2016/12/24 のログ
ご案内:「ライブハウス『アノヨ』」に川添孝一さんが現れました。
川添孝一 > 薄暗いライブハウス。
今はここはイカれバンド集団『デストロイ・コープス』の貸切だ。
男も女もまともな目をしたやつはいない。

クリスマスイブにこんな場所に来る奴に、まともな神経のやつなんかいやしない。

川添孝一 > ステージに灯りが点る。
強烈なライトの中、世にも恐ろしい格好をした凶眼の男――――川添孝一がマイクを手に立つ。

「えー、本日は大変お日柄もよく」

ドッ、と笑いが起きる。
お日柄も何もない。
お外は真っ暗、夜も夜。

「わかってンのかてめぇら!! デストロイ・コープスはモテねぇ奴らのために今日は居場所を作ってやるってンだ!!!」
「おい、そこにいるの岩屋智弘だろ!! 彼女と一緒に歩いてンのよく見るぞ!!」
「ちゃんと彼氏彼女もち料金で入ったろうなぁ!?」

中指をおっ立ててマイクパフォーマンスが始まる。
苛烈な客弄りもデストロイ・コープスの持ち味だ。
でもまず歌え。一曲歌え。
そんな視線がステージ上の、何とも珍妙かつ反社会的な衣装の連中に突き刺さる。

川添孝一 > 「ヘヘッ……わかってるよ、歌えばいいんだろ歌えばよォ」

ガスマスクをしたドラムがカチカチとスティックを鳴らす。

「一曲目いくぞオラァ!! 『クリスマス仏陀斬り』だコラ!!」

ギターがかき鳴らされ、ドラムは弾け、ベースはメロディアスに旋律を導く。
デストロイ・コープスは決して本格派というわけではない。
だが、曲・メンバー・会場設営の不穏な雰囲気作りだけは徹底してあった。

「お前の神はいつ死んだ!? お前の神は今死んだ!!」
「そこに磔、哀れな骸ォー!!」
「首の十字架今すぐ外せ!!」

クリスマスに川添が歌う冒涜的な歌が響いた。

「そんなモンなんの役にも立たねェー!!」

川添孝一 > 炊きすぎなスモークが効きすぎなライトに映える。

「ぶった、ぶった、ぶった斬りぃー!!」

サビに入れば、モヒカンの男がギターソロ。
小奇麗になりすぎない、絶妙な不協和音を奏でる。

「てめぇの神はバラバラだぁー!!」

『Yeahhhhhhhhhhhhhhh!!!』

一曲目から客席も盛り上がる。
それはそうだ。
独り身料金1200円で聖夜のイブを台無しにしようとする輩たち。
クソみたいな歌と、クソみたいな時間と、クソみたいな仲間達が心地よいのだ。

歌の最後にヴォーイ!!と叫んだ川添孝一が再びマイクを手に喋りだす。

「えー、こんなノリでやってくんで。初見の人は慣れてね」

真顔。気さく。