2018/08/24 のログ
アリス >  
モルガナは、私を助けに来てくれた。
そのことを無駄にはできない。
私自身が助かることを放棄はできない。

「モルガナ……ありがとう…」

目の前に彼女が来て、テーブルを盾代わりに据えてくれた。
……多少の修理は、後で異能を使ってやってしまおう。

次の瞬間、店の外から飛来した矢がレジの近くにいた男の肩に当たる。
矢の初速は時速200kmを超える。
鏃がなくても、それは。

『がああああああああぁ!!』

肩を抑えて屈みこむ男。それはそうだ、死ぬほど痛い。
残った一人、重力操作の男が鼻白みながら叫ぶ。

『畜生、何なんだてめーらは!! なんなんだよ!!』

どうしようもない状況で、叫ぶ。

「うるっさい!! 二度と私の髪に触るなって、刑務所で仲間に伝えろー!!」

テーブルに隠れながら、叫んだ。
いじめっ子には屈しない。二度と。

ニコラス >  
(矢を放った直後、店内へ駆け込む。
 飛び道具なんて初見殺しのようなものだ。
 隠れられたら当たらない。
 半ば扉に体当たりするように店内へ飛び込んだ。)

あと、――一人か!

(屋内で弓は邪魔なだけだ。
 手近なソファに投げ込むように放り投げ、最後の一人へ突撃。
 そのまま腰のあたりへタックルし、押し倒そうと言う狙い。)

モルガーナ >   
「うむ、苦しゅうない」

特に自分が何かした訳ではない。
この娘が恐怖に抗った。ただそれだけの事。

「なに、通りすがりの一般客じゃよ」

叫ぶしかないような様子の強盗犯に涼しげに答える。
店内の冷房機はちゃんと作動しているようだが
強盗犯の男の額には汗が見える。心因性の物だろう。
先程の射手…男子学生のようだが、
彼が男にとびかかり、組み伏せようとするのを
横目で見ながら片足で足元の床の破片を一つ蹴り上げ拾い上げて。

「我らか弱き乙女が矢面に立つものではあるまい。
 守り手の背後で祈っておるとしよう」

恐怖感を少しでも和らげようとそんな冗談を投げかけた。
荒事に慣れているわけではないのだから。
それでも気丈に叫ぶ姿に思わずくすりと笑みをこぼす。
その間も店内に視線を巡らし、周囲に気を配る。
未だ反撃できるものもいる。仲間がいてもおかしくはない。
……そんな警戒は場慣れしている者がした方が良い。

アリス >  
『……! 重力……』

店内に飛び込んできた男性が、異能の発動より早く残った犯人を組み伏せた。

『やめろ、離せ!! ちくしょう!!』

後で聞いた話だけど。
このファミレスは落第街に近くて終わったら逃げやすいから狙った程度の理由だったらしい。
短絡的。そして、それに相応しい処罰と末路を彼らは見るだろう。

「……か弱き乙女?」

そう聞いて、小さく舌を出した。
終わってみれば、緊張から震えが来た。

「ああ、ああ……店員さん、もう通報は済んでると思うから事後処理と、あと…」

呆気に取られて顛末を見ていた店員さんに、器用に片目を瞑って。

「異能で店を直すから、ハニトーをお願いしてもいいかしら」

震える手を見ながら、モルガナとニコラスの元へ。

「モルガナ、まさか来るとは思わなかったよー。通報してって言ったじゃーん…」
「それはそうと本当にありがとう、あなたも」

異能で硬質な手錠を作り出して押さえ込まれていた男にかける。
風紀が来たらこれは消して本物の手錠をかけてもらおう。

ニコラス >  
大人しくしろ……っこの!

(強盗ともみくちゃになって争う。
 肘の一発、良いのを貰ったが、体勢の有利で何とか抑え込んで。)

――あぁ、いや、そんな大したことは。

(抑え込んでいた男に手錠が掛けられたことを確認し、立ち上がる。
 と、少しふらついた。
 結構ガチで良いのをもらっていたらしい。
 そういえば口の中がちょっと鉄っぽい。
 手で口を拭うと、赤いものが手の甲に付いていた。)

ええと、怪我した人とか……?

(店内を見回すと、何やら壁のように床に突き刺さったテーブルのそばに立っている女性が目に入る。
 ファミレスのテーブルって床に固定されていたような……?)

モルガーナ >   
「うむ、一つ問題があってな」

深刻そうな表情を作ると一つため息をつく。

「妾はすまほなるものをまだ所持しておらん。
 故にめーるぼっくすなるものの閲覧が出来ぬでな。
 今日ここに来たのは完全な偶然じゃ」

ひと先ず契約には身分証明やら保証人やらが必要らしい。
その手続きが夏休みが終わるまで出来ないというのだから面倒な話である。
もっともスマホなる機械はそれだけの価値ある物体に見える。
そう考えると仕方が無いのかもしれない。

「うむ、我らはか弱いでな。
 護衛騎士にでも守ってもらわねば手折られてしまうわ。
 全く恐ろしい世の中よの。
 ああ、店員、済まぬが机の件は不可抗力じゃ。
 許せよ」

そうして此方を伺う店員ににこやかな笑みを向けた。
よく見るとこの机、床に埋め込み式金具で取り付けるタイプだったようだ。
床ごと引っこ抜いているがまぁそういう事もあるだろう。
……全く気が付かなかった。

「ふむ、とは言え中々良い一撃を貰ったようじゃの。
 大事無いか?若人。
 主らのおかげで大事にならずに済んだようじゃ
 他の客に代わって礼を言わせてもらおう」

若人二人に向かって宮廷式のお辞儀を一つ。
そうして口の端から赤い液体を零す青年に向かって首を傾げて

アリス >  
「私は大丈夫、それよりあなた! 血! 口から! 血!」

大慌てで口を漱ぐために使われる口内消毒薬を錬成してタライと一緒に差し出す。

「ええと、それから、ガーゼと……あとなんだっけー…」

あわあわと色々錬成して見比べてみる。
自分を助けてくれたヒーローに怪我が。
そう考えるといてもたってもいられない。

そしてモルガナの発言を聞くと脱力する。
そうだ、私モルガナのアドレス帳にナンバー作ったけど
友達認定したからであってアドレスは空のままだった。
スマホを見れば存在しないアドレスです、とメールが来ている。

「そうだったーーー……偶然ってすごいなぁ…」

そう言ってから顔を上げると、満面の笑顔で。

「あら、見事な諧謔であらせられますこと?」

と言って友人をからかった。
あれだけ強くて何から守ってもらうというのか。
友達と話をしていると、手の震えが収まっていった。

店員があちこち電話をしながら作ったハニトーをテーブルに並べた。
あ、本当に作ってくれたんだ。

ニコラス >  
いやもう充分大事だと思うんだけど……。

(自分が撃った矢のせいで扉のガラスはぶち割れているし、テーブルも床ごと引っこ抜かれて突き刺さっている。
 そもそも強盗に押し入られた時点で相当に大事だろう。)

あ、や、大したことねーから……。

(ちょっと口の端を切っただけだ。
 数日もすれば治るだろう。
 落ち着いて、と手で示す。)

てかこの騒動の後でもハニトー作ってくれるんだな。

(落第街が近いだけあって店員も肝が据わっている。
 放り投げた弓を拾い、壊れていないかチェック。
 うん、問題ないようだ。)

モルガーナ > 「うむ、まぁ嗜みとでも言っておこうかの
 壁の花とて会話できるに越したことはあるまい。
 主程可愛らしければ立っておるだけで十分じゃが」

ケラケラと笑うあたりこの冗談の応酬を楽しんでいる様子。
甲斐甲斐しく世話を焼こうとする様子を微笑ましげに眺めて……

「……ふむ、そうか」

はて、といった調子で首をかしげる。
大事と言ったら区画が一つ消し飛ぶとか、
最低でも店内の大半は”消滅”するとかそれくらいの事だと思う。
村程度ならしょっちゅう消えたりしている訳で。

「何はともあれ今は無事を喜びはにとぅとやらを楽しもうではないか。
 ……ああそこの。鎖をねじ切ったりはせぬことじゃ。
 妾とてまた手を煩わさせるというのは心が重い」

無事な席にそそくさと座ると強盗犯にむかい言葉を投げる。
くつくつと笑うのは笑っている間に大人しくしておけと言う警告でもある。

アリス >  
「そ、そう? 痛かったら言ってね、鎮痛剤も作れるから」

ちょっとテンパりすぎている感は否めないけど。
それでも、彼の傷が大したことないようでよかった。

「フフン、この店のハニトーは絶品なのよ。しばらく営業停止になるかも知れないから、食べましょう」
「そういえば、あなたは? あなたの名前。私はアリス・アンダーソン」

男性に名乗って。
自分を助けてくれた一人だから。
忘れずにいようと思った。

「もう、またそんなこと言ってー」

笑いながら手をひらひらと振って、あちこちのヒビや損壊の痕跡をパパッと異能で直した。
多分、これで大丈夫。

モルガナの脅しの言葉を聞いた強盗犯たちは、震え上がった。
もう誰も声ひとつ上げない。

「そうそう、この漫画すっごく面白いんだよ!」
「最強格闘家伝説キバって言って、少年漫画だけど…」

そんなことを話しながら。
今日もとんでもないトラブルに巻き込まれたけど、まぁ良い日で終わるかもな、なんて。

ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」からアリスさんが去りました。
ニコラス >  
あぁ、大丈夫大丈夫。

(冗談を言い合っている二人を見て、とりあえず一安心。
 あまりショックは引きずっていないようだ。)

風紀委員の世話になるようなことは大抵大事だと思うぞ。

(出来ることならあまり世話になりたくないが、こんな性格なのでしょっちゅうトラブルに首を突っ込んでは世話になっていたりする。)

俺?
ニコラス、ニコラス・アルヴィン。
――強盗転がしてる横でハニトー、ってのもなんかアレな気はするけど……。

(ちら、とそちらを見る。
 と言うか鎖引きちぎるって。
 ――まぁ、この街なら不思議じゃないか。
 なんてことを考えながら、ハニトーをいただく。
 彼女が言っているマンガは知っていて、いつだかマンガ喫茶で全巻一気読みしたことがある。
 そんなこんなで風紀委員が来れば、鷹の目なんて呼ばれて曖昧な笑みを浮かべてみたり――)

ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」からニコラスさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ティルナノイ」」からモルガーナさんが去りました。