2015/07/06 のログ
ご案内:「洋菓子屋『リュヌ・ド・ミエル』」に惨月白露さんが現れました。
ご案内:「洋菓子屋『リュヌ・ド・ミエル』」にヘルベチカさんが現れました。
惨月白露 > 「というか、シロちゃんって呼んでくださいって言ったじゃないですか。」

話を続けながら二人分の椅子を引くと、
例によって刀を近くに立てかけ、そのうちの片方に浅く腰掛ける。
メニューらしいメニューは無く、店員も居ない店内は、
一応、店らしい装いではあるものの、独特の雰囲気を放っている。

地雷原でタップダンス、という言葉を聞けば、苦笑する。

「あ、もしかしてネコちゃんって呼ばれるの嫌でした?
 とってもかわいい顔なので、ついつい可愛い呼び方をしてしまって。」

くすくすと笑いながら手を挙げると、二人以外では唯一人その空間に居た、
店主と思われる女性がこくりと頷いて奥へと入って行った。

ヘルベチカ > 「いや初対面の相手いきなり"ちゃん"づけのアダ名で呼ぶのは、
 男子にはかなりのハードルの高さ有るっていうか……
 シロちゃんネコちゃんって死ぬっていうか……
 そもそも女子のそのいきなり4速までぶち込むやつ、俺らやるとエンストするから……
 いいじゃないすか白露さんで……」
げんなりしつつも、椅子を引いてもらったことに対しては「あ、ありがとう」と言う当たり、
少年も育ちは悪くないのかもしれない。
こちらも椅子に軽く腰掛けると、相手の方へと意識を向けたまま、くるりと店内を見回して。
「なんか、洋菓子屋、ってこういう感じだっけ……?」
表通りによくある、明るい店内と愛想のいい店員の居る店をイメージしていたか、少年は不思議そうな顔。
が、少し不機嫌そうな表情に変わった。
「別にネコちゃんだろうがいいんだけど、可愛いっていうのはやめていただきたいが……?あれ?注文は?」
惨月の挙手に応じて寄ってくるかと思いきや、店の奥へと引っ込んだ店主。
少年は、瞬き多く首を傾げて。

惨月白露 >  
「そんなに緊張しなくていいのに。シロちゃん、かーわいいー。」

可愛いはやめろというのを無視して、そう言うと、
くすくすと笑って彼のほっぺたをつつく。

「じゃ、こっちもヘルベチカさんって呼んだほうがいいですか?」

そうして冗談っぽく笑って話していると、先ほど店の奥に入った店員が、
ティーセットをお盆に乗せて入ってくる。
静かに二人の机にティーセットを置くと、
不機嫌そうな彼ににっこりと笑いかけて、再び店の奥へと入って行った。

「―――この店、ちょっと変わっててね。」

そう言ってティーポットを手に取ると、
二つのカップに紅茶を注いでいく、良い香りが辺りに漂った。

「『リュヌ・ド・ミエル』ってハネムーンって意味なんですけど、
 その名の通り、このお店、夫婦が二人だけでやってるんですよ。」
『あ、ちなみに夫のほうがパティシエさんね。』と付け加えつつ。

「だから、注文とかは取らないんですよ。
 日替わりで、その日のケーキを出してくれるんです。」

お洒落でしょう?と彼に片方のカップを押し付けると、
砂糖とミルクポットをかつかつと指差した。ご自由に、という事らしい。

「―――デートにはぴったりの、いい雰囲気でしょ?」

彼の瞳が、妖艶に細められ、彼の瞳を見つめた。