2016/03/27 のログ
桜井 雄二 > 「泪………?」

巨人の右手が深海を掴んだ。
深海が絶叫するも何もできることはない。

『なんだと! 機械人形~~~~~~!? これが奥の手かぁ!!』

停滞の力でこちらに向ける力を減衰させようとしたり、
水の力でウォーターカッターを放ったりしているが、
本来ゲレルトが持つ力は小細工を寄せ付けない。
握られたまま深海は身動きが取れない。

手錠と鎖、それと黒の封縛から解放されて桜井が溜息をつく。

「勘弁してくれ、四日もムサい男に監禁されてたんだ。とりあえずシャワーを浴びたいのは確かだな」

立ち上がろうとして、膝を突く。
監禁生活のせいで上手く立てない。

「やれやれ。ゲレルト、そいつが死なない程度にお仕置きしてやってくれ」
「……風紀に引き渡す前に聞きたいこともあるしな」

三千歳 泪 > 「ゲレゲレには《ゲレルト》っていう立派な名前があるんだけど?」
「これ返すね」

巨人の腕が手首を曲げて、異能使いの頭をまるごとこちら側に向ける。
その首にブラックなんとかをはめて修復する。これでよし。

「じゃあ連れてっちゃってくれるかな。あとはよろしくねゲレゲレ!」

また建物に微震が走って、次の瞬間もの凄い勢いで地下大深度まで引きずり込まれていく。
時を同じくして風紀の突入部隊がやってくる。ナイトゴーントたちはお役ご免だ。
これにて一件落着? だといいんだけど。

膝をつく桜井くんの肩を抱いて、支えて、上級者向けの特濃スメルを嗅いでしまう。

「…っぅ…?! んっ、ごほごほ…だ、大丈夫? ごはんちゃんと食べてた…ごほっ?」
「これはっ…劇物すぎるよ桜井くん!! 話はあとでも聞けるからさ、おフロ入ろう! ね??」

呼吸を止めて、顔、近づけて。すこしカサついた唇を吸う。

「えへへへ。がんばったねー桜井くん。えらいぞ! 君が無事でいてくれて何よりだよ」
「あとこれ、けっこう真剣に思ったんだけどさ…」

「―――いつも心配かけてごめんね桜井くん!!!」

桜井 雄二 > 『ま、待て! 私には大義があるんだぞ!!』
『貴種龍を……聞いているのかっ!! おい!! あの…』

あっという間に首にブラックギアスが嵌められ、異能を無効化されてしまう。

「待っ………!!」

深海は地下に引きずり込まれていった。

「しょ、食事は何度か抜かれた……腹が減ってしょうがない」
「う……すまん、臭いだろ俺…」
「わかった、まず風呂に入るよ……すまない泪」

唇を吸われて、まず泪が汚れることが気になった。
自分もすぐに綺麗な体になりたかった。

「そうだな、何とか無事だ。異能が使えれば怪我の治りも早い」
「体温調節で負傷回復を最近覚えてだな……ん?」

最後の泪の言葉に、傷だらけの笑顔を返す。

「いいんだ、ありがとう泪」

こうして捕縛された深海は重要な証言を残す。
そのことは、怪異対策室三課のメンバーたちの物語を大きく動かすことになる。

けれど、今は。

「……帰ろう」

今は、安寧を。

ご案内:「廃工場」から三千歳 泪さんが去りました。
ご案内:「廃工場」から桜井 雄二さんが去りました。