2016/03/25 のログ
ご案内:「非公式卒業式 常世大ホール入口付近」に佐伯貴子さんが現れました。
佐伯貴子 > (駅から桜並木が続く道。
 卒業式には続々と学生たち、あるいは保護者たちが訪れていた。
 入り口に立つ風紀委員は、
 大規模な破壊能力を持つ「威嚇者」か、
 佐伯貴子のような戦闘能力のない案山子である。

 開式まではまだ時間があった)

佐伯貴子 > (急に強風が吹き付ける。
 桜の花びらが僅かに散り、
 風向きが「下」だとわかる。

 上空に羽ばたいていたもの、
 それは紅い巨大なドラゴンであった)

「おお、ファフさんだ」
「ファフさーん!」

(学生たちの間から歓声が上がったりもする。
 このドラゴンは卒業生であった)

佐伯貴子 > (「ファフさん」と慕われるこのエンシェントドラゴンは、
 転移荒野に突如現れたという。
 当局が出向いた結果、この世界に対して敵意がなく、
 高い知能を持っており、しかも学習意欲も認められたため、
 入学が許可されたのだという。
 4年の間校舎の外から高い聴力で講義を聞き、
 身体のサイズで取得不可能なものを除けば、
 ほぼすべての講義の単位を取得したという話だ。
 それでも首席卒業者ではないというのがこの学園の恐ろしいところだな、
 と思った)

佐伯貴子 > (「ファフさん」の巨体はホールに入るにはいささか大きいため、
 外に設けられた巨大ビジョンの前に降り立つこととなる。
 そこにはサイクロプスや陸上クラーケンなど、
 これもまた巨大な出席者たちがビジョンを見つめていた。

 ホールの外にいた生徒たちはほぼすべて中に入る。
 
 卒業式が始まった)

佐伯貴子 > (果たして、ホール外の警備は、
 暇ここに極まれりであった。
 ホールの中では荘厳な、厳粛な、あるいは面白おかしい、
 いつものイベントが行われているのであろう。
 巨大ビジョンから聞こえてくる音声だけが響き渡る。
 佐伯貴子は欠伸を噛み殺しながらじっと立っているのであった)

佐伯貴子 > (ついうとうとしてしまっていた。
 目が覚めた時に聞こえる「卒業生退場」の声。
 続いて拍手。

 正面ゲートから卒業生たちが出てくる。
 それぞれ何かしら感情を持った表情をしているのが見て取れる。

 それもつかの間、他の出口から在校生たちが殺到してくる。
 胴上げを始めとした個々人の送り出しだ。
 これは管轄外なので、はしゃぎ回る生徒と卒業生を見守るのみであった)
 

佐伯貴子 > (そうこうして正午を過ぎると、
 周囲にいる数も少なくなっていく。
 式典委員が警備解散を伝えると、
 風紀委員たちは開放された。

 帰りの道すがら、お世話になった委員会の先輩には個人的に連絡をとっておこう、
 などと思う佐伯貴子であった)

ご案内:「非公式卒業式 常世大ホール入口付近」から佐伯貴子さんが去りました。