2017/07/17 のログ
ヴィルヘルム > ヴィルヘルムにとって,この世界の歴史や変容は,実感を伴わない物語でしかない。
だがそれでも,必死で理解しようと試みていた。
そして,クローデットのひいおばあさんと対峙したときに聞こえた声の意味がようやく分かり始めた。
ベルナデットの死がどれ程彼女を苦しめたのか……

「それで……君たちは“バケモノ”と“ヨソモノ”を,嫌ってたのか。」

その言葉に攻めるような口調の強さは無かった。
むしろ,その境遇を憐れんでさえいるように,優し気に紡がれる。
貴女をまっすぐに見る瞳は,生まれた瞬間に彼の人生を狂わせた紅色の瞳。

貴女の悲しげな笑みに,紅色の瞳がたじろいだ。そんな顔をしてほしいんじゃない。

「ありがとうって,最後に。
 …でもね,あの人と,君は,本当に血が繋がった家族だなって,思うんだ。
 だって……あの人もね,ぜんぶ私のせいだ,って言ってたんだから。」

そっと身体を寄せる。犬がじゃれるようにではなく,姿は狼だが,それでも,ヴィルヘルムとして,貴女を包むように。

「僕は,誰も間違ってない,と思うよ……。
 だってさ,君は今でもひいおばあさんのことが大切で,今でもひいおばあさんのことが,好きなんでしょう?
 ひいおばあさんも同じ,君のことが大切で,君のことが大好きで……。」

彼女は言っていた,傍にいてくれれば良かった,と。それがきっと,彼女の我儘だった。
けれど今はきっと,クローデットのために,自分の我儘を捨てて,静かに…独り静かに眠っている。

「ねぇ,今からでも遅くないよ…ひいおばあさんに会いに行こう?
 僕が背中に乗せて行ったって良いよ!それで……おばあさんに,大好きだって言ってあげて。
 ……おばあさんもきっと,同じことを言いたいと,思うんだ…。」

僅かだが言葉に詰まった理由は,自分自身の境遇だった。
家族には大好きだなんて言える相手なんて居ないし,言ってくれる相手も居ない。
だが,表情が分からぬ以上,それを読み取るのは難しいだろう。

「…でも,強い印象を残した,別れ…って?」

クローデット > 「ええ………大伯母様の仇は仇として、他の人々は全く関係がなかったのに………
………随分…この手を、汚してしまいました」

獣の姿をした青年から手を離して、自らの両掌をじっと見つめる。

「………そう、ですか………ひいおばあ様が、そんなことを………。」

悲しげに笑んだまま、目を閉じる。

「…確かに、ひいおばあ様に影響を受けて…かつての「あたくし」の振る舞いが…行いがあった。それは事実でしょう。
白魔術に長けたひいおばあ様だからこそ…「救えなかった」家族のことを、ずっと悔やんでいらしたんだと思います。

…しかし…ひいおばあ様さえ良ければと思って、世界から目をそらし続けたのは…わたしです。わたしの意思なんです」

再度目を開いて、無邪気にではなく、優しく寄り添う青年の顔を、改めて見やった。

「…世界が、「あたくし達」だけで…家族だけで完結しているのであれば、間違いも、正しいもなかったでしょう。
…ですが…「世界」は、広いんです。わたしの祖国は…故郷は、ここからずっと…ずっと、遠い場所にあるんです」

青年に顔を向けたまま、しばし目を閉じて…再度、青年を見つめる。

「ひいおばあ様のところに赴けば…わたしは、きっと二度とここに…この島に帰ってくることは出来ないでしょう。
そして…ひいおばあ様の悲しみと向き合うのもそこそこに、「あなた方」との戦いに身を投じることになるか…ひいおばあ様の悲しみと向き合うために、他の家族の多くを、敵に回すことになるか…いずれかの道を選ばざるを得なくなるでしょう。

「あたくし達」は………この学園の、この世界の…敵、ですから」

「ひいおばあ様は…わたしがそうなることを、望まれていないと思うんです」と語るクローデットの表情は穏やかで…その中で渦巻く様々な感情が、ひたすら覆い隠されていた。

ヴィルヘルム > 「………………。」

貴女が“異能者”や“異邦人”を手にかけているだろうことは想像できていた。
自分自身が幸福で稀有な例だろうということも,同様だった。
しかしそこに驚きを見出さないのは,この青年もまた,過去に“家族”のため…いや,自分自身の欲求のために,多くの他者を,手にかけてきたからだろう。
貴女と違ってそんな過去に苦しめられずに済むのは,教育が施されていないからこそ,かもしれない。

だが,貴女の言葉は,そんなヴィルヘルム自身の倫理観にさえ,メスを入れる言葉であった。
ヴィルヘルムの世界は,正しく,自分と自分を必要としてくれる相手,その狭い世界で完結していたのだから。

「……クローデットは,間違ってないよ。
 だって,ひいおばあさんは,クローデットの“家族”でしょう?
 自分の“家族”とその他の“世界”だったら…家族の方が,大切だと思って当然だもの。」

青年の言葉には迷いがあった。確かにそう信じてはいるのだが,無条件にそれを主張する気にもなれない。
自分が過去に葬った相手にも家族が居るだろうし,クローデットが手にかけた相手にも同様に家族が居ただろう。
それを思った時,自分と貴女の血塗れの手は,どれだけ拭っても綺麗にはならないのだと痛感させられる。

「……ごめん,やっぱり,違うかも,よくわからない。」

青年は視線を逸らして,貴女の膝の上に頭を乗せた。そのままの姿勢で,貴女の言葉を聞く。
頭の中にはたくさんの言葉が飛び交っていたが,青年は結局,貴女が言葉を紡ぎ終えるまで,何も言わなかった。
そして,僅かな沈黙の後に…

「……選ばざるを得ない,なんて,クローデットらしくないよ。
 僕も何だって話すから,クローデットも,一つだけ,教えて。」



「これから,クローデットは……どうしたい?」

クローデット > 「………。」

迷いがちの青年の言葉に…クローデットは、場違いに優しい微笑を向けた。

「…”家族”と”世界”が敵対してしまうならば…その状況自体が、”家族”にとって、この上なく不幸でしょうね」

膝の上に乗せられた頭を、クローデットは拒まず、優しく撫でてやる。
撫でる手つきは、再び「動物」に対するそれのようになっていた。

「………ひいおばあ様が本当に望んでいたのは、「敵」を滅ぼすことそのものでは、なかったんです。
ですが…ひいおばあ様が大伯母様の死を”世界”に認めさせるために為したことは、大きく膨れ上がり過ぎていて…「あたくし達」が引き返す先なんて、ないんです。
作ろうと思えば…また、たくさん血を流さなければならないんです」

クローデットの声が、複雑な感情の動きに振り回されて、震える。
核心を突く問いに…ついに、クローデットは青年を撫でる手を止めた。

「………分かり………ません」

困惑と、悲しみに満ちた声。
クローデットは、もう笑っていなかった。

ヴィルヘルム > 「……そうだね。そうならないように,しなきゃいけなかったのかな。」

自分には無理だ。何もできはしない。だから自分は,後悔していないのだ。
他に出来ることなど無かった……他のことをしていれば,今頃,毒殺でもされていただろう。
けれど,貴女の場合は…クローデットの場合は,別の選択肢もあったのではないかと,そう思えるのかもしれない。
それは本来,幸福なことなのだろうけれど……。

「…………………。」

引き返す先が無い。それを作るのなら,たくさんの血を流さなければならない。
震える声で語る貴女の,その手が止まる。

「……………。」



「そう,だよね……。」

貴女の言葉に,しばらくの間の後,青年は静かに答えた。
それからまたしばらくの沈黙があって,

「……クローデット,ちょっと,ごめんね。」

動きの止まった手を押しのけるように,前脚を立てて起き上がり…
…ごつ、と貴女の横顔に自分の頭をぶつける。

「ひいおばあさんは,クローデットに幸せになってほしくて…“いなくなった”んでしょう?
 そんな顔してたら,ひいおばあさんも悲しむよ。」

まくし立てるようではなく,優しく,けれど瞳はしっかりと貴女を見つめて…

「…僕は,クローデットに笑っていてほしい。
 そのためだったら狼にでもなるし,マリアになったっていい。
 でも“僕”がやりたいことも………ある。」



「クローデット,これからどうするか,一緒に探そうよ。」

クローデット > 「………可能ならば、そうあるべきだったのでしょうね」

クローデットは、そう言って視線を落とす。
「まだ子どもだった」「まだ若かった」「視野が狭かった」。
そんな言い訳を採用することを躊躇う程度には、ほんの少し前の出来事で…クローデット自身も、まだまだ現在形で若い。

「………あの………?」

頭をぶつけられれば、不思議そうな声を出すが、続けられた言葉には…

「………そう、ですね………そうあれたら、きっと、素敵なのでしょうけれど………」

言い淀んで、視線を落とす。

憎悪と敵意、悪意の連鎖を断つ。そして、幸福へ至る道を探す。
それが出来たら、それ以上に幸せなことはないと思う。
けれど………後ろを振り返った時に見える血塗れの道が、そこを歩んできて血塗れの自分の足が、そういう道を探す意欲を、クローデットから奪っていた。

「………「えらそうで性格の悪い魔女」のために、そこまでご自身を犠牲になさらなくても………」

「笑っていて欲しい」。その願いのために、以前脱ぎ捨てた「仮面」を被り直すことすら厭わない青年の言葉に、困ったような苦笑いを零す。
”自分”がやりたいことのために、必要なのかもしれないが…。

「………ですが、そうですね………。
わたしは…シュピリシルド様にも、”世界”の広さを知って…1人でも、立てるようになって欲しいと思っているんです。

…二人で、前を向いていたら………何か、見つかるでしょうか」

優しく笑って、青年の視線に応えた。

ヴィルヘルム > 「……なんでそんなに弱気なのさ。」

青年は困ったように首をかしげて,再び,貴女の膝の上に頭を乗せた。
そして言葉とは裏腹に,貴女が弱気になる理由も分からないではない。
どうにか声をかけようとしていたら,以前の言葉を蒸し返されて…。

「…意外と気にしてたりする? …ごめんよ。」

思わず青年は頭を上げた。

「で,でも,犠牲になんかしてないんだ。
 …それってたぶん,嫌なことを,無理やりやらされることでしょう?
 だったら,ひとつも嫌じゃないから,犠牲って言わないよね。」

紅色の瞳はまっすぐに貴女を見つめている…嘘を吐いているようには見えないだろう。

「“世界”の広さを知って……“1人”でも,立てるように…?」

その言葉に,ヴィルヘルムの紅色の瞳が揺らいだ。
言葉の意味を捉えただけだが,まるで,この2人だけの狭い世界を否定され,表の世界で1人で生きていくことを示唆されたように感じたからだ。

「……きっと,2人で歩けば,色々見つかるよ。
 でもさ,1人で立てるようになったら…そうなったら,1人だけで歩かないといけない…のかな?」

クローデット > 「………思い返すと…後悔、ばかりなものですから………」

自嘲の混じる微笑を浮かべて、視線を落とす。
…が、「気にしているのか」と聞かれれば、自嘲の色は消えて、代わりに困ったような笑顔が浮かび…

「…いえ、以前そう仰ったにしては、随分と気にかけて下さるものですから…」

笑顔に浮かんだ困惑は、続く言葉、「犠牲になんかしてない」というそれに、ますます濃くなる。

「………ですから、大丈夫なのだろうかと、心配になってしまいまして」

そして、今度は相手が動揺する番、という風情で瞳を揺らがせる青年。

「一人だけで歩かなければならないわけではありませんけれど…
心の芯を一人で立てられない者が、対等な存在として、他者に愛されることはそうありませんから。
…シュピリシルド様には…対等な存在として、誰かと寄り添い合えるような…そんな人に、なって欲しいんです」

クローデットが、「加害者」と「被害者」という関係を清算するために、確実にやらねばならないと思っていることが、あと2つある。

1つは、「大切な人」が彼にかけた呪いを解くこと。
もう1つは…「依存」の形を解消して、彼が「他者と対等な関係を結ぶ」ことが出来るようになる方へと導くこと。

「…わたしは…早ければ、今度の春には学園を卒業してしまいますし」

この学園都市での生活は…少なくともクローデットのそれは、もう長くは続かないのだから。

ヴィルヘルム > 後悔ばかり。その言葉はあまりにも重かった。
自分の知らない貴女の“過去”が,貴女の肩にのしかかっている。

「僕が……こんな風に気にかけるのは,迷惑かな?」

……その質問は卑怯だと,すぐに気付いた。
迷惑だ,と面と向かって言うのは難しいし,そもそも迷惑かどうかなんて,聞き方がおかしい。

「……ごめん,やっぱり今の無し。
 気にかけるのは僕がそうしたいからだし,大丈夫だよ。」

貴女からの答えを待たずに,そう言い切ってしまった。
迷惑だ,といわれることは無いだろうと思うが,もしかしたらそれを恐れた部分もあるのかもしれない。

そして,青年は,貴女の言葉をまっすぐに聞いた。

「対等な存在として……誰かと,寄り添い合える,ような…。」

そしてその言葉を,ヴィルヘルムは小さく繰り返す。
もちろん貴女の内心は知らなかったが,そうでなくても,その言葉のもつ意味は大きかった。
対等な存在…過去の自分では考えられない関係。
誰かと寄り添い合う…一方的に尽くすのではなく,互いに信頼し合う関係…?
頭の中に描く理想像は,少しずつ形を変えながら,しかしずっと,青年の“夢”として胸の奥にしまわれている。

「……そう,だよね。」

だがそれは,実現の困難なものであるかもしれない。
けれど,そうだと決めつけて諦めてしまっては,いままでと,変わらない。

「………………。」

やるべきことは,その短い時間の中で,クローデットの言うような“他者に愛される”人物になり,
そして………。

クローデット > 「………。」

「迷惑か」の問いを発した後、改めて言い直す青年の様子を見て…
クローデットは、場違いに優しい笑みを零した。

「…迷惑では、ありませんよ。
寧ろ…今までしてきたことを考えれば、わたしの方が申し訳ないくらいですもの」

それは、青年の「夢」からはまだ遠いけれど。
それでも、その望みがないわけではないと、青年に理解させるには十分な答えだっただろう。

「………今度は…よろしければ、シュピリシルド様のお話も、聞かせて下さいね。
…もしかしたら…わたしでも、力になれることがあるかもしれませんから」

穏やかにそう言って、笑みかけた。

青年の心の道筋をつけるには、クローデットに残されている時間は、「卒業までは平穏に過ごせる」という希望を持って見積もっても短い。
色々手を尽くしてすぐ目の前から消えるのは、青年からすれば「裏切り」に近しいかも知れない。
…それでも、手を、心を尽くしたいと、クローデットは思っていた。

ヴィルヘルム > 貴女の優しい笑みが,青年を安堵させる。
そして告げられた言葉は,望みをつなぐに十分だっただろう。

「………えぇ,あまり,面白くはないかもだけれど。」

力になれることがあるかもしれない。その言葉に,ドキリとした。
自分の我儘を,言っても良いのだろうか。

「………。」

しかし青年は何か言いかけて,口を噤んだ。
貴女にとってはなんてことのない,発する言葉を躊躇する姿だっただろう。
けれど青年はこの時,一つ大きな決断をした。

「ありがとう……クローデットが居てくれると,心強いね。
 ………今日は帰る? それとも,今日もここで眠っていく?」

クローデット > 「…面白くはないかもしれないことの、積み重ねがやがて花開くものですわ」

そう言って、くすりと笑む。少しだけ、表情に瑞々しさが戻ったように見えた。

「………。」

何かを言いかけて口を噤む青年を急かすことを、もうクローデットはしない。
まさか、そこまで大きな決断だとも思ってはいないけれど。

「………どういたしまして」

「心強い」と言われ、礼を言われれば、そう言って柔らかく笑む。
表情に幾分生気が戻ってきたが…かつての覇気はなかった。
そして、今夜のことについて聞かれれば…

「…そうですわね…せっかくですから、こちらで少し休ませて頂きましょう。
ハウスキーパーにも、もしかしたらこちらで休むかもしれないとは伝えてありますし」

そう言って、少し悪戯っぽさを唇に纏わせて、微笑んだ。

ヴィルヘルム > いつか,本当に花開いてくれる日が来るのだろうか。
貴女の口から語られる言葉が,いつかの未来を示してくれていたらいいなと,そう思う。

「良かった…それじゃ,えっと……。」

貴女が少しだけ元気になってきたような気がして,青年も嬉しかった。
悪戯っぽい微笑みには,青年も……くすっと笑って,ぴょんとソファから降り,貴女の目の前で丸くなる。

「……硬いソファか,僕の上か,好きな方を選んでいいよ。」

そうとだけ言って,ぺろっと舌を出した。悪戯っぽい笑みに,大きな悪戯を返した形だ。
「人間」の「男」としてそれができるかはまだ分からないけれど,少しずつ,勇気を出していかなければ。

クローデット > 「あら、まあ」

ぺろっと舌を出して「挑発」してくる青年に、目を丸くしてから、どこまでも楽しそうに笑った。

「あえてソファでもわたしは構いませんけれど…シュピリシルド様、きっとがっかりなさいますわね?
…先日は、私の爪は痛くありませんでしたか?」

そう言って、丸くなった青年の方に歩み寄る。
上に乗るべく、青年の身体に最初にかけた手の所作は、随分優しいものだったけれど。

ヴィルヘルム > 見事に返されてしまえば,伏せの姿勢で敗北宣言。

「…うん,がっかりする,かも?」

とっても素直だった。

「毛皮けっこう分厚いから,痛いどころは殆ど感じないよ。
 だからって,引っこ抜いたりはしないでほしいけれど。」

貴女を安心させるようにそう告げて,大きな身体は貴女を優しく受け止めるだろう。

クローデット > 「シュピリシルド様は、わたしが便乗したらご自身が困るような「悪戯」は、なさらないでしょう?」

敗北宣言をする獣の姿の青年の様子に、くすくすと楽しげに笑って。

「ええ…眠っている中でどれだけ注意出来るかは分かりませんけれど、気をつけましょう」

そう言って、青年の身体の上に慎重に上ると、以前と同じ要領で何かの術式を切り、丸まった。

相変わらず、安眠には遠いクローデットの様子ではあったけれど。
うなされ方も、自らの身体に爪を立てる様子も、先日よりは、幾分落ち着いたように見えただろう。

ヴィルヘルム > 「……確かにそうだね。」

当たり前だ。上に乗られて困るならそんな選択肢は出さない。
だから,最初から負けは決まっていたようなものなのだ…けれど,青年は満足気だった。
こうして自然なやり取りができることが,幸福だった。

「…逆に,寝相が悪くて落としたらごめんね?」

冗談っぽくそうとだけ言ってから,今日は青年も静かに瞳を閉じる。

貴女が先日に比べれば安らかに寝ていたことは青年を安堵させた。
…それは同時に,貴女の柔らかさや香りを,いっそう意識させられる結果となったのだが。

ご案内:「廃屋の一室」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「廃屋の一室」からヴィルヘルムさんが去りました。