2015/06/26 のログ
アリストロメリア > 店内へと足を踏み入れれば、明るくも木造の木の作りが温かで
テーブル席と、お座席と別れている和風の内装であった
落ち着いているにもかかわらず、そんな印象を与えないのは――……


「……す、凄い込み具合ですわね……!」

お店へと一歩足を踏み入れて、始めに出た感想はそれであった
元々高級和牛ステーキ店として、人気であったお店であるが
更にグランプリ牛が期間限定かつ数量限定で食べられるとあれば――……
当然、その込み具合は凄まじい

(当然、皆さん食べたいですわよね……と思いながらお店に入る)

アリストロメリア > 店内に入って、忙しそうな店員を眺めつつ他の客を横目で見つつ
(どのくらい待っているのでしょうね?)
と、思いながら待つ事数分――……

(…………?)

席が空き次の客が呼ばれた頃
彼女は違和感に気付いた

(……?
何故、他の人が先に呼ばれて私が先に呼ばれませんの……?)

首を傾げながらも、心の中では疑問が解けなかった
――……というのも、彼女は元々貴族であり
基本的には男性(それは父でも、その他の人でも)が基本的にエスコートし
女性を食事に連れて行く文化である為
基本的に本来は一人で店に入る事はおろか
『お店に入ったらすぐに案内されて当然』
という、常識というか認識を持っていた

自国の貴族令嬢であるならば当然だが
ここは地球、常世店だ
恐らく限り無く現代日本に近い文化にて、そんな常識が当然通用する訳は無い
すぐさま、忙しそうに働く店員へと声をかける

アリストロメリア > 「あの――……恐れ入りますが……」

忙しい最中であるが、店員の方は
初めての客なのだなと察すれば

店員「すみません、此方の方に名前を書いて順番までお待ちください」

と、笑顔で簡潔に説明し頭を下げれば
すぐに他の客の名前を呼び「お待たせしました」等と丁寧に頭を下げながら、店内へと案内する
が――……

(この凄まじい人数の中『待て』と言いますの…!?)

と、お店で待たされる経験なんてなければ
そんな文化が存在する事にも驚きを隠せないまま
(……どのくらい待つのかしら?)
と、思いながら名前と人数を記入すれば
先程の客の座っていた、お客様を待たせる為の椅子に腰かければ
鞄の中から本を取り出して、待つ事にした

……こんな時、読書が趣味で鞄の中には何かしらの本が1冊は入っているのに感謝する
時間潰しに暇を持て遊ばなくて済むのだから

アリストロメリア > 多分、きっと
この人数であれば相当待たされるであろう事は
初めて人を待つ彼女でも、流石に察する事が出来た

ので――……名前を呼ばれるまで、ゆっくりと読書を楽しむ事にする
読書と言いつつ鞄から取り出したのは、1種類のタロットデッキであるが

タロットというものは、それを知らない者から見れば只の占いカードであるが
使用する術者によって、それは深遠な知恵を与えてくれる書物であり
術者の知恵が問われる書物でもあるのだ

そして、其れを使いこなすためには日々タロットと触れあい、実際に占い
カードに馴染み、理解し実践する事が大切である

故に、傍から見たら最高級和牛ステーキ店で順番を待ちながら
突如タロットを取り出し眺めた奇妙な客にしか見えないのであるが
ぼんやりとカードを眺める彼女のそれは
彼女からすれば、大切な日々の日課その1であった
店内であるし、本当に目を通すだけであるが――……実に大事なことである

アリストロメリア > (……しかし、他の人ってよく待っていられますわね?)

ふと、カードから目を話して周囲を見渡せば
誰かと一緒に来ていて、話しながら待つ人はともかく
じーっと座って待っている人もちらほらと存在する
何かしら、自らの様に暇つぶしの道具がある人はともかくとして
一人で座って大人しく待つ人は、退屈であると同時に時間の無駄にならないのか?
と、不思議に思う

それは、お店で待たされる事が無い故に持つ疑問なのかもしれないけれど
そんな姿を見て、実に我慢強いというか、忍耐強いと言う印象は否めなかった

アリストロメリア > 長針がゆっくりと1週した頃だろうか?

店員「お待たせいたしました、アリストロメア様
こちらへご案内いたします」

――……と、ようやく声がかかり、鞄の中にタロットをすぐさましまえば
店員の案内される後へと付いて行く

店員「此方の御席へどうぞ」
と、案内されたテーブル席は、純白のテーブルクロスが美しく、清潔感が漂う
椅子に腰かければ、座り心地も良く 落ち着きやすい
店内はこれだけ人で賑わっており、他の客の話声も耳に入ると言うのに
落ち着いて居心地がいいのは、それだけ店内が客をもてなす工夫を
視えない所に隠しているからであろうか?

グラスを口に付けて、水を飲めば
少量のレモンとハーブが入っているのだろう
口当たりがよく、実に日差しの暑いこの時期にはさっぱりする

アリストロメリア > 店内のメニューに目を通せば
当然ではあるのだけれど、ステーキがメインで多くの種類があり
サーロインステーキだけでも

『Aサーロイン』
『Bサーロイン』
『Cサーロイン』

の三種類あり、グラムは変わらないのにどんどん値段が上がっている
きっと、上のランクに行くほど良い部位を使っているのであろう

『和牛ヒレステーキ』
『和牛サーロイン』

と、いかにも高級そうなメニューとお値段が並んでいる
これだけでも月の食費(1万)の半分以上は超えているのだが……

『グランプリ牛プレミアムステーキ』

ともなれば、それだけで月の食費が殆ど残らない
普段贅沢をしない分、前の月の持ち越し分含め、多少の余裕はあれど
流石にこれはちょっときつい

(どうしましょう…?)

非常に悩む

アリストロメリア > 本音で言えば、食べたいのはグランプリ牛を使用したステーキである
……というか、それを目的で店に足を運んだので当然ではあるのだが――……

現在の彼女の食費が、その選択を
出来なくはないのだけれど……赦さないに近い状況ではある

一応、今も何とかギリギリコッペパンと水(+実家から大量に持ってきた紅茶)で
何とかやり過ごせなくはないけど、非常に身体に悪い
その上、自分だけやり過ごすのであればともかくとして
今は、以前と違って友達も出来た
何かしらの拍子に一緒に外食へ行ったり
部屋に招く時に、おもてなしとして簡単にでもお茶菓子は最低でも用意したい

……そうなってくると、当然手元に多少の余裕が無いと厳しい
それに、自分だって時々は多少の贅沢はしたいし
何かしらきちんと食材を買って栄養を補わないといつか倒れる

――……と、言う訳で
今日は『和牛ヒレステーキ』を選択する事にした
プレミアム牛ステーキと比較すれば我慢したが、これだって相当贅沢だ
お米も『店内はコシヒカリを使用しております』等と書かれているし、只でさえ
和風の和牛ステーキ店なのだ
恐らく、パンよりはお米の方が美味しいだろうと思い、お米を選択する事にして

丁度いいタイミングで席に訪れた店員にメニューを伝えれば、ゆっくりと注文を待つ事にする

アリストロメリア > (そういえば、お米を食べるのは初めてですわね……?)

と、思いながらも初めて食べる食材にほんの少し期待と興味と好奇心が高鳴る
この学園に来て、おにぎり等をコンビニで見た事はあるが、購入して未だ食べた事は無い
存在は知っているが、調理法も炊飯器も知る由もない彼女は、それをどう調理していいか分からない
以前スーパー等で食材を買いに行った時に、売られているお米を見た事はあるが
あれをどう調理すればあんなふんわりとした、柔らかいお米になるのか見当もつかない

ちらり、と周囲へと目を配らせ
米を口にする客を観察する

カットしたステーキを口にした後に、お米を口に運ぶ姿
ご飯の上に、カットしたステーキを載せて お米と一緒に運ぶ人……等
食べ方が様々で統一していないのは、恐らく彼女の自国程
この辺りはテーブルマナーが浸透しても居無ければ、精通している人も少ないからだろう
……それに、ここは
『異脳学園都市』であり、殆どが学生だ
テーブルマナーに明るくなくても、仕方ないのかもしれない

アリストロメリア > (お米ってどういう食べ方をするのが、きちんとしたマナーなのかしら…?)

等と思いながら周囲を見るが、正解は得られないし
中には和風店だからか、箸を使う人まで居て、混乱するばかりであった
……あれは以前此方に来た時に、川添様につれて行って貰ったラーメン店で使用したが、正直難しい

お米が自分の国には、コースに無かったから分からないが
もしかしたら、お米は箸で食べるものらしいし、箸を使うのが正式な食べ方かもしれない
(……不作法ですけれど、箸は碌に持てませんし……フォークで食べるしかありませんわね)

等と思っているうちに、肉の焼ける 脂の良い匂いと
『ジュワァァァ……!』と、熱された鉄板の上で、音を立てるお肉が運ばれてくる

店員「お待たせいたしました」

――……そう言って、目の前に用意されたステーキは
とても分厚く、3センチは簡単に超えていそうだ……もしかしたら、一番分厚い
真ん中の、熱されて少しばかり膨らんでいる部分は、4センチ近くあるかもしれない

このお勧めのお勧めとして、焼き加減は『ミディアムレア』
ソースは『和風おろし醤油』ベースの味付けのもの
付け合わせはライスに、お味噌汁
……と、完全な和食スタイルの和牛ステーキである

お箸と、フォークとナイフが用意されれば
目の前で鉄板に熱されながら、熱の音の鳴るステーキが実に美味しそうだ
純白の布ナフキンを、膝の上にかけて
特製和風ソースをステーキにかけてから
フォークとナイフを手にして――……

「頂きますわ」

アリストロメリア > フォークでお肉を押さえ、ナイフで先ずは一口分をカットする
フォークで軽く押さえるだけでも、しっかりとした肉質である事はわかるのに
ナイフを入れるとお肉の繊維を縦に残しつつも、切りやすく
スッ……とナイフが綺麗に入り、肉が別れてくれる
非常に柔らかくて、良いお肉だということが、ナイフを入れるだけで伝わってくる

また、断面に見える芯は温かくも生肉に近く
濃い鮮やかなピンクに、肉汁がうっすらと溢れているのが見える――……

一口、口に運べば肉汁が口の中にジュワ――……と
静かに、けれど一杯に溢れて口の中を満たしてゆく
柔らかい肉質は実にジューシーなのに力強い風味を持っており
噛めば噛むほど、肉のうまみと肉汁を感じさせながらも
柔らかい肉質は、実に上質な味わいで――……

「……これは――……ワインが欲しいですわね……」

思わず、美味しさから感動して出る溜息と共に
一言漏らしてしまう

アリストロメリア > ゆっくりとお肉の味を堪能しながら、味わって噛みしめる
お肉だけでも、上質なミディアムレアは十二分に美味しいが

次に、ナイフとフォークを置いて、更にソースを全体に満遍なくステーキにかけて
特製おろし醤油ソースで味付けしたステーキを、一口分に切り分けて
再び口へと運べば――……

初めて食べる、大根おろしと醤油の風味は
実に、今まで味わった事の無い初めての味であると同時に
醤油と大根おろしのさっぱりとしながらも醤油の風味が美味しいソースが
お肉の旨みを更に引き立て、お肉の肉汁と共に混じりあわされれば
口の中で何とも言えない美味しさが、広がってくれる――……

「…………」

美味しすぎて、そして初めて食べる例える事の無い大根おろしと醤油の風味は
彼女の頬を緩ませて、小さく幸せな溜息をつかせるのであった
実に、贅沢な味と一時である

和牛ヒレステーキですら、これなのだ
もし、プレミアム牛ステーキを食べていたら、どんな味わいが口の中に広がっていたのでしょう――……

アリストロメリア > 和牛特有の柔らかい肉質、ジューシーな肉汁と舌触りは
旨みが濃厚に凝縮されて、力強い肉の味わいが楽しめると同時に
繊細な旨みの味わいが、噛めば噛むほどに引き出されて――……

脂も、こんなに肉汁から溢れていると言うのに
しつこさはなく、舌の上で肉の蕩けるかのような上質な舌触りと味わいは

「……和牛は美味しいと聞いておりましたけれど……本当に
こんなに美味しかったなんて……」

と、静かな口調で漏らしつつも
けれど、心の奥底では何とも言えない深い感動に心を魅了されながら
ゆっくりと高級和牛ステーキの味を堪能するのであった

――――……

そして。
ステーキが美味し過ぎたのがいけないのではあるのだけれど
お米の存在を完全に忘れていた

「あっ……いけませんわ。完全に忘れておりましたわね」
と、思いながら
(たしか、他のお客様はお米と一緒にお肉を食べておりましたわよね?)
……と、思いつつ 再び周囲を静かに見渡す

アリストロメリア > 店内に、当然ではあるが――……
パンの客と、ライスの客とで別れている
ただ、やはり和風の和牛ステーキ店である為に幸いライスを頼んでいる客は多い
使用しているお米がコシヒカリであれば、当然かもしれないのだけれど

ちらり、と見てみれば
やっぱりご飯とお肉を一緒に食べる様で、やり方は合っている様――……
確認して、安心すると同時に
お米を食べるのが初めての彼女は、お米の食べ方のマナーもわからなかったが、とりあえず
フォークで少しだけお米を掬って口に運ぶ事にした

「…………???」

真っ白いお米を噛みながら、疑問が浮かぶ

「……これ、味もそっけもないと言うか……
不味くは無い、のですけれど……なんていうか、何とも言えない不思議な味ですわね……?」

白米だけを味わうと、首を傾げた
(常世では基本的にお米が主食として主流らしいのですけれど――……
何故、このようなものが……?)

ぶっちゃけ、あまり美味しいとは言えない
……白米だけ味わうのだから当然と言えば当然なのだけれど
(此方の方の料理は随分と発展しているので
お米がどんなに美味しい主食かと期待していたのですけれど……)
と、心の中でがっかり感は、隠せない
(失敗しましたわね……ろくに知らないお米を選ぶよりは、パンにした方が美味しかったかもしれませんわ……)

はぁ……と、小さく溜息が洩れる
先程とは違って、落胆の色を混じらせながら――……

アリストロメリア > 若干がっかりするものの、既に注文してしまったものは仕方ない
少し……いや、時々の贅沢を抜くとしても
(こんなに美味しいステーキのお供が、こんな味気ない主食だなんて……
勿体ないとしか、思えませんわ……)

――……と、思いながら
お肉を一口分に切り分けて、口に運んだ後に
また、お米をフォークで掬って、口に運ぶ

「……………………ッ!!!」

ハッとして、彼女の表情が変化する
先程の落胆の色は消え失せて
代わりに驚きを隠せない表情と――……

(……お米って、こんなに美味しかったんですの……!?)

と、目を輝かせながら

アリストロメリア > 先程まで、十二分に堪能した
最高級和牛の、柔らかな肉質とジューシーさ
力強い肉の味わいであると言うのに繊細な旨みが口に広がる事に随分と驚いたのであるのだけれど――……

もっと驚くべきは、先程まで味もそっけもなく
『完全に失敗した』
と思っていたお米の風味が――……

お肉と一緒に食べると、実に豊かに
その味わいを何倍にも膨れ上がらせるのだろうか?

最高級和牛のミディアムレアの肉質から溢れる肉汁と
大根おろし醤油ソースの美味しさが、高級米のコシヒカリと合わされば――……
先程まで味もそっけもなかった筈の、米の風味なのに何故だろう?

肉汁やソースの旨みが米に絡み合い
その旨みが何とも言えない、実に良い味わいを引き立ててくれている

お米の正しい食べ方を密かに知り
味わいながら、思う
(失敗じゃありませんでしたわ……それに)

「なんて、お米というものは美味しいのでしょうか……?」

アリストロメリア > 驚きを隠せないままに。けれどナイフとフォークは止まることなく
ゆっくりとお肉とソース、お米の風味を口の中で味わっていきながら
瞬く間にステーキとライスが食べ終わる

……すっかりお味噌汁を忘れていたのだけれど
お味噌汁の蓋を開ければ、まだ温かく
カンピョウのお味噌汁が入っていた

乾燥されたウリ科の果実であるが、
水で戻され、お味噌汁の具にされれば
乾燥していたカンピョウに、お味噌汁の深い旨みが隅々まで沁み渡り――……
カンピョウを噛み締めれば、カンピョウとお味噌汁の旨みが舌の上に広がって
美味しいお口直しとなったのであった

アリストロメリア > 「おみそ汁も初めて口にしますけれど……この美味しさも何と言えばいいのでしょう……?
初めて食べる、不思議な風味ですが……何処か心がほっとして、落ち着きますわね……」

お味噌汁を全て飲み干せば
食べ終えたのを知り、店員がテーブルを綺麗に片づけ
食後のアイスティーと、爽やかなレモンシャーベットが
お肉を食べた後の口直しに、さっぱりと洗い流してくれるかのように

爽やかな初夏の訪れを思わせる、レモンの酸味と甘みが実に美味しくて
スプーンを入れれば『シャリッ』とした音を静かに鳴らしながら
口元に運べば、ひんやりとしたレモンの清涼感ある風味が広がる

アリストロメリア > アイスティーを、一人静かに飲みながら
シャーベットを味わって、食事が終わる

(こんなにも、和牛ヒレステーキだけでも美味しいのであれば……
いつかきっと、グランプリ牛のステーキも口にしたいですわね)

――……と、心の中で決めながら
お会計を済ませると、お店を静かに出ていく

自分が訪れた時も相当人の込み具合が凄まじいのであったけれど
店を出る時も変わらず人で混んでいて、出るのも少し一苦労であるくらい
繁盛している人気の高い和牛ステーキ店は

初めて口にする和牛ひれステーキ、おろし醤油ソースのハーモニー
そして、コシヒカリの風味を
彼女の心に深く感動を刻み、忘れられないものにした

ご案内:「和牛ステーキ店『Tokoyo』」からアリストロメリアさんが去りました。
ご案内:「料亭『隠形鬼』」にライガ・遠来・ゴルバドコールさんが現れました。
ご案内:「料亭『隠形鬼』」に佐伯貴子さんが現れました。
ライガ・遠来・ゴルバドコール > 店の地下にあり、利用には特殊な手続きを必要とする個室があった。
防音壁に囲まれていて、事務的な会合用に使われる部屋である。
また出入口の襖には通信魔術を妨害する特殊な結界術がかけられているようだ。

受付にいる老女将に合言葉を言えば、とおしてくれるだろう。

部屋の中は大テーブルと座椅子が幾つかあり、珍しく髪を整え、眼鏡をかけたライガが下座付近でスマホを弄っている。

佐伯貴子 > ほう…
(この辺りに来るのは初めてだ)
(一見高そうな雰囲気だが手持ちは足りるだろうか)
(出迎えた老女将に合言葉を言う)
『猿酒を頼む』
(情報通りなら目的の人物の元へたどり着けるだろう)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 受付の老女将は「只今切らしておりまして。ですが地下倉にはあるかもしれませんね」と言いながら、指先のジェスチャーで、自分の後ろにある階段を降りろ、と伝える。

階段を下りていけば、部屋がいくつかある廊下に出る。
そこのひとつの前に店員が立っており、手招きして迎え入れるだろう。

佐伯貴子 > (店員の示すとおりに進む)
(迎え入れられれば部屋にはいるだろう)

やあ、ライガ。
今回は協力感謝する。
それにしても…こんな店を知っているとは、この島に来て間もないとは思えないな。
(言いながら座るだろう)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 声に気付き、スマホを仕舞いこんで眼鏡を掛けなおすと、
いつもと同じような調子で、ライガは貴子を上座に案内した。

「やあ、ご苦労様。
まずそこに座ってくれよ。……今日は一人なのかい?」

別に他の委員を連れてきても良かったんだけどね、と微笑んだ。

「大した事じゃあないさ、異邦人街にしばらく通ってれば見つけられる店だ。今日の部屋はそんなに高いやつじゃないから安心してくれ。
……『それ』も含めて、訊きたいんだろう?」

佐伯貴子 > (ライガが下座に座っているなら自然と上座に座ることになる)
人手不足でね。
レイチェルに来て欲しかったなら残念という他ない。
一応君の希望は連絡しておいたが、彼女の連絡先はプライバシーもあるし教えられないな。
(ニヤリと笑いながら)
まあな。それほど裕福ではないのでな。
では早速で悪いが、ザデルハイメスの事件について教えてくれ。
嘘をついても構わないが、バレた時に風紀委員から信用を失うから注意してくれ。
(携帯デバイスを取り出しメモの用意をする)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 残念という言葉を聞けば、わざとらしく肩をすくめ、小さく笑う。

「…その点は理解するよ、伝言だけでも伝えてくれたら十分だ。
それに、君のような凛とした美人と話ができるんだ、これ以上の不満はないね」

それは社交儀礼のお世辞か、それとも心からの言葉か。
黄金色の目は眼鏡の奥で、その表情を窺うことはできない。

「ふふ、いきなり来たか。
ザデルハイメス……漆黒の鎧をまとった騎士だったね。
あれは3日ほど前、商店街での出来事だったと思う。
現場調査を風紀委員がやってたらしいが、何か見つけたことはあったかい?」

思い出すように、片肘を立てて頬に当て、切り出した。

佐伯貴子 > そういったお世辞を聞くのも久しぶりな気がするな。
それほど男性とじっくり話す機会が少ないものでな。
(今から茶道でも始めるかのように姿勢を正し正座して言う)
それが目的だからな。
目撃者の証言によると、女生徒が炎で鎧騎士を焼き殺した…
というところかな。
詳しくはわからない。しかし…
(眉をひそめ)
鎧騎士がザデルハイメスだとしても、死んではいないだろうな。
昨日のシルヴェネは敵討という感じではなかった。

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 「なんだって。
はぁ、君の周りの男は見る目がないんじゃないか」

小さく首を横に振り、ため息をつく。

「ま、そうだろうね。
シルヴェネのあの態度はむしろ、面白そうな玩具を見つけたような、そんな感じだったよ。
敬愛する相手が倒されていたら、もっと余裕ないだろうからね。

女生徒が炎で、ねえ。
ああ、確かにいたな、結構強そうだった。
何しろ、ザデルハイメスの放った呪詛を弾き飛ばしたんだからな。あれはすごかったよ」

佐伯貴子 > 男運が無いのは昔からだ。
(苦笑する)

まさに遊んでいただけだったからな。
もっとも、あの呪いをかけられていたら我々も今頃集中治療室で解呪の真っ最中だっただろうが。
(肩をすくめる)
その女生徒はどんな特徴をしていたか覚えているか?
君は安全なところで見ていたのかな?
(2つ質問する)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 「それはもったいないなぁ。
夏休みも目前だし、出会いをあきらめるにはまだ早いんじゃないかと思うけどね。
……ま、休みが多いとやんちゃして風紀委員のお世話になる人も増えそうだけど」

治安維持活動はご苦労様だよホントに、と嘆く。

「さあね、結構僕もいっぱいいっぱいだったから、そこまで詳しくは覚えていないけど。名前も知らないし。
何より、僕はあのときの手持ちが相性良くなかったから、途中で離脱したんだよね。

ま、でもそこそこ手は引き出したりはしたよ。
見物に徹するのも良かったけど、ちょっと周囲への影響が大きかったから、さ」
明らかに、目撃者でなく、交戦した者の言葉である。

佐伯貴子 > 別に彼氏が欲しいわけではない。
幸い女性の交流には恵まれているし寂しい思いはしないだろう。
(特に残念そうな表情ではない。嘘ではないからだ)
…去年もテストが開けて海開きが始まると、開放感に任せて生徒たちがなあ…
(遠い目をする)

鎧騎士が本当にザデルハイメスだとすれば、過去に名を馳せた一大犯罪組織の幹部だ。
余裕がなくなるのも仕方ないさ。
手を引き出したというのは?
ザデルハイメスの武器は呪詛だけではないということかな?
(再び質問する。いずれ戦うだろう相手だ、情報がほしい)
(そのためにこの場を設定してもらったのだから)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 「ま、寂しくないならそれでいいか。
ああ、やっぱりなあ。夏って、そういうところあるよね。
あれは、夏に関係する悪魔でもいるんじゃないかと思うね、……冗談だけど」

ちょっと残念そうな顔をした。
もしかして、身体目当ての男ばっかりだったんだろうか。

「なあに、大した情報じゃないよ。

…右腕の篭手、その掌から一つ眼が現れた。
おそらく、『視線か、視界にあるものに不運をもたらす邪眼』だな。幸いこっちの障壁構築が間に合ったから、被害は軽かった。たぶん邪眼耐性があれば防げるだろうね。
あーとーは、……鎧の紋様かな。こちらも赤く輝くのを見ちゃうと何かしら変調をきたすようだね。

この二つを見るに、視界に関する呪詛をもつ、ってところかな。
ま、次以降同じものを使ってくる保証はどこにもないけどね」

この男は気づかない。
邪眼を初見で軽減し、分析する方もけっこう大概である。

佐伯貴子 > 季節や月に関係する悪魔もいたはずだ。
日本には似たように関係する神様もいるようだしな。
とにかく夏は厄介だということだ。
(風紀委員にとって。とは言わなかった)

なるほど。…なるほどな。
邪眼に限らず初見で防げない魔術というものは多いと思うが…
君は教師になっても良かったんじゃないか?
(携帯デバイスにメモを取りながらそんなことを言ってみる)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 「たしか盆だっけ?
霊脈が活発化する時期もあるらしいし、大変だねえ」

霊脈関係などは、魔術師にとっても他人事ではない。

「……教師、か。
偶に、そっちのほうがよかったかな、とかそんなことを思ったりもするよ。
ま、学生が主導する授業ってのもあるらしいし、もし培った経験を活かせるのであれば、そういったことも悪くないかとは思うね。
…受けたいって人が居るかどうかは別として」

そう、苦笑する。
邪眼や魔眼については、どちらかというと魔術よりも異能じゃないか、と個人的に考えてはいるが、この辺りは議論がまだ終わっていないので、あまり意見は出さない。

佐伯貴子 > そうだな。それに夏は霊脈だけじゃなく霊自体も活発になりがちだ。
そして人の心も乱れる。くれぐれも気をつけてくれよ。
(魔術師云々は関係なく、一人の生徒への忠告だ)

学生が教師になる例もないことはない。
自分の方が教師より優秀だと思ったなら乗り換えるのもありだと思うぞ。
なにせ金を払う側からもらう側になれるしな。
(この女、俗っぽい)

ザデルハイメスに関する君の見解はそんなところなのかな?
(情報収集が終われば食事でもしていこう)
(せっかくだし)
(ただ、領収書を風紀委員名義で切っていいのかは謎だ。ライガにとって)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > その言葉そっくり返しておくよ、と悪戯っぽくほほ笑んだ。

「いやあ、自慢じゃないけど、ここ来て学生やる前に、前職でそれなりに財産もってるし。
これ以上金稼いでも使い道が……」

むしろ雇う側になりたいよ、と冗談か本気かわからないことを言う。

「そうだね、なんとなく因縁ついちゃった気がしなくもないけれども。
シルヴェネがちょっと気になるところかな。
彼女も商店街に居たんだけど、積極的でなかったから、詳細な能力は分からなかったし」

さて、話はおわりだ。
店員を呼び出し、会合が終わったことを告げれば、旬の海の幸の鍋が運ばれてくるだろう。
食事代の領収書は地上階の文とそう変わらない、なぜならば部屋代はすでにライガがこっそりと払って、そのうえで口止めしているからだ。ある種の暗黙のルールであった。

佐伯貴子 > むう…
(小さく唸る。戦闘能力ではかなわないのは今の話でよくわかった)

金、持ってるのか…
それは羨ましいな…
(羨望の眼差しになった)

この学園の風紀委員はなかなか数が足りてなくてな。
因縁は君の手で決着することになるかもしれないぞ。
だがもしかして現場に現れるとすればレイチェルだろう。
喜ぶといい。
(この時期に鍋か。地下で食べるのは趣があっていい)
(なんでもないようなことを話しつつ食事をとるだろう)
(こういう場合いつもそうするように、風紀委員名義で領収書を切ってもらい店を出るだろう)
(そしてまた職務に戻るのだ)

ライガ・遠来・ゴルバドコール > 眼鏡を外してしまいこみ、髪をくしゃくしゃとすればいつもの顔だ。

「……ま、ちょっと情報を探しててね。
【僕の今後の進退にかかわる重要な案件】なんで、懸賞金つきで探してる。
が、まあ、公安や風紀委員にとっても情報はそうそう出せないだろうし、学園からの方面は期待してないさ。

…いっその事、委員会に所属したほうがいいかもしれないね、決着つける手段としては。どこか、動きやすそうなところ、無いかい?」

風紀委員の君に訊いてもひとつしかないか、と笑いながら、小皿に盛り付けて食べ始める。

佐伯貴子 > そうだな…
風紀に来てくれるとありがたいが、ザデルハイメスはじめ元ロストサインの情報なら公安のほうが詳しいかもしれないぞ。
それ以上のアドバイスは今はできないかな…
(鍋を小皿に取り、味わう)
(その後は特に有用な情報を与えることはできなかった)

ご案内:「料亭『隠形鬼』」から佐伯貴子さんが去りました。
ご案内:「料亭『隠形鬼』」からライガ・遠来・ゴルバドコールさんが去りました。