2016/10/03 のログ
ご案内:「ゲームセンター”御門”」におこんさんが現れました。
■おこん > (おこんがこのゲームセンターに現れる頻度は高い。
ロケットを飛ばしているか、職員室でくだをまいているか、
あるいは誰かとしけこんでいるか…そうでなければここだ。
なんでも新しいゲームが入ったと聞いて、授業もそこそこにこのゲームセンターに赴いたのである。)
なんか新作格闘ゲームが入ったっちゅうけど、客がおらんのう。変じゃのう。
(新作ゲームとなるともの珍しさもあって、普段なら人が筐体の周りにいるはずだ。
だが、今日は新作ゲームコーナーに賑わいが全く無かった。妙である。)
あったあった、これじゃあ。 どれどれ……。
(おそらく新作格闘ゲームがはいっているだろう筐体を覗き込む。
そこにうつていたのは、数十年前の水準ですらきわどい、
ローポリバリバリなキャラクターであった。)
ギャーッ!? な、なぜじゃ?リバイバルブームか?いやいや、それにしても…。
(あまりのショックに叫び声すら上げるが仕方ないことだ。
キャラクターの動きはぎこちなく、ポリゴンとポリゴンの境目は
動くたびにちらつく。 BGMも変だ。 懐古主義を掲げて
”レトロっぽい”ゲームは多々あるが、今回のこれは、そんなレベルではない。)
お、おお…。 でもやってみんとわからん…楽しいかも知れぬ…。
(現代社会に突如アノマロカリスが現れたようなショックにくらくらしながらも、
おさいふから100円を取り出して投入する。見た目がおかしくても、
ゲームとしては楽しいかもしれないし。)
■おこん > (インストを見る。パンチ、キックは強弱。 ガードはレバー。
スタンダードではあるが、今のご時世にあるようなギミックすらない。
スパルタンなゲームなのだろう。)
登場キャラは…うわあ、どれもこれもひどい面構えじゃ…
さて、次のリストに…あ、あれっ、あれっ?嘘じゃろ?
(スタートボタンを押すとキャラ選択画面に移る。
画面いっぱいに表示される8体のローポリゴンな顔は、
おこんの精神を苛むに十分であった。そのままレバーを端に動かす。
動かない。逆側に動かす。動かない。まさか8キャラのみだというのか。
混乱にレバーをウロウロさせているウチに、時間切れでキャラクターが
決定してしまう。 『ゴザル』 ローポリニンジャの棒読みなボイスが響いた。)
なにござるじゃよ…。もうよくわかんないでござる…。
(今ここに知り合いがいたら、きっと飛びついてわんわん泣いてしまうかもしれん。
そんな思いすら湧き上がって来るも、ゲーマーとしての根性が
必死にそれを押しとどめた。面白いかもしれんし、と自分に言い聞かせる。)
■おこん > はやくおわらせたいでござるじゃよ…。
(所詮の相手はいかにもな格闘家タイプだ。
試合が始まり、お互いのキャラクターが動き出す。
まずは間合いを取り、コマンドを入力。手裏剣が出た。
相手がガードする。 敵の体力が減らない。)
んん……? なんか勘違いかのう…?
(もう一度手裏剣を投げる。 ガードされる。敵の体力が減らない。
相手のガード状態を確認して手裏剣を何回か投げるが、
Hpは全く減らなかった。)
うそじゃろ……。 いや、いやいやいや…。
(たいていの格闘ゲームには、必殺技をガードした際に微量のHpが減る
”削り”が実装されている。つまり、必殺技を撃たれ続けていれば、
たとえそれらをガードし続けてもジリ貧になり、攻撃せざるを得ないというわけだ。
それがないということは、つまり”待ち”と呼ばれる戦闘スタイルを
突き崩す方法があまりないということでもある。)
ま、まあまあ待て待て、次は近接攻撃じゃよ…。
やはり格闘といえばこれじゃよ。うん。近接な。
ヒット判定がおかしいのう。なんじゃこれ。真空パンチかな?
(近づいていって、パンチとキックを試す。 しゃがみ大パンチをすると、
明らかに拳が届かない位置の敵がのけぞった。
しかも出が早い。 …出が早い? 狐耳がピクピク動く。)
こう、こうしてじゃな…。
(敵を隅っこに追い詰める。 しゃがみ大パンチ。敵がのけぞる。
相手がのけぞりモーションから戻るまでに、もう一度しゃがみ大パンチが入った。)
いやいやまさか。まっさかなー。 そんなわけ無いじゃろ。
(ひたすらしゃがみ大パンチを連打する。壁際で相手を殴ると、
自分も引き離されてしまうのはハメ対策だ。 3,4発パンチが入ったところで、
さしものインチキリーチでも届かなくなった。ため息をつく。)
ふー、よかったー。大丈夫じゃな。これだけやってれば勝てそうじゃけど、
まあゲームの世界じゃそんな簡単には……いきそうじゃな。
(パンチが届かなくなって一安心かと思ったら、そうではなかった。
起き上がった相手がピヨっていたのである。 つまり、この状態から
また近づき、さっきのしゃがみパンチが入るということだ。)
なんでじゃよ!!! なにもわからん…これどこじゃ、どこが作ったんじゃ?!
(数千年生きている存在にもわからないものはある。
恐慌といってもいいほどの精神状態になってもしゃがみ大パンチを忘れないのは、
ゲーマーの挟持だった。 とりあえず二人め、三人目と処理していく。)
■おこん > (そして6人目…なんか女戦士っぽいのと戦おうとしたその瞬間、
画面外から現れた偉そうな格好の男が女戦士を一撃で倒す。
「ワッハッハッハ」さっきのニンジャと同じ声の笑いが響いた。)
おお、乱入キャラじゃな。 そうそう、こういうのでいいんじゃよ、こういうので…
(戦闘が開始される。 早速しゃがみ大パン……。当たらなかった。
敵のスライディングがパンチを突き抜け、自分のキャラクターにぶち当たる。)
エッ、なんでじゃよ!? 無敵ついてっ、あっ、あっ……ああ…。
(のけぞりが収まるよりはやく、次のスライディングがやってくる。
そのままあっさり倒された。諸行無常である。 しかし、奇妙な安堵感があった。)
よ、よかった……乱入キャラが強いんじゃのう。このしゃがみ大パンが
ぶっ壊れてるだけじゃな。
(次のラウンドが始まる。 スライディング中は無敵のようだが、
ジャンプしていれば大したことは無かった。 そのまま2本取り返す。)
さて、次のやつは……あ……?
(唐突に流れ始める、穏やかなBGM。 倒した敵を見て何事かを呟いた
ニンジャが、何処かへと消えていく。 そしてネームエントリー画面が
表示された。)
あ……あ………?!
(最早限界だった。 がたりと立ち上がり、踵を返す。
今まで必死に耐えてきた言葉が零れそうになるのを抑えて、
店外まで駆け抜けた。)
クソゲーじゃ―――――!!!!!
(店外に出て、がくりと膝をつきながら慟哭する。
ちょっとやそっとのレベルではない。まごうことなきクソゲーであった。
わああ、と声を上げながらゲームセンターから逃げ出すことしか、今の自分にはできなかった。)
ご案内:「ゲームセンター”御門”」からおこんさんが去りました。