2016/06/21 のログ
ご案内:「居住区の隠れ家」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > 学生・教員居住区の中に建てられて、そして忘れ去られていた一室。
朝日はろくに差さなかったし、夕焼けも見られない。
数ある隠れ家のうちの一つとは言うが、ここだけは一般的に公開している。
というか、普段はここに住んでいるという扱いになっている。

仕事帰り。乱雑に扉を開けば、暗い廊下。
暗中目視は可能なので、電灯はつけない。つけたとしても、切れかけなのでろくに照らされはしないだろう。
靴を脱いだら、燃えるゴミの袋をまたぎ越して、そのままシャワールームへと向かった。

久藤 嵯督 > いくつもの仕事を終えて汗ばんだ制服をひと脱ぎにして洗濯機に放り込み、段差を踏み越える。
運転スイッチを入れてすぐ、まだお湯になっていない水を額から浴びた。

ツンツンしていた白金の髪が滑らかに降りて、無数の水滴が鍛え上げられた体を伝って流れていく。
しばらく正面から浴びれば、今度は振り返って後ろから。
それも終わればシャワーを止めて、頭髪と体をくまなく洗い、再びシャワーで流した。

一通りスッキリした後は浴室から出て、体温操作を行うことによってものの数秒で全身を乾かす。
撫で降ろされた髪も、すっかり元通りのツンツン頭だった。
それから代えの赤いブリーフと黒のタンクトップを着た後、ラジオの電源を入れた。
室内に小さく、大したことの無い番組が流れる。

久藤 嵯督 > 棚からサプリメントの瓶を引っさらって蓋を開け、水もなしに六錠ほど飲み込む。
蓋を閉めて棚に戻した後は、敷きっぱなしの布団に倒れ込むようにしてうつ伏せになった。

そのままの体勢で、三回の深呼吸。
仰向けになれば白い天井と、割れた蛍光灯が視界に入る。
気だるげに腕をだらんと放り出せば、不要なダンボールの入ったゴミ袋に手の甲が乗った。

(……ないとは思うが、一応)

休むにはまだ早い。来客確認と、郵便受けのチェック。
重要な物資はこちらに来ないようにしているが、一般生徒や同僚、学園から送られたものがあるかもしれない。
だから、それだけは確認しておく。

久藤 嵯督 > 立ち上がって、いくつものゴミ袋を越えて確認に向かう。

インターホンの来客履歴は、相変わらずの、ここ一年間ゼロ。
郵便受け、空っぽ。

以上、終わり。

(寝るか)

いくら優れた生態を持っているからとはいえ、睡眠を欠かすことは出来ない。
一か月の徹夜程度なら耐えられなくもないが、人材を運用するにあたっては非効率的。
だから、眠れるうちは眠っておく。
この近辺は治安が良いため、寝首を掻きに来る者は比較的少ない。それなりに安心して眠れることだろう。

久藤 嵯督 > 布団に体を投げ出して、適当な姿勢になって瞼を閉ざす。
素早く目覚めるのは実に簡単だが、深く眠ることは難しい。

いつものように誰も来ないよう祈りながら、
ダンボール入りのゴミ袋に手をのせて、深く溜め息をついた。

久藤 嵯督 > ―――
ご案内:「居住区の隠れ家」から久藤 嵯督さんが去りました。
ご案内:「10年前の記憶」に『大無名者』さんが現れました。
『大無名者』 > ―――
■    > 「うわああああっ!さすけ~!速い、速いって!」

座った姿勢でいるのにも関わらず、廊下らしき景観は無数の線となって流れていく。
きゃりきゃりきゃりきゃり、と車輪の音。
どうやら、車椅子に乗っているようだ。

■さすけ > 「これくらいいそがなきゃ、しずんじまうんだって!
 ほんと、キレーだし!てめーもたまには、外の空気すえよ!」

後ろから声が聞こえてくる。
懐かしい声が聞こえてくる。

声の主はドクターの静止を振り切って、ついに研究所の出入り口を突破してしまった。

『大無名者』 > がたん がたん ごすっ
段差に乗り上げてもお構いなしに、無機質な建物の密林の中を、車椅子はかっ飛んでいく。
とある一つの、かけがえのない景色を目掛けて、まるで一つの弾丸であるかのように風を切った。

髪が風に激しくないてて、毛根がちょっぴりむず痒い。
虫の群れが顔面を直撃して、口に入れたわけでもないのに「ぺっ、ぺっ」と吐き出したくなる。
体の中に知らない虫が入ってしまったんじゃないかと、不安になった。

■さすけ > 「よーし   、もうちょっとでとうちゃくだからな~!」

勘弁してくれ。

『大無名者』 > コンクリートの森を突き進んでいけば少しずつ緑色が視界に入って来る。
本で読んだが、これは『植物』と呼ばれる生命体らしい。水と土と太陽の光を糧として、穏やかに一生を終えるそうな。
規則正しく並べられた植物は、一つ、一つと、観察する間もなく後ろに流れていく。

左前方に、短い植物の生えた坂、そしてその中央に備えられた階段が目に入った。
それもまた通り過ぎてしまう―――と、思いきや。
さすけはそこで大きく弧を描き、車椅子を階段に突っ込んで昇っていく!

■さすけ > 「うおおおおおおおおおお!!」
■    > 「あがががががががががが」

麻痺した下半身ごしにも伝わる、強烈な振動。
やめてください、しんでしまいます。

『大無名者』 > がこん

永遠のように続いた大地震は、ようやく終わったようで。
ここは何処かと、どこに出たのかと、辺りを見回してみる。


たくさんの鉄の棒を正方形をなぞるように組み立てた、大きな物体。
片方が階段で、もう片方が下り坂になっている高台。
漫画に出てくるチーズのように穴の開いた半球と、その周りにある局所的な砂漠。
植物の死骸を用いて作られた、横に長い椅子。
傾きっぱなしで、皿のついてない天秤。

さすけはこんなものを、僕に見せたかったのだろうか。

■さすけ > 「みろよ!ほら!すっげーキレーだろ!」

「何が」と問いかけるために、自分で車輪を動かして振り返った。





―――緋色―――黄金―――白金。

 ―――すべて、光―――


全てはただの情報にしか過ぎない。しかしそれが、どういうわけか鮮烈に刻まれていて。
わけもわからず、自分が何を見ているのか、一瞬わからなくなるぐらい。

―――その光に、目を晦まされていた。

『大無名者』 > ―――























ご案内:「10年前の記憶」から『大無名者』さんが去りました。
ご案内:「居住区の拠点」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > (……喉が渇いたな)

何か、心地よい夢を見ていたような気がする。
しかしそんなことはどうでもいい。何か飲むものは無かったか。
寝ぼけた頭で歩いていると、いくつかのゴミ袋を踏み潰してしまった。
ゴミの中に混じっていた”尖っているもの”を踏んでしまったせいか、足の裏が切れてしまった。
血が出る前に傷を修復し、冷蔵庫の前に立つ。

久藤 嵯督 > 扉を開けば、まばゆい光が迸る。暗がりには毒のような光だ。
中に入っているのは……デスジュースと、デスジュース、デスジュースに、更にデスジュース、
そこへまたデスジュースに加え、デスジュース。もう一つデスジュースと、
デスジュース、デスジュース、それからデスジュース、デスジュース、そしてデスジュース。
そしてもう一段下には、それと同じ質量のものが入っている箱が一つ。

デスジュースを手に取って、一気に飲み干した。
うむ。いつもながら、ナイスなスコヴィル値だ。

久藤 嵯督 > この、内臓に優しくない感覚がとても素晴らしい。
身体の隅々を強力な洗剤をブチ巻いて強引に掃除しているようで、気分がリフレッシュする。
これそのものには中毒性もないので、安心して飲める。

「……ぷはぁ」

竜の吐息の如き熱風を深く吐いて、胃袋を刺殺さんとする液体を転がして遊ぶ。

今宵はよく眠れそうだ―――

ご案内:「居住区の拠点」から久藤 嵯督さんが去りました。