2017/05/22 のログ
織原 仄香 > 「そっか、なかなか見つからないよね、猫さん、直ぐにどこかいっちゃうし。」

昼前ならなかなか時間は経っている、
体力あるなーとか思いつつ、私は辺りをキョロキョロ、猫がいる気配はない。

「うん、ほんとだよ?私嘘つかないし。
私、織原仄香。いちねんせーだよ?
真せんぱいになるね、よろしく。
あははっ、真せんぱい、へんなの。
いつもそーなの?」

いきなりのポーズに不意を打たれて笑っちゃった。
なかなかいないしこんな人。面白い。

「んー、そーだね、猫さん気まぐれだから、探せば探すほどでてこないのかもしれないよ?
…にゃー、にゃー、
あ、優しくないたら出てこないかなーって思っただけだよ。」

猫の鳴き真似をしてみる、呼びかけるようにはして見たものの、出てくるとは思えない。
しかし、恥じらいはないのか割と周りに聞こえる声でないた。

真乃 真 > 「そうだよね!
 猫はね…早いし、あと引っ搔くしね!」

恐らく猫探しも慣れているのだろう。
そして何度も引っ掻かれているのだろう。

「そうか織原さんか!よろしくね!
 へ、変?まあ、確かに変かもしれないな!
 でも、いつもこんな感じだよ!だってカッコいいだろう!?」

変といわれたら明らかにショックを受けたが一瞬で持ち直した!
言われ慣れてるし!!
バーンとかドーンとかそんな風な擬音が見えそうな感じのポーズを取る!
さっきとは違うポーズだ!!

「ふむ、なるほど。それは一理ある!!
 僕もやってみようか!!
 
 ニャ~、ニャ~!」

周囲から見たらいったいどんな風に見えるのだろう?
…幾らか低く太い声が路地に響く。

すると、何事か!?というような感じで奥の路地から一匹の猫が顔を出した!!
トラのような柄に赤い鈴の首輪!間違いない!トラ吉だ!

「流石だ!!織原さん!どうやら効果はあったようだね!!
 ニャ~、ナヤァ~!」

見つかったのにも関わらず未だに鳴きながら!少しずつ!優しく!そして笑顔で!距離を詰めていく!
トラ吉は体が竦んで動けない!!

ご案内:「街の路地」に織原 仄香さんが現れました。
織原 仄香 > 「ポーズ取るのが好きなんだね?
やっぱり、…ふふ、変わってる。」

何度やられてもいきなりポーズ決められるとなんだかおかしい。
笑いを抑えつつ感想を思ったまま伝えた。

「でしょ?…あっ、真せんぱいもやるんだ?
ちょっと私よりじょーず、ズルい。」

ムスッと少し不貞腐れてしまうわたし。
彼から視線を外して横を見たら、

(あ、あの猫さん。トラキチかな?)

と思った瞬間、猫の鳴き真似をした彼が反応した。
どうやらあれがトラキチらしい。

「トラキチ?よかったー!
そーでしょ?わたしの作戦通り。」

誇らしげに胸を張る。
えっへんといった感じだ。
だけど、その後の彼の近寄り方は明らかに逃げられてしまうパターンのような気がする。

(どうしよーかな、逃げられたら探すの大変だし…)

「真せんぱい、もー鳴く必要ないよ?
けーかいしちゃうから、おいでー?」

案外猫は姿さえ見えれば堂々と動いても逃げない。
と、勝手な予測を立ててスタスタと猫へ歩み寄り、

「いーこだね、よいしょ…あ、引っ掻いちゃダメ、
…はい、真せんぱい、この子渡すね?」

妙に大人しくなった猫さんを彼に渡そうと差し出す。
それにしてもよかった。もし猫さんが逃げ出そうとしたらわたしはこの猫さんの足を一本折っていたかもしれない。
だって、怪我なしでという条件はないのだから。

そんなこと考えながらニコニコとした笑顔で受け取るのを待つ。

真乃 真 > 「それは誤解だよ!!好きだからポーズを取ってるんじゃあなくて
 カッコいいからポーズを取ってるのさ!」

本人的にはとてもカッコいいポーズである。
写真とかで見てもまあ、カッコよく見えるだろう。
…やっぱり脈絡なく急にやる事だけが悪かった。

「フフン!僕は何といっても先輩だからね!
 でも、織原さんのも可愛いと思うぜ!!」

凄いドヤ顔である。
先輩である事と猫の鳴き声が上手い事は何の関係もないが凄いドヤ顔である!

「…おおっ!織原さんは猫の扱いが上手いな!」

あっさりと抱かれたトラ吉を見て感嘆の声を上げる。
さては猫マスターだな!!

「OK任された!よし、おいでー!怖くないよー!
 おっと!危ないここに偶然タオルがなかったら引っかかれるところだっ…痛い、痛い、痛い。」

両手を広げて受け取れば優しく怖くなさを伝える。
しかし!優しく受け取った猫はあろうことか真を引っ搔こうとする。
それは、首に巻いていたタオルで防げたが今度は腕を必死に引っ掻いている。
危なかった!半袖だったら凄い事になってた!

織原 仄香 > 「かっこいーからポーズを、正義の味方けんざーん!…て感じかなー?確かに困ってる人を助ける時はかっこいーかも…。
だけど、いまはどちらかとゆーと、真せんぱいがこまってたもんね!」

(でも、ぽーずをカチっと決めれるのはすごいかも?)

とか思いつつ、彼のポーズについて考察する。

「そう?かわいーかな。あんまり悪い気はしないかも。へへ、わたしも猫のセンスある?」

ちょっぴり嬉しそうにはにかむ。
ほめられるのは嫌いじゃないし。
彼も同じなのかな、だって、ドヤ顔すごいし。

「猫マスター、じゃないけど、うーん、わたしが動物に近づくと大人しくなること、よくあるんだー?
…ほら、大人しくしてね?引っ掻いちゃダメだよ。」

手渡しした後彼を引っかこうとした猫の頭を私が柔らかく撫でると、
なぜか猫は震えて大人しくなる…。
そっと手を離したら猫はおとなしいまま動かなかった。

「ねっ…?大人しくなるでしょ?
…そーいえば真せんぱい、なんでこんなことしてるの?」

真乃 真 > 「そうそう!そんな感じ!ヒーローはカッコいいからね!
 ああ、つまり!今回は助けてくれた織原さんは超カッコいいってことだ!
 ホントありがとね!!」

真はヒーローじゃない。
でも、だからこそ少しでも近づけるように努力しているのだ。
努力が理想に届くことがない事は分かっているけどまずは見た目から!!

「うん!大分猫のセンスあると思う!
 君が4年生になる頃には僕はもう追い抜かれているかもしれないな!」

猫のセンス?うん!具体的には分からないけどあると思う!
猫っぽい感じもするし!

「おお、ホントだ!まるで借りてきた猫みたいに大人しくなった!」

さっきまで逃げようとしていたのに!今は大人しく腕の中に入っている!
何というか縋るみたいな様子だ!
それにしても猫に対して借りてきた猫みたいにって始めて言った。

「僕か!今日このチラシを配ってる子がいたんだよ!
 ああ、うん!昼前位にね!わざわざ配り歩いてんだよ!
 それを受け取ってすぐに走ってきた!」

困ってる人がいた。手の届く所に困っている人がいた。
理由はそれだけだった。

織原 仄香 > 「いーよっ、そんな大したことしてないし、ね?
ねこ、見つかって良かった。」

そんなお礼なんて、と言わないばかりに首を左右に振り、大丈夫だよと彼に案に告げる。

「猫?のセンス?私も猫になれちゃうかな、なんてね。真せんぱい追い抜いて、引っ掻いちゃお。」

えへへ、とイタズラに笑い、爪を立てて今にも引っ掻くぞ!というポーズを冗談でしてみせた。

「困ってる人見かけたら、手を差し伸べずにはいられないんだね、真せんぱいは。
…あれ?…あ、なんでもないです。」

私だったら、私だったらきっとその時は『何もしない』。
だって、私の仕事じゃないし、だって、そこで何も生まれないし。
…あれ?じゃあなんで私は彼に声をかけたの?
ちょっぴりわからなくなり言葉に出ちゃったから、
ごまかしておいた。

「…でも、私はヒーロー嫌いだなー。かっこいーけど。好きにはなれない。真せんぱいはヒーロー、好きなの?」

考えながら指先でくるりんと内巻きした私の髪の毛をクルクルいじりつつ、困ったように眉を下げて彼に答えを返す。

真乃 真 > 「いや!織原さんがいなかったら僕は夜までここでいたかもしれない!
 いや、朝まで探し続けてただろうね!」

諦めが悪い男なのだ!
特に一回差し伸べた手を引っ込める事は無い!

「傷が残らないくらいにしてくれよ!
 引っ掻き傷って結構残るからね!」

冗談っぽく返す。
きっと、真の腕には幾つかの引っ掻き傷が残っていたりするのだろう。

「ああ、僕はそうだよ。
 困ってる人の為に動かないなんて出来ない。
 …自分が役に立てない時でも動くからね!!」

困っている誰かを見かけてしまったら手を伸ばさずにはいられない。
それが真の生き方だ。止まりようがないし止めようがない。
もし、そこで動かなければ延々と後悔するだろうから。

「そうかー嫌いかー。カッコいいのに嫌いかー。」

少し寂しそうに言う。
確かにそんな人もいるだろう。 

「僕はヒーロー好きだよ。理不尽を打ち破って、不条理に打ち勝って
 誰も彼もを救ってみせて最後は皆笑ってハッピーエンド!
 憧れるよ。

 …まあ、僕では届かないんだけどね!」

真はヒーローになれない。届かない。
理不尽を打ち破れない。不条理に打ち勝てない。
だからそう、今やっているのは自己満足だ。

織原 仄香 > 「おーげさだなー、真せんぱいは。
諦めたくないんだね、そーゆーとこ、私はかっこいーと思うよ。」

私だって一度受けた仕事はやり通しなんらかの形を残す。
彼も同じなら尊敬に値する。
けど、彼と私の意思の違いは大きかった。

「やだ、私はワガママだからやるって決めたら、とことんやるよ。
トラキチなんかよりも、凄いんだから。」

まさかの拒否、そしてやる気満々、
次もしあう時があれば、その時までに爪を研がなくちゃ、とか思いながらジロリとまん丸の目で見つめた。

「真せんぱいも、私とおんなじだ。
あ、ううん、困ってる人を助けるとかじゃなくて。
嘘、一切つかないんだね。そんな気がする。
…役に立つよ、真せんぱいは。」

勿論私も嘘ついてない、だからこそ、
ある意味同じ匂いがしたんだ。
共通点があると直感が教えてくれた。

「うん、嫌いだよ?だけど真せんぱいは好きだよ?」

そういう意味ではないのだが
勘違いされてしまいそうな言葉、

「そう、全部救うのは無理だよねー。
でも、私を救うのは、出来るの?
私のヒーローになることは、届くの?」

瞬きせず彼の瞳を覗き込み言葉を続けていく。

真乃 真 > 「ありがとう!
 自分でもカッコいいと思う!!」

凄く台無しだ!!

だが、少し違う諦めないのがカッコいいんじゃなくて
諦めるのがカッコ悪いのだ。それを真は許せない。

「それなら僕もそれまでに全力で引っかかれない方法を考えておくよ!」

何かで気を逸らすとか!!
それでいける、何とかイケそうな気がする!

「いやあ、どうだろう?
 嘘かどうかはともかく恰好つけたがるからな…。
 一切つかないわけではないね!誇張表現とか多いよ!」

何事もオーバーに言ってしまいがちなところがある。
だから、嘘を一切つかない訳ではないと真は思う。
…嘘をつかないわけではないが間違いなく正直者であるとは思う。

「そうか、ありがとう!
 僕も織原さんは結構好きな方だぜ!」

いや、基本的に人の好き嫌いは無いのだけど…。
でも、この子は素直で良いと思う。

「僕のこの手が届くなら僕のこの腕が届くなら。
 …ああ、僕は君を助けるとも!全力で掴みに行くよ!
 その時はそっちからも手を伸ばしてくれると届きやすくなるからおススメだ!」

瞬きの無い瞳を真っ向から受け止めて尚自信あり気に笑って見せる。
絶対に助けられる訳じゃない。絶対に届く訳じゃない。
それでも困っているなら真は手を差し伸べるだろう。

織原 仄香 > 「!?…自身満々だね。」

まさかそー来るとは思わなかった。
逆にそこまでハッキリと言えるのは凄いこと、
なんだか感心させられた。

「そうしておいてほしーなー、じゃないと張り合いがないもん。」

楽しみになってきた、本気でやろう。
猫の動きを覚えなきゃ。

「多少の嘘は私もつくよ、なんてゆーか真せんぱいは信用できる。よーなきがする。
すっごくはずすときあるけれど。」

彼の感じは今日話したところ、
よくわかった気がするし、何よりわかりやすい。
私と違って少しだけ羨ましい。

「ん…よかったー、嫌いだったら少し困るとこだったよ。
…そう、真せんぱいが私を助けてくれるなら、
私は待ってるね、いつか助けてもらう日が来るその日まで。
手を伸ばせるか、分からないけどある意味、手は出せる。」

やっと見つけたのかもしれない、
私を正してくれる人が、
私を止めてくれる人が、
真せんぱいを使うみたいで悪い気がしたけど、
許してほしいその時は…

彼の自信に満ちた笑顔に答えるようにはにかんで見せる。
彼になんで声をかけたのかわかった気がした。

『ブーッ!ブーッ!』

鞄の中でなる携帯端末。
取り出して彼に見えないように画面を確認。
私はそれを見ると返信を打ちすぐにしまう。

「ごめんね、真せんぱい。
今からちょっと用事ができたの。
また、お話しよう?ばいばい。」

彼に今日の別れの言葉を残し、
走り去っていく。


…後日の事、一件の殺人事件が起きた、
ニュースとなり彼の耳にも入るかもしれない。

真乃 真 > 「そりゃあそうさ!
 僕ほど信頼できる男はこの常世島でも二人と…いや、三、七人といないぜ!」

真の中では他に五人ぐらいはいるらしい。
尚、女子は含まず。
すっごくはずすっていうのは受け流す!

「分かった!
 まあ、手を伸ばせなくても僕は行くからね!
 …まあ、そもそも助けが必要ないのが一番なんだけどね!」

それにしても助けを待つなんて変な言い方だ。
…まるで現在進行形で困ってるみたいな。

「ああ!分かった!またね!織原さん!」

用事があるなら仕方がない。
もしかして今、何か困ってることでもあるのかい!?
とかそんな風に聞こうとしたけど…
また今度会った時に聞くとしよう。

「…さて、トラ吉!君のご主人の元に行くとするか!」

紙に書かれた住所に向かう。幸いここからは距離が近い。
一人になった路地に猫の鳴き声が響いた。

ご案内:「街の路地」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「街の路地」から織原 仄香さんが去りました。