2015/10/14 のログ
ご案内:「国立常世新美術館」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
■不凋花 ひぐれ > 【産業区に程近い、海を見下ろせる美術館。潮の香りに混じった古物のにおい。独特なかおりを放つそれらはいたるところにあった。
『お手数ですが武具の持ち込みは、、万が一美術品を破壊されるなどされたら困りますので……』と止められてしまったので、付き添いで来た御付に刀を預けて、かわりの杖を持って入り口を通してもらった。
外周には花の香りが混じり、平和的な場所であることがうかがえる。手摺を掴み、スロープを昇りながらゆっくりと歩いて中へと入る。
所々でガイドの方が明瞭な、それでも遠くまでは響かないアナウンスで美術品の解説をしている声が聞こえた。】
■不凋花 ひぐれ > 【バッグの中には念の為に持ってきた竹刀一式。部活帰りできましたといいたげにこれ見よがしとバックを持って歩きながら、周囲を見渡す。
見えない視界の中には、ただの古物、というよりは、比較的新しいものが目立つ。現代的な絵画のアート、ペーパーアート。時たま新聞紙と糊のにおいがする。
こういった場所に来たことは初めてではないが、現代的なものが跋扈する美術館には立ち入った記憶がない。
両手で杖を持ちながらものめずらしそうに首を振る姿が、悩んでいる姿と映ったのか。近づいてくる様相の老紳士の足音と足を支える杖の音。
どうかしたかなと、彼は告げた。】
「お気になさらず。このような環境は耳に不慣れなものでして」
【孝行爺といった老人は笑った。彼女がずっと眼を閉じて会話しているところと杖を見て、察したように頷く動作。
お一人ですかと問うてみると、老人は肯定した。そうして独り身同士共に見て回るかと誘ってくれた。】
「いえ、折角のお誘いですが、またご機会があれば」
【朗らかな老紳士に深々と頭を下げると、杖をゆらゆらと揺らしながら壁沿いを歩き始めた。
気をつけるようにな。老紳士は嬉しそうに笑っていた。】
■不凋花 ひぐれ > 【ふと、一際賑わっている場所を見つけた。音と音声案内、床に敷き詰められたブロック状の物体を叩きながら歩く。
特別展示室という案内が書かれた場所へ赴いて入場料を払って中へと入る。】
「…………」
【周囲の情報から察するに『異能アート』『魔術アート』なるものがあるらしい。
異能や魔術を用いた様々なギミック、前衛性、あるいは芸術性を訴えるものだとか。
この場にあるものは様々な寄贈、提供、収集したものがあるらしく、中には良く見知った人物の作品もあった。】
「…No.6、対比……」
【プレートの下に羅列されている点字を音読しながら感嘆した。薄目を開けると、ぼんやりとした視界の中で見上げると、等身大の像が見受けられた。
その全貌を見るには少々"遠すぎる"ものの、一目見れば満足したのか、息をついた。】
■不凋花 ひぐれ > 「No18、発光」
【流し読みしながら指先を伝って歩いていると、ひとつ気になり立ち止まる。
プレートの説明文、文字の書かれているであろう下部にある凹凸から読み解く限り、様々なカラーリングが成された魔力によってライトアップされた木らしい。
その木は、たったいまライトアップが途切れてしまっているらしく、周囲がざわついていた。】
「………」
【理解するまでに数秒かかり、特にリアクションも起こさず木を見上げる。】
「ふぅ…」
【彼女は2歩後ろに下がって見上げる。初回の駆動の際強めに発光するのか、眩い光が一瞬、フラッシュのように焚かれた。
カメラでの撮影はご遠慮くださいというアナウンスがすぐに来たものの、彼女自身の異能のせいだと咎める者、気付くものはいなかったようだ。】
■不凋花 ひぐれ > 「No20………瓦礫?」
【はぁ、と釈然としない表情を浮かべながら説明文をを照らし合わせる。
何でも『怪力』の異能を用いて崩した様々な素材の破片を展示しているらしい。鉄などの金属片、割れたコンクリなどの混ぜ物。よく分からない工学的なマテリアルまで。
コレに一体なんの芸術性があるのかと突っ込みたくなったものの、展示されているからには相応の何かがあるのだろう。】
「……なぜだかガッカリします」
【そんな風にごちてから、ここぞとばかりはじっくり眺める。先のように稼動型の異能で作られたものがないかを意識しながら、ゆっくりと。】
■不凋花 ひぐれ > 【そうして閉館になるアナウンスが流れるまでは、この美術館で静かな時間を過す事――】
ご案内:「国立常世新美術館」から不凋花 ひぐれさんが去りました。