2015/08/28 のログ
ご案内:「海底遺跡郡上空」に⚠UNKNOWN⚠さんが現れました。
⚠UNKNOWN⚠ > 侵略者は、空からやってきた。
それは久藤嵯督の持つ探知能力から逃れるかのように、高高度に強力な『門』を作り出した。
『門』から出てくるモノの質によって、『門』特有の反応に強弱が現れる。


―――その門は、まるで浮かぶ星座のように大きかった。


『門』の中央から、巨竜の首が顔を出す。
深淵なる紫色の鱗を月光に輝かせながら、アメジスト鉱山のような背中を引っ張り出す。
三対の翼が空を仰ぎ、山羊にも似た角に電流が奔る。

⚠UNKNOWN⚠ > 『ようやく自由を得た』
壊れたサイレンを大音量で鳴らしたかのような咆哮は、そんな風に聞こえなくもない。


空を得た巨竜がまず考えたのは、『自分の巣を作る』こと。
ようやく解き放たれたのだから、まずは自分の住処を確保しなければならない。

見下ろせばすぐに、大きな時計塔の聳え立つ島が見える。
異様な気配はいくつか感じるが、どうやらあの"人間モドキ"はいないらしい。
ならば、幾らでもやり様はある。

角の雷撃は全てを焼き尽くし、その六つの翼で音よりも疾く飛ぶ。
牙は虚鋼の砲弾でも砕けない。
鱗はあらゆる魔術を吸収するし、どのような砲弾にだって傷付けられたことは無い。

―――そう、あの時は人間共に不覚を取っただけなのだ。
―――私は強い。他のどの種族よりも、どの『京竜』よりも。

⚠UNKNOWN⚠ > 二本の巻き角から、紫色のスパークが迸る。

次第にその減少は頻度を増していき、角の先端が黒く光りだす。

大量の命を焼き尽くした、竜の雷。

その矛先が今まさに、不特定多数の島民に向けられようとしていた。

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

       「敵性存在を肉眼で確認した。セーフティを解除する」

■烏改 > 《了解。火器ロック全て解除。これより戦闘モードへ以降します》

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

⚠UNKNOWN⚠ > 常世島の防衛機構は、そう甘くない。
例え自分の探知の外から襲い掛かってきたとしても、あれだけ大きければ発見は容易い。
エマージェンシーを受ければマジックカートリッジを一本使い、格納庫へ転移。
それからパイロットスーツに着替えるなど準備をするのに、40秒も掛からない。

"されて"からじゃあ、全てが遅い。

故に誰よりも疾く、何者よりも強く

久藤嵯督は稲妻となる―――!

⚠UNKNOWN⚠ > 「さて、お客さんには挨拶をしてやらなくちゃあな。君の瞳に―――」

非武装に見紛うような薄っぺらい機体を、音速世界の中で調節。
ロック圏外でありながら、勘と経験を頼りに目標を狙い撃たんとする。

「―――乾杯」

リヴォルヴァーカノンが廻る。
その剛健なる初弾は真っ直ぐに、『京竜』の右目を貫いた。

『!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

天蓋とヘルメットを越しても尚びりびりと響く怒号。
操縦桿から手を離して耳を塞ぎたくなるような最悪のリサイタル。
初段以降の弾が数発だけ右眼に追い討ちをかけるが、その他の総ては妖しく輝いている鱗に阻まれた。

⚠UNKNOWN⚠ > 音速の三倍速で飛ぶ、漆黒の愛機。
『京竜』から見て右側を通り過ぎれば、後ろに回った事にも気付かれない。
抉りに抉られた眼のことで頭が一杯なのだろう。

「フン……これの分じゃあ、ミサイルを持ってきたって無駄だっただろうな」

音速の加護を受けた27mm弾でさえ、あの装甲を貫くには至らなかった。
それどころか傷ひとつさえ付けられなかったように見えた。
魔術的なアプローチが出来ればまた違ったのかもしれないが、生憎カートリッジはすっからかん。
なけなしの50万で補充するまで、自分に魔術の使用は許されないのだ。物理的に。

「まあ、俺の役割はあくまで時間稼ぎなワケだが……」

本隊が到着するまでの、『囮』。それが今回嵯督に命じられた任務だった。
相変わらずの貧乏クジであるが、一番危険な任務を回してくれるというのはありがたい。
それでこそ、自分が此処にいる意味があると言うもの。

しかし、任務にハプニングは付き物。
もしも予想外の事態に出くわしてしまったのであれば、現場の判断で行動する必要だって出てくる。
例えば―――


「倒しておくに越した事は、無いだろうよ」


目の前の羽トカゲが、予想以上に弱かったとしたら。

⚠UNKNOWN⚠ > 情報を整理しよう。

ターゲットの右眼は潰れた。痛み苦しんでいる様子を見せ、例え知能を持った個体だとしても演技ではないと見える。
ターゲットに再生能力があるのかどうかは未だ不明。まだ苦しんでいるが、とっくに治っている可能性がある。
ターゲットの持つ紫色の鱗は、生半可な物理攻撃は通じない。
ターゲットは愛機『烏改』の位置に気が付いていない。
『烏改』は、魔術的な対応は全て不可能。
『烏改』の残存武装、27mm内蔵式リヴォルヴァーカノン1門、インスタントコーティング60sec、霧式マジージャマー。

さてとこの状況、どのようにして乗りこなすべきだろうか。

七つの思考回路をフルに回転させる―――0.41秒経過にて思考完了。

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――

             コンクルージョン
          《―――結論:試行余地在り。》


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⚠UNKNOWN⚠ > 操縦桿をいっぱいに傾け、無理な旋回をあえてやる。
機内で鳴り響くアラート。機体がへし折れそうになっている証拠だ。
更に加えて急上昇ときた。予め『限定』を一つ外しておかなければ、自分の内臓が潰れているとこだ。

ここで一つ、烏改に備えられた自動防護システムが起動する。
薄っぺらい機体の表裏から青白い粒子が零れ落ち、機体にへばりついていく。
やがて漆黒の機体は青白く光る物体となって、京竜の遥か上へと飛んでいく。

これが、『インスタントコーティング』。
失敗から生まれた秘密兵器であり、知恵と工夫の結晶だ。

行うのは急上昇からの、急降下。そしてそうするための急旋回。
流出するコーティングによって一時的に無敵となった烏改だが、中の人にまで塗ってくれるほど親切丁寧ではない。

「ぐほっ……!」

なので、血反吐を吐く。流石に堪えてきたが、死にはしない。

⚠UNKNOWN⚠ > 血反吐に構わず、急降下を続ける烏改。
重力と共に加速する機体は、既に音速の4倍。
京竜との接触まで推定5.31秒。
コーティング残り秒数29.7秒。

最も負担の掛かる"ターン"の事を考えれば、持ち直すのに15秒分の余裕は欲しい。
それでもまだ余裕だ。後はこれが、成功するか否か……

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 5.00 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ >  
■京竜 > 右眼を抉られてから、まだ一分も経っていない。
それでもようやく落ち着きを取り戻したのだろうか、右眼を再生させ始める。

いきなり眼をピンポイントで狙撃された事は驚いたが、なんてことはない。
あれならまだ瞼で防げる程度の威力だ。
そして相手には、魔力の反応がまるで感じられない。
それを感知できれば、すぐにでも雷を落としてやったのだが……

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 3.93 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ > 俺の体にもそうだが、"こいつ"にはいつも苦労を掛けている。
それで一度壊してしまった事もあるが、今では相互理解を深め
もはや相棒と言ってもいいほど。

さぁて、そろそろ。

「……上がれェッ!!!」

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 2.41 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ >  
 
■京竜 > 自分の眼を抉った奴は―――

 

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 1.49 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ >  

■烏改 > 《言われずとも。》

 

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 0.01 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ >  
 
■京竜 > 首の裏を剥が

 

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = 0.00 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ >  
垂直落下から、機体を全力で上昇させる時に生じる絶妙なカーブライン。

鱗の目に食い込むようにして突き立てられる、ツルギとなった翼。

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = -0.001 = ―――


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⚠UNKNOWN⚠ > それはシャベルで土を掘るようにして、首の肉を抉り取った。
文字通り首の皮一枚となった竜はやがて……

⚠UNKNOWN⚠ > ―――――――――――――――――――――――――――――――――


             ――― = -13.0 = ―――

            ―――その生命活動を、停止させた。


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⚠UNKNOWN⚠ > ――――――――――――――――――――――――――――――――――

                  ア ン サ ー
             《―――答え合わせ:討伐は可能である。》


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⚠UNKNOWN⚠ > コーティングが切れる頃には、どうやら機体のダメージが深刻なものとなっていたようで。

■烏改 > 《マスター、私は分解寸前です。燃料もギリギリ帰れるかどうかといったところでしょう。
      早々なる帰還および、成果に見合ったメンテナンスを要求します》

■⚠UNKNOWN⚠ > 「わかってるって」

元は最新型のレーダーと一緒に搭載された補佐用AIだったのだが
何を学習したのか、ここまでご主人様を敬わないようになってしまうとは。こんな子に誰がした?
                    アイツ
……いやまぁ俺なんだろうけどさ。いや、上司も一枚噛んでいるか…?
出会ったばかりの頃はもう少しお淑やかだったと言うのに。

⚠UNKNOWN⚠ >  

■烏改 > 《それとくれぐれも、機体に血を吐かぬようお願いします。
      メンテナンスに際する手間が増えるのは、マスターとしても望む所ではない筈でしょう?
      そして何よりマスターの血は特に不潔ですので、どうかご勘弁を》

■⚠UNKNOWN⚠ > 「吐血で塗装してやろうかこのクソAI」


後に竜の死骸は、財団の潜水艦に回収されることとなる。
帰還した久藤嵯督は、烏改をしっかりとメンテナンスしてやったそうな。

なお増援部隊は、竜があまりにも早く片付いてしまった為に出撃すら出来なかった模様。

ご案内:「海底遺跡郡上空」から⚠UNKNOWN⚠さんが去りました。