2016/02/10 のログ
ご案内:「地下鉄道網」に五代 基一郎さんが現れました。
■五代 基一郎 > 通気ダクトの出口を電磁ツールで焼き切っていく。
赤熱化した金属が赤く灯り、四角く枠を描ききるころには口が開き、落下していく。
狭いダクト内をようやく這い出せば、そこには地下鉄の路線が見えた。
ウィルマースの遺産を探して既にだいぶたった。
この島の建築記録から、電気エネルギーの使用状況から何まで虱潰しに探し続け
ようやく見つけたのがこの存在しない地下鉄道のライン。
デジタルなものや大規模な人員を導入することができず、アナログ……人の足や地道なものでしか探すことができなかったため
大きく時間を取られてしまったが
ようやくその片鱗を見つけることが出来た。
外部からの介入工作があるにしても、手段は限られているため考え得る可能性を一つずつ模索して、気の遠くなる作業だった。
こうしてようやくその尻尾の、尻尾なのかもわからないがそれに近づいたわけだが
改めて外部からの介入というのは手に負えない…というまでもないが非常に厄介な案件だった。
■お茶くみロボット>「101、状況はどうだ」
「見つけた。だがなんの変哲もない鉄道網にしか見えないな」
事実、赤外線の暗視装置などを使わずとも所謂日本の鉄道交通規格のレールが敷設されているだけである。
■お茶くみロボット>「そのまま線路に降り立って調べるか、先に進むかは任せる。」
任せると言われてもな、というのが正直なところだ。
この先がどこに続いているのかもわからないが、かといってこの機会を逃せば痕跡を発見されるかもしれない。
些細なものでもそれを見つければこれを利用あるいは管理しているものはこのラインに対して何かしらの対処をするはずだ。
どちらにせよ進むしかなかったわけなのだが。
ダクトから身を出し、飛び降りる姿勢へと体を揺らし…
■五代 基一郎 > と、その時。
空気を震わせる音が、金属の動輪が滑る音がゆっくりと聞こえてくる。
地下鉄だ。
この路線を利用している車輛が、ここに近づいてくる。
間違っていなければ……自分が来た場所から、いやこの島からどこかへ向かう方向ではあると思う。
何にせよ丁度いいタイミングだった。
体を揺らし、一度通気ダクト……天井まで貼りつけば車輛が接近するのを待つ。
そして前方のライトも着けないまま走っていく車輛が近づけば
通過するタイミングで飛び降り、転がり車輛上部へしがみつく。
二、三度転がったがなんとかしがみつけている。
パンタグラフがないからこそ出来た芸当だが……
「エイジャックス、動体感知」
■エイジャックス>「了解、御主人」
懐からするりと現れた黒猫……常に傍らにいるその黒猫
名はエイジャックス。彼がそのまま軽やかに…たったったっと
車輛上部を飛んで、まずちょっと飛び越して先頭を跳ねて
最後尾まで行ってまた帰ってくる。
■エイジャックス>「車輛中央部以降には生命反応が複数。座席の類は見られません。中は人や異邦人かと。車輛最後尾と先頭には人がおりません。無人で動かしているようです。」
なるほど、ここはオートメーションで動かしているわけか。
定時運行で既に規則的に行われているように推測できる。
となると、なにがしか起きたための人員の輸送というより
いつもの通り物資の搬入目的だろうが……中身がそれとなると、やはりこれが目的なんだろう。
通勤通学のために使われているとは思えなかった。
そのまま這いずるように上部を移動し、戦闘車両の上部を目指す。
■五代 基一郎 > そして先頭車両上部に辿りつけば、腰に装着していた超合金……オリハルコン製のファイティングナイフを引き抜き
ゆっくりと車輛側面まで体を動かして行く。
車輛入口ドアの窓を外から覗けば、エイジャックスの言うとおり
運転席は無人であった。
ドア鍵をナイフで破壊すると、そのまま体を滑らせるように運転席に入り込んだ。
「こちら101、車両に遭遇。現在運転席にもぐりこんだ。」
■お茶くみロボット>「了解。どこに進むかわかるか、101」
表示されている計器類は少ない。しかし、ある程度の規格は普通の車両と変わらないならしい。
電灯で内部から照らされ発光しているライン。どうやら通過駅と始発、終着駅の表示のようだが……
「場所は表示されていないが、このままどこかに止まらず終点まで行くようだ。ずいぶん長く感じる」
まるで体温計のように上がり続けるメーターを見ながら内部を物色していく。
あまり不用意に触れれば、管理側に察知されるかもしれない。
察知されたらされたで、このまま進めばいいだけなのだが。
「エイジャックス、以降の車両内部を調べてくれ。積荷の正確な情報を頼む。」