2018/08/09 のログ
ご案内:「常世学食棟」にアガサさんが現れました。
■アガサ > 常世学園の敷地は広い。
島全体が学園都市として在るんだから当然と言えば当然だけど、単純な学園部分だけにしたって広い。
必然、膨大な数の生徒、教職員がいるのだから、彼らのお腹を満たす場所も広大になる。
「うわお、何時ものお昼時が嘘みたいだね。」
昼夜を問わず校舎に誰かしら居る為か、入り口の黒板に"二四時間営業"と、いやに達筆に記された常世学食棟。
看板に偽り無く、夏休みの間だろうときちんと営業をしているけれど、深夜と休日は縮小中とも記されている。
時刻は昼を過ぎてのおやつ時。私が図書館での用事を済ませ、訪れる頃にはすっかりと静かなもので、照明も何処と無く薄暗い。
入り口横の券売機の明りが寂しそうに目立っても視えたから、つい声なんてかけて見たけど当然返事は無かった。
■アガサ > 全体としては薄黄色の壁に囲まれた広い空間。一定間隔で立つ円柱と八人掛けテーブルが支配する場所。
空調の程好く利いた中で私は窓辺に席を取り、食券の半券を手の内で弄びながら呼ばれるのを待っている。
窓からは造成された林が良く視得て、蝉の自己主張が鮮やかだ。
「どれどれ最近の面白ニュースは……」
折り畳み式の古い型に見える携帯電話を取り出し、ボタンを押すと黒地に金が縁取られたホロモニタが浮かび上がる。
空間投影されたパネルを叩いて島民向けのSNSを開くと、嘘か真か判然としない珍妙なニュースを知らせる文字が躍った。
「転移荒野に大型の魔物が出現、近く航空宇宙開発部が対処する方針。学生通りにUFOの群れ現る、異星の住民か。
農業区にて突然変異の超巨大胡瓜が発生、原因究明が待たれる。etc.etc……うーん吃驚ニュースばかりだ……。
本土だったら考えられない事ばかりだけど、此処だと案外そうでも無いっぽいのが凄い。」
ニュースキャスターのように読み上げてからパネルを閉じて、行儀悪く頬杖をついて食後は何をしようかと太平楽な思考を抱える。
すると厨房から独特のイントネーションで、注文の料理が出来たことを知らせる声がしたものだから私は席を立った。
呼び出しブザーなんて文明の利器は、どうも夏休みの真っ最中みたい。
■アガサ > 「厨房の人、見たこと無いけど新しい人かな。耳が長かったし異世界人ってやつかな?」
薄緑色のお盆に遅めのお昼御飯。卵丼(のつもりで注文したもの)を乗せて席に戻って首を傾げてみる。
異世界人。読んで字の如く異なる世界の人。"門"から出てきたまれびと。多種多様な外見の彼らは、
まるきり私達と変わらない外見を持つのも居れば、かなり変わった外見を持つ人も居る。
「食べ物とか文化とか、色々違うだろうし大変だよね。見た目もまあ、色々だし」
所謂獣人系の方々なんかは色々苦労もあるんだろうなあと、厚焼き玉子をわざわざカツにしてから卵でとじた不思議卵丼を食べながら想う。
鳥類系の特徴がある人なんかは鶏肉や鶏卵を嫌がるだろうし、如何にも肉食系に見える人虎や人狼のような方々は、逆にそういった
人を捕食する側かも判らない。勿論、島の規則で血腥い事にはならないように決まっている筈だろうけど。
「……実際はどうなんだろうなあ。」
まことしやかに囁かれる噂では、落第街の何処かにそういった需要を満たす御食事処があるらしい。
島の行方不明者の何割かはそこで食材にされてしまっているのだ。なんてのは如何にもありがちな怪談でぞっとしない。
ご案内:「常世学食棟」に黒笹 紗矢さんが現れました。
■黒笹 紗矢 > 艶やかな黒髪と、手に持っているお盆に乗るのではないかという大きさの胸。
真面目そうな細身の眼鏡の奥の瞳を細めながら、優等生の彼女は小さな単行本一つとパスタを手に席を探す。
先ほどまで運動でもしていたのか、頬を僅かに赤く染め、はふ……、っと何度も胸を抑えて動悸を沈めるかのような所作をする。
「………あら。」
一人でモニタを見ながら食事をしている少女に視線を落として、首をかしげる。
ニュースを眺めているのを確認すれば、隣に腰を下ろして。
「アガサさん、ニュースを見ているのかしら。
何か面白い物、あった?」
女子寮では面倒見のよい生徒で通っている。
にこり、と微笑みかければ首をかしげて。
■アガサ > 具が卵、衣にも卵、とじるのも卵。卵だらけの卵丼を食べながら異世界事情について思いを馳せる。
折角の夏休みに本土にも帰らず留まっているのだから、異邦人街なり探検してみるのも悪くは無い。
となれば島民向けSNSを記すホロモニタを叩いて──なんて所にかかる声。
「う"わっ……ってセンパイじゃないですかあ。驚かさないでくださいよう……あれ?今日、図書館のお仕事ありました?」
がらんどうの食堂内で不意を打たれて変な声が飛び出るも、相手が顔見知り、それも寮のフロア長なら直ぐに平時の調子に戻る。
確か図書委員だと聞いていたけど、さっき図書館では見かけなかったのもあって、少しだけ不思議そうでもあったけど。
「えっと。ニュースは可も無く不可も無くって所でしょうか。もしかしたら転移荒野で近々航空宇宙開発部の大捕りモノが
見られるかもってのと、後は商店街でUFOが沢山飛んでたとか、巨大胡瓜が発生したとかです。
センパイの方は……走ってきたんですか?顔、赤いですけど。」
ホロモニタのニュース記事を見せるようにしながら、少しだけ不思議そうな様子がもう少し不思議そうになる。
判りやすく首を傾げて、真横になりかかってバネみたいに戻る茶目っ気交じりの所作だって加わった。
■黒笹 紗矢 > 「ふふ、ごめんなさいね。
ちょっと驚かしてみようかな、と思って。
……今日はちょっとした運動、かしら?」
なんて、首をかしげて微笑み返す。寮にいる子であれば、普段から妹のように思って接している。
本質が邪悪であっても、それが誰にでも向けられるわけでもない。
微笑を浮かべながら、ニュースの言葉にふぅん、と頷いて。
「普段は運動不足だから、やっぱりすぐに疲れちゃうわね。
息もすぐにあがっちゃって……。」
なんて、頬を抑えながら首をかしげる少女の額をちょん、とつつく。
女らしい所作を交えながらも、きっと分からないでしょう、と艶っぽい頬を隠すこともしないで。
■アガサ > 「悪い人なんですから。これが夜の教室とか何処かの路地裏とかだったら悲鳴になってますからね、悲鳴に」
緩やかに笑うサヤセンパイに対し、頬を風船のように膨らませてBooBooと抗議をするけど、額を突かれてぶしゅうと脱気。
状況からして、私を見かけて、私に気付かれる前に素早く私の側まで移動したのかなと思えば、
その微笑ましい様子にそう悪い気もしないものです。
「で、それはそうと運動不足なら今頃なら海とかプールとか丁度いいんじゃないですか?
確か……ほら、大型室内プールありますよ!」
なのでホロモニタのパネルをぽんぽんとドラッグして広告ページなどにアクセスをし、
学生街にある大型室内プール施設なんてのを見せるんです。学割が利いて島民なら更に割引!と目に喧しく七色の文字が躍っていました。
■黒笹 紗矢 > 「悪い人よ、私は。」
くすくすと冗談のように言葉にする。冗談のように。
だって本当だもの。
「あ、そうね……いいかもしれない。
できれば人のいないビーチなどが良かったのだけれど、大きなプールも悪くはないわね。
アガサは泳げるのかしら。
私はもちろん、得意だけれど。」
ぶーぶー言うアガサをスルーしながら、ホロモニタを指でスライドさせて、ふんふん、と見つめる。
優等生らしく食堂で食べながらモニタなんて、とかそういう堅苦しいことは言わないのが彼女のいいところ。
そういう倫理観に囚われないのです。
「いいわね、行ってみようかしら。
……水着、ちょっとサイズが合わないから買い物にいかなきゃいけないけれど。」
■アガサ > 虫も殺せなさそうな顔で悪人だと白状するセンパイに私は呆れ顔を向けました。
100人が見てたら110人くらいが呆れ顔だって判断するような
或いは演劇部のお芝居で見られるような、そういった奴。
「確かに悪人なら後輩を驚かしもするのでしょう。……で、このプール。
なんでも流体操作が出来る異能者さんが流れるプールや波のプールを作り出しているのだとか。
本当なら凄い事ですよね。特技……と言って良いのかは判りませんけど、お仕事に活かしてる訳ですし──ちなみに私は泳げますよ。カエルも真っ青の平泳ぎを此処でお見せできないのが残念です!」
センパイがパネルを弄っている間に、私は卵カツをパスタのお皿にお裾分けしておきました。
水着の寸法が合わないと仰るならば、ついでに、可愛い後輩からカロリーのプレゼントです。
「お買物なら歓楽街あたりでしょうかね。個人的には異邦人街あたりで面白い食べ物でも探しつつ……
なんてのをオススメしますけど。センパイは異世界の食糧事情って気になりませんか?
例えばー……元の世界では人間を食べていた、上位種が此方に来たらどうしているのか。とか」
付け合せは夏らしく怖い話をちょっとだけ。握ったお箸で宙に門を描くようにしながら添えました。
■黒笹 紗矢 > 「……あら、とても疲れちゃいそうね?
夏の間、営業時間の間ずっとでしょ…?
ふぅん? …じゃあ、楽しみにしていようかしらね。
寮の子でも連れて一緒に行ってもいいかもしれないわね。」
とはいえ、ぺろりと唇を舐めて興奮するのは、水着なんていう肌を晒す衣装そのものが好きだから。
「………歓楽街にしろ違法人街にしろ、そういうのはありかもしれないわね。
どっちにも行ってみようかしら……。」
首をかしげる。好奇心の塊の彼女は、どちらの街にも足しげく通っているが。
その後の言葉に、少しだけ首をかしげて。
「………そうねぇ、あまり誰も口にしないけど…………食糧事情、か。
そういうことなら、私より貴方かもね?
柔らかいもの。」
くすくすと微笑みながら頬をつん、とつついてやりながら。
………まあ、どっちが食べるのかは分からないけどね、と唇を少し歪める。
食べる側でもあり、食べられる側でもある女。