2018/11/17 のログ
ご案内:「転移荒野―森」に藤巳 陽菜さんが現れました。
ご案内:「転移荒野―森」に暁 名無さんが現れました。
藤巳 陽菜 > そのラミアが手に下げたカゴにはこの辺りに生えた植物が大量に詰まっている。
この薬草は喉の痛みを抑える薬になる。これは空を飛ぶ為の魔法薬の原料。
これらは異邦人街などで買い取ってくれる。
師に教わった魔女としての知識が彼女の今の生活を支えている。

人から外れて暮らしていても人の営みからは抜け出せきれない。
知識を得るにも、どうしても金銭が必要となる。

暁 名無 > 「ふんふんふふーん」

今日は久しぶりのフィールドワーク。
ともすれば月ごと日ごとに地形が変わる転移荒野の情勢を知る為に、最低でも月一回は行っている“趣味”の方の研究だ。
動物から樹木から草花まで確り記録し、前回の調査と比較して……
まあ、そんな風な事をして歩いていたとき。

「……お。学校サボってこんなとこに居たのかこーの不良娘。」

見覚えのあるラミア娘の姿が見えて足を止める。
何事も無く声をかけても良いけれど、ここ一年ほど学校を自主休学していると知っている手前、取り敢えず今の住所だけでも抑えようと俺は距離をとって木蔭に隠れた。

藤巳 陽菜 > (今日はこのくらいにしましょうか…)

人よりも丈夫なその身体はこれくらいで疲れなど感じない。
これ以上の量を探そうと思えば森の奥に行かなければならない…。
ただ、木の陰に何か生き物がいる。熱源が分かる蛇の性質。ピット器官というのだったか?
熱源の大きさからしてゴブリンやオーガなどではない。
人だろうか?この場所にいるのならあるいは異邦人か?

「…誰かいるの?」

ローブを深く着込んでその顔を隠し警戒しながら声を掛ける。

暁 名無 > 「気づかれたか……」

さてどうしようか。
相手にこちらの存在が勘付かれている以上、変に誤魔化そうとしない方が良いだろう。
怪しまれるのも俺としちゃ本望じゃないし……そもそも隠れる必要も無いのかもしれない。

「……うーむ、驚かせようと思ったんだけどな。」

結果、俺は大人しく木蔭から出ることにした。
それにしても、学校休んでこんなところで何をしてるんだか……。

藤巳 陽菜 > 「っ!!」

この人とはここでも会うかもしれないとは思っていた…
今まで合わなかったのが幸運だったくらいだ。

何も答えずに一目散に逃げ出す。
傷つけるかもしれない恐怖、合わせる顔がないという羞恥。

暁 名無 > 「あっ、こら。
 何も逃げる事はねーだろオイっ!」

逃げられた。
ならば追う。半分反射的な行動だ。
大丈夫、単純な足の速さでも地の利でも劣る要素は無い。

「……にしても、随分と動きに無駄が無くなったな藤巳のやつ。」

追いつくことは無いがそれでも距離を保ったままで追い掛けつつ。
後ろ姿を観察しながらぼんやり考える。

藤巳 陽菜 > やはり、早い全然振り切れない…。
このままひたすら逃げてもいつかは追いつかれてしまうだろう。

ならば…。

「止まってください!」

短杖を構えてそう叫ぶと教師との間に炎の壁が立ち上がる。

「これ以上私を追わないでください。でないと怪我しますよ!」

少女の左目の瞳孔はまるで爬虫類のような縦長になっていてそのみすぼらしい姿も相まって
別人のようにも見えるかもしれない。

暁 名無 > 「おおう。」

流石に無策で炎に突っ込むほど俺はやんちゃな無鉄砲じゃない。
が、だからと言って手を拱くほど無能でもない。
やれやれまったく。今の台詞からどうして藤巳が不登校になったのか見当はついたが……

「そういうわけにもいかねえだろバカタレめ。
 仮にも、俺は、常世学園の教師だ……ぞっと。」

軽く指をくわえて指笛を一度、二度。
そうすればたちどころにこの森に棲む鳥たちが4~5羽ほど集まってきて、一斉に藤巳へと襲い掛かる。
攻撃目的ではなく、あくまで足止めを頼んだので怪我をすることは無いと思うけれども。

そうして怯んでいるであろう隙に俺は炎の壁を鎮火させる手筈に移る。

藤巳 陽菜 > 「もう学園は辞めました。先生と私はもう他人です。」

少女は部屋に退学届けを置いてここに来ている。
自らが休学の扱いになっているとは思っていない。

「だから邪魔しないで!」

短杖を再び振るうと空気の壁が鳥の動きを遮る。
そのまま再び逃走を始める。

暁 名無 > 「あっ、こら。
 とりあえず話だけでも聞きなさいっての!」

ちょろちょろとした水魔法で炎の壁を何とか消し終えたと思えば。
また逃げ出した藤巳を追って俺は走り出す。ここで、はいそうですか、と言うわけにもいかない。
しかしまあ、頑固というか何と言うか……相変わらずと言えば相変わらずだな。

「ふーじーみ!
 ……とりあえず止まれ、もうっ!」

地面を走っては同じことの繰り返しだろう。
それならば、と俺は近くの木の枝に跳び乗ると、そのまま木々の枝を跳び移って距離を詰める。

藤巳 陽菜 > 「聞こえません!!」

耳を抑えて逃げていく。
耳を抑えても普通に聞こえる。
全く聴力が落ちる事は無い。

「猿ですか!?」

一気に距離を詰められた!
振り返って短杖を構える。

「もう放っておいてください!!」

暁 名無 > 「猿ほど身軽に動くには少しタッパがつき過ぎてなあ。」

昔の俺ならそれこそ猿同然に動けただろうけれど、今はそんなに……は、関係無い。
また炎の壁を出されても困るので、予め魔術で用意させて貰った水球(さっき鎮火活動に使った)を藤巳へと放つ。
精々がバケツで水を浴びた程度の威力しか無いので不意打ち以上の効果は望めない。

「ちょっと手荒な事するぞ!まあ、お前さんなら怪我しないだろ。」

そーれ、と木の枝の上から藤巳へと飛び掛かって抑えつけようと試みる。

藤巳 陽菜 > 「なっ!」

間に出した炎の壁が飛んできた水球に打ち消される。
完全に読まれてしまっていた。

そして、そのまま抑え込まれてしまう。
本気で抵抗すれば振り払えるかもしれないが…。

「放してください!セクハラです!!」

怪我をさせてしまうかもしれないそんな思いが思いとどませる。

暁 名無 > 「はいはいセクハラですよーっと。
 まあ実際嫌がる女の子に飛び掛かって抑え込むとかセクハラどころじゃない気がするけども。」

聞く耳は持ちませんとも。
人の顔を見るなり逃げ出した奴に慈悲も何も無いのである。
やれやれ、と俺は溜息を一つ吐くとひとまず藤巳が被っているローブを剥ぐことにした。

「随分とつれない態度取りやがってもー。
 何の連絡も無しに居なくなるから一時期俺の昼飯散々だったんだぞ。」

主に栄養面で。いや、藤巳が作ってた頃も割と偏ってた気もするけど。

藤巳 陽菜 > 「分かってるなら離して下さい。」

口ではそう言いながらももう抵抗する様子はない。
ローブを剥ぐとムスッとした表情が露わになる。

「それはその…ごめんなさい。」

確かにそれは良くなかった…。
そこはちゃんとやらないとだった…。
一応おかねももらっていたのに…

「…それはともかくここまでして何の用ですか暁先生。
 私こう見えて忙しいんですけど。」

暁 名無 > 「離しまーせん。」

また逃げられたら追いかけるの面倒だし。
すっかり抵抗もしなくなったけれど、まあ、念の為だ念の為。
単純にすぐ嫌がらせが出来るように、という意味もある。

「うむ、反省……してるようだな。
 まったく、変な所で抜けてるんだからなあ。」

頑固な割に抜けてるとは、どうにも難儀な性格だと思う。
まあ、間違いには素直に謝れるからまだ良いか……いや良くない。

「お前こそ、学校辞めたつもりでこんなとこで何やってんだ。
 あんな紙っきれだけで自主退学出来るわけないだろ。実家にも断わりも無く。
 職員室はちょっとしたパニックだったんだぞ、2~3日もの間。」

藤巳 陽菜 > 「えっ、ちゃんと退学届けに必要なの全部書いてましたよ!
 や、辞めれてないんですか?」

あれ…辞めれてなかったの…
凄く恥ずかしくなってきた。

「…あんまり人と一緒にいたくないんです。
 話しました…これでもう良いですか?」

諦めた様子で話す。
これ以上ないくらいに簡潔に。

暁 名無 > 「生徒の置手紙だけで辞めさせられるほど簡単じゃねえっての。
 とりあえず休学扱いだよ。だからまだ一応生徒なのお前は。」

さっきからそう説明しようとしてるだろ。
何少し恥らってるんだこいつは。ちょっと可愛いじゃねえか。

「……人と一緒に居たくない、ねえ。
 まあ何となく事情は察せるが。それはそれとしてそのそっけない態度はなんだかなあ」

察するのと納得するのはまた別だ。
それも他人行儀で言われるのは。いやまあ、生徒と先生という間柄でしか無かったけど?
それでも毎日弁当作って貰ったりしてたんだし……うーむ。
やっぱり納得いかないので思い切り抱き締めてやろう。えい。

藤巳 陽菜 > 押さえつけられて自分の失敗を説明される。
その羞恥に耐えられない。逃げ出したい…

「察せられるなら放っておいてください!」

叫ぶと思い切り同時に抱きしめられる。

「どうして、どうしてやっと一人にも慣れて来たのに…
 どうしてそんな事するんですか…!!」

やっと一人に慣れて来たのに…
人といる事を思い出してしまう…

暁 名無 > 「どうして、って……まあ、8割嫌がらせ……」

残り2割?怒られるから黙秘。
まあこうして抱き締めてる辺りでもう怒られそうな気は凄いするけども。

「放っておくわけにもいかんだろーよ。
 一応教師ってのは、お前の両親から卒業までお前を預かってる身なんだから。」

まあ無事で良かった、とぽふぽふ背中を撫でたりしてみる。

藤巳 陽菜 > 「嫌がらせって…」

嫌がらせって…
そうだこの人はこういう人だった…。

「一応、教師なんだったらこういう事するの問題だと思うんですけど…。」

人の温かさ、人の匂い。
思い出す。思い出してしまう。
尻尾が…勝手に動く…自分を抱きしめてくれる教師に巻きつくように…動いていく。

「駄目です…先生、私から離れてください…我慢できなくなっちゃう。」

息が荒くなる。理性が崩れていく、怪物が顔を出してしまう。