2015/07/11 のログ
ご案内:「Cafe E.Gorey 屋根裏部屋」にヘルベチカさんが現れました。
ご案内:「Cafe E.Gorey 屋根裏部屋」に惨月白露さんが現れました。
■ヘルベチカ > 走る間、幾度か雷が鳴り、数えきれない量の雨粒に打たれた。
そして約五分の後。通りに面した喫茶店の裏手。
勝手口から入り、すぐの階段を登った先。
少年の住処はあった。
ドアを開ければ、平たい床。入り口を囲うように、コの字に貼られたビニールテープ。
その中にサンダルが一足。段差がないこの部屋の、土間代わりらしい。
少年は靴を脱いでから、そのテープを超えて。
「靴、脱いでな。日本に合わせて素足だから、この屋根裏だけ」
タンスに向かう。
そして一番上の引き出しを開ければ、タオルを二枚取り出して。
一枚を己の頭にかけて、もう一枚を相手の方へ放った。
「それ、今拭く用のやつ。バスタオルは洗面所の上のつっかえ棒棚に載ってるから、使っていい」
てきぱきと、勝手知ったる己の部屋。
相手に指示を出しつつ、指さした先は入口ドアの側、どうやら洗面所と風呂場に繋がるドア。
■惨月白露 > 少年の住処をゆっくりと見渡す。
平たい床にテープというあまりにもお粗末な玄関に苦笑しつつも、
それ以外の部分は彼の勤勉な性格のおかげか、よく片付いている。
スンと少しだけ鼻を鳴らすが、特に嫌な臭いもしない。
「―――どっちにしても、こんなグッショリじゃ脱ぐしかないだろ。」
靴を脱いでテープの淵に沿うように置くと、
ぶるぶると体を振って水を飛ばそうとするが、
ヘルベチカから投げられたタオルに阻まれる。
『どーも。』と適当にお礼を言うと、自分の頭にかけて、
全身を適当にふき取ってから、髪の毛を拭く。
よく乾かされていたタオルは、
水を吸ってすぐに濡れタオルと化した。
指し示された先を見ると、分った、と頷いて、
そっちのほうへ歩いて行く、途中で思い立ったように振り返ると、
口元に悪戯っぽい笑みを浮かべ、問いかける。
「ネコちゃんも一緒に入る?」
■ヘルベチカ > 普通の部屋に比べれば少し小さな窓の外、
ガラスを叩く雨音の間、時折白く光る雷があった。
そもそも物の少ないその部屋の中は、
下階の店舗の所為か、珈琲の香が仄か交じる程度で、
惨月の嗅覚通り、おかしな匂いも特にはしない。
「これで履き続けるのなんて子供かマゾくらいだわな」
ガシガシガシ、とタオルで頭を拭く。
水を吸って重くなったタオル。
それでもずぶ濡れのワイシャツに当てれば、少しだけ身体が軽くなったように感じた。
「使い終わったタオルとさっき投げた上着は、洗面所の洗濯機にひっかけて―――入らないからさっさと入ってください。
後で洗面所に入って、適当に着替え置いとくから、ちゃんと風呂の扉は閉めるように」
しっしっ、と狗を追い払うかのように、手をパタパタと振って。
「コーヒー飲めるか?」
■惨月白露 > 部屋にほのかに漂うコーヒーの香りを吸い込む。
少しだけ混じるのは、ヘルベチカの匂い。
―――よく片づけているんだな、と感心する。
「ああ、着替えね、さすがにコレ着るわけにはいかないからな。
……あ、彼シャツとかその他変な服はやめろよ?」
自分の服を指先でくいくいと引きながら、そう答える。
ふき取ったとはいえ、まだ洗濯機から取り出した時以上に濡れている。
足を止めれば、ぽたぽたと足元にふき取りきれなかった水が落ちた。
「ま、出来るだけ早く上がるよ。」
シッシという動作に笑みを返すと、
尻尾がふわりと揺れる。
「コーヒー?あんまり好きではないけど、
今飲むには良さそうだし貰おうかな。砂糖とミルク多めで宜しく。」
洗面台に入ると最後に『覗くなよ』と、
ウィンクして、扉を閉じた。
しばらくすれば、シャワーが床を叩く水音が、
外で降り注ぐ雨の水音に混じり、二重奏を奏でる。
■ヘルベチカ > 「そのびしょ濡れまた着て行くなら、もう風呂入らずに帰れや!ってなるからな……着替えくらいは貸すわ……」
言いながら、ネクタイを外して。
ワイシャツのボタンを三つ外せば、よいせ、と掛け声一つ。
上に来ているものを全て一度に脱ごうとして。
「む。む。ん?ん?ぐああ」
水に濡れてぺったりと張り付いたワイシャツ。
伸縮性のない生地は、滑りの悪いこの状況では身体から抜けない。
諦めて、残りのボタンも外していく。格好悪い。
「? いや、シャツはなんか貸すけど。下着は無いからかんべんしてくれよな……」
ワイシャツ一丁、という想像は一切浮かばない清純派男子。
ボタンを外し終えたワイシャツを脱いで、上半身はTシャツ1枚。
「急かしたから風邪ひいた、ッて言われても嫌だから、ゆっくりどうぞ」
流石にTシャツはひっくり返して脱ぐしか無く、手こずりながらまくり上げ、随分と引っ張りつつ頭から抜いた。
ぶるぶるぶる、と頭を振って、乱れた髪を落として。
「はいはい。砂糖とミルクな。だから、誰が覗くか」
よこされたウインクは、顎で風呂を示す動きで返された。
そして少しの後。水音が聞こえてくれば、少年は一旦全て脱いで、拭いて、乾いた服に着替える。
Tシャツにジーンズといったラフな姿でタンスを漁って。
「ジャージ、いや、流石に、でも女子ならアリか……?」
タンスは一つ。大量とはいえない己の着替えを見つつ、悩む少年。
「……Tシャツとジャージ上下渡しといて、自分で選ばせればいいや」
最終的に妥協すれば、ちゃきちゃきと手元に集めて。
洗面所のドアを一旦ノックする。
「着替え持ってきたからな。入るからな。風呂のドア開けるなよ。絶対開けるなよ。フリとかじゃないからな」
一通り言ってから、洗面所の扉を開けた。
■惨月白露 > 外から声がかけられれば、返事をする為か、
一瞬だけシャワーの音が止まる。
「フリだったとしてもあけねーよ、俺の体は高いからな。
万が一見せたらお前如きの稼ぎじゃ一生足りない額になっちまう。」
擦り硝子のように少しだけ透けるようになっている
お風呂場のドアは、彼のシルエットをぼんやりと映している。
「ありがとな、そこに置いておいてくれ。
あ、下着泥棒とかするなよ?」
洗面所を開ければ、
指定された通りに服が洗濯機にかかっている。
下着を隠すようにかけられているその服は、
ぽたぽたと水滴を床に垂らしていた。
返事を終えれば、再び浴室からはシャワーの音が響き始めた。
■ヘルベチカ > 「見たら死ぬから一生の稼ぎがそもそも存在しないパターン」
扉を開けて、真先に目に入った、床に垂れる水滴。少年は溜息。
せめて絞れ、と言おうか悩み、首を振って諦めた。
己の首にかけていたタオルを、ちょうど水滴の落ちる位置に置いて。
これで床は守られた。少しばかり満足そうに頷く。
「するか、泥棒なんて。割に合わんわマジで……白露さんもっと魅力磨いてから来て……置いとくからな」
三段棚、一段目と二段目には洗剤やらの入ったそれの天板、三段目に紺のジャージと無地の黒Tシャツを置いておく。
シャワーの音が聞こえ始めれば、届くかどうかは気にする様子のない声で。
「そんじゃごゆっくり」
一言言って、洗面所の扉を閉めた。
二枚の扉で惨月を隔ててから、少年は肩を落として。溜息を一つだけ。
それから、部屋の入口、サンダルを履けば、扉を開けて出て行った。
10分もすれば、盆を手に部屋へと戻ってくる。
その間、部屋の中に惨月を一人残したのは、信用している故か不用心か、わかったものではない。
惨月の風呂の長さが不明故だろう。盆の上には、保温ポットが二つと、砂糖壺と、マグカップ二つ。
保温ポットはコーヒーとミルクが入っているようで、
片方のポットの上には、白い丸シールが適当に貼られていた。
それをテーブルにおいて、少年はベッドに腰掛けて。窓の外を見てぼんやりと。また光った。
■惨月白露 > 「俺、そんなに魅力ないかなぁ、
最近なんかそういう事多くてさ、ちょっとへこむよな。」
置いとくからな、という彼に、浴室内からぼやく様に答える声。
洗面所から出ていく音が聞こえれば『急いで入っちゃわないとな』と呟いて、
浴室を見渡し、ようやく見つけたシャンプーに手をつける。
手早く髪を洗うと、浴室から出て、
その紺のジャージと、黒のTシャツに視線を落とした。
それを持ち上げると、品定めするように眺める。
「ま、無難って感じだな。」
手に取ったまま『下着はどうしようか』と、しばらく悩むが、
やがて意を決したように袖を通すと、扉を開けて洗面台の外に出た。
「―――ありがと、いいお湯だったよ。」
髪の毛をタオルでくるみながら、ベッドに腰掛けるヘルベチカに声をかける。
テーブルに置かれたコーヒーと砂糖ツボ、そしてミルクに視線を泳がせると、
保温ポットからコーヒーを注ぐと、砂糖とミルクを入れて一口飲んだ。
「……ネコちゃんも早く入ってきなよ。冷えてんだろ。」
■ヘルベチカ > 「ん」
開いた洗面所のドアに、眉を上げた。
「思いの外早かったなぁ。もう少し、長くなるかと思ったんだけど」
ベッドの上、座ったままの少年は、笑って立ち上がろうとして、一旦動きを止める。
それからベッドに手をついて、立ち上がった。
そうする間に、相手は手ずからコーヒーを入れ終えていて。
「あぁ、悪い。もう少し長くなるかと思って、ポットで持ってきたんだ。
店のだから、不味くはないだろ」
どうやら、店のキッチンまで降りて持ってきたらしい。
立ち上がった少年は、そのままタンスへと近づいて。
「開き戸にアウター、一番上にタオルと下着。二段目、シャツと上着。
三段目、ズボン。四段目、嵩張る系」
一つ一つ指さしながら説明していく。
「とりあえず洗面所から出てこれる服渡したから、帰りに着て帰れる服に組み合わせられそうなら、適当に漁ってくれ。
そんじゃ、俺風呂はいるから。覗かないでね」
笑いながらそんな言葉を残して、洗面所に消えていく少年。
■惨月白露 >
「ま、さすがにびしょ濡れのネコを待たせてるからな」
コーヒーを片手に彼に答える。
コーヒーの良い香りが、
元々ほのかに同様の香りがしていた部屋に漂った。
「へー、結構いい店なんだな。
今度はこういう時じゃなくて、個人的にからかいに来ようかな。
此処でバイトしてるんだろ、ネコちゃん。」
コーヒーに視線を落として、満足気に笑うと、
ヘルベチカの説明に耳を傾けた。
「ま、これで十分だろ、
ちょっと外を歩く恰好とは言い難いけど、
どうせ学生が住んでる街なんだし、平気平気。」
『でも、ネコちゃんがどんな服を着てるのかは暇つぶしに見てみてもいいかもな』と笑う。
彼がそうしたようにベッドに座ると、冗談っぽく笑って、
ひらひらと手を振って彼を見送った。
「ああ、気が向いたら覗きに行くよ。」
■ヘルベチカ > 「来店が目に入った瞬間にキッチンに入るから、決して来ないように。
フリじゃないので。マジなので。これもマジなので」
最早想像するまでもなく、この相手が勤務中に来た場合に生じる惨劇などわかりきっている。
大方、猫をかぶったあの態度で、色々なことをしてくれるのだろう。
猫乃神が猫をかぶられて酷い目に合うなんて、笑い話にもならない。
少年は口をへの字に曲げて、首をぶるぶると振った。
「黒紺で、色彩真っ黒だけどいいのか?まぁ、いいならいいけど……
見てもいいけど、普通に服しか入ってないからな……」
タンスの中、もしも開ければ入っているのは、派手すぎない程度に学生らしい服。
それ以外に特におかしなものは、入っていない。
そうして少年が洗面所に消えた後、しばらくすれば、壁越しに届くシャワーの音。
雨音よりは、少し優しく聞こえる。
特に何もなければ、10分もすれば上がってくるだろう。
屋根裏部屋。これより上に、空間は無い。
すれば、窓から、そして屋根からも伝わってくる雨音。
それはまだ強く、しばらく止みそうにない。
もしかするとこの突然の雨、本当に誰かの力だったのかもしれない。
■惨月白露 > 「はは、今度絶対来るよ、楽しそうだしな。」
その表情とぶるぶると振る仕草を見て笑いつつ、
シャワーの音が聞こえれば部屋の外に視線を移した、
「ったく、マジで天気予報ってのはあてになんねーな。」
窓の外から響く音は、未だ強く、
窓の方に寄って空を見れば、
どんよりと厚く雲がかかっている。
ぼんやりと彼の洋服ダンスを漁り、
印象通り丁寧にたたまれている服を1枚持ち上げて広げてみる。
「なんてーか、ほんと学生の服って感じだな。
まぁ、可もなく不可も無く、めっちゃ無難。」
皺もなく綺麗なその服に顔を寄せると、くんと鼻を鳴らす。
「……何やってんだ俺。」
そう言ってたたみ直すと、そっと箪笥に戻した。
ほんの10分という時間、ただ、
案外と手持無沙汰で過ごす10分というのは長い。
コーヒーカップをテーブルに戻して、ベッドに腰掛けると、
ぼんやりと外を見上げた。
『今日は色々あって疲れたな。』
コーヒーのカフェインが体に回る前、
ただ、その暖かさが体をぽかぽかと温める。
うとうととすると、目を擦ってそのままベッドに横になった。
『さすがにここは少し、アイツの匂いがするな。』
なんとなくそんな事を思いつつ、そっと目を伏せ、寝息を立て始めた。
■ヘルベチカ > 着ているものは風呂を上がっても着るので三段棚に置いて、
先ほど脱いだ衣服だけ、洗濯機の中に放り込む。
そうして風呂場へ入れば、シャワーの湯を頭からかぶった。
首筋や背中など、冷えたところが湯で解れ、ぴりぴりとした感覚がある。
先ほど一瞬力の抜けた膝も、湯を浴びていれば、少しずつ力を取り戻していった。
「やっぱり雨に打たれるのって、ちょっとしんどいな」
己の風呂場。シャンプーの置き場で困ることなど有るはずもなく。
頭をわしわしと、少し荒い手つきで洗う。
猫の耳まで泡立てて、全ての泡を、シャワーで流して。
ぶるりと震えれば、頭部から水が跳ねた。
身を拭いて、服を着て。自然体で洗面所から姿を表す少年。
「悪い悪い、時間かかった――――」
タオルで頭を拭きながら視線を飛ばせば。
「なんだ、寝てんのか」
己のベッドの上にて、身を横たえた相手が目に入った。
雨音に混じって、すぅすぅと静かな寝息が聞こえれば、
体調を崩したのではないだろうと想像がついて。
「まぁ、女子が雨に打たれたら、そりゃしんどいわ」
タンスの中、嵩張る系の段から厚めのタオルケットを取り出して、
惨月の上に掛けた。
そのまま自分は椅子に腰掛けて、コーヒーを入れて。
一口飲めば、幸せそうに一息。
「……可愛いやつに普通に可愛いよとか、魅力あるよ、とか言ったらジゴロだろ」
ぽつりと口に出して。ベッドの上の寝顔へと視線を飛ばす。
しばらく眺めてから、やれやれ、と首を振って。
テーブルに肘をついて、ぼぅ、と外を眺めはじめた。
雨の音が聞こえる。窓の外、時折白く光る。
きっとこの雨も、まぁ、一、二時間もすれば、止む、といいなぁ。
そんなことを思いながら、惨月が起きるまでは、何をするでもなく。
コーヒーを飲みながら、静かな時間の中に少年は在る。
■惨月白露 > 「ん―――……。」
時折小さく声を漏らしながら、暫く、ただ眠り続ける。
どれほど時間がたったのかはわからない、
「んん―――……。」
ただ、彼は窓から差し込んだ『光』に目を覚ますと、目を擦った。
体を起こすと、寝ぼけ眼のまま耳がぴょこぴょこと動く、
「―――あ゛……?ここどこだ……?」
ぼんやりとした頭で部屋をくるりと見渡すと、首を傾げた。
しっぽがもふっと左右に揺れる。
窓の方に視線を流すと、青空に虹がかかっていた。
■ヘルベチカ > 雨音を失い、音を減らした世界の中。
遠く、鳥のなく声がした。そして。
虹を見た惨月の座るベッドの上。
其処から少し離れた所から、くぐもった寝息が聞こえる。
そうなったのは、惨月が起きるより、少し前だったか。
それとも、しばらく前だったか。
少年は、机の上に揃えた腕の上へと顔を臥せって。
規則正しく、Tシャツを着た肩が上下している。
眠っていた。ぐっすりである。
夢でも見ているのだろう、時折、猫耳がぴくぴくと動いて。
寝心地の良い場所を探すかのように、頭が卓上、両腕の上で揺れる。
顔がごろん、と横を向いた。目を閉じて、穏やかな寝息。
この様子であれば、そのまま惨月が出て行くのなら、
特に挨拶もなく去ることができるだろう。
■惨月白露 > 彼は光が差し込む窓、そしてその先の虹を暫くぼんやりと眺めていたが、
くぐもった寝息に耳がぴくりと動くと、視線を窓から外し、その少年を視界に捉える。
「―――あー……あ?」
まだぼんやりとする頭を無理やりくるりと回して考える。
「……あぁ。」
彼はようやく合点が行ったように頷くとあくびを一つ。
頭を掻くと、のそのそとベッドから降りて、うーんと伸びをした。
「寝ちまったのか、随分とよく寝た気がするな。」
もう一度、別方向に伸びをすると、
ゆっくりと寝息を立てるヘルベチカのほうに歩み寄る。
「で、こっちも寝てる。と。」
部屋をきょろきょろと見渡すと、
目当てのものを見つけて拾い上げる。
紅い鞘は、日の光を浴びて少し黄色く染まっていた。
「ほんと、なんだかんだと世話になったな、
………俺が女だったら惚れてたわ。」
『いや、なんか都合よく利用するだけな気もするな』と考えつつ、
メモに『ありがとな、お礼はほっぺにちゅーで払っておくわ。』とだけ書いて、
机の上の彼の腕に滑り込ませて、眠っているヘルベチカの頬に軽く口づけすると、
刀とまだ濡れている制服を持って、ゆっくりと歩き出す。
『あと、ジャージはお礼に洗わずにかえしてやろう。』
悪戯っぽい笑みを浮かべてそう考えながら、ヘルベチカの部屋を後にした。
ご案内:「Cafe E.Gorey 屋根裏部屋」から惨月白露さんが去りました。
ご案内:「Cafe E.Gorey 屋根裏部屋」からヘルベチカさんが去りました。
ご案内:「スラムの廃墟」に白い仮面の男さんが現れました。
■白い仮面の男 > ハァッ―ハァッ―
【人気のない廃墟の中に逃げ込む青年が一人、落第街の方から肉体強化の
魔術を使いここまで逃げて来た様だ】
あぁくそ!
何なんだよあいつ!
【苛立ちを抑えず壁に拳を叩きつける
落第街の路地で突如現れた白い服の男…協力と言ってたが隙を見てここまで逃げてきた…
あれは関わるとヤバいだけ。落第生として学園に見捨てられた青年は
今までの経験から脅威を感じとる事に長けていた】
■白い仮面の男 > 【その感覚が警鐘を鳴らし自分の足が動くまで時間は掛からなかった
ただ走って走ってここまで来たが…どれだけ走ってもすぐ近くから
薄気味悪い気配がする】
くそっ…ビビりすぎだろ…
【壁にもたれ地面に腰をおろしゆっくりと懐から煙草を取り出す】
若い内からそんな物に手を出しては、身体に悪いぞ少年。
【老人のような声が聞こえ青年がバッと顔を上げる
足音も気配もなかった、つい数秒前まで何もなかったそこに白い男が居た】
■白い仮面の男 > 【理解するまでの一瞬…その虚を突かれ青年に黒い鉄が向けられる】
追いかけっこはそろそろ終わりにしよう…あまり手を煩わせないでくれたまえ
【白い仮面の男が持つそれを見て青年は動きを止める
こちらに向けられた拳銃…いかに肉体強化を使おうとこの至近距離では躱せない】
■白い仮面の男 > …ゲームをしよう、少年
【銃口を向けたままもう一方の手で懐から赤い小石を取り出す】
これを君が飲んでくれれば君は自由だ、私はもう君を追わない。
なんなら謝礼も払おう
【そう言って小石を差し出す
青年い拒否権は無い、それを察しているのか抵抗もせずにその小石を受け取る
赤い水晶の様な、半透明のそれは宝石にも見え青年の視線を奪う…これを飲み込むだけ
それで自分を逃がす…飲まなければ…と想像し、諦めながらその小石を口に入れ…飲み込む】
■白い仮面の男 > 【青年が小石を呑み込んだのを見て拳銃を下げる】
ありがとう少年、君はもう自由だ…
【そう言って廃墟の出口の方を手で示す
これで終わり…何も起こらないのに一番不信感を抱きながら青年は立ち上がり出口に向かう
これだけ?ただの変態のお遊びかよ…と胸の内で悪態をつきながら歩きだす】
■白い仮面の男 > ――ドクン――
【外にも小さく漏れるほどの大きな鼓動が一つ
その鼓動と共に青年の身体が真っ赤に輝きを放ち苦しみを感じる間もなく
青年は砂になり崩れ落ちた】
君はもう自由だ…私は君の後を追ったりはしないよ
【砂の山に近づき手を差し込む
砂の山の中から青年の飲み込んだ赤い小石を取り出し…男はじっとそれを見つめる】
適性なのかそれとも拒絶反応か…
上手く馴染んだと思ったのだが
■白い仮面の男 > やはり飲ませるのでは無理があった
【それが分かったので良かった
懐に小石をしまいゆっくりと廃墟の外へ】
■白い仮面の男 > 今夜は…よい月だ
【夜空を見上げ月を見つめる
当たりに人工の光が少ないため月や星が良く見える】
見るのはたやすく触れるのは至難…まるで君の様だ
【空に浮かぶ月に手を伸ばす、掴もうとしても決して触れられない
もどかしい…そして】
悲しいよ…――――
■白い仮面の男 > 【何かを呟いた男はそっと手を降ろす
夏の日の陽炎の様に、男の姿が消えていった】
ご案内:「スラムの廃墟」から白い仮面の男さんが去りました。