2017/05/16 のログ
ご案内:「校内某所」にクロノさんが現れました。
ご案内:「校内某所」にニコラスさんが現れました。
クロノ > (季節はすっかり初夏の装い、放課後の訓練棟は日頃からの鍛練に勤しむ学生たちで未だ賑わっている。…そんな訓練施設の一角、射撃系技術の訓練場で、忙しくランダムに立ち上がる的を小気味良いテンポで射止める矢の音と、その射手からギュンギュン鳴っている機械の駆動音。)

……──── ん。よし。

(いくつも立った可動式の的、そのいずれにもほぼ中央付近に刺さる矢の光景を確かめて、射手は構えていた弓を下ろして一呼吸。)

ニコラス >  
上手いもんだなぁ……。

(彼の隣で同じく弓を射っているのだが、その精度に思わずポツリとこぼした。
 以前自身の弓を使ってからそう日は経っていないはずなのだが、その辺りは流石に機械の精密さ、と言った所だろうか。
 長年弓を使い続けている自分の立つ瀬が無い。
 とは言え自分だって一日の長があるのだ。
 半年に満たない彼に負けず劣らず、自身が放った矢は的の中心へ集中している。
 加えて魔術による曲射もかなりモノになってきていて、的に突き刺さった矢の半数は曲射によるものである。)

クロノ > (手持ちの矢をすべて射ち終えて、一呼吸の後に隣の彼を振り返った男の子は、彼のぽつりとこぼした一言にちょっと照れながらニコニコ顔。)

……んふふ、ありがと。 ニコラスも、前よりすごく上達してるみたいだね。

(基本的な物理法則通りに飛んでいく自分の矢と違って、彼のそれは見るものを驚かせるほど明確に、ぐっと曲がりながら空を切って飛んでいく。対して、魔術とか異能に縁の無い機械の男の子が得意とするのは、機械らしいというか、単純というか、いわゆる速射。実に60本の矢を全て射ち尽くすのに、1分を要しない程の早射ちである。)

ニコラス >  
いやー、俺も速射には結構自信あったんだけど……。

(自分もどちらかと言えば狙撃よりは数をばら撒く速射の方が得意ではあった。
 が、彼のそれは自分の更に上を行く。
 自分が一発放つ間に、彼は二桁に届こうかと言う弾幕を張っているのだから。)

さんきゅ。
曲射の魔術にも慣れてきたし、まぁ動くだけの的に当てるぐらいならもう余裕だよ。

(ランダムとは言え、避けることをしないただの的に当てるだけならこんなものだ。
 才能と言うよりは繰り返し身体に染みつけてきた鍛錬の賜物である。)

クロノ > …そっかぁ。…ぁ、ほら、僕はニコラスみたいに魔術とか使えないから、何が出来るかなーって考えたら、これくらいしか無くて。
(動かない的であれば、照準の調整が減るのでさらに同じ時間内に打てる矢の数は増える。今のところ、静止した的に対する男の子のスコアは1分間あたり90本程度だ。)

…ねぇニコラス、実際に狩猟とかで使えると便利な弓の扱いって、どんなものがあるの?
(男の子が選んだ弓は、騎乗で使うにも、立って使うにも扱いやすい短めのもの。元々身長がある方でもないので、汎用性を考慮しての選択らしい。ただし使い手が見ての通りの戦闘用機体のロボットなので、弦の張りも弓の素材も、一般的なものよりはかなり強い作りになっている様子。)

ニコラス >  
そこは人と機械の差だよな。

(単純なカタログスペックの時点で差があるのだ。
 そう言う単純な動作精度や速度で勝てるはずも無い。
 彼の言うように、その分人には魔術と言う強みがあるのだから。)

んー?
そうだな、山とか森とかが殆どだから、短い弓の方が使いやすいな。
狩る獲物にもよるんだけど、ただ狩るだけなら威力は毒でカバー出来るし。
俺は小型から中型の動物狩る事が多いから、長い弓はあんまり使わなかったなぁ。

(茂みの中を掻き分けたり木に登ったりする際に、長い弓だとどうしても邪魔になる。
 それで音を立てて獲物に気付かれる事もあるので、邪魔にならない長さで最低限の威力がある弓を選ぶ事が多い。
 人によっては大物狙いの時は長弓を持ち出したりするらしいが、自分はあまり使わなかった。)

クロノ > …っふふふ、そう言ってもらえるとなんか、ちょっと安心した。
(始めたばかりで日も浅い男の子が、傍らの的にあるような実用的レベルにまですぐその技術を会得しているのを見て、最初は彼に何を言われるかちょっと不安だった。しかし彼の言葉にほっと肩の力を抜いて、いつものように緩く笑みを浮かべる。)

……んー。 …なるほどね。じゃあ、やっぱりこれくらいの選んでおいて正解だったかな。
(彼と比べてもひとまわり小柄な男の子、日頃の持ち運びにも不便しないようにと選んだ長さのそれを一度眺めて、また視線を彼に戻す。)

…ニコラス、魔術で曲射が出来るって言うことは、物陰にいる見えない獲物も狙えるってことだよね?

(透視というか索敵というか、物陰の目標を探せる魔術とかと組み合わせたら、すごく便利なんだろうな~、と男の子はぼんやり考える。)

ニコラス >  
(自分のスペックと言うのは才能のようなものだ。
 それは機械でも人間でも変わらないと思うし、そこに文句を付けるほど小さい人間でもないと思っている。
 多少の不公平さを感じないと言えば嘘になるが、結局はそれが才能の差と言うものなのだろうし。)

でも今言ったのは狩りに使うような弓だぞ。
もっとクロノがやりたいことにあった弓選んだ方が良いんじゃないか?

(自分の世界ならともかく、この世界のこの島ではそこまで狩りは盛んに行われていないように思う。
 狩りをするにしても、こっちの狩りの道具は銃が一般的らしいので、弓を選ぶ理由はなんなのだろうか。)

見えるかどうかは別として、何がどこにどういう体勢で隠れてるのか分かれば、狙えるぞ。

(索敵の魔術は試してみたのだが、どうにも上手くいかなかった。
 自分が得意とするのは主に式を何かに書き込んで、比較的物理的な現象を起こす類の術だ。
 透視や熱源探知と言った、身体機能に何かを追加するような魔術は苦手である。)

クロノ > ……ん…。やりたいこと、か。
(彼の隣、傍に来て、ちょこんとその場に腰を下ろしては、手にした弓を見つめる男の子。)

……なんだろう、本当は…よく分からない。
(自分がかつて暮らしてきた世界でも、ボウガンとか機械式の小型弓が細々と使われている以外は、専ら狩猟も、武器としても、拳銃社会だった。だから男の子はこれまで弓矢を扱ったことは無かったし、必要とされる状況にもならなかった。)

……でも、ニコラスが弓術の練習をしてるのを見て、かっこいいな、って思ったんだよね。
(医師であり養護教諭兼公務補であり、学校の備品である男の子。そんな男の子がしかし、不意に惹かれた未知の武器。この気持ちは、意欲は何だろう、と本人も自覚はしているものの、それが戦闘用ロボットであるが故の、プログラムされた本能に由来するとは気づいていないらしい。)

… そぅ、かぁ。すごいね、やっぱり経験とか勘って大事なんだ。
(見えなくても、見当がつけば曲射で狙える…というのは、猟師としては確かな腕前なのだろう。対人戦であればある程度のデータを持っている男の子ロボットもそこそこ予測は立てられるけど、森の中でのサバイバル、相手が野生動物となると経験の差は雲泥のもの。)

ニコラス >  


(弓を見てやりたいことが出来たわけでも無いらしい。
 ではどういう理由で弓を使おうと思ったのか。
 それを聞いて、)

――なんだ、じゃあ問題ねーじゃん。
かっこいいって思ったからやるなんて、始める理由として充分だよ。

(かっこいいと思ったから。
 その対象が自分だと言うのは少し気恥ずかしいが、誰かの何かのきっかけになったのであれば、嬉しい事だ。
 強い目的や目標がなければ新しい事を始めてはいけないと言う理由も無いのだから。)

いや、経験と勘と言うか。
狙うところ分かれば、狙えるだろ?

(さも当然であるかの様に。
 実際射線さえ通っていれば、曲射だろうと直射だろうと理屈としては当たるのだ。
 要はその射線を狙って通せるか、と言う事であり、ある程度矢と曲射魔術の扱いに慣れていれば狙える。
 実際先ほども局射でバシバシ的に当てていたわけだし。)