2017/08/02 のログ
クローデット > この黒い感情は、きっと青年には「関係のない」もの。
だから、この青年の前で掘り下げることを、少なくとも今は、クローデットは選ばなかった。
…まずは自分で、己の深淵を覗き込まねばならない。

「………。」

話したことを受け止めてくれた青年の言葉に、クローデットはやっと安堵の息を吐く。
…そして、続けられた言葉には…

「…本当に臆病な人間は、臆病なことすら認められないものです………かつての、わたしのように」

そう言って、柔らかい…今度は自然な笑みを青年の眼差しに向ける。
笑うために動かした表情筋のせいで、涙がつ、と目の端から伝った。

「…身体の強さに、そう差があるとは思われませんし…心は、きっと、シュピリシルド様の方が強いと思うんです。
…魔術の強さは、こういった場面では関係ありませんし、それに…」

そうして、涙を伝わせたまま、クローデットは笑みを深めた。
若い娘らしい、邪気のなさに満ちた笑み。

「…男らしくてたくましい、見知らぬ人間の腕よりは…
シュピリシルド様の腕の方が、よほど、安らげると思います」

そこまで言ってから…クローデットは、狼の巨体に軽く、身体の重心を傾けた。

「………シュピリシルド様も、これまで随分お悩みになったのではないかと、思いますし…「あたくし達」が、随分高い比重だと思いますので…気が、咎めたのですが…。

………それでは…お言葉に甘えて、少しだけ」

そう話す声は、安定を取り戻していた。

ヴィルヘルム > 青年は確かに悩んでいた。
その比重の殆どは,今,僅かながら身体を預けてくれた,クローデットのために。
けれどその内容は,きっと,貴女が思っていたものとはだいぶ異なるだろう。

貴女の柔らかな笑みが,普段通りの声が,そして貴女の言葉が,
青年の悩みの殆どを吹き飛ばしてしまったことにも,貴女はまだ気づかないだろう。

「…確かに悩んだよ。」

「すごく恥ずかしいけれど,その…
 …狼の姿じゃなくなったら,クローデットはもう,僕のところに来てくれないんじゃないか,とか。」

「狼の姿じゃないと,クローデットを支えたり,助けたりできないんじゃないかとか…
 …その…そういうことばっかり。」

分厚い毛皮越しにも,青年が恥ずかしがっているのが分かるだろう。
明らかに体温が上がっていた。
けれどそれでも,その馬鹿げた悩みを打ち明けなければならなかったのは,
貴女の言葉が,人としてのヴィルヘルムを認めてくれたその言葉が,
それだけ嬉しかったということなのだろう。
尻尾がぱさぱさと動いてしまうのは,もはや,仕方の無いことだった。

「……その……えっと…我儘を,一つだけ言ってもいい…かな?」

クローデット > 獣は往々にして、ヒトより体温が高いものだが…まさか、更に体温が上がり、それが毛皮越しにでも感じられるとは思わなかった。青年、しんどくないだろうか。
しかも、羞恥により体温を上げている青年の悩みが、自分と比べてあまりに浅い…いや、若いと言う方が適切だろうか、であるのに拍子抜けしてしまって、クローデットは、つい、毛皮に軽く顔を寄せたまま、くすくすと笑いを零してしまった。

「…ああ…失礼致しました。

それで………我儘と、おっしゃいますのは?」

笑ってしまったことを詫びてから、青年の我儘について問うた。

ヴィルヘルム > しんどいのはどちらかと言えば精神面だったかもしれない。
狼の耳はそのかすかな笑い声も拾ってしまう。恥ずかしいったらない。

「……これでも,結構真面目に悩んでたんだからね。」

青年は抗議の声を上げた。でも一方で,貴女の笑みがどこか楽しそうに聞こえたから,内心で安堵していた。


「その…シュピリシルド様,って呼び方が,何て言うか…その…
 …僕だけ偉そうな感じがするっていうか,何て言うか……。」

「謝るタイミングも無くて,戻すタイミングも分からなくなっちゃったんだけれど,
 僕だけ,いつの間にか“クローデット”って,呼び捨てに,しちゃってた…し……。」

毒喰らわば皿まで,といった有様である。
自分でも他愛もないことで悩んでいると思うし,貴女になら馬鹿にされてもいいと,そう思った。

「僕が,ルナン様って,呼べばいいだけの話なんだけれど……。」

クローデット > 「ええ…悩みに軽重はございませんものね。
…本当に、大変失礼致しました」

改めて、謝罪の言葉を発する。その声音は優しかった。

「………」

確かにクローデットの方が年長ではあるが…それを踏まえても、青年の悩みの何と初々しいことか。
息だけを零して、笑うのを堪えた。

「………「加害者」と、「被害者」の線引きはすべきだと思いまして。
………ですが…そうまで仰るのでしたら」

「何と、お呼びすればよろしいですか?」と、優しさと…悪戯っぽい甘さをほんのり偲ばせた声で、尋ねる。

ヴィルヘルム > うー。とちょっとだけ犬っぽい唸り声が上がった。
優しい声と丁寧な謝罪の言葉が羞恥心をより一層掻き立てる。
けれど,青年は,貴女の言葉にはっとして…

「…そう,それ!そこなんだよ!」

突然,声を上げた。

「いつになったら,僕は被害者じゃなくなるのかな,って。
 僕は被害者扱いされたいわけじゃないし…クローデットが“加害者”っていうのもなんだか,変な感じだし。」

呼び方だけの問題ではない。その背景にあるものこそが,青年の感じている違和感の元凶だった。
そんな気付きを言葉にする一方で,貴女の悪戯っぽい声と言葉には,

「あ,えっと…
 …それは,クローデットが,呼びやすいように呼んでくれたら…それでいいんだけれど…。」

その巨体に似合わぬ,尻すぼみ具合であった。

クローデット > 犬っぽい唸り声を漏らしてしまう青年の様子がおかしくて、またつい笑い声を零してしまう。

「ああ、もう…いけませんね、わたしったら。
本当に、申し訳ございません」

かつてのクローデットとは少し質の違う、たおやかさだった。
そして、青年の言葉には…

「………なぜわたしがわたしを「加害者」と名指すのか。それを、あなたが知識面でだけでも理解出来たら…でしょうか」

やたらハードルの高い条件解除設定を、平然と語る。
「参考文献でしたら、必要に応じてお貸し致しますわ?」なんて付け足したりして。
名前を呼ばなかったのは…まだ、相手の了解を取っていないから。
とにかく、そんな意地の悪い条件を提示してから…

「…もし、呼び方を対等に…ということでしたら…
ヴィルヘルム、と、そう呼ぶのが適切でしょうか?」

そんな風に、柔らかい口調で尋ねた。
少しだけ笑声が零れたが…それは、柔らかい口調に伴った、笑みかけとして、自然に受け取れる範囲に留まるだろう。

ヴィルヘルム > 「……いいよ,ぜんぜんだいじょうぶ。」

あまり大丈夫ではなさそうである。
まぁ,でも,尻尾はぱたぱた揺れているし,ヴィルヘルム自身も楽しいのは間違いないのだろう。
恥ずかしさに目を瞑れば,なのだが。

「……そっか。それじゃ,一日でも早く理解しないといけないね。
 できれば,今度貸してもらえると嬉しい…かな?」

平然と語られたそれに対して,ヴィルヘルムは前向きだった。
一日でも早く,その言葉に嘘はない。
とは言え,彼が真の意味でそれを理解するのは,まだ先のことかもしれないが。


「……うん。」

貴女の問いかけに,ヴィルヘルムは小さくそうとだけ答えた。
以前,思わず“クローデット”とファーストネームを呼び捨ててしまったとき,叱られたことを覚えている。
だからこそ,貴女が,さらりとそう呼んでくれたことが嬉しかったのだ。

「ありがとう,クローデット……僕の我儘を聞いてくれて。」

クローデット > 「………お気になさっていないのでしたら、良いのですが」

だめだ、いちいち反応したらきっと終わらない。
羞恥からくるだろう青年の言動がいちいちおかしいのだが、クローデットは頑張って耐えた。

「…ええ…出来るだけ早く、用意致しますわ」

必要なこととはいえ多少吹っかけたつもりだったのだが、青年が怖気づかないことを、クローデットは束の間驚いた。身体を寄せているので青年からは見えづらいだろうが、目を大きく瞬かせる。
それでも、青年の決意を尊重して、そう請け負った。

「いいえ………このくらいは、大したことではありませんから」

青年が呼び方を受け入れ、そして感謝の言葉を述べれば、そう言って穏やかに受ける。
他人を…ましてや異性を、ファーストネームで呼んだことはほとんどない。
けれど…互いの中で合意が出来ているのならば、怖気付くことも、恥ずかしがる必要も、ない。

ヴィルヘルム > 「……クローデットになら笑われてもだいじょうぶ。」

そんな方向で頑張られているなんて,知る由もないから,青年の言動は相変わらず。
けれどその言葉は,確かに本心だった。
どういう形でも,貴女が楽しそうに笑ってくれるのは嬉しかったから。

「うん,ありがとう。
 でも…もし僕がそれを理解して,それでもやっぱり,クローデットは加害者じゃない,って思ったら,
 ……その時こそ,撤回してもらうからね。」

こちらからも条件を出して,青年は小さく頷いた。
体温もだいぶ落ち着いて,毛並みは滑らかな手触りと,心地よさを徐々に回復していくだろう。

「…また笑われちゃうかもしれないけれど,
 僕にとっては,結構大したことだったりするんだからね。」

ずっと仮面を付けて生きてきた。
それこそ,貴女の言うように,誰かに好かれるために自分の在り方を生贄に差し出し続けたこの青年は,
その仮面を外せば外すほどに,素直で率直だった。

クローデット > 「不本意でしたら、その時には仰って下さいね?」

ある程度落ち着いて、そんな風に伝えるクローデット。笑いは何とかしたらしい。

「………「あなたには加害としての意味をなさなかった」という形でよろしければ、そのように。
…あたくしには、悪意がございましたので」

実際、学びによって気付いた暁には、青年はどうなるのだろうか。
…でも、そうして気付いたことによりこの関係が壊れるならば…まずは、青年の成長を、喜ぼうと思う。

「………”ヴィルヘルム”として生きられるようになったのは、最近のことですものね」

引き金を引いたのは、悪意を持っていた頃の自分。
悪意はあったけれど、結果的に良い方向に転んだことを言祝ぐべきなのか。
結果的に良い方向に転んだけれど、確かにあった悪意を糾弾するべきなのか。
…その判断を青年に任せるには…まだ、彼の持つ知識が足りない。
無垢さはそれはそれで尊いものだけれど、「大人」になるのならば、それだけではいけないから。

ヴィルヘルム > そう,ヴィルヘルムという名は,決して呼ばれるはずのない名前。
幼い記憶を辿っても,その名を呼んでくれる他者は存在しなかった。
その名を呼んでくれる貴女が語る,悪意。
青年は,それについて知ることを僅かに恐れていた。
……もし,貴女の悪意を憎んでしまったら,どうすればいいのだろう。

「…………知らなきゃ,いけないんだよね。」

無論,容易くその覚悟は揺るがないが,口をついて出たのは不安だった。
けれどすぐに,それを振り払うように……

「クローデットがどれだけ性格の悪い魔女だったかを勉強する……って,なんだかそれだけ聞くと面白いかも。」

なんて言ってみせる。
ぺろっと小さく舌をだして,楽しげに。

クローデット > 「知らなければ、「加害者」と「被害者」という関係が相応しくないかどうかも、判断出来ないでしょう?」

突き放すようになってしまうから、「あなたがわたしを憎んでこの関係が終わってもその成長を喜ぶ」と、伝えたりはしないけれど。
無知からくる無垢からの判断は、この場合尊重出来ないということだけは示唆した。

「…そうなりますわね…あなた、あたくしの性格の悪さを、今となっては随分過小評価なさっているようですから」

少しだけ意地悪く言って、獣の巨体に少しばかり預けていた身体の重心を、自分の元に取り戻す。
顔には、楽しげな笑みが刻まれているのだが。

ヴィルヘルム > 貴女の言葉に反論のできない青年は,小さく頷くのみだった。
と言っても,仮に突き放されるような事を言われても,青年は意に介さなかっただろう。
……ヴィルヘルムとして認めてもらえた。
少なくとも青年はそう思っていたし,それはとても幸福なことだった。

「……そうかもね。
だって,さっきから“あなた”としか呼んでくれないんだもの。」

青年も,貴女に少しだけ反撃してみる。
それも,楽しげな笑みが見えているからこそ,だった。

「……今日は,そろそろ帰るかな?」

少しだけ名残惜しそうにしつつも,青年はそう切り出した。
貴女の服装は,流石にそのまま眠るには適切でないように思えたから。

クローデット > 「…文脈や舌触りにもよりますので。出来るだけ、お呼びしたいとは思っているのですが」

平然と受け流す。意地悪な文脈で呼び捨てはしづらい、という判断らしい。

「そうですわね…用事だけでなく随分と話し込んでしまいましたし、ヴィルヘルムも、一人でじっくり考えたいことがおありかと思いますし」

と言って、言葉を切った後…少し、意地の悪い笑みを浮かべて。
狼の耳元に、唇を寄せた。

「…あなたがお望みでしたら…簡単な参考文献をお持ちするついでに、こちらで眠れるように着替えて参りますか?」

楽しげな声が、そう囁く。

ヴィルヘルム > 貴女が囁けば,狼の身体がびくりと震えるのを,貴女も感じることができるだろう。
貴女にとっては予想通りの反応だろうけれど,青年にとって,貴女の言葉には大きな意味がある。

「……本当に,意地悪だなぁ…。」

うー。とまた狼じみた唸り声を上げてしまって…

「……僕は,いつでもクローデットと一緒に居たいって思ってるから。
 だから,今日はクローデットが好きなようにしていいよ!」

…望みを伝えた上で,選択肢は返すというスタイル。

クローデット > 「性格が悪いと、ご自身でも仰ったでしょう?」

唸り声をあげてしまう青年の様子を見て、くすくすと笑う。
きっと、本来の姿であれば耳から顔まで真っ赤にしていただろう。
…いや、本来の姿で耳元にこういうことを囁くのは、しばらくは控えるつもりでいるが。

…しかし、拒むでもなく、単に望むでもなく、選択肢をこちらに返してくれば…意表を突かれたように大きく瞬くも、困ったような表情は見せなかった。

「…それでは、せっかくですし簡単な参考文献をお持ち致しましょう。
しばし、お待ち下さいね?」

そう言って柔らかく笑むと…クローデットは、一旦姿を消す。

ヴィルヘルム > 「僕が,そういう風に言われたらどう思うか分かってるんでしょう…?」

人の姿をしていたら,きっと,あんなふうに返すこともできなかったかもしれない。
いや,でも今なら,もしかしたら……。

「…え,あ……っと……。」

さらりと返事をされて姿を消されれば,青年は少しだけ困惑して立ち上がる。
それから,すこしだけうろうろと歩き回ったりしていた。

クローデット > そうして、30分くらい経っただろうか。
かつて、家族のことを話しに来たときの服装に…科学系の雑誌だろうか…を携えて、クローデットは帰ってきた。
…ご丁寧に、入り口の前に。

「そちらに戻る前に、参考文献をあちらのソファの上に置いて参りますわね」

柔らかく笑むクローデットは、ほとんど自然体だ。
青年の姿が「怪物」のそれなのに、上手いことのっかっている。

ヴィルヘルム > 30分,それは青年にとって非常に長い30分だった。
うろうろしていた青年もいつしか座り込み,丸まって,静かに待っていた。

「…あ,おかえりなさい!」

そんな風に声をかける青年もまた,こうして在るのが普通になっていた。
人の姿であったら,こうはいかなかっただろうに。

クローデット > あんなに動揺していたのに、元気に声をかけてくる青年に、くすりと零した笑みを向けてから、一度ソファのある部屋に向かう。
…雑誌を置いてきたのだろう、再度入口から入ってきたクローデットの手元に、それはもうなかった。

「…お待たせ致しました」

そう言って、青年に歩み寄る。
普通に声をかけてきたので、いっそまたネグリジェ姿を見せてやろうかと思わないこともなかったが、流石にそれは、クローデットがまだ維持したい一線に関わる。

ヴィルヘルム > 向けた言葉は,動揺を沈めたわけではなく,単に30分という時間を待ち焦がれた結果だった。
貴女がこうして来てくれることは,心の底から嬉しいのだ。

「…ううん,その…来てくれてありがとう…。」

尻尾をぶんぶん振りたいのを我慢して,ぱたぱたと静かに揺らされる。
狼の姿だからこそ,こうして平然としていられるわけで,逆に言えば人としてこの状況になったら,どうなってしまうことか。

クローデット > 静かに、しかし確かに揺らされる尻尾を見て、また優しい笑みを零す。

「いいえ…また改めて、出来るだけ早く参考文献をお持ちするのもお互い手間でしょうし…ついでです。
…少し、寂しそうに見えましたので」

そんな風に言って、狼の巨体に少し身体を寄せるようにする。

…無防備な服装で、本来の姿の青年に身体を寄せるのは…クローデットからすれば、勇気云々以前の問題があった。
「被害者」と「加害者」の関係に、どう決着がつくのか、という。

ヴィルヘルム > 身体を寄せてくる貴女を抵抗せずに受け止める。
横腹を上にして,できるだけ貴女が自然な姿勢で居られるように。

「…あんまり優しくし過ぎると,意地悪な魔女のイメージが消えちゃうよ。」

そうとだけ言って,けれど狼の姿をした青年は嬉しそうだった。
…こうして,この姿でともに過ごす夜は最後かもしれない。
そう思えば寂しくもあったが,それを後悔するような気持ちは無い。

クローデット > 丸くなるのではなく、横腹が上になっている「優しい怪物」の姿勢。
優しく、手をかけて…

「…知識を得たヴィルヘルムが、当時のあたくしについてどう思うかを決めれば良いことです。
…大体、あなたを下にして眠るつもりの人間に、優しいも何もないでしょう?」

「お腹は、流石に体重がかかるでしょうし」と、少し困った笑みで様子を伺った。

ヴィルヘルム > 言葉とは裏腹に,貴女の手のひらは優しく横腹を撫でる。

「…そういうことにしておくね。」

そうとだけ言ってから,小さく首を振った。

「この身体,物凄く丈夫なんだよ。
 クローデットくらいだったら,5人くらい乗っても大丈夫じゃないかな。」

実際,お腹の上に立ってみても苦しそうな素振りは見せないだろう。
怪物の身体は,伊達ではない。

クローデット > 「流石にわたしも成人女性ですから、5人は乗れないと思いますけれど…」

苦笑混じりで、そっと狼の横腹の上に乗り、寝そべる。

「………もし、知識を得て、わたしを憎んでも………
こうした時のご自身の判断は、憎まないで下さいね」

囁くような声で(無論耳元とかではないが)そう言って、クローデットは目を閉じた。

前にこの廃屋で過ごした一夜と比べて、クローデットの睡眠は大分質の良いものになっているように感じられるだろう。

ヴィルヘルム > 貴女の囁きを聞いて,青年は沈黙してしまった。
けれど,しばしの後…

「……もし,そうなっても……。
 今の僕が,幸せだっていうことは…変わらないから。」

…そうとだけ言って,同じように目を閉じる。
貴女が魘されれば声をかけてやろうと思っていたが……今日は青年もまた,ぐっすりと眠ることができた。

ご案内:「廃屋の一室」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「廃屋の一室」からヴィルヘルムさんが去りました。