2016/09/20 のログ
ご案内:「常世保健病院」に滝川 浩一さんが現れました。
■滝川 浩一 > 病院の中庭。
時刻は正午と言ったところか。整備された道を歩き、噴水を眺めるパジャマ姿の少年が居た。
別に松葉杖をついている訳でも車いすに乗っている訳でもステンレス製のイルリガートル台を押しビタミンCを点滴している訳でもないが
れっきとしたこの病院の患者である。
その証拠として身体には包帯を巻いているし、傷もまだ完全に塞がってはいない。
普通なら病室で絶対安静の身なのだが、看護師さんやお医者さんに無理を言って外に出してもらった。
いつまでも病室に籠っていると身体が訛っていくし退屈だ。それに怠けた生活が続くと退院してもその生活が続くという不安があった。
その為に外に出してもらったのだが病舎と中庭だけしか行動してはいけないということと短時間しか行動できないという制約を課せられてしまった。
自分はその条件を飲み、病室から脱出したのだが…
あれだ。いざ外に出ても大してやる事がない。
頭を抱え、ため息をつくと木陰にあるベンチへ座る。
■滝川 浩一 > ベンチに深く腰掛け、中庭の景色を眺める。
中庭には看護師さんに押される車椅子の患者や、リハビリの先生らしき若い男性と歩く年配の患者さん、
スタンドを押し、点滴をしながら歩く患者が目に入った。
それぞれが噴水や花壇に植えられている花を見て、会話を楽しんでいる。
「…病院内で友達でも作っときゃよかった」
その光景を見て、病室が個室であることに頭を抱える。
緊急で入院したことも相まって、病床の帳尻が合わなかったのか、個室孤独√まっしぐらだ。
「というか、そもそも友達も多くねぇしなぁ」
眉間に人差し指を当て、目を瞑ると険しい表情へと変わる。
■滝川 浩一 > 「…友達かぁ」
いや、よく考えたら増えた方である。
田舎では同年代の友達など2人くらいだった。そのうち1人は友達とはあまり呼びたくないが…
その2人という数字に比べれば今の俺の対人関係はそう悪くはない。
学校の中心人物という訳でもなく、いじめられてるわけでもない。
まぁ、上手くやってるだろう。
ポケットからグミの袋を取り出して、中身を食べる。
酸っぱいグミらしく、食べた途端口を窄める。
■滝川 浩一 > 「すっぱ!」
そう言いつつもグミを食べるのをやめない。
幼いころからお気に入りのグミなのだろう。この味が癖になると言った奴だ。
グミを半分ほど食べると袋を丸めポケットに仕舞う。
「ふぅ~…さて…」
時計を見る。まだ時間には余裕があるものの、やる事がない故に戻ろうかと考える。
今度はやる事を考えておこうと肝に銘じ、ベンチから立ち上がり歩き出す。
病舎を周り、病室に戻ろうと歩を進めた。
ご案内:「常世保健病院」から滝川 浩一さんが去りました。