2015/06/14 のログ
瀬田 瑞央 > 「人形……」

ふと、思い出す。人形……人型の、何か。
およそ人のように動き、定められた通りに反応を返すよう仕組まれた、それ。
自分とそれに大差があるというのか……
感情……喜び、であれば多少は自分にもある。しかし、機械のそれと何が違うのか。
いや、よそう。

「なるほど。外面的によかろうと、機械では具合が悪い、と。
 機微というのは、これで難しいものですね。
 ですが……機械もそれらしく反応を返すかもしれませんよ。
 恋愛らしきことをする機械も、あるかもしれません」

そうとだけ、返す。

「私に言わせれば異能も魔術も人間のポテンシャルを越える、という意味では根本的に同じものです。
 故に、理論、思想的には似通う部分も多いのですよ。大したことはありません。
 発明自体は……理論を何処まで現実に持ってこられるか、ですからね。難しいといえば難しいですし、簡単といえば簡単とも。」

説明するほうが難しいかもしれません、と生真面目に答える。

「ああ、それでは私も、少し。不調法ではありますが、今のうちに聞いておかないとわすれそうで……まずは、お名前を」

こういう時に、普段のコミュニケーション不足は困る。
一番肝心なことが抜けているというのは、流石に自分でも呆れた。

サイエル > 「……おや、自分はそれと同じって顔してますね?」

サラダを綺麗に平らげて。
グラスもカラになる。
食事も飲むペースもなかなか早いのだろう。
従業員がすかさず下げて白ワインを追加する音を楽しみながら

「それっぽい反応と、本物はやはり違うものですよ
再現しようにも再現できない何かがあるものです
まぁ、恋愛もどこまで追い求めるかではありますが
妥協しなければ、諦めなければ
また、”ほんとうに恋し愛するならば”
それはきっとにじみ出ますしね。心というのは難しいものですよ」

なんて、適当な根拠のない価値観ですがと、つぶやき
二杯目のワインを一口。

「ふむ、なるほど……魔術は努力。
異能は才能とはどこで聞いた言葉だったかな……
しかし根本は同じということですか
まぁ、どんなおとでも説明は大変ですよね」

変な質問しましたねと苦笑し。
名前を問われればクスリと笑い

「いいえ、お気にせず。名乗るのを”サボってしまう”のは
私の癖でして。サイエル・ミラーです。よろしく」

瀬田 瑞央 > 「……そう、見えましたか?」

自分の考えたことが読まれたようで、やや困惑する。
まったくもって、人というものは言葉通りに物を受け取らなかったりするので、反応にも困る。

「すみません。以前、そういった研究にも関わったことがありましたので……
 今、あなたの言うことが理解できていなかったくらいには、向いてはいなかったようですが」

得手不得手、というものは如実に現れますね、と肩をすくめる。
そもそも人の気持を読むのもあまり得意ではないのだ。
擬似的な気持ちを作るなど、もっと無理であろう。

「どちらも、一定数の才能は必要です。努力しても得られないことはあります。
 それは、そういうもの、です」

あまり慣れた手つきではないままに、ワインを口にする。

「サイエルさん……覚えておきます。
 それにしても、サボるのがお得意なようですが……こんなところまでサボらなくてもよろしいのではないでしょうか?」

至極まじめにいった。

サイエル > 「保健医にはカウンセリングをすることもあるので
心理学的なものをちょっとは嗜んでますからねぇ」

とそれっぽい理屈をつけるが、まぁただの勘の部分もある。

「あっはっは、理解できなくてもいいことは山ほどあります。
きっとまだ必要ないのでしょう。ですから気にすることはないですよ。いつか分かるときはくる、かもしれません。若いんですし」

くつくつと笑いながら。

「あぁ、でしょうねぇ……じゃないとこんな場所がなくて良くなりますし……」

指摘されればあっはっはとまた笑い

「……サボるのが得意というか染み込んでるだけです。
許してください」

誤ったと同時、ロールキャベツが運ばれてきた

瀬田 瑞央 > 「なるほど、カウンセリング……ですか。そういえば保険医でいらっしゃいましたね。
 医学は、精神面は門外漢ですから驚嘆に値します。
 サボっている、というのがもったいないくらいですね。私が使う立場であれば、どうにかしてでも働いていただきたいと思うところです。」

割と素直に受け取った。
心理を読める技術、というのは役に立つかもしれない。
なるほど、世の中にはまだまだ知るべきことが多い。

「それが年長の判断、というものですか。私は、どうにも……
 いつ滅ぶかわからない非才の身であれば、手に入るモノはいつでもなんでも……欲しいものではあります。」

それは異様な価値観かもしれない。まだ若いのだから。そんな言葉は無数に聞いてきた。
だが、それでも……自分は貪欲に知を食わねば、きっと死んでしまうのだろう。

「? レストランはいずれにしても必要ではないでしょうか。
 食事を提供する場はなくならないと思うのですが…」

また意図を汲み間違えている気がする。そんな気はするが、問い返さずにはいられなかった。
呆れられるかもしれないが、まあそれはそれで仕方がない。

「ああいえ。そんなつもりはなかったのですが……言葉が過ぎたようです。」

目の前に運ばれたロールキャベツに一瞬視線を動かしかけつつ……いった。

サイエル > 「あっはっは。残念ながら、これでも底辺なのです
治癒の異能にこれくらいのことができるものはいっぱいいますよ
ですからまぁ、人手が足りない時くらいです。仕事をするのは」

――それでもよくサボりますがと口にすれば
目の前のロールキャベツを注視する。
大きい。トマトソースに生クリーム。
そして拳より一回り大きいロールキャベツが皿の中央に
どーんっと置いてある。
ナイフとフォークで切り割れば、その中央にはゆで卵。
ひき肉と米、玉ねぎで作ったタネはソースがよく染み込み
ジューシィな味わいとなっている。
これはおっさんのお気に入りだ。

「貪欲ですね。……ですがそれも心があるからの発言です。どうしようもなく、私には人形ではなく、素敵な女性にしか見えないですな」

あっはっはと笑いながらロールキャベツを口に運んだ。
うむ、美味しい……

「いや、そうではなく。この常世という場所ですよ。異能を認められた唯一の場所、という意味です」

柔らかく微笑みながらちゃんと説明しなかったですねと
たははと頭を掻いた。

「いえいえ、気になさらず。ちょっとした冗談というやつです。これがね?」

ウィンク一つして、どうぞ召し上がってくださいと目で促す

瀬田 瑞央 > 「そんなものですか……そうなると、逆になぜ、今の職を選び、今のまま過ごしているのか。
 そこが疑問に思えますね。サボる、という行為を否定するつもりもありませんが、わざわざサボるくらいなら他の生き方もあるのではないでしょうか。
 あなたには異能という特技もあるわけですし。」

相変わらず、真面目に問う。
持てるものが持てるままに生きていない、というのは不思議なものだ。
この島自体、持てるもののための島、といってもいいわけではあるのだが……
そしてつられて、ロールキャベツを見れば……

「大きい……ですね」

食べられない量、というわけではないが、なんとなくもう少し小ぶりのものを想像していた。
なんとなく、小さく切り分けて口にする。
なるほど、肉の旨味にほどよくソースが絡み、生クリームがコクを加えている。
これは、美味しい、というのだろう。

「……………なるほど」

それとだけ口にして、あえて余計なことは口にしない。
あまり自分が機械のようだ、と主張してもいいことはないだろう。

サイエル > 「……んー、一番サボれるからですよ」

にこっと笑って、台無しになることを言った。
そう保健医を選んだのはいたって簡単。
”一番サボれるとおもったから”だった

「でしょー。この大きさなのに、味が染み込んでいてすごく美味しいんですよ」

どうです? お味はと、表情を見ながら

「あっはっは。まぁ、そういうことにしておいてください。あくまで私の”主観”ですし」

納得してなさそうだなと思いつつ
でも自分にはそう見えていて実際楽しいのだから
仕方がないと、そう思った

瀬田 瑞央 > 「と、すると……あなたにとって、サボることこそが第一義、と。
 ……なにかしら、矛盾を含む気もするのですが、そういうことでしょうか……」

サボるためには、まず何かをしなければいけない。しかし、サボるというのは、その何かをしない、ということだ。
つまり、サボるのが第一ということは……なんだろう、クレタ人の比喩のような何かを感じる気がした。
思わず、聞いたけれど微妙に声に自信なさが現れているかもしれない。

「確かに……これは、美味しい、というのでしょうね。
 私にも味が良い、とわかります。」

思わず頷く。普段ジャンキーな生活を送っているので、なんとも上手いことは言えない。
失礼なのだろうな、と感じてはいるがどうにもならない。

「"主観"……ですか。」

人の主観、というものは厄介だ。こちらと噛み合う保証はない。
今まさに、ソレが展開しているわけだが……まあ、悪い事例ではないので良いのだろう。

「では。私の"主観"に従えば……あなたは自分で言うほど、大したこと無い人物、ではない、と思うのですが。」

お返し、というわけではないが。感じたことを言葉にしてみせる。

サイエル > 「ふふふ……サボるにもいろいろあるんですよ
奥が深いんです、サボタージュは」

どこかしら、誇らしげに口にする。
そんな誇ることではないはずなのだが……

「あっはっは。なら選んだかいがありました。どんどん食べてください」

その言葉を聞けば嬉しそうに笑い。
白ワインを口に含んでおっさんももぐもぐと冷めないうちにともりもり食べ始める。

「おや、一本取られましたね。では、どういう人間に見えます?」

瀬田 瑞央 > 「概念としては知っていますが、行為としては行ったことなどないので……
 どうにも、意図を図りかねるのですよね。
 その……そんなに良いものなのでしょうか。」

思わず、真面目に問い返す。
そもそも、サボる、などという行為が頭に浮かぶことがない。
何かをしていてこそ、生きている実感がするのだ。
やはり、外は理解が出来ない世界が多すぎる。

「ええ、いただきます。」

楚々と慎ましく……というより、あまり一度に食べられないだけだろう。
ゆっくりとロールキャベツを口にする。

「どういう人間……ですか。難しい問いですね。
 正直な所、私程度では図りかねる事が多すぎて……
 ただ少なくとも、稀有な人材であることだけはわかります。
 後は……そうですね。本質を隠し、謎を謎のままにしているのではないか、と。少々疑っています」

生真面目に、相手を疑っている、と。そう言った。

サイエル > 「私には何よりの甘美だね。君にとっての知識のようなものですよ」

間違いない。おそらくサボらなくなったら
きっとどこかでサボリ分がなくて死んでしまう気がする。

「おや、程度とは。ふむ……疑われてますか」

くつくつと楽しそうに笑いつつ。
からんと、大きなロールキャベツがなくなったさらにナイフとフォークをおいて。

「まぁ、すべてが全て教えられてるわけではありませんし
まだ、実際あったばかりですしね。それが普通だと思いますよ」

否定はせず、やんわり笑うだけだった

瀬田 瑞央 > 「人によって享楽に至るものが違う……なるほど、それは確かに……

なによりも自分が楽しむことを優先する、そういう生き方をしてきた存在を見てきた。
彼らに、言われた。非才なるキミも、此処にいて良いのだ、と。
好きなことを好きなようにすれば良いのだと。だから私は……

一瞬の間、途切れた意識を元に戻し、目の前の男をみる。
これは現実だ。

「そういえば、大罪とは人の陥りやすい誘惑でしたね。怠惰の罪、でしたか。」

ふむ、と思いだした知識を付け足して気を取り直す。

「ええ、疑っています。といって、ソレをすべて聞き出せるとも思っていませんが……
 そもそも、聞き出すには私の技量が不足している感が否めませんね。
 そう。確かに。現状の関係性の問題もあるでしょう。」

やや肩をすくめ……ワインを口にした。
たとて親しくても話せないことだとて、存在する。先ほどまで見も知らずなら尚更だ。
ソレくらいはわかっている。

サイエル > 「……――」

一瞬ほうけたのをみて目を細める。
だが、それだけで口にはしなかった。

「そうそう。頑張っている人が居るからこその甘美ですがね」

くつくつと笑い。

「……そんなに気になります?」

こんなおっさんにそんな風に評価されると
どうも照れくさくなるというものだ

瀬田 瑞央 > 「ん……なるほど。それにしても、その甘美は私のソレよりも求めることが難しそうでは有りますね。
 それに、ややもすれば立場も危ういのでは……?」

軽く咳払いのような声をいれ、いう。
いくら此処が大雑把なところがあるとはいえ、大丈夫なのだろうか。

「ええ、それは勿論。
 ……これは、そういう意味では私の悪い癖、なのでしょうね。」

サイエル > 「そこはサボリの道云十年ですから。たまにつけは払いつつですよ」

タバコを新しく取り替えて吸い始める。
食事中だが、これも嫌いではない味だった。

「あっはっは。謎は解き明かさないと気が済みませんか?」

瀬田 瑞央 > 「そこは、奥深さ……でしょうかね?
 こうして考えてみると、なるほど。一筋縄ではいかないようですね」

そうか、と妙な納得をする。

「そう……ですね。といって、ここですぐに解決できることではなさそうですが。
 その時はまあ、諦めます。解けなかったからといって死ぬような自体ではありませんし」

素直にいってみせる。まあ、無理をするのも悪い。

「あなたは……どうなんでしょう。気になりませんか。そういうとき」

サイエル > 「そのとおり、それも楽しみの一つですよ。死ぬほど辛いので
つけは回ってきて欲しくないと思いますが」

ちょうど食べきったころあいにパスタがやって来る。
魚介類のペペロンチーノ。
これは、小皿に取り分けられて、量が少なめだ。
きっとロールキャベツの満腹度を計算されているのだろう。

「ときたいのなら、またこうして遊んでください。
デートまで行かなくても、会話とかそういうことで
”交流”を深めることでしかとけませんよ?」

なんて冗談ぽく口にして。

「親密な関係だったらあるいは、といったところですかね。
友人、親友、恋人家族……だったら気になるかもしれません」

瀬田 瑞央 > 「ツケが回ってくれば、クビになるかもしれませんね?
 他人ごとながら、そうはならないように願っておきましょうか。」

冗談めいた言い回しでは有るが、少しも笑ってはいない。
真面目なる彼女の、冗談の一種……なのだろうか。

「おや、タイミングがいいですね。量も、ほどよい。いい具合です。
 もとより、外食は得手ではなかったわけですが……こういう店があるのでしたら、外食も悪いものではありませんね。」

やってきたパスタに目を向け、感心した声をだす

「……また、ですか。」

言われて、気がつく。そうか、次、というものがあるのか。
研究の如きものは、解決できるか、出来ないか。それは決まっていて次はない。
自分には思いもよらない話だった。
やや、戸惑ってしまう。

「なるほど……今は、せいぜい……なんでしょう。友人でもなければ、なんといったものですか。知人……?」

サイエル > 「あっはっは、そうならないよう調整頑張りますかね」

冗談を受け取って大爆笑。
願っていてくださいと、つぶやいた。

「なら良かったですよ、紹介した甲斐があります」

ふわりと微笑みフォークで絡めて
もぐりと食べ始める。
にんにくの風味と、ぴりっとした鷹の爪の刺激。
魚介類の旨みがマッチしていた。

「そうですよ? それともこれっきり、の方が良かったですか?」

意地悪な物言いをしつつ……

「さぁ、なんでしょう? 友人(仮)といったところでしょうか。なにせ貴女が認めてくれるか定かじゃない」

――友人として

瀬田 瑞央 > 「そう聞いていると、なんだか高度なチェスゲームか何かのようですね。
 私としては遠慮したいところですが」

思考ゲームは嫌いではないのだが、己のなんかを賭けて、みたいなモノは自分向きではない。
この男性は意外と破滅的なギャンブラー性質の持ち主なのだろうか。
一瞬、真面目に考えた。

「たまには信条を変えてみるのも悪いことではないようです。
 正直なところ、情報量が多くて処理しきれない部分もありますが……」

ペペロンチーノを口にする。
そういえば、脂は旨味……だったか。オリーブオイルの旨味をニンニクと鷹の爪が引き締め、魚介類の味を更に引き立てる。

「ああ、いえ……なんというか……次、ということを想像してもいなかったもので。
 そもそも、ええ。次、というものが許されるのでしょうか」

正直に、胸の内を晒す。まあ隠すことでもないだろう。

「認めるも認めないも……ああ」

そもそも自分が正しく関係性を認識していない以上、成立しない話だ。
ずるい言い回しをされた気もするが、これは相手が正しい、か。

サイエル > 「ふふ……あまり良いゲームではないのは確かですよ」

くつくつと笑えば、やはり男には量は少なかったようで
ペロリと平らげてしまった。

「あっはっは。知るということはいいことですよ
少しは知識欲、満たされました?」

食事は楽しむものでもある。
それで少しでも彼女の人生がより華やかになったなら
今日という日はとても良い日なのかもしれない。

「むしろこっちのセリフですね、楽しんでもらえて
次また誘って良いのならという感じです」

むしろ選択権はあなたにあると言ったように

「ふふっ……さて、どんな関係なんでしょうかね?」

瀬田 瑞央 > 「分の悪い賭け事のように聞こえますね。ある意味尊敬いたします。」

真顔で言った。

「少し想定外の形ではありましたが……確かに、満たされました。
 出来れば学術的なものも欲しくはありますが、流石に今日は満腹、でしょうか。」

欲しいものは得られなかったかもしれない。しかし、新たな形で得た知識。
これはこれで、悪いものではない……と思う。

「楽しむ……ああ」

あまり考えたことはなかったが、これも楽しんではいた、のだろう。
まだまだ、あの史上の喜びには遠いが……他に、至れる道があるのならそれも悪くないの、か。

「そう、ですね。私程度に時間を割く余裕がお有りでしたら、それもいいと思います。
 ええ。おそらくは……友人として。」

他人と自分の関係。それは上司と部下。同僚。
そんな言葉で表せる何かばかりだったので、曖昧にしか答えは出せなかった。
今の精一杯はこんなところだろう。

サイエル > 「それは光栄至極……」

胸に手を当てて、いい意味ではないと知りながらも仰々しくお辞儀をした。
そして、そのタイミングで最後にデザートがやってきた。
パスタもなくなって、またちょうどいい頃合に……
フライアイス。アイスクリームを揚げたものだ。

「それは良かった、上手くエスコートできたようで何よりですよ」

くすくすと笑って。

「ではあえて、”あなたがいい”と返しておきましょうか。なんて……」

目を細めてそういえば

「いい顔をなさってますよ。ええ、それだけでも十二分に価値が有る」

瀬田 瑞央 > 「……」

どうしよう、どう返せばいいのだろう。
目の前で仰々しくお辞儀をする男を見て、そう思う。
ああ、こういう時に人付き合いの不得手さが出る。
割と諦めて、なかったことにする。

「これは……揚げ物……ですか。デザートですよね?
 ああ、でも確か甘味と揚げ物は合うのでしたっけ……」

ちょっと不思議そうな顔をしつつも、勝手に妙に納得していた。

「そう、ですね。あなたのエスコートは間違っていなかった、と思います。
 残念ながら評価基準は持ち合わせていないので評点は出来ませんが……」

生真面目に、申し訳ない、と返し

「私がいい、ですか。前の職場のメンバーが聞いたらさぞかし変わり者だともてはやすでしょうね。
 一応、光栄です、とお返ししておきます。」

社交辞令、というものがあったか、そういえば。と思っていた。

サイエル > その様子を見てこらえきれずに
あっはっはと、笑って。
さくっと、フライを切れば冷たいアイスが溶け出し
それを口に運んで、可笑しそうにまだにやていた

「いえいえ、評点は要りませんよ。だいたい”わかりますから”」

嫌なら人間どこかしらなにか出るものだが
困る感じはあったといえど不快な感じは見えなかった。

「ええ、そうしておいてください」

なんて言えば。もしゃもしゃとデザートを食し始めて。
これをかんしょくすればこの時間は
終わりがやってくるなぁなんて、ちょっと残念な気持ちになりつつ

瀬田 瑞央 > 「なにか、間違えましたでしょうか?」

あまりに笑うので、思わず聞いた。
怒っている様子はない。純粋に、困惑しているのだ。

「なるほど、アイスですか……揚げ時間を調整し、中に熱が通り過ぎないように……いえ、それ以外にも元々の温度を調整して低い温度からしなければいけないですね……」

断面から垂れるアイスを見ながら納得したような顔をする。
そこから分析を始めているのは、彼女の身に染み付いた性か。

「わかる、のでしたら……ええ、それでいいのでしょうね。
 それにしても……また、というからには、私はそれなりには、評価できる人物だったのでしょうか。」

同じくフライアイスに手をつけ始め……そんなことを問う。

サイエル > 「いいえ、あまりに可愛らしい反応でしたので」

今日一番だったのではなかろうか。

「ええ、料理人の技術の賜物ですね。これ美味しくて好きなんですよ」

うんうんと、相変わらず美味しいとつぶやいて。

「……いえいえ。評価なんてできません。”友人”に、あなたにかえはないのですし。なにより点数をつけることすらおこがましい。とても充実した時間でしたよ」

決めるのはあなただとか言ってながら、さらりとそう口にして。
からんっと、ナイフとフォークを再度空のお皿へと。
そして食後の一服でタバコ……最後の一本を口にした

瀬田 瑞央 > 「可愛らしい……可愛らしい、ですか」

言葉上は特に悪いモノではない。おそらくは、意図としても悪いものではない。
にも関わらず、笑われているというのは……幼稚……いや、違う。
何か言葉がうまく当てはまらないが、まあつまりは拙さが良かったのだろう。
なんともフクザツな気分である。

「ふむ……なるほど、確かにこれは、美味しい。」

女子だ何だ、という話ではないが甘味は好きだ。
なにしろ、糖分は疲れた脳に良い。そういって、ダダ甘い飲料を好んで飲むのだ。
大抵の同僚からは奇異の目で見られるのだが……まあ、気にしない。

「……なるほど。
 やれやれ、先程はからかわれたか、うまくのせられた、というところでしょうか。」

嫌味もなくさらりと言ってのける様に、負けました、と肩をすくめる。

サイエル > 「ふふ、お気に召したようで良かったですよ、お嬢様」

なんて、つぶやく姿を見て微笑めば。
ハイを灰皿に落としタバコをもみ消して。

「さて、どうでしょう? 先程も言いましたがこちらからの一方的な認識ですから?」

くつくつと笑って平らげたのを見れば、お会計をカードで
済ませてしまって。

「では帰りますか。夜も遅い。送りますよ?」

瀬田 瑞央 > 「どうにも勝てそうにはありませんね。
 貴重なお時間を小娘に割いていただいたことには感謝いたします」

礼を言って……取り出そうとしたカードは、出すまでもなかったようだ。
さて、どうしたものか……こういう時の対処は難しい。

「思ったよりも時間がかかりましたね。ええ、それでは研究施設のところまでお願いできれば、と思います。」

サイエル > 「交流を重ねればきっと直ぐですよ。
最初の一回で勝たれたら顔が立ちません」

ここは男に奢らせるのが女性の振る舞いですよと付け足して。

「お任せ下さい、家に帰るまでがデートです」

お手を拝借と、また手を差し出して

瀬田 瑞央 > 「そんなものでしょうか。どうも、私には遠い未来にしかみえませんが」

疑わしそうに肩をすくめつつ、代金の方は納得したようだ。

「それでは、よろしくお願い致します。」

手を差し出されれば……流石に今度は悩まず手をとる。

サイエル > 「任されました。頼りない老体ですが、最後までエスコート、させていただきますよ……」

あ、そうそう……よければ保健室にサボリに来てくださいね?
なんて付け足して。

「用事があれば、こちらにどうぞ。では、帰りましょうか」

なんて、連絡先を書いたメモを渡して。

夜の街を歩いていく……

瀬田 瑞央 > 「力だけが全てではありませんし、そう卑屈になるものでもないでしょう。」

その気になれば暴漢の一人二人どころか、ある程度束になっても対処できるだけの装備を持ちあわせてはいる、が……
それを今、口にするのは無粋だろう、と判断するくらいの分別はある。

「保健室……ああ、職場ですね。いいのでしょうか……
 まあ、よいのでしょうね」

多分、サボりがある程度許容される空間だ。一応、この島の関係者である人間が多少紛れたところで問題はあるまい。

「ええ、確かに。まいりましょうか。」

連絡先を受け取ってしまいこむ。
行く先は告げた。あとは、任せればいいだろう。そうして、引かれるままについて歩く。

ご案内:「学生街のレストラン」からサイエルさんが去りました。
ご案内:「学生街のレストラン」から瀬田 瑞央さんが去りました。