2018/07/26 のログ
モルガーナ >   
「うむ、同じ場所で此処まで気候が変わるというのは意外であった。
 特に今日は茹るようじゃ。この国のヒトはよくも毎年これに耐えておるものじゃな」

四季と言うものについて聞いていたがまさかここまでとは。
そしてそれに人が順応して生きているという事も
正直に言うと新鮮な驚きであった。

「良き父を持ったようじゃな。
 うむ、妾も幾分か気に入っておる」

視線を追って外へと視線を向ける。
陽炎が立つような世界も硝子一枚を隔てて
涼しい空気の中で見れば何処か面白くすら見えるのが不思議だ。

「うむ、異邦人……というより漂流者と言ったところか。
 妾の故郷はあまり気温の変化の無い場所での。
 ここはそういった意味では実に新鮮じゃ」

ゆっくりと付属の匙で飲み物を混ぜながらはんば呟くように答えを返す。

「主は此処の出身か?
 幾分か慣れていないような印象を受けたが」

アリス >  
「この国の気候は四季折々と言えば聞こえはいいけど…寒暖の差が激しいから」
「基本的には耐えるものよねー」

空調の効いた店内で飲む冷たい飲み物はまた、格別で。
外がどれだけ暑くてもまた頑張れる。そんな気がした。

「ええ、パパもママも優しいのよ。とっても」
「ワラワかー、ひょっとしてモルガナは貴人なのかしら」

確かそういう喋り方をするえらいひとを漫画で見たことがある。

「へえー……って、私いきなり人に異邦人かどうか聞いたわね」
「差別的意図はないのよー、本当よー」

気軽に謝罪しながら、相手の言葉に首を左右に振る。

「イギリスっていう国で生まれて、日本の本土で育って、常世に追放された…みたいな感じ」

モルガーナ >   
「……元は国の舵取りをしておったというと信じるか?
 余と言うにはすでに帝位を退いた身での」

まぁ冗談じゃがと笑いながら視線を少し高く向ける。
入道雲と言うらしいが、眩しいほど青い空に対比となるような白は
この少し浮足立つような雰囲気を理解させてくれるような気がする。

「良い良い。妾は元々旅人じゃ。
 斯様な事を一々気にしたりなどせんよ」

実際異邦人なのだから区別も、時には差別もあってもおかしくない。
そしてそんな事はもはやあまり気にならないほど長い時間旅人として過ごしてきた。
その為申し訳なさそうな口調にも特に表情を崩すことなく
逆に楽しんでいるような雰囲気すら漂わせるが

「……そうか」

追放、という言葉には一瞬表情を曇らせた。
それはどちらかと言うと故郷が恋しかろうといった様子。
自身の身の上からしても少し共感が出来る。

「済まぬことを聞いたようじゃな。許せ」

アリス >  
「わぁ、それはすごいわね。敬語を使ったほうがいいかしら?」
「でも私、敬語苦手なのよね。この国の言語は少し複雑すぎるわ」

冗談と笑う彼女に合わせて、朗らかに笑って。
楽しい時間だった。しかしここで邪念が混じる。
……友達になってと言ったら、受け入れてくれるだろうか?

いきなり会ってすぐにトモダチ?
何とも現実感のない。それくらいのぼっちレベルだった。

「……モルガナが旅人だから、いちいち気にしないのと一緒」
「私は悪いことをしたからここで異能の勉強を命じられた」
「それは雨が降ったら水たまりができるくらい当然のことだわ、気にしていないの」

ストローからフローズンティーを飲みながら、彼女の顔を伺う。
どこから切り出したものだろう。友達増加作戦。

モルガーナ >   
「敬語など要らぬよ。
 こちらでは妾も一介の学生に過ぎん。
 むしろ多少崩れておる位が丁度良い」

故郷に居た頃なら兎も角
今はかえって堅苦しく感じる上に
下手に距離感が出来て弊害しかない。
同じ目線で見た方がきっとこの世界は面白い。

「……そうか。であれば妾がとやかく言う事ではないの。
 それにその結果こうして語らえると思えば悪い事だけとは言えぬな」

気にしていないと彼女は言う。
それが真であれ偽であれ、
彼女の表情を見るにそう言うだけの苦悩があったのだろう。
……ならば、それ以上気にしないのが礼儀。

「しかしこれは中々慣れると癖になる」

最初こそ酸っぱいと思ったそれも
口に触れていれば次第に柔らかく、甘く感じられるようになってきて。

アリス >  
「学生、なんだ……じゃ、じゃあ…」

ヒイイ。言えない。たった一言、友達になってが言えない。
自分の愚かしさとぼっちレベルの高さを呪いながら飲み物を口にした。

「……そうだよ、きっと」
「私とモルガナがこうして話せてるんだもの、一概に悪いこととは言えない」

話しながら、彼女の容姿を改めて見る。
この世のものとは思えない美しさ。
立ち居振る舞いから、高貴さを感じずにはいられない。

「そ、そうだね………」

甘酸っぱい。冷たい。それは、ちょっとだけ自分に勇気をくれて。

「あのさ、モルガナ。私と友達になってくれない……かな…」
「あ、い、嫌ならいいんだよ? でもせっかくの機会だし? 会ったし? 話したし?」
「色々と、その……また会ったら、話したいかな…って………」

謎の身振り手振りをしながら、とうとうその話を切り出した。

モルガーナ >   
「うむ、そうじゃの。
 生とは斯く在るべきとはよく言うたものじゃ」

寿ぐように口にし、目を向ける。
何処か此方を伺うような表情に気が付くと
言ってごらんと言うような表情を浮かべて耳を傾け……

「友……ふむ、友か。
 久しく耳にしておらん言葉じゃな」

意外な言葉に目を瞬かせ
数秒後にくつくつと肩を震わせる。

「いや、済まぬ。
 馬鹿にしておるわけではないのじゃが
 そのような可愛らしい申し出は今まであまり経験がない類での。
 なんとも愉快な話ではないか」

”友達になろう。”そんな真摯で無邪気な申し出につい笑みがこぼれる。
れは純粋な驚きを含みながら心底可笑しそうに笑っていた。

「良かろう。
 今日から主は妾の友じゃ。
 いつまでの事かはわからぬが
 道が違うその時まで面白可笑しく過ごそうではないか」

まだ笑みの残滓を表情に残しながら
確かこういう時此方の世界ではこうするんじゃったかのと呟き
ゆっくりと片手を差し出す。

アリス >  
「わ、笑……」

笑われた。もう精根尽き果てた。
やはり私は友達探しなんて向いてないんだ。
明日から絵の具とか食べて生きていこう。無念也。

「えー……?」

涙目で明日の食生活に思いを馳せていると、可愛らしいとか愉快とかいう言葉が出てきてらっしゃる。

「え、いいの! ありがとう、モルガナ!」

明るく笑って差し出された手を取り、上下にぶんぶんと振った。
友達増加計画、現在にして二人目を達成したのだった。

それからは色んなことを話して。
夢中になりすぎて、夕方になってて。
…涼しくはなっていたけど、帰ってちょっとだけパパに怒られた。

ご案内:「双葉コーヒー常世島学生街店」からアリスさんが去りました。
ご案内:「双葉コーヒー常世島学生街店」からモルガーナさんが去りました。