2016/12/11 のログ
ご案内:「落第街路地裏」に阿曇留以さんが現れました。
■阿曇留以 > 暗闇の中で光が踊る。
くるりくるりと、舞い踊る。
あちらを照らし、こちらを照らし。
稀に光が闇を照らして、霧散する。
暗闇に生きていた闇は光を恐れ、しかし光を消そうと襲い掛かり。
「――我が為す業を御覧わせ!
天地一切清浄祓!」
光が大きく吼えると、暗闇の中でいくつもの闇が震え、そして光に当たらずとも、霧散した。
■阿曇留以 > ふぅ、と聞こえるため息。
それと同時に、タイミングを見計らったように、袖の中から音がなる。
携帯電話の着信音だ。
「はい、阿曇です。
……あ、はい。
無事に終わりました。
……いえ、わりと大掛かりな祓を行なったので、この程度の大きさのマンションなら一通り潰したかと……」
きょろきょろと周りを見渡し、気配を探すも、見当たらない。
■阿曇留以 > 「……はい。
え?あの~、今さらっと……。
……あ、はい。
……それは、貧乏神みたいに、でしょうか?」
驚いた様子で、電話先の人に尋ねる。
壁を背に、出来るだけ不意打ちをなくした配置で電話を続ける。
まだ、仕事は終わってなかった。
「……はい。
わかりました、できるだけ探してみます。
ここにいることは、確かなんですよね?」
そうたずね、電話先からは返答がかえってくる。
「……はい……はい。
わかりました。それでは――」
■阿曇留以 > (このフロアのどこかに、とりつくタイプのがいる……。
今の祓で祓えていればいいけれど……もしだめだったとしたら)
携帯電話の通話を切断し、袖の中にしまうと再び刀を構えようとした。
その瞬間。
「きゃあっ!?」
まるで彼女を押しつぶすように、重い何かがのしかかってきた。
背中に乗られ、地面と接吻するように頭を押さえつけられる。
携帯は暗闇のほうに吸い込まれるように飛んでいく。
「こ、のぉ!」
振り落とそうともがくが、闇はまるで引っ付いているように離れず。
■阿曇留以 > そして、闇の触手が――もしくは、手と表現するか――留以の体を貫くように侵入していく。
「あっ――」
抗う。
そんなことも許されない、不思議な感覚を覚えながら。
ふ、と目の前がまっくらになった。
携帯電話の画面が、暗闇でわずかな光を生み出していた。
ご案内:「落第街路地裏」から阿曇留以さんが去りました。