2018/08/23 のログ
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」にアリスさんが現れました。
■アリス >
私、アリス・アンダーソン。
今年の四月から常世学園に通っている一年生!
最近ハマっているのは今いるファミレスのハニトー。
苦手なものは………
『オラ、早く金を詰めろ!!』
犯罪者です。苦手じゃない人はかなり珍しいか。
異能者の集団が今いるファミレスを占拠、今は大絶賛レジの金を要求してるとこ。
……今更だけど、私はかなり運が悪い。
誘拐されたり、不良のお姉さま方に絡まれたり。
今回は輪をかけてひどい。
何をどう間違えたらハニトー食べて漫画読んでた10分後に頭を抱えてテーブルの下にいるのか。
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」に西宮 香織さんが現れました。
■西宮 香織 > ガタガタガタガタ
ご、強盗です。
はい。
本土では一回も経験したことがありません。
私は今この島で強盗のシーンに立ち会っています。
不幸です。
一人でファミレスなんか来なければよかったです。
それもただの強盗じゃありません。
異能者集団の強盗だそうです。
異能は異能でも種々雑多、千差万別。
何をされるか、分かったものではありません。…こわいです。
男の野太い声が心臓に木霊して手が震えます。
「ふ、ふぇえ…」
でも、みたところ私と同じ、女の子がすぐそばで…
それを見ると不謹慎ではありますがちょっとだけ安心します。
外国人さんのようですが、
この島では外国人どころか別世界の人もいるのですから、そう珍しいわけでは…こほん
私は悟られない様にあっちの女の子…こと、アリスさんが
なにしてらっしゃるのか、私もテーブルに伏せ震えながら
キョドキョドチラチラ視線を送ります
ガタガタガタガタ
■アリス >
それにしても不味い状況。
万が一、犯人が私の異能を知っていて
やれ武器を作れーだのやれ金目の物を作れーだの言われたらたまらない。
何かのガラスの破砕音が聞こえる中、テーブルの下でさっきまで読んでいた漫画が目に留まった。
最強格闘家伝説キバだ。
いや、いや。少年漫画だけどかなり面白いんだって。
もし私が格闘技の達人だったら。
今すぐ犯人達の下に出て行って邪ッ!とか 断ッ!とか フンハッッ!!
……ってして犯人全員コテンパンにしてこんな鉄火場から颯爽と去るのに。
ふと、黒髪の同年代くらいの女の子と目が合った。
震えている。
そうだ、怖いのは私だけじゃない。
全身から勇気をあらん限り振り絞った。
足りない部分はかなり誤魔化した。
それで、彼女に、笑いかけた。
大丈夫だよ、と。ちょっと引きつっていたけど。
黒髪が素敵な彼女に、笑って見せた。
そして即、行動。
手元にあった自分のスマホで通報。
ついでだ、Twisterでも助けを求める。
万が一の時のために友達にも通報してってメールで頼もう。
四人もいるんだもの。誰か風紀を呼ぶくらいは……だめだろうか…?
『オイ、てめー何してる?』
顔を上げた。そこにはコワモテの男性、御一名様。
「な、なにも……」
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」にモルガーナさんが現れました。
■西宮 香織 > 「―――ぁ」
こう、人と目が合うとすっごく気まずいって、あるじゃないですか。
基本的に私はそういう人間なのです。
ですから、気になる人は極力目を合わせず、
そっと、そぉっと、伺うのがポリシーです。
目が合って、露骨に逸らされたりすると心に来ますから。
ああ、でも。
この時ばっかりは目が合って良かったなって、
思いました。
へにゃっと、泣きそうな顔をほころばせて微笑みを返せて…居れば良いですね。
でも、御陰でちょっとだけ震えが止まりました。
あの外国人さんは、…
「…ふぇっ?!」
あ。やばいです。
だってすぐ傍に例の野太い声の男性がやってきて私じゃないけど声かけてますもの。
…ああ…にげたい。
あの男の人がこっち向いて話しかけてきたら多分私、気絶できる自信があります。
…震えがもどってきました。
■モルガーナ >
俄かに剣呑な空気が漂う店中の視線が壱か所に集まった丁度その時
妙に軽い涼し気な音と共にドアが開いた。
外の温まった空気が僅かに流れ込むと同時に
場に合わない電子音の「イラッシャイマセー」の声と
「邪魔をする」
若干そわそわとした様子を隠し切れない異邦人がそこにいた。
荒れた店内の様子を一瞥するも特に気にすることもなく
その異邦人は辺りを見渡し……
「はにとぅ”やらを食べにきた」
今まさに犯罪現場ですという場所に出くわしたにもかかわらず
それはもう堂々と言い切った。躊躇?知らない子ですね。
「……普通入り口に見張りは鉄則ではないのか。
まぁよい。早く終わらしてもらえるか
ああ。席の案内はいらぬ。
冷も自分で用意するでな。続けておくれ」
暇な演目の観客もかくや、どこ吹く風と言った様子で
堂々と述べるとそのど真ん中を歩き
地面に落ちたメニューを拾い上げ、座れそうな場所とドリンクバーの位置を確認。
「ああ、どりんくばー、はあそこか。
今日はどの組み合わせにしようか」
もしこの状況が強盗の類なら……
自信過剰かお馬鹿かそのどちらかだろう。
この島でどこまで逃げ切る算段を立てているのか。
ぱっと見た限りそれに十分な装備には見えない。
塀の中で過ごしたいがために犯罪を起こす輩もいるらしいので
その類だろうか。ご苦労な事である。
まぁ正直どうでも良い。
大事なのは、はにとぅとかいう食べ物にありつくこと。
ついでに……
「あー……済まぬな。アリス
待ち合わせに遅れた。」
何故か実行犯その壱に絡まれている友人を見つけ声をかける。
実際に待ち合わせをしていたとしても強盗犯に出くわしたときに
電話をかけるなんてよっぽど豪胆か
ちょっとが過ぎるお人よしくらいだけれど。
■アリス >
『スマホ持って何してやがった!!』
男は私の髪を引っ張ってテーブルの下から引きずり出す。
朝、ママにセットしてもらった髪が。
「痛……!」
ああ、私は無力だ。
万能の異能を持っていても勇気がない。
その時。
「……!」
自動ドアが開いて、羽織の少女がやってくる。
それは見忘れもしない、私の友達。
通報して、とは言ったけど。
来てとは言ってない。
ここは危ないよ、モルガナ!!
『なんだテメー、状況見えてねぇのか!!』
モルガナに掴みかかる、背の高い男!!
私の髪を持っていた男もモルガナを見てそちらに意識を取られている。
黒髪の彼女は!? モルガナの無事は!!
私にできることは!! 色んなことで頭が一杯になる。
■西宮 香織 > ……勘がしました。
今、この状況なら多分、こっから逃げられる。
…入り口に見張りが居ない。良い事を聞きました。
こういう人は、概ね頭が抜けてるか、
そうでないなら強盗より強いか。
信じられないけれど、
この島ではこういうタイプの人型はやけに強い事も往々にしてあるそうです。
……この異能者さん達に最悪な目に遭わされうるここに居続けるのと、
このグッドタイミングに乗じてこっそりとこの場から出ていくの。
……どちらを選べば良いのでしょう?
この状況は、耐えて居れば終わるんですか?
「……っ!!」
ごめんなさい、外国人さん。それと今入ってきた女の子。
私は普通の女の子。
この状況を打破するヒーローじゃないです。
臆病な負け犬ですから。
こっそりと私は机から這い出ると…。
異常に鼓動が早くなった胸を抑えて息を切らしながら、
マラソン大会下から3位の全速力で、出入り口まで駆け抜けました。
頭が真っ白になるって、多分こういう事なんでしょう。
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」から西宮 香織さんが去りました。
■モルガーナ >
「うむ。正直理解に苦しんでおるよ」
特に抵抗らしい抵抗も見せず
乱暴に肩をつかまれながら僅かに首をかしげる。
本当に不思議だ。ヒトと言うのは面白い。
「主らは金を手に入れ逃亡する。そのあとは知らぬ。
妾ははにとぅとやらを食す。
それだけじゃ。少なくとも主らの邪魔にはなるまい。
であれば妾や友人に時間を割くよりは当初の目的を果たし
少しでも早く遁走すべきではないかの」
こちとら直接命を狙いに来る輩が絶えない場からこの島に来たのだ。
遭遇戦程度で今更恐怖感を覚えるほどの事でもない。
少々緊張感の無い調子でのんびりと続ける。
「……邪魔をすると怪我をするのは片方だけと思わぬことじゃ。
特に、この島ではの。気をつけろ、若いの。
――妾は今、どうやら不機嫌になりつつあるでな」
穏やかな笑みのまま此方を掴む手を握った。
握られた男の手からみしりと骨が軋むような音がしたと同時に
そのまま横に手を引き……
「ふむ、行ったか」
客の一人が走り去るのを見送る。
まぁ賢い選択と言える。
こんな状況は逃げるに越したことはない。
被害者も、犯人も。
■アリス >
『てめ……頭沸いてんのか、それとも狂ってんのかぁ!!』
『ハニトーがなんだってんだ、くだらねぇ!!』
その時、モルガナの肩を掴んでいる男が何かがおかしいと気付いた。
それはそうだ。こちら側でもわかる。
微動だにしない。あんな細身が……?
次の瞬間、モルガナが横に軽く男の手を引いたように見えた。
結果。男は壁に頭から突っ込んで、気絶した。
ど、どんなパワーがあればあんなことが可能に?
掴まれていた男の手の色もおかしい。骨に異常があるのかも知れない。
『このアマ、異能者だ!! それも近距離パワー型だ、近づくなよ!?』
レジ側にいた二人が、両手を変な形でモルガナに向ける。
『重力と斥力を操作する異能、悪魔を憐れむ歌ぁ!!』
『爪を高速で射出する力、ナイトメア・オン・エルムストリート!!』
…異能の名を叫ぶ。
それは異能認知学により、その場にいる全員に異能の存在を知らしめることにより
異能の出力と発動率を上げると信じられる、あの。
恐らく、重力で足止めをして射出した爪で攻撃する、彼らのコンビネーション。
そして私の隣にいる男が私の首を後ろから掴んだ。
苦しい。人質にされた……のかな。
走り去っていく黒髪の女の子が見えた。良かった、とどこかぼんやり思った。
■モルガーナ >
通り抜けた際に漂う香りに少しだけささくれ立った感情が落ち着く。
なかなか好ましい香りのする少女だった。今度会ったら香水の名前でも聞いてみよう。
「いや、この店に来る時点で大半がソレ目当てじゃろうに」
少々盛り上がっている強盗達相手に思わず突っ込んだ。
勢い余って壁に一人叩きこんでしまったけれど強めのツッコミだと思って赦してほしい。
この島では他人様の食事を邪魔するのが流行っているのか。
食事処に食事以外の目的で来る輩がどれだけいるというのか。
「おぉ?」
ずんと体重が増えた様な感覚。
同時に此方に向けられた手から爪が飛んできた。
人って意外と面白い機能が付いているのだと思いながら
飛んできた爪を扇子で払いのけ、腕を組み小首をかしげる。
「筋力型の相手に重力付加をしても効果が薄い……訳でもないのか?
解せぬがまぁ良い。詮無き事よな」
人は9倍程度の重力負荷が限界らしいが
こちとら龍化した場合の体重が100倍を超えている。
10倍程度に増えたところで……僅差である。
最も知らない側から見れば不気味以外の何物でもないが。
「あと……その、良いと思うぞ?
そういう名前も、その叫びたくなるお年頃なのじゃろうし……」
そのまま暖かい笑みを浮かべながらうんうんと頷くも
友人が盾のように構えられると小さくため息をついた。
「……良かろう。暫しの間この悪ふざけに付き合ってやろう。
友人を傷つけられるのは本意ではないでな」
手の甲を見せながら目を瞑る。
残念ながらこちらの世界での投了の姿勢は知らない。
なので自分の世界式で投了の意思を表してみたわけだけれど通じるだろうか。
■アリス >
『な……!』
『動いた!?』
重力操作の上で、放出された爪を全て蚊でも払うかのように叩き落した。しかも扇子で。
まるで個の性能が違う。
モルガナの力は圧倒的だ。
しかし。
私を人質に取られたことで、モルガナは目を瞑ってしまった。
悔しい。悔しい。悔しい悔しい悔しい。
なんで、私は。
また“いじめっ子”に屈しているんだ。
『そうだ、動くんじゃねぇぞ…!! こいつの命が』
「うわあああああああああぁぁ!!!」
叫びながら、力を振り絞った。
緊張なんてしている暇はない。
モルガナが私のために見せてくれたものを。
無駄にしてはならない。
次の瞬間、私は周囲にある大気成分を変換し、スーパーボールを大量に作り出した。
玩具。弾む。ボールの。あれ。
『な、何を……?』
思わず私の首から手を離し、指先でスーパーボールを摘む屈強な男。
転がって距離を取りながら、男の持つボールに向けて意識を集中した。
「ブラァスト!!」
ブラスト。瞬間変異爆破(モーメントブラスト)。
次の瞬間、男の顔近くでスーパーボールが爆発した。
かなり出力を抑えた、けど。
私を人質に取っていた男は煙を吐いて後ろ向きに倒れた。
「モルガナー!!」
倒れこんでけほけほと咳き込みながら、彼女の名を呼ぶ。
私を心配しなくていい、と。
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」にニコラスさんが現れました。
■ニコラス >
(訓練帰りに異邦人街をぶらぶら。
そういやなんかこの辺にハニトーが美味いファミレスがあったような……とか考えていたら、何やら騒がしい。
そちらを見れば、そのハニトーが美味いファミレスでなにがしか起こっていた。)
――えっ、なに、強盗?
(野次馬が言うには強盗らしい。
ファミレスじゃなくてコンビニ行けばいいのに。
とか考えていたら、誰か店内へ入って行った。)
えっ何してんのあの人!?
(強盗のいるファミレスに歩いて入るとか何考えてるんだ。
しかも爆発も起こるし。
見渡したところ風紀委員はいない。
ええいままよと背中の弓を取り出し、矢じりの付いていない矢をつがえる。
外から見えるレジ近くの男の一人へ狙いを定め、放つ。)
■モルガーナ > 「良き」
目を閉じたまま短く吐き出す。
どうやら友人は自力で脱出できたようだ。
なんとも頼もしい限り。ならば……
「実に良き」
一歩踏み出す。
弾けるような音と共に踏み出す足元に蜘蛛の巣状に皹が走るが
これは店のヒトにはあとで謝ることとしよう。
「ひとまずは安心じゃな」
視界の端から火筒並の速度で飛び出してくる矢と交差するようにすり抜ける。
射手は良い腕をしている。殺さない程度には傷を負わせるには十分だ。
テーブルを片手で拾い上げ、目的地に着くと床にそれをめり込ませる。
……倒れこんだ彼女への強盗の射線を遮る為に。
「そのまま妾から離れるでないぞ」
その隙間を埋める様に立ちながら背後に庇った友人に声をかけた。
先日の出来事から大まかな性格は掴んでいる。
随分怖かっただろうによく頑張ったものだとおもうと
自然と口元に笑みが浮かぶ。
これだからヒトは嫌いになれない。