2016/05/28 のログ
■五代 基一郎 > 「タヌキっていうのは、天かす……揚げ玉なんだけど、わからないか……なぁ」
他にもキツネとかムジナとかあるんだけど……
あぁ鴨は鴨ね、鴨肉使ってるやつだと説明しつつ菖蒲の話を聞く。
菖蒲の、どこか浮世離れしたというか。普通のような、ただの感想のような
何かを聞きながら思う。違和感がやはりあり言葉を選らばなければいけないと感じる。
感じるが、恐らく彼女には回りくどい言い方を砕くことは難しいかもしれない。
理解力ではなく、ある一種の麻酔のように……麻痺させられているような雰囲気を受ける。
それが故に、直接的に伝えなければまた流れていくのだろうかと思われた。
「以前は、他にも事件が重なっていてさ。君も無事だったこともあって
……いや、伝えるのもどうかと思って後回しにしていたんだ。
ただそれが起点というのかな、やはり君に対して強い違和感を覚える切っ掛けになったわけでさ。」
そうして言えば、たぬきそばが2つに鴨焼きが運ばれてきた。
たぬきそばの天かすは見事に黄金色であり、和の香りが
ありがたい寺院の装飾を思い起こさせる。
が、それもまた余所に感じるように
「かつて害来腫に捕まったとされた時。君自身ほぼ無傷で保護された。
しかしその時、害来腫のアジトを捜索した担当者である俺から言えば
そのアジトで行われていたことを考慮すれば、そこで行われていたことは異常な事柄しかなかったが
君が無傷であったことが一番異常だったと断言していい。」
蕎麦にも鴨にも手をつけず、続ける。
そう……あの時、無事であるからと先送りにしていた事であるが
あの場所で行われていた凄惨な光景を見た者ならば……生存者、いやまともに残っていたものがいなかったあの現場
あそこを知ったのならば、菖蒲がそも無傷で転がっていた……落ちてきたことが
異常としか言いようがない。
異常……何がしかの”ちぐはぐさ”を感じさせるそれが、ずっと蟠りとして残っていた。
「君には言いたくなかったんだけどね。
君は恐らく自分が思っているか、或いは思わされているかはさておいてそれ以上に特異な存在か
能力を持っているんだろうと思う。何がとは断言できないけどね。
そういったのを感じていたからだと思うんだけど
今の君の状況や、その前までの状況から……そう、そういったものが表出しないように
押し込めている雰囲気があったんだよ。
偽装しているというか……そういう箱庭に置いているというかな
まぁ、そう……なんというか、君が思っているよりずっと何か後ろ暗い物がある意図を感じる。」
君の意識を逸らそうとしている、そんな意思をねと
飯を食いに来たというような顔ではない目で、菖蒲を見た。
咎めるのではなく、探るでもなく。
菖蒲へ警告のような……鐘を鳴らすような目で。
■遠条寺菖蒲 > 五代の口のする単語に反応して「天かす」だとか「揚げ玉」だのと呟く少女の様子は明らかに知らなかったという風であり、なるほどと言うように頷く様子は最早取り繕う事も不可能。
彼の言葉を聞きながら運ばれたきたたぬきそばを見つつ、蕎麦の上にかかるものをみてこれが、などと思うのだ。
「確かに『あの』後から必要に応じて自由に使っていいって急に言われるようになりましたけど……」
最近は使う機会なんかもありませんでしたけど、と続けて彼にだけ見えるように周りを気にして手を横に振ると黒い影のようなものが振り始めの位置に残る。
自信の動きを遅れて再現する影、自分では触れないが発現中は自分以外の他すべてに物理干渉する異能によって生み出された黒い分身。
遠条寺菖蒲の異能《繰り返す者/ストーキング・シャドウ》。
一瞬だけ出すとすぐに異能を消す。
「異能なら確かに便利だったりしますけど……魔術とかそっち関係は確かに色々ありますけど、基本的に日常的に使うようなものじゃないってだけですし。
あの時は私もどうして無事だったのかよく理解してないんですけど……」
なぜ無事だったのか、確か自分は辱めを受けてとてもじゃないが飯時に言葉にするような内容ではないのでぼかすが、酷い有様であったのは確かである。
よく理解していない、とは方便でもなくよく分からないあの状況においてそこに至るまでの経緯やらが自身の中で滅茶苦茶で、襲われる前に襲われていたとか襲われる前に逃げて襲われていないだとか意味不明な記憶になっているのだがそれをうまく言葉に出来ない。
「……私が知らないことを他の人には把握されてるってちょっと不気味で怖いです」
彼の言葉を元に考えれば、自身の知らない何かを生徒会の上層部は理解しているということになる。
それはそれで恐ろしい。
自分が特殊な家の出身であるとは知ってはいるが、詳しく全てを知っている訳ではない。
そういう全てを含め、自分の知らない事を知っているかもしれない上に改めて恐怖心を抱く。
■五代 基一郎 > 「そうだなぁ……」
あぁ冷めるし伸びるし、食べようと
何かそれらで得るものがあったのか、ようやっと箸をつけ始める。
天かすの油がうまい。ごま油の香りがする。
「君の異能についての”性質”は、俺が詳しいことを知らないこともあって何かとコメントすることはできないけれど……」
あ、鴨食べる?と柚子胡椒の添えられた鴨焼きを薦めつつ
蕎麦を啜りながらまた、考えを口に出す。
一応お冷を間に挟みながら。
「君自身のこと、君も詳細を知らないようだしまぁ……今ここでって
どうこうできる話じゃないしね。ただそうだね。
いくら生徒会の人間だからといって、一個人の異能の行使について口を出すことなの?」
菖蒲の口ぶりからすれば、菖蒲のその異能について自由に使っていいと使用許可を
生徒会の人間が出したようだが
「生徒会は基本的にいるだけだし、いることが重要な組織なんだけど
それが個人の異能について使用許可どうこう口出しする。
個人に対して生徒会という”組織”が口を出すのは不適当ではあるよな。
何かと絞るならば、生徒会という組織の中の一個人或いはその個人が中心になった派閥が……
君に何かしらの干渉を行っていると考えるのが妥当な線と俺は思うかな。」
加えて言えば、菖蒲のその異能が何なのかもよくわからないし
菖蒲の置かれている状況や環境、一体何事なのかもよくわからない……
という短絡的な表現であるが本人も知らない程度に不透明過ぎるのだ。
干渉している者或いは者達の思惑が見えてこない程度には。
「君の知らないことを知っているかもしれないが、信頼できる人っている?」
糸口はそこぐらいだろうかなぁ、直接生徒会にどうこうするわけにもいかないだろうしと
蕎麦を啜り……
ご案内:「お高めの蕎麦屋」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「お高めの蕎麦屋」から遠条寺菖蒲さんが去りました。
ご案内:「お高めの蕎麦屋」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「お高めの蕎麦屋」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
■遠条寺菖蒲 > 「昔はちょっと異能が安定してなかったのもあったのかなとは思いますけど詳しくは、私にもなんとも……」
能力の制限に関しては別段日常的に使うような能力でもないので、構わなかったというのがある。
久しぶりに使ってみたら安定して使えるし、許可というのが流れなのではないかと彼女は勝手に思っていた。
「私の知らないことを知ってて信頼できる人、ですか?」
そんな人物いるのか、と考えて「いないかなー」と思ったがいる。
元学生で生徒会に所属しててその後なんやかんやあったらしい女性で今では同じマンションの部屋に住む家政婦だ。
菖蒲のところで働く家政婦・灰須ヘラがいた。
「その条件だと、うちの家政婦のヘラさんかな……」
そこまで考えて言葉にすると橋を動かし出す。
話に熱中しすぎて目の前のたぬき蕎麦が悲しい事になるのは彼女も避けたい。
■五代 基一郎 > 「なら、その人に聞いてみるのが一番かな。」
そもそも菖蒲自身が菖蒲自身のことであることについて一番知らないというのがまたおかしい話だ。
それこそ作為的に遠ざけている、目や耳を塞いでいるように見えてくる。
見えてくる、というよりここまで不自然だとそうであるとしか言いようがない。
誰が何かしがどういう思惑か、という前にまずこの少女について
少女自身も知らなければならないのだろうと思う。
「家政婦さんね。色々聞くなら一緒に伺ってもいい?一応他の人もいた方がいいかなということでさ。」
蕎麦を啜りながら思う。
そうはいっても、こんな目を耳をと塞がれた少女からみて信頼できる……
というのも何を持ってなのか、というのもあるし
聞いたものの無かったことにとかなってもまた面倒である。
最もその家政婦さんにお会いしたことがない故に、判断出来かねるために
そういう手を打つ必要があったというものなのだが
しかしここのたぬきはやはり、という味だろう。
毎日食いたいわけではないが適度に食わないとうまいそばというものを忘れてしまうのではと
恐れが出てしまう程度に、うまかった
■遠条寺菖蒲 > 彼からの提案に一度咀嚼しきってから、頷いて。
「はい、大丈夫だと思います」
呼び出すにしろマンションに招くにしろ、彼女なら別段問題ないと言うだろうと家政婦と言うよりは頼れる姐御的なここにはいない彼女の事を思い浮かべて少し頬を緩ませた。
「時間や場所は、私が書類と戦ってない時なら多分ヘラさん、家政婦さんも合わせられると思いますので」
高いお蕎麦なだけはあるのかも知れない、と心の隅で思いながら以前に食べたのは年末だったかとも思い出してその時より上等に感じるのは決してメニューをみて値段を確認しているからではないと思う。
■五代 基一郎 > 「そうか、なら……」
都合のいい時に呼んでくれという言葉は、止まった箸にかかる蕎麦の如く。
そのまま丼へ置いた箸のように引っ込んだ。
遠条寺菖蒲が書類と戦っていない時。
役職についてからしばらくたったというが、それはいつだろうか。
そのような時間があったのか。今回のようなことが起こらないように
忙殺するかのように仕事を与えられていた彼女の
空いている時間とは。
今回がたまたま隙間が出来たからかもしれないが、次はあるのだろうか。
故に
「今から行こうか」
その、お品書きに書かれた数字によってかどうかはさておき上等に見える蕎麦を
対して食いもせず、呼びかけた。
非常にもったいないことなのだが。
■遠条寺菖蒲 > 「い、今からですか?」
急だなぁ、と少し困ったように笑みを浮かべるが困るのは菖蒲ではない。
菖蒲としては週末は普通に休日で最近はヘラさんと一緒に淑女らしからぬ休日を過ごす事も稀によくあることであった。
「平日に暇なのが、珍しいだけで週末は普通に時間ありますよ?所謂週休二日で土日祝日休みなので五代さんが週末に忙しいのなら仕方ないのですけど」
しかして今だろうと後だろうと問題はなかったりはするのだが、食後にこのままというのも彼女としては急に今からお偉いさんと顔合わせだから、と言われるような心持ちになる。
■五代 基一郎 > 「問題は先延ばしにしないほうがいい、後に残して置いてもと思わないか」
それはさておき、やっぱりせめて食い話追手からにしようと
再び箸をつけるが速度が速い。割と迷いなくかき込むように啜る。
「週末は忙しいと言えば忙しいんだけど、それを置いてもそういったことがある……
というのを引き延ばすと君の身にまたそういった危機感が、緊張感が薄れるのではという心配がね」
ないとは思うけど、翌日ここ数日の記憶がない状態で発見されたとか言われても困るしね……
と蕎麦を啜りながら続ける。当然七味はかけない。
「ちょっと強引なのは理解してるけどね。手遅れというのが嫌いなものでさ。」
■遠条寺菖蒲 > 「確かにそれはそうですね……」
さて、今は食事時。マンションで食事を1人で雑に終えた家政婦の彼女がリビングのソファーでどうなっているかを想像すると菖蒲としては前日報告とか、とか思ってしまう訳であった。
「あーー……」
危機感、緊張感と言われると思わず声が漏れる。
ここ最近は特になんていうか、堕落している。
危機感と緊張感を部署の机の上に置き忘れてきていると言う自覚はあった。
あったので情けない声が出た。
思わず目が泳ぐのも余りにも図星であったがゆえにで、そう言われると。
「確かに何かがあってからじゃあ問題ですよね」
と納得するしかない。
そう返してからテーブルのサイドにある薬味に手を伸ばす。
薬味とは色々な好みの人の為に用意されただけではなく、店が合うと判断し用意したものだから普段は見かけぬものでも僅かに味見程度に使用し試してみると言うのがよく新しいふりかけやドレッシングを買ってくる彼女の同居人の台詞であり染められた彼女の行動である。
■五代 基一郎 > 菖蒲の情けない、というより魔の抜けた声を聴いても
それに対して、苦笑いするでも微妙だったり咎めるような顔はせず
寧ろ言われている当人よりも緊張感のある目が
その泳ぐ目を見ていた。
なにせ”生徒会の人間だから襲うような輩などいないだろう”
と判断し、その興味が先にと足に出ていた彼女を手放していた結果
あのような事態になった前例がある。
今回など、そも彼女の環境自体がどうかと思われる空気がある。
そんな中で”まぁまた次のお休みに”と送り返せば何かあった時に
悔やんでも悔やみきれぬし何を学んだのかというものだ。
あんなことは二度とは御免である。
当事者であろう彼女本人が一番そういったことに対して浮いているのが、より危機感を知らせてくる。
例え彼女同様に家政婦の方が緊張感のない姿で出迎えたとしても、である。
「そう。何かあって、どうしようもなくなってからじゃ遅いんでさ。
まぁ事は迅速にできるならばそれに越したことないよ。
問題早めに解決すれば後が楽だし」
ほぼ速度重視で啜ったため、七味を振らなかったが
七味とは香りを鮮やかにするものである。唐辛子を、というわけでもなく
黒ゴマや麻の実や山椒等。蕎麦に掛ければまた一層上品な味わいになるだろう。
尚蕎麦にかけなかったが、鴨焼きにかけるとよりうまいのでそれだけはやった。
「終わり次第行こうか。手土産買っていけないのが惜しまれるけど……」
ちらと左手の腕時計で時間を確認しながらお冷を一口し……ひと息ついた。
■遠条寺菖蒲 > 「分かりました。ただちょっと食べ終わるまで待ってくださいね……」
普段、家では彼女は黙々と食べる人であり今現在になってようやく半分ほどである。
咀嚼回数が多いのもあるが一口が少ないのもある。
啜って食べる他の麺類でも同じである。
仮に会話もせずに食べていたとしてもよくて八割食べ終えていただろうと言う亀速度である。
それはさておき、彼女としては少しお高い蕎麦店だけあって薬味が美味しいように思えた。
薬味、調味……そう言えば、とどうでもいい生徒が部活動でやっている料理店の特製ソースだれだかが盗難されただとか言う届け出なんかもあったななどと思いだしこういう風に拘りがあり少し高価で価値があるものを盗む輩もいるのだとか本当にどうでもいい事柄を思い出しながら味わい、確かに購入手段や入手先不明だと思わず手を出してしまう輩もいるのかもしれない、などと自身でもよく分からないことを思うのであった。
少なくとも薬味一つにしても年末に食した時にどれよりも上等に思えたが、比べるのが失礼だと考え終えてから気づく。
■五代 基一郎 > 「……あぁ、そうだね。それじゃごゆっくり。追加で頼んでも構わないよ。」
いや、満腹になったら頭が回らないなと
これ以上はいいかというように伝票を手にして店員を呼んだ。
そもそも食事の速度についてとなると
緊急の要件が入ったり、時間がなかったりすぐ出る必要があったり
何かの合間だったりもありこの男は食事の速度が速く習慣付けられてしまっている。
一日の間で適度に空腹にならない程度に間隔をあけて食べていたり、回数が少ないときは量が多かったりという
不規則な部分もあるのだが……
「そういえば自宅には家政婦さんと二人だけなの?」
もそもそと食べている菖蒲を見つつ、そういえば話を聞いている限り
両親の、というよりも信頼できる人間の中に血縁者と思われる続柄がいない。
勿論この島に一人で生活している生徒などいくらでもいるのだが……
■遠条寺菖蒲 > 流石に追加は無理です、と苦笑しつつ手を振る。
自宅のことを聞かれると食べる手を止めて、肯定するように頷いてから言葉にする。
「はい。二人だけですねセキリティの高いマンションですし色々と心配してませんけども」
なんとなく防衛機能が高いマンションという認識だが要人防衛用の高レベルのセキリティが採用されているのを彼女は朧げにしか把握していない。
食べ終わったら一応ヘラさんに電話しないとなぁなどと考えつつ軽く薬味をふりかけた蕎麦を食すのである。
■五代 基一郎 > 「少食なんだ。」
驚いた、というような言葉が口に出る。
いやそもよく考えれば普通の女の子はそんなに食べないのだろう。
食べ盛りとも言える後輩やらと食事していたため、若干そういったものが薄れていたらしい。
この子を焼肉に連れて行くのはやめておこうと思った。
「なら日頃は安心というわけか。良い所に住んでいるなぁ」
安心なのだろうか、とも思う。普通に考えれば防犯上問題がないことは喜ばしいが
そういった連れ立って行くにも敷居がある場所、鳥籠と思えなくもない。
考えすぎかもしれないが、こうしてただの人である者からすれば過剰なぐらい
思考を巡らせても無駄にはならないだろう……
「もうちょっと余裕があれば葛きりとかアイス、頼めたんだけどね。」
■遠条寺菖蒲 > ええ、ええ、と相槌を打ちつつ食事に少し意識を割く。
元から少食気味ではあったが最近は特にデスクワークが多いせいか更に小食になったようにも思う菖蒲である。
時には朝に食べ過ぎたかなと思ってお昼をほんの僅かに、なんてことも多い。
そんな彼女でも骨と皮だけみたいにならないのは朝と晩の食事のバランスがいいからなのかもしれないが、それでも必要カロリーとしては怪しい。
そのくらいには遠条寺菖蒲は小食だと言えた。
けれど。
けれど、それでも――
「甘味は大丈夫です。いけます」
それでも甘いものは別腹なのである。
こういうところは彼女も甘味に踊らされる哀れな女性の1人に過ぎないと言えた。