2015/09/19 のログ
ご案内:「女子寮内・サヤと畝傍の自室」に石蒜さんが現れました。
石蒜 > 「畝傍遅いなぁ。」二人分の夕食を前に、石蒜は頬杖をついて同居人を待っている。
いつもならもう帰ってきている時間なのに、連絡もない。
「サヤは何か聞いてる?」基本的にサヤと石蒜は記憶と感覚を共有しているが、鍵をかけることも出来る、サヤだけが知っている情報が無いかと、部屋の隅に立てかけられた刀へと声をかけた。

『私も何も聞いてませんよ。確かに妙ですね…急な用事でも入ったんでしょうか?狩りの最中だったら連絡するとご迷惑かもしれませんよ。』
刀から声が穏やかな、だが少し不安を覗かせる声が響く。サヤである。1つの肉体に2つの魂は入りきらないため、肉体に入っていない方は刀に収まらなくてはならないのだ。

石蒜 > 「ぶー、せっかく石蒜が捌いた魚なのに、色悪くなっちゃうよ。」頬を膨らませてぶーたれる。
連絡もなしに遅れるというのが、気にかかる。何か事件に巻き込まれているのではないだろうか、そんな不安がよぎる。

石蒜 > テーブルの上で、携帯端末が振動してメールの着信をしらせる。飛びつくように掴んで、確認する。畝傍からだ。
【きょうは とまってくるから しーしゅあんは ごはんたべてて】
「今日は泊まってくるから、ご飯食べてて?遅いよー、二人分作っちゃったじゃん!」と不満を漏らしながらも
【わかった あしたはかえってきてね あいしてる】と人差し指打法で、操作に苦労しながら打って送信した。

石蒜 > 『無事みたいですね、よかった。』刀から、安心した様子のサヤの声
「うん……」だが、石蒜の声は晴れない。
何か、違う気がする。アドレスは畝傍からだったし、まだほとんど漢字を読めないサヤと石蒜のためにひらがなで書いてくれるのもいつも通りだ。

『どうしたんですか?』訝しむ声、当然だろう。ただのメール一通だ、どこも疑う予知はない。
「なんか……違う、うまく言えないけど……。」違和感が拭えない。メールの文面を何度も確認する。いつもの畝傍のメールだ。

石蒜 > 「畝傍を探さないと」刀を掴み、外へ向かおうと歩き出す。

『ちょっと、探すってどこを探すんですか!もう夜ですよ、こんな時間に出歩くのは危険です!』慌ててサヤが制止する。

「でも畝傍が……。」理由のない不安が膨れ上がっていく。会いたい、会って無事を確かめたい。だが今畝傍がどこに居るのかすらわからない。

『明日、日が昇ってからにしましょう。丁度明日から連休ですし。明日また連絡が来て、お帰りになるかもしれませんよ?』石蒜をなだめながら、サヤは困惑していた。石蒜が不安を抱いている理由がわからないのだ、連絡が少し遅れたぐらいにしかサヤは感じていない。
それなのに、まるで消息を絶ったかのような反応だ。

「うん……。」渋々、といった様子で石蒜が頷く。サヤの言うことは恐らく正しい。
石蒜の疑惑には理由が無いのだ、それを根拠に行動するのはおかしいのだろう。

石蒜 > 『ご飯を食べて、歯を磨いて、寝ましょう。気分が優れないのなら代わりますよ。』なだめる声と提案に、石蒜は無言で頷いた。

2人の魂が入れ替わる。褐色の肌は白く変わり、瞳の色は妖しい薄紫から穏やかな茶色に。
そして小さめの茶碗を取ってご飯を盛ると、「いただきます。」と手を合わせてから食べ始めた。

対面に並んだ、もう一人分の夕食を見ながら、石蒜のが伝染ったか、サヤも何か得体のしれない不安のようなものを感じるのだった。

ご案内:「女子寮内・サヤと畝傍の自室」から石蒜さんが去りました。