんだろうなぁ、という予感を抱えつつ

「後悔してもしらねーからな」
とだけ、言葉をかける

ヴィクトリア > たぶん後悔すんのはそっちだと思うけどな!
それでもいいっつてたのはだいたいそっちじゃんか、手握られなかったぐらいでいまさら愚痴んなよ
もー遅いんだよ

ボクが甘えたがりの寂しがり屋のクソネコなのはいまに始まったことじゃねーんだから
存分に下僕らしくボクを楽しませろよ

あとな、お前に必要なのは仲間であって想い人であるひつよーはないんだよ。
寂しがり屋のキャリアでボクに敵うと思ってんじゃねーぞこの野郎。

つうか制御できてんじゃねえかテメエ。
こんだけ弄られて無事ならそれほど困ることじゃねーだろよ。
困ったとしてどうにか出来んだよしろよやれよ、できんだから。
たんないのは自信だっつの。

……んじゃいくぞ。バカ犬からかいに。

【踏み込むだけ吹き込んで全部無視。おぶられながら命令。
いってることもやってることも好き放題でめちゃくちゃだったが
たぶんコレはこの間の礼から始まってるのだ、きっと
こんなクズのボクに仮にも人生の半分差し出そうとしたんだからな、コイツ】

> 「別に後悔なんてしねーよ
 今更この程度で後悔してたまるか」
そんなもん、一年前と昨日で十分した
結局、流されている
でも、仕方ねーのかもしれない
生きる理由も目的も無いならそれは浮遊霊と同じだ
そんなもんをわざわざ糸に結んで持ち運ぼうとしてるんだ
逆らえなくて、当然だ

つまんねー理由付けだが、まぁ
あの夜言ったことは、俺の本心でもあったんだ
裏の汚いものに気づいていなかっただけ、で
まぁ、飽きたら捨てられんだろ
猫なんて案外、そんなもんだ

「俺は開幕殴られるような気がするんだがな」
前に回った腕を軽く叩きながら、歩き出す


「とりあえず、自分のことクソっていうのやめろ
 女が使う言葉じゃねーよ」

そんなことを口うるさくいいながら、空き地を出る
犬飼の家の方角を教えられながら、ゆっくりと

> まぁ、こいつがまた理不尽に潰されそうになった時に
身代わりにでもなれればいいと、そう思いながら

出る瞬間、ネコミミ越しにみた空き地には
エサに群がる猫達の姿があった

こんなマズイエサを食べようとする後ろの猫は物好きだ
だからこそ、流されようと思ったのかもしれない

必要とされれば、誰だって嬉しいのだから

ご案内:「遠吠えは誰の為に」からさんが去りました。
ご案内:「遠吠えは誰の為に」からヴィクトリアさんが去りました。
ご案内:「夕暮れの第一大教室棟廊下」に桜井 雄二さんが現れました。
桜井 雄二 > (生活委員会の男が廊下を一人で掃除している)
(ただ、ただいつ終わるともないモップがけ)
(男は気合で掃除することをモットーにしているが、何となく気の入らない――――こんな日もある)

ご案内:「夕暮れの第一大教室棟廊下」に三千歳 泪さんが現れました。
三千歳 泪 > 目に見えない何かがものすごい速さで飛び回っているような音がする。それは世界と世界のはざまに鳴りひびく音楽。
はじめはお尻が浮いちゃうような浮遊感があって、それから寄る辺なき漂流者の孤独を味わう。最後に吐きそうなほどのめまいに襲われた。
見当識の喪失。《タイムトラベラー》が書きとめた難しい言葉の意味が今ならとてもよくわかる。ここはどこ。わたしはだれ。

大人ふたり分くらいの大きなガラス玉がの空間に割り込んで、その内側に得体のしれない機械が現れる。
半透明のパラボラアンテナを二つ向かい合わせて、演算装置と革張りの椅子と、真鍮のパーツを押し込んでぎゅっと固めたみたいな何か。
ところかまわず火花が飛んですごくまぶしい。その操縦席の上で青い顔をしている女子生徒がいた。私だ。

「――あっ桜井くん!! おーい! いま何時!? 今日はいつ? 何月何日の何曜日かな! どこかで私を見なかった??」

桜井 雄二 > …………!?(さすがに目を疑う)

(空間の変化、そこに現れた謎の機械、そして中にいたのは)
三千歳泪……!? いや、今は6月20日の17時20分頃だ。土曜日。
………何を言っているんだ、三千歳泪。お前はそこにいるだろう?
今度は一体なんだ、テレポートでもアポートでも機械で再現したのか?

三千歳 泪 > 「今日なの? ビンゴ!! たいだい6時間前ってことになるかな。私は6時間後からきた私!」
「あっちはちょっと大変なことになっちゃっててさー! 私も厄介なことに巻き込まれちゃったみたいで」
「誰かの助けが要りそうなんだ。助けてくれる?」

運転席から飛び降りて、あやうく転びそうになる。まだ頭がくらくらしてる。でも平気。なんとか立ってる。

「まずはこの機械を隠さないと。倉庫とか、何かかぶせて隠しておけそうな場所。心当たりはある?」

桜井 雄二 > 6時間後から来た……?(沈思黙考)タイムリーパーか。
ちょっと待ってくれ、三千歳泪。(目頭を押さえて)理解が追いつかない。
それでも……助けが要るんだな?(モップでトン、と床を叩いて)
引き受けた。俺は手の届く範囲の人間を守る。6時間の誤差は愛嬌だ。

大丈夫か、三千歳泪。とりあえず掃除子さんを入れてある裏手の倉庫がある。
生活委員会以外近寄らないし、その生活委員会も月曜まで殆ど来ないだろう。
そこまで運ぼう。掃除子さん用の防塵ビニールシートもある。

……それと、急ぐようなら俺が通学に使ってる魔導バイクがあるが。

三千歳 泪 > 「ありがとう! 君は私を助けてくれる。頼っていいって言ってくれたから。さっそくで悪いんだけど、お願いするよ桜井くん!」

「いいね! 今だけ隠しておければ十分。研究会の人たちに見つからなければ、勝手に使われちゃうこともないはず」
「このマシンは《時間旅行研究会》の秘蔵っ子なんだ。19世紀の《タイムトラベラー》が使った正真正銘の本物だっていわれてた」
「でも回収された時からずっと壊れたままで、直す方法は誰も知らない。研究会そのものがこの子を復活させるための組織だったんだよ」

《時間旅行機》の羽根をたたんで大型バイクくらいのサイズに縮める。これなら二人で押せるかも。

「そこに私が登場するわけだよ。《直し屋》さんの評判通りなら、この子もきっと直せるはず。そう思って依頼がきたんだ」
「お話の結末からいえば、修理は成功。大成功だった。実際、うっかり作動しちゃってさ」

一度目のタイムトラベル。行き着いた先は赤く乾いた灼熱の砂漠。
文明の痕跡なんてどこにもない、荒涼とした未来。あるいは太古の世界だった。帰ってこれてほんとによかった。
荒廃した世界の印象を振り払って《時間旅行機》を運びこんでいく。

「君にはもう一人の私を見つけてほしいんだ。今日は一度も会ってないのがもともとの歴史。私たちの運命だった。変えられると思う?」

桜井 雄二 > ああ、任せろ。(はっきりと答えたが、モップ片手では締まるものも締まらない)

研究会……? 時間旅行研究会、だって…?
(時間を操作する異能や魔術、そして限定的な科学は存在すると聞いたが)
(過去に戻るほどの大規模なタイムリープを実現させるなんて)
宇宙がまだ隠し持った秩序のない理論、タイムマシンか…

(モップの入ったバケツを置いて二人でその機械を押しながら)
そういうことか……直し屋の力を使ってその機械を直そうと。

(機械を倉庫に運び込み、シートを被せて)
いいだろう、三千歳泪。どこにいたとしても、お前を見つけ出してやる。
……約束だ!(相手の目を見て、無表情に、だが―――力強く頷く)

三千歳 泪 > 「私が見たのは死の世界。君がいない時代。世界のすべてが幻みたいに思えるほど残酷な場所だった」
「あっという間に帰ってこれた。《時間旅行機》には漂流をふせぐ安全装置がついていたんだ。《タイムトラベラー》さまさまだね!」
「でも、研究会のラボは上を下への大騒ぎになってて…あんまり歓迎されなかったんだ。マシンの復活は大歓迎。でも私は邪魔者だった」
「それどころか、昨日までの仲間さえ世界の秘密を知るもの同士。すぐに撃ちあいがはじまって、どんどん人が倒れていった」

「私のせいでたくさんの人が死んじゃった。あの場所にいたらきっと私も。軽い気持ちで引き受けたから、私のこの手が未来を壊した」
「《時間旅行機》が壊れてた理由。手遅れになってやっと気付いた。でも遅すぎたんだよ。――それで逃げてきたんだ。あの結末から」

血を見ただけで気分が悪くなる。震えが止まらなくなる。惨事の現場は時の彼方へ置いてきたのに、私の脳裏に焼きついていた。
《タイムトラベラー》は知っていたんだ。時の流れに逆らうことの愚かしさを。
桜井くんの目はいつも通りで、特別な感傷なんかどこにも見えない。実直でまっすぐで、どんな慰めの言葉よりも雄弁だった。

「うん、約束だよ。運命は変えられるはず。私一人じゃ何もできないけど、君と二人ならできる気がする」
「今日は研究会の仕事が始まるまで、ひとりでお茶を飲みにいって時間を潰してたんだ。お店はここ!」

気を取りなおして。タブレットのマップ機能で座標とお店の情報を見せる。間に合うかどうかギリギリの距離だ。

「うーん、バイクがいるね!! 私を見つけたら引き止めて。絶対に行かせないで」
「私はきっと行こうとするはず。こう見えてけっこうマジメちゃんだからさ。少なくとも仕事にかけては…」
「時間がないし、手段を選んでる暇もない。君になら何をされてもいいから、絶対に止めないといけない! やってくれる?」

桜井 雄二 > 死の世界……(考えるだけで恐ろしい、それが過去なのか、未来なのかさえ見当がつかない)
それがなかったら、時間漂流者か。笑えないな、三千歳泪!
……人類の手に『時間』は大きすぎるんだ。
だから流されるしかない。それをわからないから!

そんな結末、認めない!(駐輪スペースに走り出して)
三千歳泪をただの人殺しになんか、絶対にさせない!!
(二人で走りながら会話をかわす、――――この不完全なる世界のために)
俺とお前で惨劇の未来を変えるんだ!

なんだ、近いじゃないか。(軽口で弱気を打ち消しながら)
(バイクに跨る)お前は……未来の三千歳泪は来ないのか?
(キーを差しこみ、術式を起動させる)
いや、待てよ……タイムリープした時に同一人物が会ったら、二人とも消滅するんだったかな?
うろ覚えだ……どうすればいい。

三千歳 泪 > 「そこだよ! 《タイムトラベラー》は結局、自分自身には会わなかった。どうなるかなんて誰も知らない」
「私は私にできることをする。そっちは君に任せるつもり。別働隊ってことになるかな」
「もし止められたら歴史が変わる。《時間旅行機》は壊れたまま、第二の《タイムトラベラー》が現れるまで復活をとげることはなくなる」

「だから、君とはここでお別れ。君ならできるよ。もっといい未来を作れるはず」

この介入が成功すれば、《時間旅行機》の再生は無かったことになる。それは私が消えるということ。
6時間分の記憶が消えるだけ? きっとそれだけでは終わらない。それはおそらく、言葉どおりに。
桜井くんは気付いてるのかな。気付かないふりをしてくれてる? どっちだろう。この際どっちでもいい。
君は優しい人だから。打ち明け話でもするみたいに唇、重ねて。

「報酬。先払いしとくから。がんばれ桜井くん!!」

桜井 雄二 > ………なるほど、未知の領域ってわけか。無茶はしないほうがよさそうだな。
わかった、二人で絶望の未来を打ち砕くってことだな。
(バイクに跨ったまま凶悪なエグゾーストを押さえつける)
(この魔導バイクは気分屋だ、最初に慣らしておかないと高速の世界へは連れていってくれない)

そういうことか……って待て、お別れって…
それじゃ6時間後の世界線のお前は―――――
(柔らかな感触が唇に触れた)

………っ!(表情を歪めた、これが未来を変えることの代償)
報酬、確かに受け取った……『また会おう』三千歳泪!!

(バイクは鋼鉄の咆哮を上げながら走り去っていく)
(かつてない速さで、今まで一度も到達したことのない領域へ)

三千歳 泪 > 「ばいばい、桜井くん。私には帰らないといけない場所があるから」

6時間後の世界に帰れば、硝煙弾雨の大惨劇が待っている。今ごろあの場にいた誰もが怒り狂っているはず。
桜井くんの端末に《時間旅行研究会》の場所と事件のあった時間だけを飛ばして、さっきの倉庫に戻っていく。

同じ空の下に同じ私がいるなんて、ものすごく不思議な気分。でもこの時代にはいられない。
私には清算しないといけない「未来」があるのだ。だからさよなら。お達者で。

桜井 雄二 > クソッ………(この世界線の三千歳泪を救えるかどうかもわからない、だが可能性はある)
(それはこれからの自分の頑張り次第だ、そう考えると勇気だって沸いてくる)

(だがさっきまで会っていた三千歳泪は救われない)
(待っているのは絶望の未来、残されているのは罪と罰)
クッソォォォォォォォォォォォォォォォ!!!
(走りながら、涙が一滴だけ――――風に飛ばされて散っていった)

(時間旅行研究会、それがあの世界線の彼女を惨劇に導いた者たちの名前)


(いつもは法定速度を守って走っている公道が時速240kmの世界では貌を変える)
(それでももっとだ、もっと速度が要る)
(時間がない、時間時間時間時間時間時間時間時間時間)
(六時間後の世界の俺は三千歳泪と別れる運命にあるのだろうか?)
(感傷すら振り切るために、男はバイクを走らせる)

(景色が歪むほど、時間を置き去りにするほどに)

(荷物を満載にしたトラックをすり抜けていく)
(ドライバーがこちらを見て凄まじい形相で驚いている軽自動車を追い抜いていく)

(高速道路で事故が多発してまだ時間が経っていない――――ゆえに、あるいは運悪く検問がある、だが)
邪魔をするなああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
(左半身の氷雪の力を全開)
(氷の道路を作り、ジャンプ台のように角度をつけて検問を飛び越した)

(着地と同時に再び加速していく)

三千歳 泪 > 頭の中は同じ場所を行ったり来たり。今夜の仕事のことだけが、ぐるぐると渦巻いている。
今回の依頼は常世島に運び込まれたビックリアイテムの中でもダントツに素敵なサムシング。燃え落ちた世界から発見された奇跡の装置。
何と何と。あの《タイムトラベラー》が使った本物のタイムマシンだ! 実在したんだね。あの小説にはモデルがいたってことかな。
一体どんな形をしているんだろう? それもこれも《時間旅行研究会》のラボにいけば明らかになる。楽しみだなぁ!!

おしゃれなカフェのオープンテラスに爆音が響きわたる。
膨らんでいく一方だった想像のバブルがはじけて、顔をあげれば桜井くんがそこにいた。

「あれ、桜井くんだ。どーしたのさそんなに急いで? うっわー汗びっしょりだよ!! なにか飲んでく?」

桜井 雄二 > (一応、氷を張って光の屈折率を変えてナンバープレートの番号は変えてある)
(いざとなればしらばっくれれば一発免停は免れられるかも知れない)
(だが、今はそんな小さなことはどうでもよかった)

(カフェのオープンテラスにいた彼女は、これから起きる惨劇など知らない)
(バイクを止めて彼女の元へ歩いていく)
三千歳泪。(テーブルに両手をついて)今日の仕事はキャンセルしろ。
(表情が険しい、動悸が止まらない――――不器用な自分に言葉を選ぶことなんてできない)
時間旅行研究会には行くな。(荒い息を吐きながら、汗を拭った)

三千歳 泪 > 「え?」

仕事の内容は誰にも明かさない。どんな親しい友達にも言い触らしたりはしない約束。それが私のポリシーだった。
今夜の仕事のこと、桜井くんが知ってるはずがない。単純な事実のズレには底なしの不気味さがあって、たじろいでしまいそうになる。
何かが乾いていくような感じがして、まだ氷がとけずに残ったアイスコーヒーを口にしていた。

「なに、それ。ごめん。ごめんね! 今夜はちょっとダメなんだ。予定入っちゃっててさー」
「山のことなら調べたよ! 青垣山。珍獣みたいないきものの目撃例があるんだって! ツチノコを見たっていう噂もあるんだよ」

冷たい水とおしぼりをもらって桜井くんにすすめる。事情がわからないけど落ち着いたほうがいいと思う。

桜井 雄二 > 時間旅行研究会のことは聞いている。
(高鳴る心臓を止めなければならない、居心地の良い気温を作り出して胸いっぱい吸い込み、吐き出す)
はぁ………ダメだ、キャンセルしろ三千歳泪。
青垣山は楽しみだな、俺もそう思うよ。
だがこのままお前が時間旅行研究会に行けば絶望の未来が訪れる。
もうデートには行けなくなるんだ。信じてくれ、三千歳泪。
(ダメだ、こんな言葉しか出てこないのか)
(溺れかけた子犬のような表情が自分の顔に張り付いていることが鏡を見なくてもわかる)
(何か、何か手はないのか)

三千歳 泪 > 桜井くんはこれ以上ないくらいひどい顔をしていた。心が揺れる。君がそんな顔するなんて。見ていたくない。

「や、やだなー…そんなの知らないよ。前にも言わなかったっけ。私は私の仕事をするだけ!」
「《直し屋》さんの仕事は壊れたものを直すこと。だれが、どうやって、何のために壊したかなんて関係のないことだよ」
「信じるもなにも、ぜつぼーの未来って何さ? 心配しないで。いつも通りの仕事だよ。大げさだなー」
「大変なことになっても私が自分でどうにかする。万が一ダメそうなら君を頼る。忘れてないから、それでいいでしょ?」

タブレットが鳴動して次のスケジュールが近いことを告げる。そろそろ行かないと。
アイスコーヒーの残りを飲み干して、ウェイトレスさんに代金を渡して席を立つ。

「ごめん、桜井くん! 続きはまた今度ね!!」

桜井 雄二 > (席を立ち、去ろうとする三千歳泪の手を引いた)

(振り返らせて、俺は―――――笑えた、んだと思う)

(それから彼女の唇を奪った)

(力強く抱きしめて、言った)

行かないでくれ。お前の未来を愛しているんだ、三千歳泪。

(涙が滲んだ――――さっき、自分は笑っていたはずなのに、おかしな話だ)

三千歳 泪 > 何が起きたのか理解するまで、あとどれくらいいるだろう。まだわからない。わかってない。
桜井くんの腕が痛いほど強く私を引き止めていて、唇に残った感触で意識が真っ白に塗り替えられる。

言葉はそのまま流れていってしまいそうで、慌ててつかまえてその意味を考え直す。
行かないでくれ。お前の未来を愛している。意味がわからない。愛のささやきに聞こえなくもないけれど。
急がないといけない理由があったんだ。それは私がまだ知らない未来の出来事について。

タイムマシン。未来。絶望の未来。私の仕事をとめないといけない。
頭の中で白い火花が散ってはじける。おぼろげに浮かんだ仮説は状況と一致していた。
そっか。なるほど。君が必死になる理由、やっとわかった気がする。桜井くんは泣きそうな顔をしていた。

「――ヘンなの。やっぱりヘンだよ桜井くんは」

君が笑っていられるように、思いっきり笑って答えることにした。

「好きだよ。桜井くん。私も君が大好きだ! 今日はいけないって連絡入れるね。それでいい?」

桜井 雄二 > (伝わった想い、伝えきれなかった言葉の分まで伝わる温もり)
ああ、それでいい。(名残惜しそうに離れて、知らず流れていた自分の涙を拭う)
(周囲の視線がこちらに集中している、カフェのオープンテラスだからか)
失礼、お前たちの日常を続けてくれ。
(どこかズレた言葉と共にギャラリーに咳払いをして)

今日は寄り道しながらゆっくり帰れ、三千歳泪。
お前の未来は俺が守る。(ヘルメットを被りなおす)
(バイクに跨り)時間旅行研究会に行ってくる。
三千歳泪はあいつらからの電話に出るな。それと、これからあいつらに何が起きても黙っていてくれ。
それだけだ。あとは俺が『今』を愛するだけなんだ。
(バイクの中で表情が険しくなるのを、悟られたくなかった)
(時間旅行研究会を潰さなければ、結局三千歳泪の身に危険が及ぶ)
(6時間後の世界線の三千歳泪を絶望の淵に追いやった連中を許してもおけない)

……なぁ、三千歳涙。デート、絶対行こうな。